なんと江戸川乱歩の少年探偵団シリーズのリメイクである。ポプラ社がオリジナルの装丁デザインをそのまま踏襲して、まるでシリーズの新刊のようにして刊行した。この趣味のいいお遊びが楽しい。当然オリジナルの大ファンである小路幸也は、乱歩へのリスペクトにとどまらず大胆な新機軸を用意した。主人公の3人(もちろん小林少年、怪人二十面相、明智小五郎だ!)の出会いのドラマとして構成したのだ。だからこれはシリーズの最新 . . . 本文を読む
こういう映画が東映は大好きだ。『ビーバップハイスクール』の昔から、不良高校生を主人公にした映画は(もちろん、それ以前もそうだが)ここの専売特許だ。決して『クローズ・ZERO』のようにはしない。高校生の喧嘩を描きながらも、そこに組織的なものよりも一匹狼の主人公を配して、特定の集団には属さないアウトローを描く。そこにはコミカルなものから、ハードなものまで、さまざまなパターンがある。
そこで今回の作品 . . . 本文を読む
『ズタボロ』の橋本一監督の作品。どれだけ売れっ子なんだ、と思うくらいの勢い。でも、今年、2月から廣木隆一は3カ月連続だったし、園子温もこれから毎月新作が公開される。2か月連続なんて、大したことないかぁ。
まぁ、そんなことはどうでもいい。これが4月25日公開で、『ズタボロ』が5月9日。新作が2か月連続公開だ。そんな2本を同じ日にまとめて見てしまったので、この日は橋本デーになった、それが言いたかっ . . . 本文を読む
これはちょっとしたファンサービスデー的な企画で、作品としてはたいしたことはない。いつも全力のショウダウンから「全力」を抜いてしまったら何も残らない、というお話だ。しかし、8月公演に向けてのウォーミングアップとして、この時期にこういう肩慣らしをしておくことは必要だ。そういう意味では有意義な企画だったのではないか。次の大作『パイドパイパー』は、きっといつもの全力を必ず見せてくれるはず。たとえ、20人の . . . 本文を読む
なんだかよくわからないけど、このGW毎日1冊ずつ本を読んでいる。いずれもなかなか面白い。実はその理由ははっきりしている。クラブの試合の付き添いで毎日8時間ほど体育館にいるからだ。試合の待ち時間、暇だから本を読む。ただ、場所もないし、人も多いし、しんどいし、なかなか読みにくい。しかも、集中して読んでいると、気付くと次の試合が始まっていたりする。あせる。毎年GWウィークはずっとそうだ。(お盆もそうだ。 . . . 本文を読む
深田晃司監督が描く世界は小さくて、さりげない。ひとりの女の子が過ごすひと夏の物語。田舎の家での2週間。でも、そこは自然に包まれた美しい風景ではなく、ただのしょぼくれた地方都市でしかない。
18歳の夏。受験したすべての大学に落ちて浪人を余儀なくされる朔子(二階堂ふみ)。これは、そんな彼女が叔母(鶴田真由)と共に過ごす2週間のスケッチ。
彼女のひと夏の体験(成長)を描くとか、そんなのではない。恋 . . . 本文を読む
歌人でもある東直子の描く世界は通常の小説家の書くものとはいささか趣を異にする。彼女は物語を語ることよりも、描かれた世界を見せることに腐心する。お話には重きを置かない。そんな彼女が今回「物語」に挑んだ。7つの怪談は紀州の森で、山の中で、海で、暮らす老女たちの妄想かもしれない。
ただの不思議なお話、という括りでは収まらない。これは真実の物語ではないか。このいくつもの悲しい物語は100年、千年の時代 . . . 本文を読む
なんと3時間に及ぶ超大作なのだ。途中1度さすがに休憩が入るが、2時間まではノンストップだ。(途中休憩をちょうど半分のところには設定しない、のもいい。息切れするまでは走り続けるのだ。)シーンの繋ぎもザッピングで急展開させていく。短いエピソードを積み重ねて、考える暇を与えない。あれよ、あれよと言う間にどんどんお話は進行していく。回文書で綴られる各章のタイトル。振り落とされても構わない。まず、目の前で . . . 本文を読む
おそるべき若手作家グザヴィエ・ドランの最新作をちゃんと劇場で見る。これまではDVDでしか見たことがなかったけど、こいつの映画は絶対に劇場で見るべきだ、と思ったから、今回何があろうとも、公開が始まるとすぐに劇場に向かう覚悟だった。なのに、先日、ポール・トーマス・アンダーソンの『インヒアレント・ヴァイス』を見に行った時、なんと横の劇場でこの映画が公開されていた。衝撃だ。もうやってたやん、と。それほど . . . 本文を読む
このタイトルで夫婦のお話、というのならそれはそれでわかりやすい。もちろん結婚にはそういう側面もあるけど。それをどういう展開で見せることになるのか。興味津々で読み始める。なかなかおもしろい。主人公はまず4人の女。それぞれ悪女。でも、犯罪者ではない。彼女たちを前面に出す。でも、必ずしもそんな型通りの作品にはなってない。4人というけど、3人はちゃんと描かれているけど、4人目になる女は描かない。バランスが . . . 本文を読む
ポール・トーマス・アンダーソン監督(『ザ・マスター』に続いて、今回もホアキン・フェニックスが主演)の新作だから、内容なんか気にせずに、それだけで見に行く。見る前にはストーリーすら知らなかった。
70年代、ロサンゼルスが舞台で、ヒッピー探偵(ホアキン)が、元恋人の依頼で、失踪した(依頼された時点ではまだ失踪してなかったけど)彼女の愛人(すごい金持ちの不動産王)を探すことになる、という探偵もの。
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『アーチィスト』のミシェル・アザナビシウス監督によるチェチェン紛争を描く戦場映画。どうしても撮りたかったという切実な想いが溢れている。だが、作品としては少し甘過ぎて、感動には至らない。これがリアルなドラマというよりも、よく出来たお話として作られているからだ。
ロシア兵により、両親と姉を殺された(と思う。だが、姉は死んでない。ラストで感動の再会を果たす。そういうよく出来た筋書きがこの作品の甘さに思 . . . 本文を読む