習慣HIROSE

映画・演劇のレビュー

『インサイド・ルーウィン・デイヴィス  名もなき男の歌』

2014-06-07 21:53:03 | 映画
 61年ニューヨークを舞台にして、あるミュージシャンの1週間を描く。音楽で生きていければいいのだが、願いはかなわない。行くあてもなく彷徨う。NYからシカゴのライブハウスに行くけど、そこでも希望は見いだせない。雪の中、ヒッチハイクして戻ってくるシーンのわびしさ。  これはボブ・ディランが登場して、フォ-クソングが市民権を得る以前のお話。才能はあるけど、売れないミュージシャンの日々が淡々としたタッチ . . . 本文を読む
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いろんな映画や、小説のこと。

2014-06-07 21:19:24 | 映画
 いろんな映画や小説を読んでいるけど、時間がないから、ここにそのひとつずつに触れて書くゆとりがない。なんだか、残念だ。ニキータ・ミハルコフの3部作完結編である『遥かなる勝利へ』も3週間も前に見たのだ。なのに、書いてない。  長野まゆみの団地をテーマにしたノンフィクションタッチの小説(というより、エッセイだが)『団地で暮らそう』も読んだし。これなんか、60年代から70年代に一世を風靡した「団地」の . . . 本文を読む
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コトリ会議『おなかごしのリリ』

2014-06-07 21:17:23 | 演劇
6人の死者たちが命を棄てたことで、自由になったはずなのに、結局は何も変わらない現実を生きていくことになる。冒頭で描かれる延々と続く「しりとり」のように、作品自体もそんな堂々巡りが描かれる。彼らの抱える不安を描く。彼らはまるで生きていたころの延長でしかない死後の世界では満足出来ず、今度は宇宙に逃げようとする。どこまで逃げても結局は同じなのに、である。 ガスによる集団自殺。死んでしまった後の彼ら . . . 本文を読む
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コトリ会議『はなの台ふき』

2014-06-07 21:16:43 | 演劇
最初はうつ病の話のようなのなのだが、それが家族の問題にすり替わり、それは宗教の話になり、宇宙の話へと移行し、気がつくとなんだかわからないような壮大なドラマにもなるのだ。話はどんどん横滑りしていき、スライドしていき、原形を留めない。  人は多かれ少なかれみんな病を抱えて生きている。それと向き合い、ギリギリでなんとか自分を保っているのだ。今回のコトリ会議は2本立。しかも、長編で2本。これは2つの壊 . . . 本文を読む
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きづがわ『真珠の首飾り』

2014-06-07 21:15:56 | 演劇
 昨年の12月公演で見たこの作品を、半年のインターバルで再演する。林田さんとしては遺恨の残る出来になったからだろう。作品自体の完成度は高かった。だが、細部の詰めが時間の関係で難しく、結果的に詰めの甘さが露呈する惜しい作品になってしまった、と思ったのではないか。僕たち観客以上に(そんなのは当然だが)作り手は細部の仕上がりが気になる。特に本当ならもっとちゃんと出来たはずなのに、やり残した部分の残る大作 . . . 本文を読む
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『闇金ウシジマくん』

2014-06-07 21:14:14 | 映画
 今、劇場でTVシリーズの第2シーズンに引き続いて劇場版第2作が公開されている。そんな『ウシジマくん』の劇場版第1作を見た。2時間11分という長尺である。深夜TVで火がついて、劇場版が作られるという、最近ではよくあるパターンなのだが、主人公の山田孝之の無表情に心惹かれて、ついつい見てしまった。  これはとても怖い映画だ。安易なTVシリーズの映画版ではない。独立した1本の映画として完成している。『 . . . 本文を読む
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岡部えつ『生き直し』

2014-06-07 21:13:24 | その他
 こんなにも辛い小説を読むのは久しぶりだ。出来ることなら読みたくはなかった。でも、なんだか避けるのもなぁ、と思って、読み始めて、途中からこれは救いようがないし、と思いつつも、どこかに何らかの救いを期待して最後まで読んでしまった。もちろん、徹底的に救いようのない小説だ。わかっていただけのショックはないけど、見事だ。  いまどきの小説にあるまじきもの。「あの子をいじめから救って、わたしは地獄に堕ちた . . . 本文を読む
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