
80年代、若くしてブレイクしたパンクバンドがメンバーの不祥事から解散した。あれから長い歳月が過ぎた。そんな彼らが30年振りに再結成する。実在するバンド(こちらは解散せずに40年続いているらしい。1978年から活動するパンクバンド「アナーキー(亜無亜危異)」)のギタリスト藤沼伸一が監督して永瀬正敏が主演した。
つまらないわけではないけど、いろんなことが中途半端で作り手の想いが伝わってこないのがツライ。キーマンとなる北村有起哉演じるトラブルメイカーの心情が描き切れてないからだ。彼にはただイライラさせられるばかり。ラストの自殺だって迷惑なだけ。なぜ彼がダメになったのか。あの頃も今も変わらない彼の弱さ、それと向き合う永瀬正敏の心情がきちんと描けたなら傑作になった、かもしれない。ふたりとも上手い役者だから演出の手腕が問われる。
冒頭から登場するもうひとりのキーマンである永瀬の娘も同じ。彼女のやり切れない気持ちがちゃんと描けていないから、こちらでもイライラさせられる。中途半端に音楽を続ける父への苛立ちが直接彼には向けられないけど、絵を描くことで反発を表明していく。それがどこまで父に伝わったか? そこにこの映画の評価、真価が問われる。復活ライブを見せないのももどかしい。