今回の北海道旅行の2つ目の目的は、旧士幌線のタウシュベツ橋梁へ訪れることでした。
去年辺りから「もう見納め!、今年で最後か?」などと、いくつかの宣伝めいたサイトでそういう記事を見ていたので、これは人が増える前に行っておかなければということで、今年の北海道旅行のメイン行程の一つに入れました。
どうせならというより、当然の如く、橋の所まで入りたいのですが、この橋の所まで行くには、林道を4km程入らなければなりません。 しかもその林道が許可された車両しか通れず、許可がないと鍵の掛かったゲートから1時間近くの徒歩になってしまいます。 この辺りは熊の生息する地域なので、歩くだけならまだしも、さすがに撮影用の機材を積んだカートを牽いて1時間も砂利道を徒歩で行くのは無理です。
おさらい、タウシュベツ橋梁への行き方
① NPOが主催するツアーに参加する (手軽に参加できる、有料)
② 営林署に通行許可の申請をして、ゲートの鍵を借りる (借用・返却が平日に限られ、鍵が全部出払ってたりで借りられない場合もある)
③ 自力で林道を熊に注意しながら4km歩く (脚力と勇気が必要)
④ 西岸のお立ち台から望遠レンズで撮るだけにする。 (妥協の心得が必要)
ということで、②の営林署へ赴き許可証を申請することにしました。
.営林署で許可を貰う
林道の通行許可とゲートの鍵の貸出を行うのは、糠平から南に30kmほど離れた上士幌町にある、十勝西部森林管理署東大雪支署で行っているので、こちらに訪れます。
申請書類の記載と係官からの注意事項の説明を受けて手続き完了。
手続きが終わると、注意書きの書類と車に表示する通行許可証、そしてゲートの鍵の3点セットを授かります。
こんな感じで通行許可証を掲げますが、取りあえず現地のゲートに着くまではサンバイザーの裏側に差し込んでおきました。
.西岸のお立ち台から見下ろす
タウシュベツ橋梁を見る最も簡単な方法は、西岸のお立ち台から見下ろす方法で、国道脇に入って手軽に見ることができます。
糠平から数キロ進むと、まずは五の沢橋梁とトロッコがあるパーキングがあり、それから少し進むと道路脇に数台停められるような路肩と案内札があるので、そこに車を停めます。
国道から小道を降りて行くようになっているので、そのまま進みます。少し湿った落ち葉が敷かれているので、フワフワとした感じです。
すぐに小道を横切るしっかりとした草の道があります。これがかつての線路跡で、昔はここを列車が走っていたんだなと感慨にふけます。昔国鉄士幌線に乗りに来た時は、この区間は既にバス代行区間だったので、相当前に廃止されています。
しばらく進むと視界が少し開けて、看板とともに木立の隙間からタウシュベツ橋梁を見ている先客のお姉さま方がいらしたので、あぁこんな場所なんだなと分かります。
こんな感じで、完全に木立のフレームに収まった状態ですから、少し長めの望遠レンズがないと撮れないでしょうか。スマホだと無理。
という私もコンデジしか持ってきてませんが、一眼レフよりもズームが利くので大丈夫。しっかり一眼レフを持って来ていたこのお姉さん方も、実は標準系ズームしか持ってないようで、これだと橋のアップを撮るのは苦しいかも?
ということで、望遠で寄ってみました。高倍率ズーム付きのコンデジの勝利の瞬間?です。
んん、人が結構いる。12人ぐらいかな? 写真では木の切り株があるので分かりにくいですが、右側の方に黒っぽい服を着た人らが写っています。
みんな同じ色の長靴を履いているので、NPOの団体ツアーの人達でしょう。
それ以外には居なさそうです。
.いよいよタウシュベツ橋梁へ
誰でも手軽に見られる西岸のお立ち台で状況を見た後は、いよいよメインの橋梁の袂に向かいます。
先程の駐車していた場所から北へ進んで程なく、丸山橋で音更川を越えると、右手に何やら入って行けそうな所があります。(写真では北側から撮ったので左手)
この分岐の脇に数台停められるスペースがあり、林道を歩く場合はここに停めます。許可証を持っているなら、そのまま進みます。
分岐から林道に入って程なくゲートが見えてきました。
ここには余地がないので、駐車は出来ません。結構シビアに柵が設けてありますが、その脇から人なら入れそうな隙間はあります。
ゲートを通ったら、門扉を閉めて施錠します。
許可証のない人だけでなく、クマも入ってくるかも知れませんもんね。
ゲートからはずーっとダートが続きます。
途中少し急な勾配もあるので、速度を落とした安全運転で進まないといけません。昔常紋峠の林道で、レンタカーの足回りを痛めた経験があるので、運転は慎重です。
ゲートから走ること約15分。右手の景色が開けてきて数台の車が置けるスペースが見えてきた辺りが多分場所のようで、団体客を乗せたと思われるハイエース2台が停まっていたので、そこに停めて、右側に見えている小道へ入って行きます。
小道を歩いて3分ほどで完全に視界が開けてきます。
西岸のお立ち台から遠景で確認した時に見えた、団体の見学ツアーの方が終了のミーティング?をしていて、私の到着と入れ替えるように帰っていきました。よっしゃ、私1人でこの景色を独占できるぞ!ちょっと寂しいけど。
.タウシュベツ橋梁の絶景を堪能
いよいよコンクリート橋梁を詳しく見ます。
見た感じでは、意外と幅が狭く、こんな橋を列車が渡っていたんだなと思わされます。まぁ鉄道の橋梁の場合は、線路の幅+αで十分通れるので、これだけ狭くても十分走れるということです。
台地から下りて橋梁全体を見渡します。
天気予報では今日は曇、明日が晴れで、上士幌に居た時もどんより曇っていて、営林署に申請した見学日時も明日の日付で書いていました。明日の方が天気が良く、しかも団体ツアーの人たちがいると撮影に支障になるので、団体客の来ない明日の早朝に来るつもりだったのですが、晴れてきたので、このまま撮影できそうです。
更に下に降りて、湖底に達しました。
今年は渇水状態で、普段の年なら6月だと水が溜まり始めているのですが、全然水がなくて、草が生えている状態です。
反対側を見るとご覧の通り。
一面の湖底に草が生えて、木の切り株がポツポツと広がる姿は、平原に置かれた牧草ロールのようです。
渇水の恩恵にあやかって、30cmぐらいの水の流れを飛び越えて、橋の真横に来ます。
1937(昭和12年)に作られた鉄筋コンクリートの橋梁は、何度も水に沈む浮くを繰り返してボロボロになり、一部が崩落していて、橋の下には入らないようにロープが張っています。
橋の東側には大きな川の流れがあるので、その先には進めないので、その場所から西側を向いて撮影。
崩落部分以外は思ったよりしっかりとしています。
上の台地に戻って橋の北側に回ります。
逆光側になりますが、橋の影が落ちて、めがね橋の模様がよく分かるので、このアングルも必撮の一コマです。
最後に橋上の部分に来ました。
立入禁止の措置が取られていますが、今日は誰も見ていないので、上がろうと思えば上がれるのですが、上を歩くことでガガガガーっと崩落したら困るので、ここから撮るだけにしておきます。
以上約45分ほどで撮影を終えて、帰路に就きます。
ちょうど私と入れ替えに世田谷ナンバーの大型バイクの人とすれ違いましたが、この人は閉庁時間に間に合うかな?
ということで、現地を16時に出発、ゲートを16:10に通過して、上士幌の営林署には16:40に到着し、鍵と通行証を返却しました。
帰路の途中に車窓から見た景色で、まずここが糠平の中心地で、昔士幌線の列車に乗って来た時は、ここが終点でした。
こちらが糠平湖ダム。
ここで水をせき止めて、あの大きな湖にどんどん水が溜まって、上流のタウシュベツ橋梁が水没するというわけです。
こちらが水力発電所の前で、士幌線が現役の時にはこの付近に「電力所前」という仮乗降場がありました。
国鉄士幌線には1982年と1986年の2回訪問してますが、それ以来の久々の訪問となりました。
最後に、上士幌町営温泉に入って気分さっぱり。料金も300円(石鹸類は別)と非常に安い。
入浴後は車を闇夜の中へ走らせ、今日の1日が終わりました。
結 論
昨年辺りから、「もう見納め!、今年で最後かも?」など色々と書かれている件については、どうも煽り記事の感じも否めなく、私が現地で実物を見た感じでは、東側の崩落部分を除けば意外としっかりとしているように見受けられるので、地震や豪雨などで打撃を与える事がない限り、もう少し先であっても十分見られるのではないかと思います。今急いで飛行機を予約する必要はなく、値段が安くて空いている時期にじっくり行けばいいでしょう。
なお夏~秋は水没してしまうので、橋が見られるのは冬~初夏の時期になります。
去年辺りから「もう見納め!、今年で最後か?」などと、いくつかの宣伝めいたサイトでそういう記事を見ていたので、これは人が増える前に行っておかなければということで、今年の北海道旅行のメイン行程の一つに入れました。
どうせならというより、当然の如く、橋の所まで入りたいのですが、この橋の所まで行くには、林道を4km程入らなければなりません。 しかもその林道が許可された車両しか通れず、許可がないと鍵の掛かったゲートから1時間近くの徒歩になってしまいます。 この辺りは熊の生息する地域なので、歩くだけならまだしも、さすがに撮影用の機材を積んだカートを牽いて1時間も砂利道を徒歩で行くのは無理です。
おさらい、タウシュベツ橋梁への行き方
① NPOが主催するツアーに参加する (手軽に参加できる、有料)
② 営林署に通行許可の申請をして、ゲートの鍵を借りる (借用・返却が平日に限られ、鍵が全部出払ってたりで借りられない場合もある)
③ 自力で林道を熊に注意しながら4km歩く (脚力と勇気が必要)
④ 西岸のお立ち台から望遠レンズで撮るだけにする。 (妥協の心得が必要)
ということで、②の営林署へ赴き許可証を申請することにしました。
.営林署で許可を貰う
林道の通行許可とゲートの鍵の貸出を行うのは、糠平から南に30kmほど離れた上士幌町にある、十勝西部森林管理署東大雪支署で行っているので、こちらに訪れます。
申請書類の記載と係官からの注意事項の説明を受けて手続き完了。
手続きが終わると、注意書きの書類と車に表示する通行許可証、そしてゲートの鍵の3点セットを授かります。
こんな感じで通行許可証を掲げますが、取りあえず現地のゲートに着くまではサンバイザーの裏側に差し込んでおきました。
.西岸のお立ち台から見下ろす
タウシュベツ橋梁を見る最も簡単な方法は、西岸のお立ち台から見下ろす方法で、国道脇に入って手軽に見ることができます。
糠平から数キロ進むと、まずは五の沢橋梁とトロッコがあるパーキングがあり、それから少し進むと道路脇に数台停められるような路肩と案内札があるので、そこに車を停めます。
国道から小道を降りて行くようになっているので、そのまま進みます。少し湿った落ち葉が敷かれているので、フワフワとした感じです。
すぐに小道を横切るしっかりとした草の道があります。これがかつての線路跡で、昔はここを列車が走っていたんだなと感慨にふけます。昔国鉄士幌線に乗りに来た時は、この区間は既にバス代行区間だったので、相当前に廃止されています。
しばらく進むと視界が少し開けて、看板とともに木立の隙間からタウシュベツ橋梁を見ている先客のお姉さま方がいらしたので、あぁこんな場所なんだなと分かります。
こんな感じで、完全に木立のフレームに収まった状態ですから、少し長めの望遠レンズがないと撮れないでしょうか。スマホだと無理。
という私もコンデジしか持ってきてませんが、一眼レフよりもズームが利くので大丈夫。しっかり一眼レフを持って来ていたこのお姉さん方も、実は標準系ズームしか持ってないようで、これだと橋のアップを撮るのは苦しいかも?
ということで、望遠で寄ってみました。高倍率ズーム付きのコンデジの勝利の瞬間?です。
んん、人が結構いる。12人ぐらいかな? 写真では木の切り株があるので分かりにくいですが、右側の方に黒っぽい服を着た人らが写っています。
みんな同じ色の長靴を履いているので、NPOの団体ツアーの人達でしょう。
それ以外には居なさそうです。
.いよいよタウシュベツ橋梁へ
誰でも手軽に見られる西岸のお立ち台で状況を見た後は、いよいよメインの橋梁の袂に向かいます。
先程の駐車していた場所から北へ進んで程なく、丸山橋で音更川を越えると、右手に何やら入って行けそうな所があります。(写真では北側から撮ったので左手)
この分岐の脇に数台停められるスペースがあり、林道を歩く場合はここに停めます。許可証を持っているなら、そのまま進みます。
分岐から林道に入って程なくゲートが見えてきました。
ここには余地がないので、駐車は出来ません。結構シビアに柵が設けてありますが、その脇から人なら入れそうな隙間はあります。
ゲートを通ったら、門扉を閉めて施錠します。
許可証のない人だけでなく、クマも入ってくるかも知れませんもんね。
ゲートからはずーっとダートが続きます。
途中少し急な勾配もあるので、速度を落とした安全運転で進まないといけません。昔常紋峠の林道で、レンタカーの足回りを痛めた経験があるので、運転は慎重です。
ゲートから走ること約15分。右手の景色が開けてきて数台の車が置けるスペースが見えてきた辺りが多分場所のようで、団体客を乗せたと思われるハイエース2台が停まっていたので、そこに停めて、右側に見えている小道へ入って行きます。
小道を歩いて3分ほどで完全に視界が開けてきます。
西岸のお立ち台から遠景で確認した時に見えた、団体の見学ツアーの方が終了のミーティング?をしていて、私の到着と入れ替えるように帰っていきました。よっしゃ、私1人でこの景色を独占できるぞ!ちょっと寂しいけど。
.タウシュベツ橋梁の絶景を堪能
いよいよコンクリート橋梁を詳しく見ます。
見た感じでは、意外と幅が狭く、こんな橋を列車が渡っていたんだなと思わされます。まぁ鉄道の橋梁の場合は、線路の幅+αで十分通れるので、これだけ狭くても十分走れるということです。
台地から下りて橋梁全体を見渡します。
天気予報では今日は曇、明日が晴れで、上士幌に居た時もどんより曇っていて、営林署に申請した見学日時も明日の日付で書いていました。明日の方が天気が良く、しかも団体ツアーの人たちがいると撮影に支障になるので、団体客の来ない明日の早朝に来るつもりだったのですが、晴れてきたので、このまま撮影できそうです。
更に下に降りて、湖底に達しました。
今年は渇水状態で、普段の年なら6月だと水が溜まり始めているのですが、全然水がなくて、草が生えている状態です。
反対側を見るとご覧の通り。
一面の湖底に草が生えて、木の切り株がポツポツと広がる姿は、平原に置かれた牧草ロールのようです。
渇水の恩恵にあやかって、30cmぐらいの水の流れを飛び越えて、橋の真横に来ます。
1937(昭和12年)に作られた鉄筋コンクリートの橋梁は、何度も水に沈む浮くを繰り返してボロボロになり、一部が崩落していて、橋の下には入らないようにロープが張っています。
橋の東側には大きな川の流れがあるので、その先には進めないので、その場所から西側を向いて撮影。
崩落部分以外は思ったよりしっかりとしています。
上の台地に戻って橋の北側に回ります。
逆光側になりますが、橋の影が落ちて、めがね橋の模様がよく分かるので、このアングルも必撮の一コマです。
最後に橋上の部分に来ました。
立入禁止の措置が取られていますが、今日は誰も見ていないので、上がろうと思えば上がれるのですが、上を歩くことでガガガガーっと崩落したら困るので、ここから撮るだけにしておきます。
以上約45分ほどで撮影を終えて、帰路に就きます。
ちょうど私と入れ替えに世田谷ナンバーの大型バイクの人とすれ違いましたが、この人は閉庁時間に間に合うかな?
ということで、現地を16時に出発、ゲートを16:10に通過して、上士幌の営林署には16:40に到着し、鍵と通行証を返却しました。
帰路の途中に車窓から見た景色で、まずここが糠平の中心地で、昔士幌線の列車に乗って来た時は、ここが終点でした。
こちらが糠平湖ダム。
ここで水をせき止めて、あの大きな湖にどんどん水が溜まって、上流のタウシュベツ橋梁が水没するというわけです。
こちらが水力発電所の前で、士幌線が現役の時にはこの付近に「電力所前」という仮乗降場がありました。
国鉄士幌線には1982年と1986年の2回訪問してますが、それ以来の久々の訪問となりました。
最後に、上士幌町営温泉に入って気分さっぱり。料金も300円(石鹸類は別)と非常に安い。
入浴後は車を闇夜の中へ走らせ、今日の1日が終わりました。
結 論
昨年辺りから、「もう見納め!、今年で最後かも?」など色々と書かれている件については、どうも煽り記事の感じも否めなく、私が現地で実物を見た感じでは、東側の崩落部分を除けば意外としっかりとしているように見受けられるので、地震や豪雨などで打撃を与える事がない限り、もう少し先であっても十分見られるのではないかと思います。今急いで飛行機を予約する必要はなく、値段が安くて空いている時期にじっくり行けばいいでしょう。
なお夏~秋は水没してしまうので、橋が見られるのは冬~初夏の時期になります。