フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

記憶する水 LA MEMOIRE DE L'EAU

2007-07-14 20:29:16 | 俳句、詩

台風が関東にも接近している。このまま行くとフランスへの旅が危なくなる。その旨パリの友人に伝えると、直ちに次のような反応があった。ところで、ジョゼフ・コンラッド Joseph Conrad (3 décembre 1857 - 3 août 1924) の "Typhon" を読んだことがあるか、アンドレ・ジードが訳している素晴らしい小説だ、というもの。こういうやりとりは、いつも私に爽快感をもたらしてくれる。早速何軒か巡ってみたが残念ながら見つからなかった。向こうに行ってからということになりそうだ。

本屋巡りの中、あるタイトルに目が引き付けられた。

記憶する水」 (新川和江という方の詩集)

このお話もパリの友人から昨年聞いた。フランスの免疫学者ジャック・バンヴェニスト Jacques Benveniste (12 mars 1935 - 3 octobre 2004) は、アレルギーを起こす元になる抗体 (IgE) を含む血清をどんどん薄めていき、その中に抗体の一分子も含まないところまでもっていく。その上でこの希釈された血清を用いてアレルギー反応が起こるかどうか調べたところ、彼の手によると反応が見られたとして、1988年に雑誌 Nature に発表した。この現象をマスコミは、水には記憶する力があるとしてセンセーションを巻き起こした。その後、公開実験までやったらしいが再現性は見られず、バンヴェニスト事件として記憶に留められている。

この話を聞いた時に、うまく説明できないが不思議な気分が私を襲っていた。まだ詳しく読んでいるわけではないので確かではないが、こういう実験は偶然驚くべき事実を見つけたというよりは、最初に水には記憶があるはずだ、そのためにはどのような実験をすればよいのか、という思考の流れがあったのではないかと想像される。もしそうだとすれば、彼がなぜそのような考えを抱くに至ったのか、そこに強い興味が湧いていた。

今日手にした本のタイトルは、まさにバンヴェニストの考えに触発された詩 「記憶する水」 から取られている。そこには次のような一節がある。

  覚えていておくれ
  地上のすべてがわたしを忘れても
  わたしがわたしを忘れてしまっても
  おまえだけは記憶にとどめておいておくれ
  今度会うときは
  ぼうと霞んだ向う岸かも知れないが


 「はげしく生きてきた者だけが・・・ ―― 故矢川澄子さんに」

   恋も愛も名声も富も (おお自分さえ)
   こわれやすい 移ろいやすい あてにならぬ不確かなものばかりが
   溢れている地上は永住に価しない
   死の中にしかゆるがぬ実在は無い
   はげしく生きてきた者だけが
   やはりはげしく わが手でそれを獲得するのだ


  「あんかおろして ―― 川崎洋さん追悼」

    あったかい血の通った
    ことばを求めて蒐められた方言の中でも
    釧路の漁港の居酒屋で耳にしたという
    <あんかおろす> が私は好きだ
    つまり 錨 (アンカー) をおろす
    あんかおろして いっぱいやっか
    板子一枚下は地獄の荒海で
    体を張って漁をする男たちが
    陸へあがってほっとひと息
    仲間の肩を叩いて いかにも言いそうなことば


    「良寛 ―― 組曲」
     
     五合庵
     
     みなもとを求め
     川上へとさかのぼって行ったが
     みなもとと呼ぶたしかな場所は
     どこにも無かった
     ひとあし ひとあし 踏みしめる足もとから
     水が湧いて
     <今 ここ> がつねにみなもと ―― そうと知った
     世を捨て 名利を捨て
     国上山のふところに身を寄せた
     冬の庵の
     はらわたも凍える寒さ
     薪も尽きたが 雪が止めば
     こうこうと月が 冴えわたる
     さしこむ光に
     書を読み 詩歌をつづるのだ
     諸国をめぐり 修行も積んで
     悟りを得たが
     それさえももう 超えてしもうたよ
     あるがままに生きる  
     <今 ここ> で
     自然と共に あるがままに




    
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雨の東京 TOKYO PLUVIEUX

2007-07-10 23:35:21 | 俳句、詩


    雨ふるふるさとははだしであるく (山頭火)

     la pluie tombe
      dans ma ville natale
       je marche pieds nus  

     (Santôka; traduit par paul-ailleurs)



      酒がうますぎる山の宿にゐる  (山頭火)

       saké est trop savoureux
        je reste
         dans une auberge de montagne

       (Santôka; traduit par paul-ailleurs)


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雨音を聴きながら EN ECOUTANT LA PLUIE

2007-06-10 12:28:12 | 俳句、詩

週末の朝 窓を開け放ち 雨音を聞きながら 静かに時の流れをながめる

これにしく 悦びなし

道ゆくこどもが 落雷にあわせて 声をあげる


----------------------------
(11 juin 2007)
  Chris 様から句が届く

   En écoutant la pluie
    Un souvenir de Verlaine
     Paris en été


 (12 juin 2007)
  Chris 様に答えて詠める

    des enfants marchent
     en criant avec le tonnerre
      sous la pluie d'été

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「俳句スペシャル」 を見る REGARDER LE TELEPROGRAMME DU HAIKU

2007-05-01 00:16:26 | 俳句、詩

昨日、仕事に出かけようとしてテレビを見ると俳句の番組が流れている。衛星放送の 「俳句スペシャル」 という番組であることを後で知る。見始めると止まらなくなり、結局出るのを断念。日本人がその言葉を楽しんでいる様を眺めながら、のんびりとした休日を過ごす。それに選者の間のやり取りが何とも言えずよろしいのである。金子兜太氏の顔が歪んでいるのに少し驚き、さらにその言葉がしっかりしているのに二度驚いていた。また以前に清子内親王のお婿さん候補として話題になった (記憶に間違いがなければ) 坊城俊樹氏が意外に茶目っ気たっぷりなのを発見して、心が和んでいた。調べて見ると、虚子を曽祖父に持つ方のようだ。仕事を諦めて正解であった。ここで一句出てくるようになれば素晴らしいのだが、、、こればかりは如何ともしがたい。


(2 mai 2007)

  選者たち 言葉軽やか 心浮き  paul-ailleurs



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仏版 「パリの朝に詠める」 MES HAIKU ECRITS A PARIS

2007-04-24 21:11:17 | 俳句、詩

先月、パリ訪問の際に不思議なことが起こったことはすでに触れた。朝起きて1時間足らずの間に、十数句が迸り出てきたのである。その時の句をフランス語に直してみた。先月お会いしたR様のコメントも参考にしながらの作業になったが、最終的な判断は私のものなので、おかしなところは私のフランス語の問題である。ご批判をいただければ幸いです。


     パリの朝に詠める (2007-03-15)

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パリの朝に詠める

2007-03-15 23:28:19 | 俳句、詩

こちらに来て時差ぼけの影響から抜けつつあり、このところ10時就寝5時起床のリズムで体が動いている。この日の朝、どうしたわけか目覚めて1時間足らずの間に次のようなものが頭に浮かんできた。

------------------------------

  人類の遺産と歩まんヴァンセンヌ

   avec le patrimoine spirituel
    je décide de marcher
     à Vincennes


    梅香るここしばらくのヴァンセンヌ

     les fleurs des pruniers s'exhalent
      je serai pour le moment
       à Vincennes


      いつ来てもパリの空切る飛行機雲

       Chaque fois à Paris
        les traînées des avions
         coupent son ciel


        哲学と科学と神とパリセット

         la philosophie
          la science et Dieu
           à Paris VII


          哲学書前に昂ぶるリブレリー

           devant des livres philosophiques
            je m'exalte
             dans la librairie


            白雪の荒野をゆくかこれからは

             vais-je désormais
              sur la terre sauvage
               de la neige blanche ?
 

          春盛り住みたくはなしパリ市街

           en plein printemps
            je ne voudrais pas habiter
             au cœur de Paris


        春のパリ住処に帰る心地して

         le printemps de Paris
          je me sens comme si
           je revenais chez moi


      春の空住み遂せるかパリの町

       le ciel du printemps
        puis-je vivre
         pour toujours à Paris ?


    巴里の街若き日の我溢れおり

     à Paris
      plein de gens comme
       moi de ma jeunesse
   

  春の巴里沸き立つ心ボストンの

   Paris au printemps
    je m'exalte
     comme aux temps de Boston


     若き日と再び歩まんパリセット

      allons encore
       avec ma jeunesse
        à Paris VII


        フランス語我を導き哲学へ

         la langue française
          me guide sur les chemins
           de la philosophie


           なぜ哲学それ人生と先人 (ひと) の説き

            pourquoi la philosophie ?
             « c’est la vie même »
               disent nos ancêtres


        巴里に住みすぐ蘇る紐育

         dès que j'habite à Paris
          les jours de New York
           me reviennent


     西東なぜ斯く違う春うらら

      l'est et l'ouest
       pourquoi si différents
        le printemps doux

  先人の形見に触れん秋 (とき) 近し

   le souvenir de nos ancêtres 
    le temps de le toucher
     est tout près
 

------------------------------
少し前に午後いっぱいを使って、12区のベルシー Bercy、ドメニル Daumesnil からモントゥロイユ Montreuil、ヴァンセンヌ Vincennes、サンマンデ Saint Mandé のあたりを歩き回ってパリに戻ってきた。その翌朝である。体が脳の思わぬところを刺激したようだ。こういうことが起こるのか、と驚いている。


 (24 avril 2007)
 これまで日本語のままにしておいた拙句をフランス語にしてみた。先月からメールでコメントをいただいているR様のサジェスチョンを参考にしたが、文責はすべて私にあることをお断りしておきたい。


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花粉本格到来 FRAPPE VIVEMENT PAR L'ALLERGIE

2007-02-25 00:00:09 | 俳句、詩

  仙台からTS氏が上京 夕食を共にする
  日本の科学の現状についての話に始まり
  人生の奥にあるものについての話に辿り着く
  これからどんどん深くなりそうな予感が気分を高揚させる

    春の宵この世の奥を語り合い  paul-ailleurs

     au soir du printemps
      nous nous parlons
       du fond de ce monde
 

      強い風の中 花粉をたっぷり浴びたせいだろう
      病が一気に襲いかかってくる
      薬を使わない主義者がその掟を破る

        ウサギの目ついに手にする点眼剤  paul-ailleurs

         ayant les yeux congestionnés
          finalement
           j'y mets des gouttes

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春一番 LE PREMIER VENT PRINTANIER

2007-02-16 00:57:53 | 俳句、詩

 2007-2-15

   春一番過ぎて並木が自己主張   paul-ailleurs

     au lendemain du premier vent printanier
       affirment leur vert
         des arbres de la rue

     le premier vent du printemps
       s'affirment
         des arbres de la rue


 春一番が過ぎ去った翌日、空は快晴。車で仕事場に向かう途中、いつもの並木道に入る。それまで気付かなかった木々の緑が豊かになり、(生命)力と自信が蘇ってきているように感じる。しっかりとした姿になり、私は今ここにいるとでも言っているように感じ、思わず詠いたくなった。木々とともにいるという気持ちが私の中に育ってきているのだろうか。

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ミニ句集 PETIT RECUEIL DE HAIKU

2007-02-14 00:10:53 | 俳句、詩

Nao様からのコメントに回答を書いているうちに、今までに自ら書いたり、ここに寄せられた句を仏訳したものが散らばっていることに気づき、この機会にこれまでにたまっているものをまとめてみることにした。全く素養がないところでの大胆な試みになるのでご批評、ご教示いただければ幸いである。

2006-02-04

 この道はいつか歩いた夢の中  paul-ailleurs

    Chevreuse
    flânant un jour d'été
     c'est dans la rêverie ?


  2006-04-19

   春の宵 仏蘭西の香に時忘る  paul-ailleurs

     au crepuscule de printemps
      mêlé avec des francophiles
       j'étais perdu dans le temps


    2006-04-22

     昼下がり ふと見上げれば夏の顔  paul-ailleurs

       À la mi-journée
        regardant en haut soudainement
         je trouve le visage d'été

  
     黒々とした骨格に緑吹く  paul-ailleurs

       Dans les branches
        noirâtres
         sort le vert


2006-9-15

 Le chant des cigales
  déjà lointain
   j'écoute la voix du passé
   
       paul-ailleurs


  2006-11-05

   青眼さんに倣ひて詠める


    文化の日紫煙の中に君を見て  paul-ailleurs

      La journée de la culture
       je te vois
        dans la fumée bleue


    パリの空 心を解かす君がいて  paul-ailleurs

      Sous le ciel de Paris
       y'a toi qui
        ouvres mon âme


    そは脳とパリの地図見てジュリアン・グリーン  paul-ailleurs

      La ville de Paris
       c'est le cerveau
        dit Julien Green


    脳のパリ記憶の住処に冬籠り  paul-ailleurs

      Paris d'un cerveau
       au centre de la mémoire
        mes vacances d'hiver


     2006-11-08

      そは君か高い高い空 昼の月  paul-ailleurs

        Je me demande si c'est toi
         dans le ciel haut et haut
          la lune de jour


-----------------
 2006-11-26

  青にとけ空に散りゆく昼の月  Unknown

    dissoute dans le bleu
     se dispersant dans le ciel       
      la lune de jour

     (Unknown; traduit par paul-ailleurs)  


   2007-02-11

    ピアフ歌ひ封印溶けゆく如月かな   ミコ

      Piaf chantant
       mon coeur se descelle
        le deuxèime mois de l'année

     (Miko; traduit par paul-ailleurs)


    東風吹かば千のシャンソン歌ひ舞ふ   ミコ

      le vent d'est souffle
       un millier de chansons
        chantent et dansent

     (Miko; traduit par paul-ailleurs)


     2007-02-12

      モンタンの枯葉でめくるけふと明日   ミコ

        sur "les Feuilles mortes" de Montand
         je tourne
          aujourd'hui et demain

        (Miko; traduit par paul-ailleurs)


 2007-02-14

  菜の花忌めぐりてけふの月しずく   ミコ

    L'anniversaire "Les Fleurs de Colza"
     revient aujourd'hui
      la goutte de la lune

     (Miko; traduit par paul-ailleurs)

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山頭火 - かぜ - ゆき SANTOKA - LE VENT - LA NEIGE

2007-02-09 00:55:34 | 俳句、詩

 こしかた ゆくすえ 雪あかりする

    mon passé
     mon avenir
      la clarté de la neige


   さてどちらへ行かう 風が吹く

      et maintenant
       de quel côté aller ?
        le vent souffle


     何を求める 風の中ゆく

       à la recherche de quoi
        dans le vent
         en train de marcher ?


 « SANTOKA: ZEN SAKÉ HAIKU » (Moundarren 2003)

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正月の一句 HAIKU DU JOUR DE L'AN

2007-01-06 15:24:07 | 俳句、詩

外は雨。三連休はこんな天気らしい。仏版 Hamac にPaule様から Pierre Tanguy というブルターニュの俳人の句が届いた。

  "Quand il gèle dehors
    Ah! la main chaude
      De la boulangère"

 その心を受けて私も一句ひねってみた。

    空高し 雪草に寝て 元日の

      "Le ciel est haut
        la neige sur les herbes
          au matin du jour de l'an"
            (paul-ailleurs)

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ボヌフォワさん再び YVES BONNEFOY ENCORE

2006-12-21 07:15:40 | 俳句、詩

最近、俳句などの短詩型芸術についてボヌフォワさんが論じていることについて触れ、仏語版ブログではChristian様と長い交換があった。その時初めてこのフランス詩人を知ったのだが、仏語版の写真を何気なく拡大してみて驚いた。実は今年の9月にパリを訪れた際、詩が書かれた壁を写真に収めていたが、それがボヌフォワさんのものであったのだ。それは次のような詩である。

Passant,
regarde ce grand arbre
  et à travers lui
il peut suffire.

Car même déchiré, souillé,
  l'arbre des rues
C'est toute la nature,
  tout le ciel,
l'oiseau s'y pose
  le vent y bouge, le soleil
y dit le même espoir malgré
  la mort.

Philosophe,
as-tu chance d'avoir l'arbre
  dans ta rue,
tes pensées seront moins ardues,
  tes yeux plus libres,
tes mains moins désireuses
  de moins de nuit.

    (Yves Bonnefoy)

さらに驚いたことに、ブログの写真を選ぶために昔のものを眺めているとき、1年前にも同じ場所を歩いていて同じ壁を撮っていたことを知る。そんな中、近くのリブレリーに入るとボヌフォワさんのゴヤに関する本が飛び込んできた。

Yves Bonnefoy “Goya, les peintures noires

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長田弘 「記憶のつくり方」 HIROSHI OSADA : ORGANISER LA MEMOIRE

2006-12-12 00:33:07 | 俳句、詩

仕事の帰りに大型書店に立ち寄る
詩と哲学の棚で長い時間を過ごす
余りに長すぎて哲学本を読む気が失せてしまった

そこで手にしたのは
最近文字を書く時に好んで使うようになった色と
同じ色の活字で埋められている
長田弘の 「記憶のつくり方

書店の椅子を占めるのは ご老人ばかり
疲れてうとうとしている人もいる
少し気が重くなり 近くのカフェに入る

すわり心地のよいソファに腰を下ろし
シナモン・ミルクティーを口に運びながら
長田氏の記憶のつくり方に耳を傾ける

スティービー・ワンダーが 歌いはじめた

この詩集は 著者50代後半の作
脳の奥に詰まっている 記憶の断片を引き出し
その時間をもう一度生き直しているかのようだ

過去との付き合い方に どこか近いものを感じていた

-----------------------------------
芸術家が何人も出てくる。

フェルメールの蝋燭

与謝蕪村
「月天心貧しき町をとおりけり」

小川未明 『金の輪

山本周五郎 『さぶ』
 「小雨が靄のようにけぶる夕方、両国橋を西から東へ、さぶが泣きながら渡っていった」

『老子』
 「人が生まれるときは柔らかで弱々しく、死ぬときは堅くこわばっている。草や木が生きているあいだは柔らかでしなやかであり、死んだときは、くだけやすくかわいている。だから、堅くこわばっているのは死の仲間であり、柔らかで弱々しいのが生の仲間だ」

木下杢太郎 『それが一体何になる』
  ただ自分の本当の楽しみの為に本を読め、
  生きろ、恨むな、悲しむな。
  空の上に空を建てるな。
  思ひ煩ふな。
  かの昔の青い陶の器の
  地の底に埋もれながら青い色で居る――
  楽しめ、その陶の器の
  青い 「無名」、青い 「沈黙」。

アイリーン・バウア 『中世に生きる人々』

ジョン・フィッシャー 『キャロル大魔法館』

森鴎外 『椋鳥通信』

ルドウィク・J・ケルン 『すばらしいフェルディナンド』

マルクス・アウレーリウス 『自省録』
 「そう考えない自由が私にあるのだ」

 「ここで生きているとすれば、もうよく慣れていることだ。
  またよそへゆくとすれば、それはきみののぞむままだ。
  また死ぬとすれば、きみの使命を終えたわけだ。
  そのほかには何もない。だから、勇気をだせ」


-----------------------------------
2006-03-22 本日も詩歌 ・・・ 長田弘 「死者の贈り物」 LES POÈMES D'HIROSHI OSADA

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最長のコメント届く RECEVOIR LE COMMENTAIRE LE PLUS LONG

2006-12-03 12:09:20 | 俳句、詩

昨日のフランス語クールが長丁場だったせいか、今朝は少し疲れ気味。今日が最終日の浦上玉堂展行きを泣く泣く断念した。朝の日の光を浴びながらゆっくりと過ごす。

先月、「イヴ・ボヌフォワ 『ヨーロッパ精神と俳句』」 という記事を書き、このフランス語版にも紹介した。ボヌフォワというフランスの詩人が日本と西洋の精神のあり方、ものの見方、世界 (自然) との関わり方の違いについて考察していて、非常に興味深く読んだからだ。これまで自分が想像していたものを向こうの人はどのように見ているのかという点がわかり、納得することが多かったからでもある。

今日、DANS LE HAMAC DE TÔKYÔ を訪れてみて驚いた。俳句に興味をお持ちの Christian 様から今までで最長のコメントが届いていた。コメントというよりは小論文といった風情である。これから彼のご意見に耳を傾け、その時に同時に聞こえる自らの声をフランス語に写し取らなければならない。一日では終わりそうもなさそうだ。しかし、あの拙いフランス語 (オリヴィアさんによると、文法的にはありえるがどこかおかしい) に真面目に対応してくれるフランスの方がいるというその事実にいつも感動し、それ以上にどうしてなのかと不思議な思いに包まれている。

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ある週末 UN WEEK-END

2006-11-26 00:12:57 | 俳句、詩

               冬を前にした ある晴れた週末の朝
                   静かに葉巻を燻らす
               ゆるやかに流れる時を 味わいながら
                  去来するものを 観つめる


先日 アフリカの中で住んでみたい国はありますか と問われる
  咄嗟に マグレバン と答えていた
    それはなぜですか とさらに問いかけてくる
      なぜか分からないけれど 惹きつけられるのです

  小鳥のさえずりの中 その問が もう一度聞こえてきた
    ひょっとすると こんな願いがあるのだろうか
      歴史の過去に舞い戻って その中に身を置いてみたい 
        そこにある時の流れを 感じ取ってみたい

       
先日 Unknown 様から 素晴らしい句をいただいた
    いつかフランス語で と思っていた
      ことが 蘇ってきた
      
         青にとけ 空に散りゆく 昼の月  Unknown

           dissoute dans le bleu
             se dispersant dans le ciel
               la lune de jour

            (Unknown; traduit par paul-ailleurs)  

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