習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『シュアリー・サムデイ』

2011-04-18 21:06:11 | 映画
 作り方が下手すぎて、これでは『お話』の世界に乗れない。こういうホラ話は心地よく乗せられないと見ていられない映画になる。語り口のうまさで、騙されないことには無理だ。そういう巧みさが監督の小栗旬にはない。役者として様々な映画に出ていろんな監督を見てきたはずなのだが、見るのと、するのとはまるで違うのだろう。残念な仕上がりの映画になった。でも、最初にしてはあまりにハードルの高い企画に挑戦し過ぎた気がする。簡単そうに見えて、これはかなり作るのが難しい映画だ。

 だいたい台本もよくない。オリジナルなのだが、これなら伊坂幸太郎にでも頼むべきだった。というか、こういうタイプの映画を作るのなら、最初から、彼の小説の映画化でもしたらいい。しっかりした台本があっても演出力がなければ、困難なのに、ここまで穴だらけの台本では土台無理な話だ。せめてちゃんとした原作くらいは欲しかったところだ。冒頭の高校での爆破事件からして、ちゃち過ぎた。とっかかりでつまずけば後は推して知るべし、である。しかも、3億円強奪があんな簡単に出来るのなら、なんでもありになる。行き当たりばったりの展開にも辟易する。

 4人組の再会や、さらには死んだと思われたもうひとりが合流して5人組再結成、という展開がまるで、生きてこないのは、それぞれのキャラクター自体が最初から生きてないからだ。まずこの根本のところで、つまずいている。それって、まるっきり何一つ上手くいってないということではないか。最低最悪の映画である。なぜ、こういう企画にGOサインを出したのか。プロデューサーの山本又一朗は、小栗旬のどこに映画作家としての可能性を見出したのか。ただの話題作りなら、何度も言うが、最低最悪だ。僕には、この映画のどこにも何の可能性も感じられなかった。


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