スーパーフラメンコ+新日本フィル
5月19日すみだトリフォニー「トマティート&ドランテ第二夜/+新日本フィル」。
トマティートは独奏に近いほど"フラメンコ"を発揮し、ドランテは編成が大きくなるほど"音楽"を発揮した。前者は日本初演、後者は世界初演。
どちらも一流オケに位負けしない"スーパー"の看板に偽りなしの貫禄を示したが、特にドランテと新日本フィルの見事なアンサンブルはたまげるほどの大収穫だったな。
限りなく透明に近いヴァイオレットの響き。
染み入る抒情と揺るがぬコンパス。
ほとんどが何百回もCDで聴いた音楽だが、ライブはやはり別物だ。
美と癒しを伴いながら、じんわり加速するライブならではの音楽的快感。
オケと溶け合いながら、大胆かつ緻密に音楽全体を構成する現場的感性が何よりすばらしい。
生聴き四度目となるドランテだが、彼は明らかに進化(深化か)していた。
ホセ・マジャが踊った初日の満席状態に比べ、客席は范文雀、つまり50%未満の入りだった。
フラメンコの顔見知りはちらほら見かけるのみで、かわりに多くの懐かしい音楽関係者たちと顔を合わせた。
「フラメンコの歴史的瞬間だというのに、フラメンコの人たちは無関心なんだね」
ビセンテ・アミーゴのフラメンコギター協奏曲初演の時と同じことを口々に云われちまった。
フラメンコの人たちは音楽を愛さないと、古くからの音楽仲間に刺され続けて25年。
そんな冷笑には慣れてるつもりだが、今回はちとこたえた。
要するに、これからだ……と思うことにした。