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映画・演劇のレビュー

劇団タノシイ『夢のまた夢の夢』

2011-11-02 21:09:14 | 演劇
 当日パンフの松原さんの文章がとてもいい。自分の正直な気持ちを素直に書いた気持ちのいい文章になっている。芝居というものを舐めてかかっていた自分への反省が正直すぎる言葉で書かれてあり胸を打つ。自分の可能性を信じて頑張ってきたはずの自分。その甘さに対して謙虚になっている自分。そんな裸の自分がそこにいる。

 そんな姿勢のもと、作られたはずの今回の芝居なのだが、なかなか思い通りにはいかなかったようだ。彼の志の高さと、現実の彼を巡る状況との落差は大きい。綿密な計画のもと、準備を怠りなく出来たならいいのだが、そうはいかないのが、現実だ。忙しいメンバーのスケジュール調整だけでもたいへんだったのだろう。きちんとした稽古が為されていないから、ただの段取り芝居になる。即興で出来ることなんかたかが知れている。お笑いは瞬発力なのかもしれないが、芝居はそうでない。

 今回も台本の詰めが甘い。26歳で事故に遭い、40年間植物人間状態だった男が死ぬ直前に見た夢。走馬燈のように駆け巡る26歳までの日々と、やがて来るはずだったその後の幸福な人生。この瞬間、それを夢見る。

 ストーリー自体はよくあるパターンなのだが、それをどう見せるのかが作家の持ち味だ。芸人たちを集めて彼らに好きにさせながら、でもそれが最終的には夫婦の絆に集約されるというオーソドックスな展開を見せるのは問題ない。だが、あまりに作り方が雑すぎる。これでは感動できない。


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