スノーマン見聞録

ジャンルも内容も気の向くまま~“素浪人”スノーマンの見聞録

カリール ・ ジブラン (パートⅡ)

2016年09月21日 | 雑感
著書 『 預言者 』 からさわりを少し抜粋します。

≪ 子どもについて ≫ 

  あなた達を通して生れてくるが、あなた達から生れてくるのではない。
  あなた達とともにいるが、あなた達のものではない。


≪ 罪と罰について ≫ 

  正しい人と正しくない人、善人と悪人を区別することなどできない。
  どちらも太陽の前に立てば同じ。 黒い糸と白い糸を織り合わせるようなものだ。


≪ 死について ≫ 

  人の願いと望みの深みのなかにこそ、あの世についての、静かな知識がある。
  ・・・・・・・・・
  死ぬとは、風のなかに裸で立ち、太陽に溶け込むことでなくてなんだろう。

  息をしなくなるのは、その休みない満ち引きから、命を解放してやることでなくてなんだろう。

≪ 善と悪について≫ 

  人には数えきれないほどの善がある。  しかし善でないことが悪なのではない。

≪ 喜びと悲しみについて≫ 

  人は哀しみと喜びのあいだに吊るされた天秤のようなものだ。
  じっとバランスがとれているのは、なにも乗っていないときだけ。

  そこに金銀が乗り、財宝系が重さを量ろうと天秤を持ち上げるからこそ、
  喜びや悲しみが上下に動くのだ。


≪ 時間について ≫ (全文掲載)

  天文学者がたずねた ~ 時間とはなんでしょう。   アルムスターファ(本書の主人公)が言った ~
  
  人は時という、尺度のないもの、測れないものを測りたがる。
  時間や季節にしたがって行ないを修正し、心の道筋までも合わせようとする。
  時間という小川を作りだし、土手にすわって流れを見ようとする。

  けれど、人の内側には時間のない存在がある。 そしてそれは、生命に時間などないことを知っている。
  きのうがきょうの記憶にすぎないこと、あしたがきょうの夢にすぎないことを知っている。

  人の内側で歌い、じっと考えながら、
        いまも、宇宙に星がばらまかれた、あの最初の一瞬の世界で暮らしている。

  感じない人がいるだろうから。 そんな“彼”の愛する力が無限だということを。
  感じない人がいるだろうか。 
        まさにその愛が、無限でありながら、その存在中心から決して外れてこないことを。

  愛の思いから愛の思いへも、愛の行ない愛の行ないへも、揺れ動いたりしないことを。
  時間も愛と同じで、分けることも歩き回ることも、しないのではないだろうか。

  しかしもし、どうしても時間を測って季節に分けたいというのなら、
  そのときは、ひとつの季節が、ほかの季節をも包み込むようにしよう。

  きょうという日のうちに、過去の思い出と未来への憧れの、両方があるようにしよう。


訳者・船井幸雄氏はこの本を読んで感動・感涙したというが、スノーマンはそこまでには至らず。

歳のせいか確かに涙腺は弱くなってきてはいるが、いつも核心に迫るところでは泣けない自分もいる。
良く言えば冷静沈着。 悪く言えば、心根が冷たいせいなのか、それとも 修業が足りぬのか。  

でもこの本、良本であることは確かなようだ。  お薦めの一冊です。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿