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映画・演劇のレビュー

きづがわ『真珠の首飾り』

2014-06-07 21:15:56 | 演劇
 昨年の12月公演で見たこの作品を、半年のインターバルで再演する。林田さんとしては遺恨の残る出来になったからだろう。作品自体の完成度は高かった。だが、細部の詰めが時間の関係で難しく、結果的に詰めの甘さが露呈する惜しい作品になってしまった、と思ったのではないか。僕たち観客以上に(そんなのは当然だが)作り手は細部の仕上がりが気になる。特に本当ならもっとちゃんと出来たはずなのに、やり残した部分の残る大作は尚更だ。

 今、憲法改正、集団的自衛権の問題は無視し難い。安部総理の暴走(林田さんはそう言う)に対してNOと言うこと、そのために演劇に何ができるのか。戦う集団である「きづがわ」が、もう一度今改めてこの作品を世に問うことは、大切なことだと思う。よりたくさんの人たちに、今ある憲法の理念を知ってもらいたい。そのために、この作品は確かな意味を持つ。

 お勉強ではなく、まずお話としても面白いし、われわれの知らなかったことを、ちゃんと教えてくれる。それは過去の歴史ではなく、これからのわれわれの未来のために必要なことなのだ。

 芝居は前回と同じ。演出が変わるとか、役者を大幅に変更するとか、そういうことはない。同じ作品をブラッシュアップしたものだ。最初にも書いたように、前回の公演よりも完成度の高い作品を目指した。その目標は達成されている。

 テンポよく流れるように、日本国憲法成立秘話が描かれる。たった1週間ほどの時間で、あれだけのものが、どうして可能だったのか。アメリカ人が、アメリカのためではなく、これからの日本のため、ひいては今後の世界のために、理想の憲法を実現させようとする戦いが描かれる。とても爽やかで、胸に沁みる作品である。

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