これにはがっかりした。それほど凄い映画を期待したわけではないのだから、ハードルは低いのだ。なのに、ここまでダメな映画を見せられることになるとは思いもしなかった。『エターナルズ』以上にがっかりである。監督は『ボーン・アイデンティティー』のダグ・リーマンである。彼はトム・クルーズ主演のSF大作『オール・ユー・ニード・イズ・キル』だって手掛けている。このジャンルの映画ならエキスパートのはずなのだ。どちらかというと冒険のない企画で安全パイだと思い安心して見に来たはずだったのに、まるで弾まない。
予定通りのお話ではある。だけど、予想もしない杜撰な展開で、何をしたいのやら、まるで伝わらないまま映画はどんどん進んでいく。1時間を超えたところで「これはもうだめだな」と匙を投げた。お話がつまらなすぎる。しかも、まるでドキドキさせてくれない。この先どうなるのか、という期待を一切抱かさない。廃墟と化した巨大な宇宙船の残骸が登場した所で、少し期待したけど、無残な幕切れだ。
どうしてこうなるのだろうか。思い返せば、最近見たSF大作映画は尻切れトンボの映画ばかりだ。『デューン 砂の惑星』しかり、『エターナルズ』しかり。そしてこの映画も、である。なかでもこれが一番無残だ。これでは予算面だけではなく、内容としてもただのB級SF映画でしかない。多くは期待しないけど『猿の惑星』並みのストーリーの仕掛けが欲しい。(それは期待しすぎか?)
心の中の声がダダ漏れっていう基本設定が、ただただめんどくさいだけで何らお話として機能していない。しかも仕掛けはそれだけという杜撰さ。せめて主人公ふたりの逃避行とその先にあるものをもっとちゃんと見せて欲しかった。でも、それだけなら、今までいろんな映画がさんざんやってきたパターンをなぞるだけで何ら新機軸はないけど。『スパイダーマン』シリーズのトム・ホランドが主演して『スター・ウォーズ』シリーズのデイジー・リドリーが共演したSFアクション映画なのである。もうちょっとなんとかならなかったのか? しかも、何度も書くけど監督は『ボーン』シリーズのダグ・リーマンなのである。想像を絶する酷さに声も出ない。