フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

僕を見つめて [046]

2006年02月26日 | パセオ周辺



    
   僕を見つめて


 キングレコードのプロデューサーから久々に電話があり、「相当いいセン行ってるんで、よろしく応援頼むよ」と云う。
 信頼できる彼の、その気合いの入りようは、何かわからんが私に楽しそうな予感をもたらした。

 さあ、その翌日届いたサンプル盤である。


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 実にその日から今日に至るまで、そのCDが会社で流れない日は一日としてない。パセオにおいては、まるでカマロンばりの人気ディスクなのである。
 私も思わず個人購入し、今では散歩用必携アイテムの一枚となっている。少なくとも200回は聴いた計算になるわけで、これだけ飽きのこないディスクも珍しい。

 40年前に大ヒットした『星のフラメンコ』。
 その20年後にやはり大ヒットしたジプシーキングス。
 それから更に20年後、同じようなポテンシャルを確実にもったCDがここに在る。


            
     『大渕博光/エステ・アモール』
       (キングレコード/2005年)


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 昨年秋にメジャーCDデビューを果たした、フラメンコ界で活躍するカンタオール、ブッチーこと大渕博光さんである。
 このフラメンコ系ポップスのタイトル曲『エステ・アモール』は、テレビ東京系『美の巨人たち』のエンディングテーマとして全国にオンエアされた。

 私としては、リリカルな哀感にときめきが交差する曲目の『ミラ・メ(僕を見つめて)』を、「二十年周期で出現するテリトリー拡大の名曲」の本命と見ている。

 たくさんの音楽関係者が詰めかけた、ブッチーの昨年10月のメジャー進出ライブ(渋谷のパルコ劇場)は期待にたがわぬものだった。
 思ったより高音域も伸びる人で、その熱いファンタジーに年甲斐もなく私はシビれた。

 純粋に音楽だけで勝負できる人だな、と思った。
 だから曲間のしゃべりなどのサービスが、むしろその力や流れを妨げたのは惜しいと感じたが、余分な要素だけで成り立っているこの私にそれを云う資格はないだろう。


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 そんなこんなで、来たるべきものは20年振りに、いよいよ登場したのである。
 果たして名曲『ミラ・メ』が「永遠の名曲」として羽ばたいてゆけるのかどうか?
 多くの名曲の成り立ちがそうであったように、息の長い名曲に育ててゆくのは私たち聴き手の務めだ。

 その大半は私たち聴き手の感性にかかってくるのであるが、ジプキンでシクじったこの俺にそれを云う資格はねえだろう。