フランスに揺られながら DANS LE HAMAC DE FRANCE

フランス的なものから呼び覚まされることを観察するブログ

J'OBSERVE DONC JE SUIS

太陽のもと新しきもの・・・ RIEN DE NOUVEAU SOUS LE SOLEIL ?

2005-12-30 08:50:10 | Schopenhauer

ショペンハウアーの 『パレルガとパラリポメナ』 (『付録と補遺』) の抜粋 「知性について」 という小編をパラパラとめくっていて気づいたことがある。今の人の発見であるかのように思っていたものが、実は昔から考えられていたのか、という感慨である。感慨自体はありふれているが、個々のものに自分で気づくということには、仄かな喜びがある。

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以前に触れたことのある 「哲学者 vs 哲学研究者」 の問題 (12) にしても、ショーペンハウアーの時代から哲学者は少なく、彼の絶賛の対象であり、後者は厳しく批判されている。おそらく古代からある問題なのだろう。


先日アインシュタインの言葉を紹介した中で、ルイ・パスツールの 「少しだけ科学をやっただけでは神から遠ざかる、しかし打ち込むと神に近づく」 という言葉を書いた。ショーペンハウアーの本の中に 「わずかの哲学は人を神からひき離すが、すすんだ哲学は神へ連れもどす」 というのが出てくる。


考えることはものごとを関連づけることとして丸谷才一が 「考えるヒント」 の中で語っていた 「見立て」。これに関連したことも、「知性について」 では扱われている。

精妙な判断力をもつ頭脳の二つの長所として、第一に経験した中から重要な意義深いものを記憶に定着させ、いつでも引き出すことができること、第二に 「関連づけ」 をあげ、次のように続く。

「問題の要点とか、それと類比的な事柄とか、その他何かそれと縁のある事柄を、なかなか他人の気づきにくいことでも、好機に思いつくこと。・・・一見きわめて離れ離れな物事においても、同一のもの、従って互いに連関するものを、ただちに見分けられる、ということ」

第一の点については、ブログが非常に有効であることを今年発見


「政治家は嘘をつく存在」 という鶴見俊輔の発言 (28 mai 2005) は面白いと思ったが、その後ジョージ・オーウェルを読んでみて、その響きがあることを感じた。これもそれ以前から言われていることなのかもしれない。

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誰もが古典を読むわけではない。むしろ極めて少ないと思われる。先日の話ではないが、クラシックの演奏家のように、昔の人の考えを今に蘇らせてくれる人が必要なのだろう。それは 「太陽のもと新しきものなし」 ということでもあり、昔の人の声を直接聞くことの重要性を改めて感じた年の瀬となった。

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8 コメント

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Unknown ()
2005-12-31 14:26:06
Happy New Year!
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A Happy Holiday Season ! (paul-ailleurs)
2005-12-31 18:02:48
沖縄には4-5年前まで1月末ですが毎年のように行っていたことを思い出しました。

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謹賀新年 (さくらさくらのじょん)
2006-01-01 14:28:50
元日に一気に読み上げました。

 何か、僕の活力への刺激になったようです。

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失礼いたしました (さなえ)
2006-01-01 14:28:52
長めの挨拶を書いていて、やっぱりシンプルにしようと消したら冠詞まで消えてました。おまけに名前がさになってしまっていたなんて。去年の失敗ということで今年はまだ無傷ということにしておきます(笑)。沖縄は初めてでしたが、私にはロンドンよりも外国という感じがしました。なぜなのか考えています。
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Unknown (paul-ailleurs)
2006-01-01 15:19:50
さなえさんへ



初めて沖縄に行った時には、想像していたより異質な世界だったので、強烈な印象を残しました。文化的には日本よりは台湾、朝鮮半島などに近いのではないか、というのが第一印象でした。考察の結果を書いていただければ幸いです。

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Unknown (paul-ailleurs)
2006-01-01 21:31:05
じょんさんへ



拙ブログを詳しく読んでいただきありがとうございます。活力を与えることができたとのこと、うれしく思います。新たな飛躍の準備期間2006年を充分に生かすことができますように!
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Unknown (聴雪)
2012-07-31 18:47:31
とてもいい色ですね。ページがぱっと目に入った時の印象も変わります。
*今は、このページで立ち止まって考えているところです。ショーペンハウアーの視点はするどいな、アインシュタインの言葉には自分の仕事に通ずるものがあるな、普遍的なものに近づきたいな等。
ポールさんのこちらのブログの内容は、私が仕事をする中で頻繁に私の心に浮かび、指針になってくれています、ありがとうございます。
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Unknown (paul-ailleurs)
2012-07-31 19:26:01
モデルチェンジをしたところでした。この場がわたしの目から廃墟に見えないようにとの心があります。いつも古い記事を読んでいただきありがとうございます。コメントをいただくことは、数字の上ではかなり前に書いた記事ですが、わたしの中ではすぐそこにある観察結果を読み直す機会に繋がり、その度にこの場が生き返るようで嬉しく思っております。またお立ち寄りいただければ幸いです。


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