
パチンコの興ずる女たちを通して、失踪した(実は、自殺した)パチンコ仲間である永遠子(トワコと読ませる。もちろん仮名)の謎の死に迫っていく。彼女がなぜ死んだのか。主人公は死んでしまった恋人とそっくりの男に惹かれて、彼女の死の理由を探っていくことになる。彼は永遠子の兄で彼女の行方を捜しているらしい。だが、本当は彼は永遠子のもと夫で、彼女の死の理由を知りたい。てな、感じで続々といろんな事実が明かされる。
主人公の小田切可憐はかってミュージシャンとして一世を風靡した。だが結婚式の日に交通事故でパートナーに死なれて、生きる気力を失う。今ではただの男と結婚して、平凡な毎日を送っている。楽しみは夫が仕事に行っている間、パチンコに行くこと。
そんな彼女の探偵ごっこを通して、ホールに集まってくる人たちの様々な事情が見え隠れしていく。それと同時に永遠子の抱えてた問題も当然浮き彫りにされていく。さらには幸せだと思えた(そう諦めていた)自分の家庭と生活が、いかに脆いものかに気付く。彼女が、自分に対して諦めて死んだように生きていたことが、改めてはっきりしていく。そして、もう一度自分を見つめなおすことになる。
とてもよくできた話で、400ページ以上の長編なのに一気に読ませてしまう力がある。特殊な話ではなく、誰の中にもこういう一面はある。主婦たちを主人公にしたという面では桐野夏生の『OUT』に近い雰囲気もある。だが、あの小説のような怖さはない。うまくまとめてあるが、そこからはみ出す部分が希薄なのだ。この小説のバランス感覚のよさは、結果的に作品を小さくまとめてしまうことになり、インパクトを弱めてしまっている。
穏やかそうに見えた夫の狂気、それが彼の自分に対する愛ゆえであり、そんな彼の孤独をしっかり受け止めて現実の世界で生きていこうとする。ラストは、気持ちよく受け止められたし、彼女が再び今自分にできる範囲でもう一度音楽を始めようとするのも、とてもいい。それだけに、そこに行き着くまでの怒濤のドラマのほうに、もう少し『何か』が欲しい。これでは、なんだか都合よく作られたお話でしかない。そこが気になるなぁ。話上手く出来過ぎ。
主人公の小田切可憐はかってミュージシャンとして一世を風靡した。だが結婚式の日に交通事故でパートナーに死なれて、生きる気力を失う。今ではただの男と結婚して、平凡な毎日を送っている。楽しみは夫が仕事に行っている間、パチンコに行くこと。
そんな彼女の探偵ごっこを通して、ホールに集まってくる人たちの様々な事情が見え隠れしていく。それと同時に永遠子の抱えてた問題も当然浮き彫りにされていく。さらには幸せだと思えた(そう諦めていた)自分の家庭と生活が、いかに脆いものかに気付く。彼女が、自分に対して諦めて死んだように生きていたことが、改めてはっきりしていく。そして、もう一度自分を見つめなおすことになる。
とてもよくできた話で、400ページ以上の長編なのに一気に読ませてしまう力がある。特殊な話ではなく、誰の中にもこういう一面はある。主婦たちを主人公にしたという面では桐野夏生の『OUT』に近い雰囲気もある。だが、あの小説のような怖さはない。うまくまとめてあるが、そこからはみ出す部分が希薄なのだ。この小説のバランス感覚のよさは、結果的に作品を小さくまとめてしまうことになり、インパクトを弱めてしまっている。
穏やかそうに見えた夫の狂気、それが彼の自分に対する愛ゆえであり、そんな彼の孤独をしっかり受け止めて現実の世界で生きていこうとする。ラストは、気持ちよく受け止められたし、彼女が再び今自分にできる範囲でもう一度音楽を始めようとするのも、とてもいい。それだけに、そこに行き着くまでの怒濤のドラマのほうに、もう少し『何か』が欲しい。これでは、なんだか都合よく作られたお話でしかない。そこが気になるなぁ。話上手く出来過ぎ。