ペトロとカタリナの旅を重ねて

あの日、あの時、あの場所で
カタリナと歩いた街、優しい人たちとの折々の出会い・・・
それは、想い出という名の心の糧 

涼しい?絵本

2010年08月11日 | 本/図書館/言葉

 200年ほど前のデンマークの作家アンデルセン。

 「白雪姫」や「マッチ売りの少女」などの童話、また「裸の王様」など示唆に富んだ作品から、「即興詩人」などの恋愛小説と、多彩な作品を残している。

 Ag08001_5そのアンデルセンの「びんの首」という童話をもとに、藤城清治さんが影絵を描いた「ぶどう酒びんのふしぎな旅」(講談社・町田仁さん訳)が、60年振りに復刻されたことを知り、図書館で借りた。

  ある家の二階の窓辺に、お婆さんが飼っている小鳥の水飲み用に置かれた割れたぶどう酒の壜。

 実はこの壜、お婆さんが美しい少女だった頃、航海士との婚約の席で空けられたぶどう酒の壜だった。

 Ag08004使われては捨てられ、また拾われて人の手に渡りと、壜は長い不思議な旅をする。

 お話は、擬人化された壜とその壜にまつわる人々の暮らしぶりとを重ねて進む。

 最後に壜は、お婆さんの元へと帰ってくるのだが、お婆さんは遠い昔に、婚約者が壜を高く掲げ、「一年後の今日、航海から帰ったら結婚式をあげよう」と言ったあの壜だとは気付かず、壜もまた、このお婆さんがあの時のあの美しい少女であることに気付かないまま物語は終わる。

  あるAg08002編集氏は、“ 藤城さん86歳の本作は、作家が初めて絵本に選んだアンデルセンの名作を、新たにカラーで描き下ろした渾身の作品 ” であると紹介。

 さらに、“ それぞれの場面が読む者の心に強く残るのは、60枚からなる叙情溢れる繊細で美しい影絵による ” と続ける。

 藤城さんはあとがきに、「子供は勿論大人にも、ひとりでも多くの見て貰いたいと思っている。この光と影の絵本を通じて、人生の美しさや喜びを感じとって頂ければ嬉しい。」と記す。

 カタリナ に、「本をお腹にお昼寝タイムと揶揄された、「ペトロの夏休み読書感想文でした。えっ、感想なんて何も書いてないじゃない?」。            

 まるで鍋底にいるかのような酷暑、藤城さんの涼やかな影絵で、しばし、暑さをお忘れあれ。

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