フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

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退屈は最良の教師 マルク・フュマロリ L'HOMME-LIBRE MARC FUMAROLI

2006-07-20 21:31:35 | 哲学

今週届いた LE POINT の IDÉES LITTÉRATURE セクションには、最近本を出したアカデミー会員のマルク・フュマロリのインタビューが載っている。初めて聞く名前なので読んでみることにした。

MARC FUMAROLI (né à Marseille le 10 juin 1932 -)
Exercices de lecture : De Rabelais à Paul Valéry (778 pages; Gallimard, 16 Mar 2006)

自分の人生などには全く興味がない、自叙伝などおぞましい、という。中世学者のル・ゴフさんと同じ考えのようだが、この方は 「現在」 にしか興味がないらしい。

モロッコに住んでいた両親が旅行したマルセイユで1932年に生まれる。今年74歳。子供時代は Fès で過ごす。アメリカに行く1942年までの子供時代は、すべてから遠く離れていて (j'étais loin de tout)、両親の本が置かれているところが彼の宇宙であった (la bibliothèque de mes parents résumait mon univers)。母親は読書家で、父親も母親ほどではないが本を読む人だった。彼は退屈なので本を読んでいた。その過程で孤独や根気のいる仕事 (ma vocation bénédictine) に導かれたようだ。そこでの結論は、、

「退屈ほどよい教師はいない」
Il n'y a pas de meilleur pédagogue que l'ennui !

この退屈のお陰で文学へ転向した。それから長い間戦争に駆り出される。その時は Pléiade に収められたバルザックの全作品を持って行った。プルーストも読むが、本当に気に入っているのはバルザック。最近、日本の北から南まで縦断し、アメリカ風の外見に潜む古い内陸地方を見て回ったが、夜にはバルザックの 「人間喜劇」 全巻を再読した。この旅行から、メモで真っ黒になったノートを持ち帰った。何という生活 (人生) だろう。

私は未来を心配したことは一度もない。私を引き付け離さないのは 「現在」。ただ、長い読書に照らされた 「現在」 だ。

"Ce qui m'intrigue et me retient, c'est le présent - mais un présent au miroir de longues lectures..."

現実世界 (le monde réel) には足を半分しか踏み入れていない。若い頃死ぬかと思う事故にあっているので、ものを考える時どこか超然とした (avec détachement) ところがある。

コメント
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