
予告編を見てこれは面白そうとワクワクさせられた。クリストファー・ノーランの弟ジョナサン・ノーランが製作、というところが実はかなりパチっぽかったのに、しっかり騙されてしまった。要するに『インセプション』のような映画だと思ったのだ。
凄い大作映画か、と宣伝に踊らされ見てみたら、実際はしょぼくて、とんでもないB級映画で、がっかりさせられた。これは久々のハズレ映画だ。まんまとだまされた。
だいたいお話が自体が全く膨らまないのだ。確かに冒頭の海に沈む街の描写(これを予告で見て期待したのだ)は圧巻だ。どうしてこんなことになったのか、ここで何が起きるのか、と期待は膨らんだのだが、本編に入ってしばらくすると、まるでそれが意味をなさないこけおどしでしかなかったことに気づく。
人の記憶の中に入っていく、という確かに『インセプション』を思わせるような話なのだけど、それだけ。ひとりの女に恋して彼女を助けるためにすべてを棄てて戦う男の話、でいいんだけど、この世界の在り方(この映画の世界観)と、どうリンクしてお話が展開していくのか、そこがおざなり。作品世界が狭すぎるのだ。『インセプション』でなくてもいいから、せめて『ブレードランナー』のような映画にでもなっていたら、それはそれで納得したのだけど。そんなレベルではない。語ることはない。これでは主役のヒュー・ジャックマンがかわいそう。