
ラスト6話に突入する。映画の後章である。配信版は0話から17話までで構成されている。1話は23分から25分。並行世界が明らかになって、ラストに突き進む。
おんたんは門出を取り戻すために世界を滅ぼす。たった一人の唯一の存在を守るためなら地球が無くなって仕方ない。
映画のラストはいささか甘いと思ったから、完全版となる配信版に期待した。そこには映画とは違う並行世界がある。それをどう描くのか?、と。
映画版では描けなかったものが確実にここには描き切れている。結末部分も素晴らしかった。もうひとつの並行世界を描くラストは決して甘い幕切れではない。それは現実がどれだけ厳しくてもそこで生きるしかないという覚悟の上に成り立つ世界だからだ。
最初にあった世界からもうひとつの世界へ。凰蘭は門出が死ぬ世界は認めない。地球と引き換えにしてもわがままを貫く。ふたつの選択を描きながら、この作品はこの世界をサバイブする彼女たちの姿を8時間の壮大なドラマとして紡いだ。
お話はまず16話まででとりあえず終わるが、最終話である17話はエピローグを超えた現実を提起する。名古屋まで来た門出の父親が見たものはあり得たであろう世界。そこではみんなが今も生きている。
映画が成し得なかったことをこの完全版は見事にやり遂げる。お正月から早くも今年一番の傑作に出会えてよかった。