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映画・演劇のレビュー

蓮見 恭子『人魚と過ごした夏』

2023-08-08 14:34:00 | その他
オリンピックに一緒に出ようね」と無邪気に言う幼馴染みの神崎未来。でも陣内茜は自分の実力に限界を感じ、しかも骨折してしばらくは泳げない。アーティスティック・スイミング(シンクロ)に青春を賭ける高校二年のふたりに無口な同級生西島由愛が絡んできて過ごす17歳の夏休み。

今まで「頑張りすぎる生活しか送ったこなかった少女の悩みと決断を、三人の友情、確執、邂逅を巧みに絡めて瑞々しく描いた感動青春小説」と解説にはあったが、そんな呑気な小説ではなく、彼女たちはもっと切実。大人の視点から解説したらそうなるのだろうが、本人たちは毎日必死になっている。そんな姿が描かれる。

お話の後半は夏休み明けから秋になる。茜はクラブを辞めて、空白の時間を過ごす。新しいことを始めなくてならないと思うけど、何をしたらいいか、わからない。ずっとアースイだけをしてきたから。3人はそれぞれの選択をすることになる。スポ根ではない。普遍的などこにでもある17歳のキラメキがしっかり描かれる。

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