ケ・ブランリー美術館の設計者、ジャン・ヌーヴェル氏のインタビュー記事について数日前に書いた。そのタイトルは "Je relie le sens et le sensible" となっていたが、日本語にはしなかった。本当の意味がピンと来なかったからだ。
先ほど久しぶりに Le Monde のサイトに行くと、今日のお題となったタイトルでこの美術館が取り上げられていた。その記事は以下のように始まっている。
Esthétique ou ethnographique : de quel côté penche le Musée du quai Branly ? Les trois premières expositions temporaires de la nouvelle institution marquent bien sa double vocation : mettre en valeur des objets sur le plan esthétique mais aussi leur donner du sens.
(審美的か民俗学的か:ケ・ブランリー美術館はどちらに組しているのか?この新美術館の最初の3つの特別展は、展示物を美的な面で強調すると同時にそれらに意味を与えるというこの美術館の二つの使命をよく表している。)
この最初の二つの対比を目にしてはっとした。le sensible と le sens の意味するところを自分の中ではっきりと感じ取ることができたのだ。美に関することと学問 (民俗学など) 的なこと、「情(操)」 と 「知」、この二つを結びつけることにヌ―ヴェル氏は努めた、と理解した。これがこの美術館を創るに当たっての一つの哲学になっていたということになる。こういう具合に、自分の中の小さな謎が氷解していくのを見るのはなかなか気持ちがよい。
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ところで、最初の3つの展覧会とは以下のことである。
"Ciwara, Chimères africaines", jusqu'au 15 décembre. Catalogue sous la direction de Lorenz Homberger, Cinq Continents/Quai Branly éd., 94 p., 25 €.
"Nous avons mangé la forêt...", Georges Condominas au Vietnam, jusqu'au 15 décembre. Catalogue sous la direction de Christine Hemmet, Actes Sud/Quai Branly éd., 128 p., 29 €.
"Qu'est-ce qu'un corps ?", jusqu'au 25 novembre. Catalogue sous la direction de Stéphane Breton, Flammarion/Quai Branly éd., 216 p, 45 €.