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映画・演劇のレビュー

『仮面ライダーBLACK SUN』(8話から最終話)

2022-11-02 09:57:06 | 映画

ようやく後半の3話を見た。10話の冒頭では、なんとクレジットタイトルが『仮面ライダーBLACK』の主題歌とともに昔懐かしいタッチで流れて、バイクを走らせる仮面ライダーBLACK SUNの勇姿が拝める。ここから一気に敵のアジトに乗り込み悪の組織を退治する、というお決まりの展開なら胸躍らされたことだろう。だが、そうはならない。

この作品の中で繰り返される攻防は、なんだかまるでお遊戯のようで、緊張感はない。ブラックサンとシャドームーンの対決がクライマックスに用意され、そこから世界の崩壊へと至る壮大なドラマが描かれるはずだったのに、まるでしょぼいまま、また無駄な争いをちまちま描いているな、という印象しか残らない。

どうしてこんな小さなお話になったのだろうか。舞台がしょぼいから、彼らの争いまで、しょぼいまま。同じような戦いの繰り返しの先にあるふたりのいなくなった世界の現状とそこから立ち上がる少女とその仲間たちのさらなる戦いはもうまるでおままごとレベルのお話に見える。

総理が立小便をしていて路地裏で殺されるとか、わけがわからない。さらには新しい総理となった今まで虐げられてきた秘書官、尾美としのりにまるで貫禄がないから、ここから始まる恐怖は描けない。人間と怪人の共存共栄を目指す(建前だけど)政治から、明らかに怪人駆除を目指す恐怖政治へ、という新しいステージへの移行を描くこのラストは噴飯ものだ。どうしてこんな映画になったのか。

これはきっと伝説となる7時間に及ぶ壮大なドラマ、のはずだったのが、結果的に唖然とするようなこんな壮大な茶番になってしまった。まるで解せない。あの高橋泉が台本を書いているのに、これではリアリティのある世界観の提示には至らない。彼が書いているのに、こんなチープで杜撰なドラマにしかならなかったのはなぜなのか。スタッフ、キャストも今望める限りの完璧な布陣で挑んだはずなのになんだか不思議なのだ。それは予算の問題か、壮大な勘違いか。謎は深まるばかり。

 


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