前半は素晴らしい。この小説は2部構成で、2つの中編小説が収められる。ふたつでひとつだ。ふたりの主人公のそれぞれの側面から同じ時間(20数年に及ぶ)を描いていくのだが、護の目からふたりの歴史を描く『フラット』と、後半、徹子の目から描く『レリーフ』のあまりの違いに戸惑うばかりだ。まるで別の小説を読んでいる気分になる。そして、いろんな謎が解き明かされていく『レリーフ』はつまらない。
『フラット』がおも . . . 本文を読む
答えが欲しいのか。違う。でも、不安でどうしたらいいのか、わからない。兄の道は、たぶん発達障害で(医者には見てもらっていないから、そういう診断はされてはいない)考えるのはまず自分のことだけで、周囲のことが見えない。というか、見ていない。5つ年下の妹、羽衣子は、そんな彼に終始イライラさせられている。マイペースで自分の道を行く彼と、自分に自信がが持てず、自分には何もないから、と思う彼女。空堀商店街にある . . . 本文を読む