
2月の『大阪マクベス』、4月の『新世界BALLAD』と、気合いの入った大作を連打した太陽族の岩崎正裕さんによる今年3本目となるこの新作は、なんとも気の抜けた小品だ。でも、悪くはない。全2作とは全くタッチが変わって、少人数によるコメディー作品である。普段の岩崎さんなら、とても手掛けないようなタイプの芝居なのだが、当然彼は器用にこういう作品もこなしてくれる。
主人公は、とある女子プロレス団体で、かつては一世を風靡した2人組。だが、今では見る影もない。巡業先の安ホテルで、明日から悪役レスラーに転向してくれ、と言われる。いくらなんでもそんな理不尽を受け入れられるはずもない。
ホテルの一室を舞台にしたドタバタ騒動が描かれるのだが、安心して見ていられる良質のコメディーにちゃんと仕上がっている。桝野幸宏さんの台本はそつなく書かれているし、岩崎さんの演出も丁寧で的確だ。ベテランの役者たちも上手い。
だが、この小さなお話を通して、何を伝えたかったのだろうか。そこが、よくわからない。まぁ、ただ面白かったなら、それだけでいいではないか、と言われれば確かにそうなのだが、それだけでは、なんだか物足りない気がするのも事実なのだ。
そこで、もう少しこの芝居を考えてみる。
岩崎さんはいつも弱者の立場に立って物事を考える。今回、このコメディータッチの小さな芝居に於いても、その姿勢は変わらない。消えていこうとする弱小女子プロレス団体のトップである2人が、団体の存続のため、敢えて自分たちから悪役レスラーの汚名を買って出る。もちろんそれは最初からではなく、結果論なのだが。彼女たちは自分たちを守るためにそうする、と同時に、それがみんなの生活を守る術となることもよく知っている。憎まれ口を叩いても、結局は自分たちを育ててくれたこの団体、このチームを大切にするのだ。そういう彼女たちの姿勢が、この芝居の核心を貫く。そのことに気付いたとき、岩崎さんがこの仕事を引き受けた理由がわかった気がした。
これはたくましく生きる女たちのお話なのである。彼女たちが、現実の荒波のなかで、今出来ることを誠実にこなしていく姿がこの芝居の背景にはある。実は、表面に見えるドラマの背後にあるそんな彼女たちの生きざまが、ここには描かれているのだ。そのことに気付いた時、この芝居が愛おしいものになる。
余談だが、取り込んだチラシの写真が、でかい。ちょっとびびったが、そのままにしておこう。
主人公は、とある女子プロレス団体で、かつては一世を風靡した2人組。だが、今では見る影もない。巡業先の安ホテルで、明日から悪役レスラーに転向してくれ、と言われる。いくらなんでもそんな理不尽を受け入れられるはずもない。
ホテルの一室を舞台にしたドタバタ騒動が描かれるのだが、安心して見ていられる良質のコメディーにちゃんと仕上がっている。桝野幸宏さんの台本はそつなく書かれているし、岩崎さんの演出も丁寧で的確だ。ベテランの役者たちも上手い。
だが、この小さなお話を通して、何を伝えたかったのだろうか。そこが、よくわからない。まぁ、ただ面白かったなら、それだけでいいではないか、と言われれば確かにそうなのだが、それだけでは、なんだか物足りない気がするのも事実なのだ。
そこで、もう少しこの芝居を考えてみる。
岩崎さんはいつも弱者の立場に立って物事を考える。今回、このコメディータッチの小さな芝居に於いても、その姿勢は変わらない。消えていこうとする弱小女子プロレス団体のトップである2人が、団体の存続のため、敢えて自分たちから悪役レスラーの汚名を買って出る。もちろんそれは最初からではなく、結果論なのだが。彼女たちは自分たちを守るためにそうする、と同時に、それがみんなの生活を守る術となることもよく知っている。憎まれ口を叩いても、結局は自分たちを育ててくれたこの団体、このチームを大切にするのだ。そういう彼女たちの姿勢が、この芝居の核心を貫く。そのことに気付いたとき、岩崎さんがこの仕事を引き受けた理由がわかった気がした。
これはたくましく生きる女たちのお話なのである。彼女たちが、現実の荒波のなかで、今出来ることを誠実にこなしていく姿がこの芝居の背景にはある。実は、表面に見えるドラマの背後にあるそんな彼女たちの生きざまが、ここには描かれているのだ。そのことに気付いた時、この芝居が愛おしいものになる。
余談だが、取り込んだチラシの写真が、でかい。ちょっとびびったが、そのままにしておこう。