
これは胸に沁みる。彼女だけでない。誰だってたくさんの服を今まで着てきたはず。大切にいつまでも着てぼろぼろになっても捨てられない服。せっかく買ったのにほとんど着ないでタンスの隅に置いている服。からだはひとつなのに、服はこんなにある。思い出の服にまつわるお話は彼女のこれまでの人生でもある。
おーなりさんとはほぼ同世代。(僕の方が6歳上だけど)大学時代は同じように大阪から京都の大学に通っている。彼女は阪急電車だけど、僕は京阪電車。彼女は京都に着くとバスで東に行くが、僕は西に行く。もちろん同じ時間を生きたわけではないけど、同じような時代を少し時差はあるけど、生きていた。
このエッセイを読みながらいろんなところで共感する。添えられた服のイラストも素敵だ。小さなことのひとつひとつが彼女の生きた日々の思い出であり、その積み重ねが今を作る。
子どもの頃から始まってやがて大人になり、結婚して子どもが生まれる。やがて子どもは大きくなり、離れていく。そんな日々の積み重ねが描かれていく。たくさんの服との思い出とともに。