難波の棚をまさぐっても沼てば。
医療用品、医薬は九割が難波各地の地下に現れていた。
地上へは、四角形の溝を認める搬出孔から、または地下から転送。
軽銀アルミ風体の、旅行鞄大の箱に大抵入っていた。
例えば、転送先の家屋に月人が端末指示に従い訪れ、倉へ運んでいく。
月人の外貨捉えが妥当であったこれらは、月の異空間文明から転送されていた。
液状麻酔、錠剤なる偽薬、後遺症甚大なる中絶薬が硬質スポンジなる梱包材により、不動状態に据え置かれている。
点滴容器の半分大の中で揺れている透明な液状麻酔は、現代の地球文明が常識を無視したなら製造出来るが、現物は死後科製だった。
難波への転送先は、難波にとっての転送物の重量指標素性を原因として、転送先座標を転々と変えゆく。
難波を囲む山岳地帯と、平野の境目に在った無人家屋や、山の野原の地下に転送されていたが、四カ月や、二年、三年十カ月おきに、他の、同類諸元地の地下へと、転送先は変わっていった。
端末指示を元に受領に向かう月人は、酒や春画の場合とは明らかに異なる緊張に身を包んでいた。
液状麻酔は月人の斥侯行為が既に到達していた難波の重量指標、隠密展示施設に夜間、留置されていった。
点滴容器の半分大の液状麻酔の転送量は、四カ月に、十五単位。
月側が、この転送に帯びさせし意趣は、外貨。
医療時代の四肢の短さを詳細観察、などの医療上憐憫視野は、伴ってはおらず、全くな無機的事態がこの転送だった。
錠剤偽薬は、不可避的に付随したらしい、言わば梱包材。
中絶薬は麻酔と密接雌雄物。
麻酔は、局所効能選択が不可で、全身麻酔一択。
体重に応じた適切量は、無痛昏睡を成人男女に、八時間から十五時間至らしめる。
この時間帯は、現代のあらゆる医療手術を羽ばたく。
使用期限に関する言及を、転送物は伴ってはいない。
難波の医師は、到着から一ケ月での廃棄を、選択していた。
実際は、二年半の間は、純正効能を維持していた。
麻酔使用例は物流現場に於ける大怪我と、遺伝病と認知されていた脳に空気の泡が濃く混じる症例への、月製注射器での措置。
麻酔の不足事態は、無かった。
現場へ即登用されしは、こうした点滴半分大の容器で、麻酔が随伴せし医療現場時代は、千五百七十年台から二百三十年間。
難波各地へ転送、され続けていた。
月からの、無機的転送措置が、全く人間判断をせず、至った、意味を伴わない乱雑事態、不具なる折り紙の転送物として、麻酔の原材料が入った白い袋がある。
これは、上と同様に難波各地を転々とする転送先に現れている。
難波の医師が、動物実験等を経て断定する。
これは、麻酔の一原液成分也、と。
使用先は、動物実験が専らだった。
効能が、乱暴過ぎにて、人間には不適、らしい。
この白い袋、宇宙飛行士傍らの、栄養補給袋の初期版が如く、は難波各地の医療物資倉庫に、使用期限の存在の有無を無視され、ただ留置されていた。
廃棄はされず続けだったこの麻酔原液入りの袋は、ただ増加の一途を辿り、複数の倉庫にて、個数、二百四十単位から千七百単位、四千九百単位、七百二十単位、四十単位、十五単位、三単位が、何者にも記録され続け、だった。
やおら一時期発生なる、一万三千四百単位事態、これはさすがに、難波の医師、緊急結集会議の主要議題に挙がり、川下の家屋の無い川への夜間廃棄措置に処された。
この、麻酔原液の袋は、千五百二十年台から千八百五十年台まで、難波にしつこくつきまとっていた。
大病院の医師は一人残らずが、知悉は必須なる一無言として、存在を把握していた。
近畿各地の医師は、江戸時代、難波の恵比寿の腹の膨らみ、無痛分娩ぶんべん、容易也、の所以を容易に知る事が出来た。
保管場所への接近法も同様で、入手は完全に、個人裁量だった。
当人が要る、なら持って帰っても良し。
証券取引所の中に在った、ではなく、所在地が重なっている事を、麻酔要り様者側は、一向に意に介せず、むしろ風を利用の相。
以上の画像三枚に収まる庫、いずれかを選び、訪問し続けし一人は、素性の紹介には毒が混じる。
ここが保管数、最大規模の庫。
中絶薬は誰一人、使用には至らず。
使用を要する者は、別の薬へ近づくが常だった。
書籍の転送例は春画を除いて無い。
やおら、宇宙、月の傍を撮影したらしい真っ黒画像が大量に転送されている。
意味不明で廃棄。
転送は事故。
春画の女優は、老け過ぎ東欧人が、明らかに化学薬効でパキった目付きで、難波人は全身全てを見ても全然萌えんだった。
これがみやぐりんしつらえなる、風車、四方より中央に走る水流の速度。
プールのチューブスライダーが鞘にて、中央は大災害事態。
川の上流にはそれぞれへ計四つなる、異星人機器もろばれ風体が座し、激流を吐き出している。
これはみやぐりんを走る無数の竹製小川の水流速度、一。
これより、やや速い、がみやぐりんの小川の一水流速度。
この水流速度が、花乃井にしつらえられし、滝の落水速度で、組まれし岩やらは無視しまくりでそこら中が瀑布圏。
喰い物の絢爛模様の紹介はもう終わり。
追ったらきりが無い。
大き目で楕円形なポンカンの淵をギザギザにする。
中を抜き、代わりに入れるは、四角、丸、楕円、長方形、三角なスイカ、皮むかれ葡萄、蜜柑、さくらんぼ、白玉、桜色なカマボコ、メロン、マンゴー、魚のすり身、冷やしたつくね、鳥皮、すもも、白桃、皮むかれマスカット、寒天、牛乳寒天、ところてん、くずもち、シソの葉、山椒の実の枝の老け段階、出産付随の胎盤、砂糖、ショ糖、ヨーグルト、砂利氷。
紅葉の枝や、緑眩しい枝、そしてまだ緑色な紅葉の枝に囲まれしこれらは、みやぐりんの各地に無数に置かれていた、飾りだった。
小型の日本庭園で赤い橋を渡った離れ島に座すこれに、語り掛ける仕草は、十二単ひとえ、を着て口元を隠す女官の人形と、狂言装束、面被りな人形。
橋の下を走る三から五糎の川の水流は、へぼじゃなく、大いに元気で触れば腕の広域が瀑布圏。
難波政経の指を走る血流、神経、文学象限血流の太きは、かく。
スイカの淵をギザギザにして、上と同様に処す。
これを浮かばせるは、幅一・八米、縦一・三米、深さ八十糎なガラスのボールで、淵は紋様が走る。
大小、様々な氷にまみれ浮くスイカ、ポンカン、カボチャ計、四個から九個は全て飾り。
花乃井に置かれし水槽。
時折、氷と水を追加して溢れさせる。
金太郎飴なるカマボコが出自な、明らかに、西洋ドレスを身にまとった少女の笑顔が、時折爪楊枝で果実舟に止まっている。
お金、“景気指標としては合格よこれは。
どうにか食べられないかしら。”
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