まるで泉鏡花の小説を読んでいるような気分。そうこれは『高野聖』に似ている。魔物のいる森。神の使いである野狐。酔っ払いの和尚。彼女は羽のあるものを探している。
海からこの森にやって来た女の魚。虹に乗ってやって来たから同じように虹に乗せて送り返す。夜の虹。羽を手にすることなく、羽を抱いたまま、時代を遡っていく。やがて野狐から教えられる。この先にある戦(いくさ、戦争)を回避することを託される。
5つの短いお話は連鎖しているけど、ひとつひとつが夢のような手触りがある。夜伽1巻とある。次の一巻きもあるかもしれないが、それはまた別の物語だろう。これはこれだけで完結している。