ヒトラーに抵抗したハーデンベルク伯の

昨日は久しぶりに茨城県フラワーパークへ行ってきました。咲いているバラ
はちらほらでしたが、初めてのものを見るとワクワクします。しばらくバラ
を休んでいましたが、今日から解禁です。

紫がかかったダークレッドのバラ、アストリット グレーフィン　フォン ハル
デンベルク　(グレフィン　フォン　ハーデンベルク か)　Astrid Gräfin von
Hardenberg　 (Shrub)。

黒に近いツボミが開くにつれてバーガンディ・ワインのような色あいに変わっ
ていく神秘的な花で、中心はやや明るくなります。香りのばらコーナーに植え
られており、蜂蜜・レモン・バニラの強い香りがあるそうです。

Astrid Gräfin von Hardenberg さん (1925－2015) はナチス政権に抵抗した
Carl-Hans Graf von Hardenberg　(1891 –1958) 伯の娘さんです。Graf は伯爵、
Gräfin は女性伯爵 (または伯爵夫人)　の称号です。
　
父ハーデンベルク伯はドイツ陸軍に入り、第１次大戦では数度も負傷しました。
その後地方政治で活躍しましたが、1933年にナチスが政権を握ると協力を拒み、
一切の役職から退きました。1942年にはシュタウフェンベルク伯爵のヒトラー
暗殺計画に参画、失敗して逮捕され、領地は没収されました。領地は旧東独に
あったので、第２次大戦後は共産主義政権により国有化されてしまい、一家は
西ドイツに移り住みました。
1998年にアストリットさんが父を記念する Carl-Hans von Hardenberg 基金を
設立し、理事長として旧東ドイツの故郷の若者たちの教育を支援し続けたそう
です。

バラの作出は1997年ですが、タンタウ社が彼女を讃えて命名したのは基金設立
後の2001年だそうで、翌2002年にローマ国際コンクールで芳香種部門金賞を
受賞しました。
なお　Exhibition name は Black Caviar (ブラック・キャビア) で、この名前は
作出国ドイツではなくオーストラリアでの販売名という、珍しいケースです。
またプレートは 「アストリック グレーフィン フォン ハンデンベルグ」 となっ
ていますが、ミスが多く残念です。

作出者　ドイツ　　Hans Jürgen Evers 1997年。
販売者　ドイツで　Rosen-Tantau/Tantau Roses 2001年、
　　　　　　　　　　　　　　　　　'Astrid Gräfin von Hardenberg'　名で。
またオーストラリアで　　Knight's Roses 2012年、 'Black Caviar'　名で。
　　　(茨城県石岡市　茨城県フラワーパーク　2015年10月7日)

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