11月の晦日近く、小春日和の一日のこと。
お茶のお仲間の皆さんと、紅葉が観頃の京都にある五接家筆頭の近衛家伝来の膨大な史料を保管する「陽明文庫」(写真上)を訪ねた。
今回の企画は、奈良のお仲間の Mm さんのご尽力によるところ大きく、文科省がユネスコ記憶遺産に推薦した国宝「藤原道長御堂関白記」や素晴らしい刺繍の踊る表具裂が使われた軸など、名和文庫長の直々のご説明で、貴重な文庫所蔵品の一端を拝見できることになり感謝のほかない。
その日伺った者は、「裏千家を勉強しています」と予めお伝えしていたので、心のうちでは「予楽院茶杓箪笥」に収められている三十一本の茶杓のうち、一、二でも拝見できればいいなと思っていたのだが、なんと文庫長は、十本余りを並べて待っていて下さった。
滅多に見せてもらえない茶杓ばかり、舞い上がってしまって、後になってもっとしっかり箪笥を拝見しておくのだったと、帰宅してから勿体ないことと自分を叱った。
お笑いめさるな、反省とおさらいの意味も込めて、その「茶杓箪笥」とそこに収められている「茶杓」について改めて勉強をした次第。
「茶杓箪笥」(写真下:展覧会HPから)は、高さと奥行きも幅30cmくらい、正方形に見えなかったので幅は少し短いか? ため塗りの慳貪蓋(けんどんふた)は、箪笥の横に立てかけてあった。
箪笥の左側に、儒教の教えである「五常」の “ 仁・義・礼・智・信 ” の文字が書かれた白い紙が貼ってあって、その一番上 “ 仁の棚 ” に、後西天皇(ごさいてんのう)作の茶杓が入っている。
江戸時代に第111代天皇に即位された後西天皇は、専ら学問に打ち込み、「水日集」などの著作を残され、和歌の才能もあり古典への理解も深かったのだそうで、天皇としてはお一人だけ「宸作茶杓」を残されたという。
その茶杓、六本あると聞いていたのだが、ある書籍で、“ 一本が貸し出されて戻っていないと紙に書かれて貼ってある ” と読んだことがあり、箪笥をよく眺めてみたが残念ながら判らなかった。以下次号に。()
Peter & Catherine’s Travel Tour No.408
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