前記事の最悪の四国遠征1日目の続きです。
.駐屯地作戦が裏目に出た?

今回のブルーインパルスの飛行は、善通寺の駐屯地開設75周年(本来は2020年に70周年祭として行う予定だったのが例の肺炎のため中止になり、5年遅れで開催されたと聞きます)の記念行事として行われるものですから、飛行ルート上にある、高松や丸亀などでは、通過時にスモークを吹き流すだけで、メインである善通寺駐屯地の上空で曲技飛行を行うと思われることから、最初から迷わず駐屯地、しかも光線状態からして、駐屯地よりも南側が理想と踏んでました。

前記事のように大勢の観覧客が詰めかけて、駐屯地だけでも2万6千人、その周辺を合わせると4~5万人は来ていたと思われます。善通寺市の推計人口が2万9千人ですから、市の人口がほぼすっぽりと駐屯地に収まった感じになりました。
駐屯地はもう人・人・人で満杯ですから、その周辺の場所になるのですが、護国神社の西隣にある小学校校庭からにしました。
意外と市街地になっていて、開けた場所が少ないのですが、南の方に広く開いてる場所があると思ったら少年院でしたから、これは勝手に入るわけにはいきません。
ということで小学校の校庭で待っていたのですが、12:20ごろに無情の中止決定があり、みなさんゾロゾロと帰り始めたのを見て実情を知ったわけです。
.こんなに天気がいいのに中止?
去年の10月に長崎へサッカーを見に行く途中で、ちょうど佐賀国体の開会式があり、天皇陛下をお迎えして式典があったのですが、それに合わせてブルーインパルスの飛行も予定され、開会宣言が行われる14:15に上空で曲技飛行を行うべく、既に芦屋基地を離陸して、久留米上空で時間調整のための旋回を行っていた時に、無情の雨に見舞われて敢え無く中止となったのですが、まぁ雨が降ったし、他にも霧による視界不良や強風などの気象条件で中止になる事はよくあります。先日も関西万博の開会式の日が雨で飛行中止になりましたし、珍しい事でもありません。

しかし、今回は快晴無風の絶好の天候なのに、なぜ今回中止になったかというと、
ドクターヘリが飛んだからということで、そのために上空でぐるぐる待機をしていたのですが、待機時間が長引いてしまい、燃料切れの恐れが出てきたため、飛行を中止せざるを得なかったという報道です。
なぜ宮城県の松島基地までロングフライトできるブルーインパルスの飛行機が燃料切れを起こすか疑問でしたが、どうも理由は燃料切れではなく、許可された飛行時間を超えたためという別の情報もありました。真相はどちらか分かりませんが、おそらく空域上で定期の旅客機の時間などの関係で、長時間占有できないという理由は確かに分かります。
でもドクターヘリが飛んだだけで、なぜそこまで待たなければならなかったのでしょうか?
今回のドクターヘリの案件は、隣の徳島県東みよし町で、子どもの水難事故が起きました。サービスエリアに併設された公園のような所で、全国に何か所かあるハイウェイオアシスは、休憩が目的ではなく、そこへ行くこと自体が目的としている人も多いので、今回の家族連れも遊びに来ていたのでしょう。
悲劇は両親が目を離した隙に起きました。小1の男の子が川に落ちて溺れ、心肺停止・意識不明の重体、一刻を争う処置が必要でした。
事故があった徳島県東みよし町の位置関係ですが、香川県とは山脈を挟んで南側にあります。
大きく赤丸で囲んだのが事故があった吉野川ハイウェイオアシスのある場所で、赤い矢印でヘリが飛んだと思われる方向を記しています。

実は西隣の三好市(阿波池田といった方が分かり易いかも)にも県立三好病院があり、救急車で運んだ方が早いと思われますが、わざわざヘリを要請して運ぶ必要があったのは、それだけ重篤な状態だったと思われます。
この香川県にある国立四国こどもおとな病院は国交省の三次救急指定病院リストには記載はない(むしろ県立三好病院の方が掲載されている)ですが、はやりこちら側に運ばれたという事は、それだけ子どもの救急措置に長けた病院だということでしょうか。
更に決定的なのが、ヘリの到着が遅れたという情報もあり、それによってブルーインパルスが上空で余分に待機を余儀なくされ、遂には制限時間を超えてしまったということでしょう。
小学校グランドで今か今かと待っていた時に、確かに南から北へ向けて、12時20分ごろに1機のヘリが飛んで行きましたので、こんな時間に自衛隊機でもなければ、報道ヘリでもないヘリが、しかもかなり低空で飛んでいたので、変だなとは思いましたが、まさかそれが今回のドクターヘリとはその時には思いもしませんでした。
このヘリの着陸地点である国立四国こどもおとな病院は、駐屯地の800mほど北側にあるので、ほぼ駐屯地の上空を横切る事になりますから、さすがにここで曲技飛行の披露は無理だと判断したのでしょうね。
Xやヤフコメなどでは、自衛隊の人命優先の判断が賞賛される一方で、親に対する批判も見られましたが、どういう状態で目を離した隙なのかの詳しい状況が分からないので、報道だけを聞いて親を批判するのは尚早です。
例えば下の子がぐずって手が掛かっている隙に、上の子がどっか遊びに行ったという事も考えられるので、一概に親を責めるのは酷でしょう。もちろん親が携帯ゲームに夢中になってて、男の子がどっかに行ってたのに気付かなかったとかだったら責められても仕方ないですが。なお救急措置により心拍回復したものの意識は戻っていないということです。
※その後の情報で、どうやらこの日は四国中央市内の各小学校は参観日だったようで、なぜ学校に登校して親子で参観日を楽しまなかったのかと・・・
ということで、残念な飛行中止という結果に終わってしまいました。
.帰りも地獄
さて駐屯地だけでも市の人口を丸々飲み込むほどの人が集まり、周辺を合わせると人口の2倍ほどに膨れ上がった善通寺市ですが、中止ということで、集まっていた人が今度は一斉に帰り始めるわけですから大変です。行きは朝早くから駐屯地内の良い場所目当てにかなり朝早くから分散して人が来ていたのですが、終わりは一気に人がなだれ込んで来ますから、行きよりも帰りの方が大変です。これは花火大会や甲子園球場の輸送などと同じで、終了後の輸送の方が大変なのです。
それが分かっていたので、少し遅らせて帰ることにしました。今日中に松山に着けたらいいやという状況でしたので。野球の輸送だと、試合終了から30分もすれば、そろそろ空き始めるので、1時間ぐらい置いてみようというとで、真っすぐ駅には戻らずに少し散策します。

12:50 駐屯地から北へ少し歩いた善通寺南側の広場にテントが設けられ、大型モニターや無線機が置かれていて、ここで運行指令をしていたようです。駐屯地内だと人が集まり過ぎて、電波干渉なども起きるから、そこを避けてこちら側に設営したのでしょうか。同時に交通規制の起点としてなっていて、自衛隊の大型車両で道を半分塞いでいて、13時に規制を解くため、白バイもここに到着して待機していました。

13:00 せっかくですから、善通寺の中にも入ります。
境内には屋台の出店なども幾つか出ていて、たこ焼きやアイスクリームの店には長い行列ができていました。天気の良い絶好の行楽日和という事か、今駅に戻っても人が動いてないだろうから、ここで時間潰そうということでしょうか。私も少しここで時間稼ぎをします。

13:40 中止の発表から1時間少し経って駅に戻ってみたのですが、あー全然人が動いていませんね。
駅から人が溢れています。駅の近辺には高校が2校あって両校合わせて1,200人ほどの生徒がいますが、半数が自転車や徒歩での通学らしいので、普段の日は駅もそんなに混まないでしょうから、この光景はやはり異常です。
結局改札制限がされているのと、予め紙のきっぷを持っている人に限り、駅の脇の業務用出入り口を臨時改札にして通すことになり、私もそちらに回り込んだので、20分ほどの待ち時間で駅に入れましたが、普段電車に乗らない人たちは、ここで待っててもいつ乗れるか分からないからと、隣の琴平市まで線路沿いを5km歩いて、琴電で高松へ出ようという人も出始める状況。紙のきっぷがICカードよりも強いのが証明された結果に(ちなみに今回私はQR乗車券ですが、フリーきっぷなので紙のきっぷ扱い)なりました。

14:10 四国の田舎の駅(それでも最大8両ぐらいは停まれる)のホームにはこの駅始まって以来かもという大勢の乗客で溢れています。既に岡山行きの特急列車は15分近くの遅れを出していて、まだやってきません。
JR四国もようやくこの事態になって臨時電車を多度津ー琴平間で運転することにしましたが、多度津で昼間休んでいる1編成2両を使って、1時間に1本の増発なので、定期の普通電車と合わせても30分に1本しか運転できません。このため、特急列車に宇多津まで便宜乗車できますとして、特急列車も使って捌いていました。
写真の左奥にライトが見えていますが、これが多度津行きの臨時電車。私は逆方向の琴平方面の列車に乗ります。

やってきたのは琴平行きの電車ではなくて、阿波池田行きのディーゼルカー1両編成。
これに琴平まで1駅乗って、琴電に乗り換える人が目一杯乗ってたので、普段は閉ざしている運転席横のスペースが解放され、先頭の窓にかぶりつきで車窓を楽しめましたが、窓が割と汚れてたので景色は撮りませんでした。
琴平ですし詰めの乗客が降りると、いつものガラガラの風景を取り戻した列車は急いで出発して行きました。私はこの駅で折り返して座って多度津方面へ行きます。これがフリーきっぷの強みですね。
なおこの日は結局夜遅くまで遅延が続くことになりました。ほとんどが単線区間なので、一度遅れると反対方向の列車も遅れるのでなかなか回復できないですが、昔から四国はGWなどの他客期は10~15分程度遅れるのがデフォでしたので、いつもの事です。
こうして喧騒と混乱の中でのブルーインパルスがっかり観覧(できてない)が終わり、どっと疲れたまま、今日は松山まで行くことにしました。
続きは次の記事で