
これには泣かされた。もちろんほんの少しだけれど。絲山秋子はこのバカバカしい恋愛物語をほんとにさりげなく書き上げてしまう。心憎いばかりだ。
ファンタジーなんていう名前の男だ出てくる。このへんで呆れてしまうが、平気でストーリーを展開する。彼は、実は神さまの一種らしく、見える人には見えるが、見えない人には見えない。(なんちゅうあほらしさ)初めて出会ったのに、ずっと以前から知っていたような気がする。というか、確実に前から知っているのだ。相手は神さまだからね。
主人公は河野という男。彼がタイトルロールの海の仙人。若いのに仕事も辞めて、この敦賀の海辺で釣りをしたり、ぶらぶらしたりして、暮らしている。生活は大丈夫だ。宝くじで3億円当たったから。お金の心配は要らない。そんな彼の元にかっての同僚である片桐や、偶然知り合った中村かりんらがやって来る。片桐は彼の事が好きなのだが、河野にはその気はない。というか、彼は女の人を愛せない。幼い頃の姉とのことがトラウマになっている。だから、かりんと付き合うようになっても、肉体関係は持てない。そんな彼らの長い時間が描かれていく。
小説の終盤、かりんがガンで死んで、片桐も何年も訪ねてこない。河野は雷に打たれて目が見えなくなる。それでも彼は悠々自適に生きている。そんな彼の姿を見ているとなんだか胸が締め付けられる。かわいそうだ、というのではない。自由に生きるということがこんなにも切なく寂しいものなんだ、と思い知らされるからだ。そんな彼を見守るでもなく、ただなんとなくそこにいたり、いなかったりしながらもファンタジーは、確かにそこらにいる。それだけの小説だ。
ファンタジーなんていう名前の男だ出てくる。このへんで呆れてしまうが、平気でストーリーを展開する。彼は、実は神さまの一種らしく、見える人には見えるが、見えない人には見えない。(なんちゅうあほらしさ)初めて出会ったのに、ずっと以前から知っていたような気がする。というか、確実に前から知っているのだ。相手は神さまだからね。
主人公は河野という男。彼がタイトルロールの海の仙人。若いのに仕事も辞めて、この敦賀の海辺で釣りをしたり、ぶらぶらしたりして、暮らしている。生活は大丈夫だ。宝くじで3億円当たったから。お金の心配は要らない。そんな彼の元にかっての同僚である片桐や、偶然知り合った中村かりんらがやって来る。片桐は彼の事が好きなのだが、河野にはその気はない。というか、彼は女の人を愛せない。幼い頃の姉とのことがトラウマになっている。だから、かりんと付き合うようになっても、肉体関係は持てない。そんな彼らの長い時間が描かれていく。
小説の終盤、かりんがガンで死んで、片桐も何年も訪ねてこない。河野は雷に打たれて目が見えなくなる。それでも彼は悠々自適に生きている。そんな彼の姿を見ているとなんだか胸が締め付けられる。かわいそうだ、というのではない。自由に生きるということがこんなにも切なく寂しいものなんだ、と思い知らされるからだ。そんな彼を見守るでもなく、ただなんとなくそこにいたり、いなかったりしながらもファンタジーは、確かにそこらにいる。それだけの小説だ。