フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

ジャン・フランソワ・ルヴェル再び REVEL L'INSOUMIS

2006-05-20 00:10:10 | 哲学

少し前の Le Point の特集に最近82歳で亡くなったジャン・フランソワ・ルヴェルさん Jean-François Revel (19 janvier 1924 - 30 avril 2006) が取り上げられていた。このブログでも数回に渡って触れている。

「ルヴェル:不服従の哲学者」 "REVEL -- Le philosophe insoumis"

これが彼を特徴付ける言葉なのだろうが、他にもいくつかあった。例えば、

un de nos rarissimes grands dissidents intellectuels
(稀有の偉大な知的異端者のひとり)
un des esprits les plus fermes et les plus libres de notre époque de pensée conforme
(規範的思想の時代における最も毅然とした、最も自由な精神の持ち主のひとり)

彼はデカルト嫌いで、"Descartes, c'est la France, hélas !" と言っている。さらに l'antigaullisme, l'anticolonialisme, l'anticommunisme の立場を取り、ポルトガル語、英語、スペイン語、イタリア語、それにドイツ語を操り、五つの大陸で話ができる。朝の5時からお好みのBBCを聞き、5-6種の外字新聞を読む。旅をする。書くためにフランスを離れ、ホテルで仕事をするのを好む。繭の中に入る (se retirer dans son cocon = 隔離された、孤独に引きこもる) ような感覚が好きのようだ。外国に着くと、ラジオ、テレビをつけ、匂いを嗅ぎ (flairer)、街の雰囲気に浸る (s'imbiber de l'atmospèhre des rues)。このあたりは私の好みと一致する。

よく無器質な(情のない)知識人と誤解されるが、実は、un sensoriel, un sensuel, un instinctif, un intuitif, l'homme des chose vues, respirées だという。感覚、本能、直感を、見たり呼吸したりして得るものを大切にする人だった。

Comme le poète, "il aimait, le jeu, l'amour, les livres, la musique, la ville et la campagne..." さらに競馬 (le turf)、闘牛 (la corrida)、ブイヤベースも。bon-vivant だったことがわかる。

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彼は語っている。

"J'ai croisé beaucoup de gens remarquables qui ne sont jamais devenus célèbres et beaucoup de gens célèbres qui n'étaient pas remarquables du tout."
(僕は決して有名にはならなかった多くの傑出した人にも、全く大したことのないたくさんの有名人にも会った。)

モンテーニュのエッセイにある「哲学するとは死に方を学ぶこと」 (Que philosopher, c'est apprendre à mourir.) ということについて。
"Mais je ne suis pas tellement d'accord... Cela ne s'apprend pas. On ne peut apprendre que ce qu'on peut répéter. La mort est un fait unique et un fait brut. "
(しかしその考えにはあまり同意できない。..死に方を学ぶことはできない。人は繰り返されることは学ぶことはできるが、死は一度きりの野蛮なことだから。)

"Ce n'est pas la langue qui crée le poème, c'est le poète. Et le poète n'est, n'a jamais été, ne sera jamais qu'une éventualité."
(詩を作るのは言葉ではなく詩人だ。そして詩人は、これまでも、今も、そしてこれからも必然にすぎない。)

"Il n'est pas certain que l'homme ait le goût de la liberté et de la vérité, même si c'est contre son intérêt. Parfois l'homme est très désintéressé."
(人が自由や真実を大切にする気があるのか、確かではない。たとえそれが自分の利益に反することになるとしても。人はしばしばどうでもよいと思っているのだ。)

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彼のお気に入りは "Pourquoi des philosophes" だったようだ。いずれ触れてみたいものである。

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4 コメント

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Unknown (聴雪)
2012-05-12 22:16:01
ルヴェル氏はなにかかっこいいですね。私もうれしいことに、ポールさん同様似ているところがあります。

現在は、ロミリーとユルスナール(こちらもポールさんのブログを読んで)を買い込み(ロミリーは半分を過ぎました)、また、フランス語のためにいいかなと、好きな村上春樹の仏語版も並行して日本語と照らし合わせながら読んでいるところで手が出ませんが、”Pourquoi des philosophes"はかなり興味をそそられるので、ぜひとも読みたいです。
いつも、様々な物事に出会わせてくださりポールさんにはとても感謝しております。
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抗して生きる (paul-ailleurs)
2012-05-13 01:18:51
聴雪様

ルヴェルさんはコンフォーミズムに抗した人生を歩んだ方のようです。こちらに来てからはほとんど思い出すこともなかった方ですので、今回も懐かしさとともにこの記事を読み返していました。

野蛮に抗したロミイさんが亡くなってから何冊か出たように思いますが、数日前 "Ce que je crois" という本を手に入れてきたところです。一章だけ読んでみましたが、過去に向き合うことの大切さを説いた力強い文章でした。こちらでは真理に向かおうとする精神の動きを見せている方が稀ではないので、すっきりすることがよくあります。ところで、Romilly はロミイと発音、表記するようです。今でもその傾向がありますが、当時は特に英語読みなどが混じっていたようです。

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Unknown (聴雪)
2012-05-13 03:05:45
大変尊敬する方なので、読み違えていたとは悔しいです。。
ポールさんの「野蛮に抗する」は、お気に入りバーにいれており、時折開いて見ます。最後の「話す時の言葉を吟味すること」の入った文章は、座右の銘としています。
illはイュと発音することは知っていますが、時々tranquille、ville のようにイルと読む例外があるので、ご紹介のままにロミリーと認識していました。
パリの本屋さんでロミリーと言ったら通じたのですが、それはきっと、ジャクリン・ドゥがついていたから、わかってもらえたのでしょうね。よく見たら、neですから、ジャクリーヌ・ド・ロミイですね。ありがとうございました。

こちらのブログの雰囲気(内容は勿論、横に広いレイアウトも)が好きで、刺激を受ける内容に出会うとうれしくて興奮してコメントしてしまいますが、お忙しいときには、お返事はお構いなくお願いいたします。


真理に向かおうとする精神は私の性分の中にあるようですが、日本にはそういう雰囲気は希薄と感じています。
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お楽しみください (paul-ailleurs)
2012-05-13 03:32:13
フランス語の発音と表記になかなか馴染まず未だに困っております。間違いが散らばっていると思いますので、お気づきの時にはご連絡いただければ幸いです。

この場所はわたしの中では過ぎ去った場所のようになっていますので、たまに訪れては生き返らせるために模様替えをすることがあります。今のバージョンは替えたばかりですので、しばらくはこのままだと思います。お楽しみいただければ幸いです。


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