今回の濱野京子は苦手かな、と思った。3人の女の子たちの話。15歳。中3。中高一貫校だから受験はない。話は3人の交互に変えられた視点から語られていく。だから各章ごとで主人公は変わる。3章単位で一巡する。最初はぐるぐる変わる視点に戸惑う。人間関係がちゃんと把握出来ないから、散漫な印象を抱く。
というか要するに僕の理解力不足なのである。最近ますます頭が悪くなつてきて、映画を見ても本を読んでも、さらには芝居なんてかなりの確率で正確に理解出来ていない。あぁ、ここまでは余談です。この小説とは関係ない。これは中高生対象の本なのに、大人の僕が関係性をちゃんと把握してないまま読んでいたなんて恥ずかしくて、生徒には喋れないね。(たぶん、機会があれば自慢げに話す気がするけど)
半分くらいまで読んで3人の置かれた位置や関係性がようやく明確になった。これはかなり微妙な心理を描いた小説だとわかってくる。作者の狙いもそこにある。ストーリーで引っ張っていく作品ではない。この2、30年で男女の関係性や意識の変化は大きく変わってきている。だけどいまだに男尊女卑の男は多数派。しかも彼らは自覚がないからタチが悪い。
少女たちはそんな男たちと向き合う。クラスメイトだったり、教師だったり、離婚した父親、不特定多数の男ども。15歳の視点から描かれるそれは、最初戸惑いがあったが、やがて明確になる。3人が同じ方向を向いている事がわかると、ひとりひとりのドラマや視点はあまり気にならなくなる。もっと大きなテーマと向き合うことになる。この小説が女性が社会で直面する不条理と戦う話だということが若い子たちの話を通して語られていく。こんな時代において、これからどう生きるかが問われる。恋愛より友情。2世代(3組の母たちと娘たち)の1年間の先。彼女たちの未来が楽しみだ。