小林政広監督入魂の1作。仲代達矢が、現代のリア王を演じるロードムービー。仲代のいささか芝居がかった大仰な演技が鼻につく、と言う人もいるだろうが、あれは意図的なもので、そこで乗れないなら、この映画についていけなくなる。これはシリアスで淡々としたドラマとして作ってない。ひとつのお話として、象徴的に作ることである種の普遍を描くのだ。田舎臭くて全くかわいくないけど(わざとそうさせている)とてもけなげな孫 . . . 本文を読む
こういうライト感覚のミステリ仕立てのあっさり青春恋愛小説って、本当いうとかなり苦手のはずなのだが、なんとなく読む物もなく、手にしたら、けっこうおもしろくて、ラストまで一気に読んでしまった。
主人公は、趣味で廃線跡を旅するビギナーの若い男。彼が、その道のベテランである初老の男と偶然知り合いになり、その男とつき合ううちに、どんどんその世界の虜になっていく。しかし、ある日、そのベテラン男が失踪する . . . 本文を読む
今時こういう暑苦しい芝居って、珍しいのではないか。作品自体も劇団名の通り、とてもわかりやすい。5人組の窃盗団が、犯行から警察に捕まるまでが描かれていくオープニングのダンスシーンは見事。そこから一気に本題に突入する。
牢獄に入れられた主人公が、たったひとり悶々と過ごす時間が描かれる。独房の中に、やがて4人の仲間たちが現れる。幻である。彼らとの出会いから犯行当日までが回想シーンとして描かれる。そ . . . 本文を読む
先日、彼の初エッセイ集を読んでいて、その中に、この『チルドレン』のことに触れてある部分があった。家裁調査官の友だちがいて、彼の話を聞いたことで、家裁調査官に興味を持ち、彼らを主人公にしたドラマを書いてみようと思ったらしい。そう言えば僕はこの作品をまだ読んでないなぁ、と気付く。そんな時、偶然図書館に行くと、この小説の文庫が新入荷していて、目に付くところに置いてあったので、これは僕に読め、という啓示 . . . 本文を読む
なんと10年間のすべてのエッセイが収録されてある、らしい。あれだけ膨大な小説を書いているのに、たったこれだけしかエッセイは書いてなかったなんて、驚きだ。もちろんそれくらいに彼は小説家であることを全うしてきたということなのだろうから、あっぱれだ。本当に真面目な人だ、と感心する。(もちろんエッセイばかり書いている小説家が不真面目だ、というのではない。人にはそれぞれのやり方があるのだから、エッセイ大好 . . . 本文を読む
これは昨年の劇場公開時にはあまりの上映期間の短さから、とても見たかったのに、見に行けなかった大期待の1作である。確かシネヌーヴォーでの中国映画の特集上映の1本として上映されたのではないか。ようやくDVDでだが、見ることが叶った。
しかし、僕の勝手な期待が大きすぎて、出来上がったものとの落差に、一人勝手にがっかりした。まぁ、こんなことはよくあることだ。どんまい。『息もできない』クラスの傑作を期 . . . 本文を読む
このとてもおバカな映画は、よくある少女コミックの映画化なのだが、まるで、ジュネの『アメリ』を思わせるようなパステルカラーのスタイリッシュな空間造形により、けっこう楽しめる作品に仕上がっている。もてる女になるために、恋のコーチを受ける少女を主人公にしたノーテンキな青春映画。とことん作りこんで、ファンタジーとして、まとめあげることに成功している。
そして、何よりもまず、ヒロインの新人、大野いと。 . . . 本文を読む
オカモト國ヒコさんの芝居を見るのは久しぶりだ。エビス堂の時2度ほど見た。スケールの大きいエンタメを目指していて、そのゴーマンなくらいな自信が、見ていて気持ちよかった。その後、見る機会のないまま今日に至った。だから最近の活動を目にすることはなかったのだが、実はとても気になっていたので、今回久々に見ることができて、うれしい。
テノヒラサイズとして、再起動され、その集団名通りのとても小さなサイズの . . . 本文を読む