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映画・演劇のレビュー

長沢樹『消失グラデーション』

2014-10-06 20:37:12 | その他
「第31回横溝正史ミステリ大賞」受賞作らしい。『冬空トランス』を読んだ関係で、先にも書いたように、ついつい手にしてしまったが、予想を遥かに上回る怪作で、こんなので、いいのかと頭を抱えた。北村薫とか、馳星周とか、綾辻行人が絶賛しているけど、ありえません。

『冬空トランス』も酷かったけど、これはその比ではない。あれはこれのスピンオフなのだが、先にこれを読んでいたなら、もう読まなかったはずだ。こちらは長編で、一応主人公の気持ちとかも、ちゃんと描かれてあるから、なかなか読みごたえがあるかも、とか、思いつつ読み始めたけど、実は話はスカスカだし、トリックがむごい。あんな偶然に寄りかかったもので、いいのか? 特に事件の後の謎解き部分がつまらない。お話の核心に入ったところからのこの失速ぶりは無残だ。

 ミステリは時間のムダだから基本的には読まない主義なのだが、これを読むと、改めて、その持論を確信させられる。ひどすぎる。

 それにしても、あのオチはなんですか? あんなのありか! で、そこを評価するのか。これは小説だからこそ成り立つトリックだ、なんていうのなら、そういうまやかしが小説ではないと、一蹴すべきだ。大人をバカにしてはいけません。子供でも、こんなのには騙されないだろう。せめて、人間を描こうよ。そうすると青春小説としてそれなりには読めるものになるのかも。樋口真由が男だったなんて、バカにもほどがある。


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