先週の土曜日、「文化の日」というへんてこな祝日だった。
この日、皇居で文化勲章の親授式が行なわれたが、晴れて受章された方を国民こぞって祝福するために、一日仕事などの手を休める日なら「頷けなくもないなあ」、なんてひねくれもンは考えたりするのである。
昭和23年と言うから終戦間もなくのこと、その日の方便(たずき)に四苦八苦する庶民にとって文化も文明もないだろうが、為政者かなんだか知らないが、この日ばかりは欧米並みの開明的?な暮らしをと、この祝日を定めたのだろうけれど、もともとは明治節、今になっても制定の主旨が理解できない。
今年の受勲者の一人山田洋次監督、フーテンの寅さんに、生家の団子屋の隣の印刷所で地道に働く従業員へ「やあ労働者諸君、今日も貧乏たらしく働いているか」と、劣等感の裏返しに揶揄させたが、「そんな、こじつけなくても」と笑うが、その寅さんの悔し紛れの心情とこの文化の日、何となく通低しているような。
ところで、その前日のこと、カタリナ と散歩がてら西宮神社の菊花展に出かけたまではよかったのだが、彼女、孫の七五三詣でにくっついて来たらしいお爺さんが、場所も弁えずくゆらす紫煙に無防備に近づき激しく咳き込む始末。
菊花もそこそこに神社を辞した。
余談だが、その帰り道、お好み焼きが食べたくて、阪神西宮の駅中にあって鶴橋の名を冠した店に入った。
ここでも、後から来て隣の席に座った若いアベックが、揃ってぷかぷかと吹かす煙に塗(まみ)れてしまうお粗末さ。
灰皿を置いている店と知りながら入る方が阿呆と言えば阿呆だが。
その席で、菊花展の写真をビューアーしてみたが出来映えが今ひとつ。
「それ、煙草の所為にしてない?」と咳き込みながら笑う人を横目に、聊か憮然とした文化の日の前日でした。
その菊花、珍しい色ふたつ。
どの菊の香を運び来し風なるや (稲畑汀子)
Peter & Catherine’s Travel. Tour No.537