フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

星のフラメンコ(1)[041]

2006年02月20日 | パセオ周辺



      星のフラメンコ ①  

 

 「好きーなんだけどおー
                     
(チャッチャッチャッ)
           離れてるうのさー」


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 いきなり歌い始めたのでびっくりされたかもしれないが昭和41年(1966年)に日本中で大ヒットした歌謡曲『星のフラメンコ』の冒頭部分である。


                
        『西郷輝彦/星のフラメンコ』
            (日本クラウン/1966年)


 現45歳以上の日本人なら、ほとんど口ずさめるはずのおなじみ曲で、歌っていたのは当時、橋幸夫さん、舟木一夫さんと並ぶ歌謡界の御三家の一人であり、現在は俳優としても活躍する西郷輝彦さんだ。
 『君だけを』や『十七歳のこの胸に』などの忘れがたい大ヒット曲もたくさんある。

 『星のフラメンコ』の作詞作曲は大ヒットメーカーのハマクラ(浜口庫之助)さんであり、同名タイトル映画(1966年日活)の脚本は何とあの倉本聡さんであった。


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 なんてカッコいい歌なんだ!

 生涯初めてのこのフラメンコ(と思ってた)をマスターした当時小学五年の私は、斜めに構えてパルマを打つ西郷さんの振りを交えながら、周囲の人たちを完璧にゲンナリさせるまで歌って叩いて歌いまくったものだ。

 こうした迷惑行為はのちに想えば、五年後に迫るパコ・デ・ルシアとの出逢いと十七年後のパセオ創刊を準備する、きわめて重要なファクターでもあったわけだが、時とともにそうした記憶は忘却の彼方へと去ってゆく。


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 さて、「フラメンコ界の小林秀雄」と称される我らがインテリ理論家、ギターの加部洋さん(アクースティカ代表)が、かつてお隣りの『現代ギター』誌にフラメンコ物の連載をしていたことがある。

 その冴えた知性がしなうような名文を、私たちは喰らいつくように読んだものだが、その中に以下のような一節があって、私の目からはウロコがぽとぽと落ちた。

 

  たかが『星のフラメンコ』、

 されど『星のフラメンコ』

             なのである。

                        (つづく)