フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2018年10月

2018年10月21日 | しゃちょ日記

 

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2018年10月15日(月)その3366◆フライング情報

開演五時間前。
ソワソワするのはいつものことだが、今日もまた尋常ではない。
18時リハの立ち合いからガチンコ対談(パセオ来年3月号)取材がスタートする。
さあでは例によって、本日演目のフライング公開。
        
今枝友加 カンテソロライヴ
(ギター/エンリケ坂井)
Solea
Malagueña y jabera
Alegrías
Romance
 (休憩10分)
Solo de guitarra
Fandango
Siguiriyas
Bulerías

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/10/20171017.php?fbclid=IwAR1s_MP04YdWXJXtZotHCCSWLpBx7ehg1qkZujOHmyVDZEtDnInTpGh3p90#006051

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2018年10月15日(月)その3365◆おでん

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春夏秋冬、毎週日曜の早朝、
元気に代々木公園を駆けまわっていた頃のジェー。
ズラっぽい私の頭が笑えて哀しい。
明日からの熱血4連チャンに備え、
今宵はこれから彼とお約束のおでんを制作!

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2018年10月16日(火)その3364◆くじ運

六枚中六枚当たったコンビニのくじ引き。
これで年内の運はすべて使い果たした。

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2018年10月15日(月)その3363◆今枝友加ソロライヴ

2018年10月17日(水)20時
パセオフラメンコライヴVol.101
今枝友加カンテソロライヴ
(ギター/エンリケ坂井)

 今枝友加が、日本のフラメンコにおける"至宝"であることに異論の余地がないのは、今枝が誰よりも深くフラメンコへの畏怖の念を持ち続け、誰よりもストイックに追い続けているからだ。今枝が命を吹き込み歌う古いカンテは絶品の域にあり、尚も深化させていることに驚く。その過程にある想いを訊いた。

「フラメンコを始めた頃から、昔のカンテを完全コピーすることが一番のカンテへの道だと確信していました。しかしそれ以前の問題(スペイン語の理解、発音、歌手としての発声等)が山積みで、やればやるほど道のりは遠ざかる一方。それでも諦めずに続けてきたことが20年目にして身を結びつつあり、今やっと昔のカンテを学ぶことのスタート地点に立てた。それは例えば、彼らの音の流れがいかに本物のフラメンコであるかということ、そして伝統継承の大切さを本当の意味で理解出来たこと。もちろん私がやっていることは今でも単なる真似に過ぎないけれど、前には解らなかった音がスッと聴こえるようになってきたことや、スペインの文化、歴史を学んできたことが、自分なりのフラメンコとリンクし始めたことが、歌の変化に繋がってきたのかなと思います」

 真の謙虚さのみが真の成長となることに気付かされる。

「エンリケ坂井さんとの共演はあまりにも恐れ多く夢のよう。でもここでやらなければ機会は訪れないような気がしたので意を決して受けました。魂と対話しながら歌いたい」

 今枝友加は誰よりも重いフラメンコの十字架を喜んで背負い続ける。

  (月刊パセオフラメンコ2018年10月号~井口 由美子)

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2018年10月15日(月)その3362◆四連チャン

歓びの四連チャン!

10/17(水)今枝友加カンテソロライヴ(ギター:エンリケ坂井)
 ※翌日はお二人のパセオ対談収録(来年3月号)
10/18(木)平富恵リサイタル『愛の賛歌』
10/19(金)エンリケ坂井『カンテフラメンコ奥の細道』
10/20(土)スペイン国立バレエ団(Aプロ)

今週はサマータイム制導入で締切を乗り切る!

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2018年10月13日(土)その3361◆天然ビーム光線

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土曜の昼下がり。
パセオでひと仕事(来年の連載原稿依頼)終え、
桃園緑道を歩いて五分のわが家に戻り
書斎で書きものをしてると、
ふと例の視線に気づく。

待ってろ、もう少しで終わるからな。

だが、天然ビーム光線は突き刺すような輝きを増す。
結局、サンダルつっかけプリンを買いに出る。
眼力ファイター圧勝の図。

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2018年10月13日(土)その3360◆事実調査

12月号締切のドタバタの中、クレームに対する事実調査のため
過去五年のパセオバックナンバーをめくってみたのだが、
先方の抗議する内容がどこにも見当たらない。
狐につままれた気分で先方にその旨をメールで二度伝えたが、
いまこれを書いてる時点で何故か返信がない。

なにか問題が起きたら犯人はこの私と推定するほうが解決は早いので、
FB上で先週起こった問題にもそういういつものスタンスで臨んでいるが、
パセオをご心配くださる方々へ、とりあえず経過報告。
こういう問題はシステム改善のいい機会にもなってくれるし、
また瓢箪から駒が出ることも多々ある。
どこにも悪意がないのなら皆前を見てサクッと解決するのが一番というのが私の考え方。

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2018年10月11日(木)その3359◆この人本物

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いやあ、凄え奴だと思った。
終演後、小一時間しゃべった。
先のことはわからないが、この人は本物だと思った。

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2018年10月10日(水)その3358◆アミューズメントホール

ヴァイオリンの鬼神パガニーニの名曲カプリス第24番。
大観衆を前にこの超絶技巧曲のギター編を弾いているのは私だ。
端正にしてメリハリある流麗さはジョン・ウィリアムスのようであり、
エンディングの速弾きをパコ・デ・ルシアのように
鮮やかに決めた瞬間ブラボーが飛び交う。

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いつまでも鳴り止まぬ喝采に違和感を感じ、
舞台から降りて客席をよくよくみれば観客の絵を描いたベニヤ板である。
鳴り止まぬ大歓声は録音であり、
また奇跡的な私の大熱演も作り物であったことに気づく。
つまりここは、プレーヤーには成れなかったおっさんなどが、
その屈託を晴らすためのアミューズメントホールというわけか。

会場を出ると、来年小学校に上がる暁子がソフトムリーム片手に待ち構えている。
父の実力を知る長女はあえて聴きに来なかったのだろう。
アコの右手にはあの懐かしいわが家の番犬が繋がれていて、
イチはぷるんぷるんに尻尾を振り回しながら飛びついてくる。

民家に突っ込みそうな見覚えのあるジェットコースターが視界に入り、
ここが当時のご近所・浅草花屋敷であることを知る。
夢はそこでぷつんと切断されるのだが、
聴覚・視覚の生々しい臨場感は今年度ピカイチ。

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2018年10月10日(水)その3357◆100回目

出来るものなら100回まではと、
馬鹿のひとつ覚えで突っ走ったパセオフラメンコライヴ。
例外を設けないシンプルなルールで観たいライヴに執着してきた。
願いが叶うまであと一歩、10/11の土方憲人ソロライヴでその第100回目を迎える。
来年は本来の月1ペース(多くて2回)に戻し、
願わくば息の音がとまるまで続けたい。もう少し増やしたいが、
現在決まっている来年のラインナップは次のとおり。

2019年
03/14 小島裕子(バイレ)
03/28 小林伴子(バイレ/パリージョ)
04/11 谷朝子(バイレ)
04/25 渡部純子(バイレ)
05/09 入交恒子(バイレ)
05/23 森田志保(バイレ)
06/27 エンリケ坂井(ギター)
07/11 鈴木千琴(バイレ)
08/08 井上圭子(バイレ)
09/12 鈴木敬子(バイレ)
09/26 ディエゴ・ゴメス(カンテ)
10/10 今枝友加(未定)
10/24 川島桂子(カンテ)
12/12 大沼由紀(バイレ)

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2018年10月7日(日)その3356◆長期戦略

バツイチ同士の再婚から二十年。
暮らしの習性はまるで異なり、
見つめる方向だけはいっしょという相性。
写真は当時の初代守護犬メリ。

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明日の晩は二代目ジェーもオッケーな店にて二十周年祝賀会。
すでにジェーはお出かけの状況を察知し準備態勢を整えている。
毎年10/8の入籍記念日は連れ合いの誕生日でもあり、
年にいっぺんで済んでしまう長期戦略はいまも生きている。

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2018年10月6日(土)その3355◆焼きうどん

バタバタと忙しく、焼き鮭とオリーブで一杯やって、晩めしは焼きうどん。
学生時代の厨房修業で覚えた賄いめしだが、手軽さや原価からすると、
これはけっこう優れもんで皆喜んで喰う。
うどん、豚コマ、キャベツだけでも充分うまいが、
今日は在庫整理で蓮根、にんじん、ほうれん草、もやしなども投入。
醤油・酒・みりん少々が今宵の味付けで、ジェーや連れ合いの注目を浴びつつ、
仕上げにふわふわのカツオ節をたっぷり。
料理は段取りだが(企画・買い出し・調理・片付け)、
二十代から段取り屋という商売を選んだ理由は、
どうやらそこらへんと無縁でもなさそうだ。

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2018年10月6日(土)その3354◆逃亡者

なにかと浮き沈みが激しいのが江戸っ子。
楽しい酒と記録的な大寝坊でこころの複雑骨折はほぼ完治、
今日からパセオ新年号と2月号に本格着手。
   
とりあえず、ジェーと新聞を相手にのらりブランチ。
近ごろは朝夕の新聞小説もやたらおもろい東京新聞。
朝湯やら晩酌やらで将棋欄とともに欠かさず読むが、
中村文則さんの新連載『逃亡者』はスタートから鬼のようなツカミで、
手に汗握る展開とはまさしくこのことだろう。
        
逃げるのも追っかけるのも、そこにはエキサイティングな人生の高揚があり、
一方では安楽に憧れるのが人間。
AI時代もそうしたシンプルな矛盾は不変であろうし、
いよいよバッハやフラメンコの出番だと、ひとり妄想に走り英気を養う。

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2018年10月2日(火)その3353◆リピートの予兆

カニサレス・フラメンコクインテット来日公演2018。
9月29日・めぐろパーシモン公演のパセオ忘備録初稿。

カニサレスが世界中からコンサートのリピート要請を受けるのは、
この日のライヴのように至福なひとときを必ず約束するギタリストだから。
そのクオリティはそれも約束事であるかのように、
毎回着実に美しさ楽しさと深さを増し続ける。

懐石料理の究極フルコースのように、それぞれ良質な素材を活かした
丁寧で手間のかかった美味しさをベースに、
全体のバランス構成に最良の采配をふるう。
素人にも玄人にも観どころ聴きどころは満載で、オールマイティな普遍がある。

今回は新たにホセ・アンヘル・カルモナ(カンテ/マンドラ/パルマ)が
加わるクインテット編成。
カンテの補強はやはり吉と出て、またパルマの増強も予想以上の成果を上げた。
ここまで極めてくると、次は重低音を厚くするコントラバス(あるいはチェロ)の
加入が渇望される。

2017年NHK交響楽団とのアランフェス協奏曲と同じく観客席はほぼ満員だが、
パコ・デ・ルシアやアントニオ・ガデスの初期の来日時と同じように
フラメンコのファン層は少ない。
新たな地平を切り拓くスーパースターの出現には慎重であり、
他ジャンルからの圧倒的支持を確認してから重たい腰を上げるのが
アフィシオナードの常だが、
それはフラメンコの伝統的美質を廃らせない理由でもあるだろう。

この世に完全無欠なアートは無いが、すでにカニサレスはその近みに在る。
休憩を含むジャスト二時間、高揚と癒やしのコントラストの積み上げは
アンコールでクライマックスに達する。
踊りならスペイン国立バレエやマリア・パヘスのように、
豊かな感性知性にあふれるフラメンコエクスタシーは、
この先フラメンコがより多大に国際貢献してゆくための
最も有力な切り口に想える。
フラメンコの伝統もそれらを歓んでバックアップする構図も視える。
終演後家路をめざす人々の明るく上気する表情には、
次回も必ずリピートするに違いない予兆がある。

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2018年10月1日(月)その3352◆引き分けとハシゴ酒

10月1日。
たいへんなラッキーがひとつ。
心が折れる大負けがひとつ。
連れ合い連れて
久々のご近所ハシゴ酒。

コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年9月

2018年09月21日 | しゃちょ日記

 

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2018年9月28日(金)その3351◆カニサレス東京公演

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追っかけ歴もおよそ三十年。
やはり遠足の前の晩状態になって来た。
そう、明日はカニサレス東京公演。
おやつはすでに購入済みだ(上限480円税込)。
          
今回はカンテも入るクインテット構成。
パセオ新年号で立体評(三人がせーの!で忘備録)を書くのだが、私もそのひとり。
     
カニサレスのステージというのは、
アートとエンタの境界線上にその真価(知性的本能)が発揮される。
それがソロであれアンサンブルであれ、
決してスベらない上質な快感が世界中からリピートを要請される理由であり、
マエストロには〝国際フラメンコ大使〟という異名がふさわしい。
              
パコ・デ・ルシアの後継者としてカニサレスは闘い続ける。
彼と話していると痛いほどわかる。
それは常にマエストロ自身との闘いだ。

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2018年9月28日(金)その3350◆濃密な陰影

「闇があるから光がある」
             
『蟹工船』小林多喜二の言葉だという。
時おり散策に出かける平和の森公園は、その多喜二が思想犯として
収監された中野刑務所の跡地だと、つい最近知った。

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都の西郊・中野は昔から厄介ごとを背負わされた土地柄で、
古くは五代将軍・徳川綱吉の〝お犬小屋〟を担当した。
現在のJR中野駅の南北がそのあたりで、パセオもフラメンコ協会も
我が家もその広大なお犬小屋の跡地らしい。

同じく現在の中野サンプラザは悪名高き憲兵隊大学校の跡地だし、
そのおとなり中野区役所は日本初の国営忍者養成所・陸軍中野学校の跡地である。

闇があるから光がある。
現在はのどかで肩のこらない暮らしやすい街だが、
散策中に時おり感じる濃密な陰影が、
好んで住み着いた理由であったりもする。

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2018年9月27日(木)その3349◆プログラム原稿

この秋の大沼由紀さんのリサイタル。
https://www.yuki-onuma.com/informacion.htm#V
         
プログラムへの寄稿を頼まれ、歓んでその日のうちに書いた。
江戸っ子は早いのだけが取り柄であり、
どの道もったいつけるほどの代物ではないので、
その半分くらいを例によってフライング公開。

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『追いかける理由』
        小山 雄二(月刊パセオフラメンコ編集長)


「ほら、これだけで充分じゃない?」
なんて便利!などと油断している間に、
魂を抜き去ろうとする現代文明の悪魔性。
そうした便利さの向こう岸に、ブレない存在感で
人本来の素朴で逞しい生命力を呼び醒ます預言者。
ステージで踊る大沼由紀は、生きる源点をフラメンコ経由でしなやかに差し出す。

ひと昔前、凄い凄いと玄人筋がこぞって太鼓判を押す
謎のカリスマバイラオーラの舞台に初めて触れた衝撃はいまも忘れ難い。
多くのプロ舞踊手たちが詰め掛けギラリ静まりかえる開演待ちの客席上空には、
何かを予感させる黒いテンションが充満していた。
そして大沼由紀登場と同時に魔はやって来た。
鋭い痛みをともなうカタルシスを客席に残し、やがて魔は去った。

以来私は大沼由紀の追っかけとなった。
だから例えばスペインの超一流どころの公演と
彼女の舞台が重なる場合なども、迷わず由紀さんの舞台に駆けつける。
なぜ私は彼女を追いかけ続けるのだろう?
そのこととフラメンコの専門誌を毎月出し続ける理由が、
多く重複することに気づくのはずっと後のことだ。

好き嫌いを超え、真理を予感させる
魅力的なエネルギーには強烈無比な引力がある。
誰しもそんな存在を心に抱くものだが、
私の心にもグレン・グールドのピアノバッハや、
将棋の羽生善治永世七冠のアルテと同様な位置づけで
大沼由紀のフラメンコは棲んでいる。

すでに国際舞台で活躍できるクオリティの舞踊家だが、
だからと云って彼女のすべての舞台に歓んで共鳴するわけではない。
彼女がフラメンコから大きく離れて独創表現に走る時、
頼むからフラメンコに戻ってくれよと叫びたくなることもある
・・・(当日配布のプログラムにつづく)

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2018年9月26日(水)その3348◆当たり前の奇跡

吹く風は秋、待ち望んだこの爽快感。
         
その感謝の気持ちは、慣れとともに薄れてゆく。
一方、春と秋が好きなのは、夏と冬があるからだと分かる。
春夏秋冬というのは、実に素晴らしくバランスされている。
自然界のこういう当たり前は、親子の愛のように、
むしろ奇跡のようにも想えてくる。

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2018年9月25日(火)その3347◆便利なものは

自宅のネットが復旧。
家でも仕事ができるし、
やはり便利は便利だ。
ふと、あの名言を想い出す。

「便利はものはみーんな悪魔」

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2018年9月23日(日)その3346◆ルネッサンス

ネットで偶然発見。

高円寺に、なんともうひとつの名曲喫茶〝ルネッサンス〟。
先週行った〝ネルケン〟はエスペランサの北東1分にあるが、
ここルネッサンスもエスペランサから南東に2分という近さ。
わずか200メーターの距離に〝フラメンコの虎の穴〟を
はさんで絶滅種とも云うべきクラシックの名曲喫茶が二店。
都会の鉄道沿線にひとつあるかどうかの時代、
高円寺という街の懐の深さを改めて知る。

暗い照明、凝りに凝ったインテリア、まずい珈琲、無愛想、私語禁止
という名曲喫茶の五大特典は昔も今も変わらない。
ルネッサンスでの初聴きはシューマンのピアノ協奏曲。
リリシズムの極致とも云うべき高音域のきらめきは、
おそらくはラドゥ・ルプーのピアノ。
続いてブルッフのヴァイオリン協奏曲。
端正なリズムのキープしながら超美音で際どく歌うヴァイオリンは、
こちらは確実にアルテュール・グリューミオ。
コテコテの名曲名盤は逆に新鮮。

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程よい音響でのんびり小一時間聴いてたら、
空っぽのよれよれ古電池がフル充電された感じ。
懐かしいだけではない古典エネルギー補給館。
車で帰ろうと思ってたが、桃園緑道30分の家路を歩く。
勢い余って途中の緑道脇のパセオ編集部でメールチェックと原稿整理。
5時半には帰って、きかんしゃトーマス&笑点の定番コース。
晩めしはジェーの熱いリクエストで早朝から仕込んだスペアリブおでん。
わ~い、ほんとはおれもおでん喰いてーんだよ。

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2018年9月18日(火)その3345◆土方憲人ソロライヴ

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土方憲人、二度目のパセオライヴ。
ライヴ初登場の折には、新人公演奨励賞を受賞したころとは
まるで別人のような成長ぶりに目を見張ったものだ。
すでに私の中では日本人三大バイラオールの一人であり、
その軌跡をどこまでも追い続けたくなる魅力にあふれている。

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2018年9月16日(日)その3344◆郷愁

高円寺エスペランサからわずか一分足らずの距離にあった。

名曲喫茶『ネルケン』
出迎えてくれたのはラフマニノフの第三番。
天衣無縫なド迫力は、アルゲリッチのピアノに違いない。
 
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ずいぶん前にその在り家を教わったのだが、
仕事が一区切りつくまでお預け状態だった。
美術品にあふれる歴史遺産のようなネルケンの佇まいが
タイムスリップ感を引き起こす。

17歳の私は珈琲を注文し、煙草に火をつけ、彼女を待つ。
いつの間にやら、音楽はエリック・サティに変わっている。
そして彼女は来ない。

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2018年9月13日(木)その3343◆その99回目

パセオライヴも最近は現場スタッフが充実してきたので、
開演ぎりぎりでエスペランサに駆けつける。
今日もこれから重たいメールを三本ばかり返信して車に飛び乗り五分で到着。

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パセオフラメンコライヴその第99回目は、
三澤勝弘フラメンコギターソロライヴ!
当初開催目標100回まで、今宵とあともう一回。
今宵は音響抜群の二階席一番前で、
四十年追っかけ続けた渾身の音色に全霊を傾ける。

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2018年9月13日(木)その3342◆どこ行くの?

かなりバテ気味だったが、
この猛暑をどーやら乗り切ったようだ。
食欲も回復しつつあるが、近ごろは
主食に載せるトッピングのおかずにうるさい。
大のお気に入りは、おでんに煮込む豚の骨付き肉。
今日はこれを喰わしてやるからと、
買ってきたスペアリブの徳用パックを見せると俄然はりきり始め、
ジャガイモや里芋やごぼうの皮むきの段階から貼り付き状態で、
私とともに調理に参加している(つもり)。
はなの上のナゾの白物体はごはん粒で、
お弁当つけてどこ行くの?状態。

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2018年9月12日(水)その3341◆鬼火

鬼のようなシギリージャ。
その一撃にやられた。

その立ち居振る舞いもサムライの如き凄腕フラメンコギタリスト。
ほぼ四十年のお付き合いとなる。
当時の私は24歳の駆け出しプロモーターで、八つ年長の三澤さんは32歳。
ライヴや旅公演などの仕事もたくさんしたが、
合間にバッティングセンター、ポーカー、呑み会なども欠かさなかった。
三澤さんを通じて多くのフラメンコたちと知り合い、
それも28でパセオを創刊する大きな原動力となった。
そしてあれから四十年、今回大病から復活する三澤勝弘。
決して裏切らないシギリージャ。

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2018年9月13日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.099
三澤勝弘フラメンコギターソロライヴ
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「世界のどこかで、今この瞬間にも、戦争や飢えで人が死んでいるんだ。失われてゆくひとりひとりの命のことを考えながらそれを音に込める。どうやったら伝わるのか......!」

 ある夜のライヴの後、こみ上げる想いが溢れ、吐き出すように語る、三澤勝弘さんのかすれた声が忘れられない。 三澤さんにとってフラメンコとはまさに"心の叫び"だった。なぜギターを弾き続けるのか? 現世における、アーティストとしての自らの存在意義は何なのか? 常に自分に問い掛けることを課す厳しさに、鋭く胸を突かれた。
 中学生の頃から独学でフラメンコギターを始め、学生時代より公演活動を開始、1967年、第一回全日本フラメンコギターコンクール入賞を果たした後に、中学時代から尊敬する名匠ニーニョ・リカルドに師事するため渡西、レジェンドの音と美学を継承する。信念を貫き、ブレることなくまっすぐに行動してきた、その一方で『万葉集』を愛読する一面も持つ。人々の想いが詠まれた日本最古の和歌集。そこに通底するのは、プリミティブで不変のものに潜む真理を掴み取る感性。それは激しいほどの情深さだった。
 なぜ私たちはこんなにもフラメンコに惹かれるのか。かつて「みんなが解らない淵のところに、鬼が棲んでいる。狂気が無いと本質は視えて来ない」と語った三澤勝弘さんは、現在、癌と闘いながらライヴ活動を続けている。彼に棲む"鬼"を目撃した時、その答えは明らかになるだろう。

 (月刊パセオフラメンコ2018年9月号/井口由美子)

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2018年9月11日(火)その3340◆喰い溜め

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きのうのカニサレス激励会。
プリメラのチコさんとスポンサーSIE林社長にお喋りを担当してもらい、
マエストロと真理子夫人の笑顔をみながら、
主に美味しいしゃぶしゃぶとすき焼きに
一心不乱に専念した私はとてもとても幸せですた。
いよいよ9/16カニサレス全国ツアースタート!
http://plankton.co.jp/canizares/

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2018年9月10日(月)その3339◆祝カニサレス来日

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世界中を駆け巡る、現代フラメンコギターの最高峰。
日曜からいよいよ全国ツアーをスタートするカニサレス。
今宵はその激励会で、関係各位しゃぶしゃぶ屋に集合。
積もる話は山ほどあれど、食の細いマエストロに
旨い肉を喰わせることがとりあえず先決。

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2018年9月7日(金)その3338◆ブレリアを歌おう!

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あさって日曜は、タカミツ先生のカンテ講座、
ニューアルその第一回目である
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/09/post_100.php#005916
ブレリアを歌いたいド素人の皆さまはパセオに大集合!

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2018年9月5日(水)その3337◆刷り込み

時代性というのは強烈である。
誰にとってもそれは同様だろう。      
思春期・青春期の刷り込みのあまりの大きさに、
普遍を探ってきたこの半世紀の学習が砕け散ることも多い。

昨日にひき続き神奈川テレビ22時『俺たちの朝』再放送、
湯上りのビール・枝豆で貼りつく。
全部ではないにせよ、あの頃の追体験を
いまだリピートしている世渡りにふと気づき、
我が身がゴム動力で反復運動するおもちゃのように想えてきたとです。
どーりで成長しねえわけだわ・・まあでも一期は夢ぞ、
そりゃそれでいーかもと、妙に悔いの残らぬ1970、80年代。

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2018年9月4日(火)その3336◆俺たちシリーズ

『俺たちの朝』。   
おとなりジルで臨時呑み会、帰ってテレビをつけるとやっていた。
鎌倉を舞台に、おっす・チューちゃん・かー子が織り成す青春ドラマ。
およそ四十年前のあの懐かしい「俺たちシリーズ」の傑作である。
就職できない、金がない、常に女にフラれるという主人公の黄金三原則を、
なぜか真摯に守り続けた私の青春がそこにあった(ちょちょ切れ涙

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2018年9月2日(日)その3335◆ポリフォニー

日曜朝のグールド。    
好きなタイプのピアニストではないのに、
好みや善悪を超えてサイコー!というファンが多い。
フラメンコで云うなら来月来日するイスラエル・ガルバンだろう。

http://saf.or.jp/arthall/stages/detail/5430

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鬼才グレン・グールドは新旧のゴルトベルク録音が有名だが、
わたし的には青春時代にハマった『フランス組曲』
(1971~73年録音)の衝撃からいまだ抜けきれない。
とは云え、すでに半世紀近く絶え間なく聴き続ける理由は、
年齢とともに解明されつつある。
楽しい会話や仕事やセックスなど人の協働の基本と理想が、
そのシンプルなポリフォニーに映されているからだと想う。

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2018年9月1日(土)その3334◆美しすぎて

「美しすぎて、これはバッハじゃない」

その演奏スタイルは、当時からすると確かに流行外れではあったが、
時代を超えて生きる普遍的な風格がある。
発表された頃(1987年)には冒頭のような酷評を受けることも多かった
パールマンのバッハ無伴奏ヴァイオリン。
31年の時を経ていま聴けば、そりゃねえだろと苦笑がもれてくる。
パセオに書いた自分の記事なども、
たくさんの苦笑を提供していることが自ずと知れてくる(苦笑)

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土曜の昼下がり、どうした心境か数年ぶりでその全曲を聴く。
無伴奏なので、複数のメロディを同時に弾くことも多くそこも醍醐味となる。
ヴァイオリンソロで独立する各声部同士をバランスよく歌わせることは至難の技だが、
パールマンのそれは濁りなくしなやかに歌う。
縦横のハーモニーの美しさは数ある名盤の中でもベストだろう。
足元のジェーも気持ちよさそうにまどろんでいる。

コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年8月

2018年08月25日 | しゃちょ日記

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2018年8月31日(金)その3333◆フル煮えおでん

夏バテを防げたのは、おそらくは週イチで作ったおでんのおかげで、
ジェーの食いつきの良さも尋常ではなく、
運があれば彼はこの猛暑を乗り切るかもしれない。
カツオの一番出汁、多めの酒、塩と醤油少々と隠し味にコンソメ。
メインは骨付き豚と里芋と蓮根とちくわぶ。
さらに昆布、大根、こんにゃく、椎茸、ごぼう、ゆで卵、薄揚げ、
焼き豆腐、小ぶりのジャガ芋、はんぺんなどの好物で賑わう。
小さな弱火でことこと煮込む二時間半は、重低音と相性のいいステレオで
バッハ無伴奏チェロ(全六曲で同じく二時間半)にどっぷり浸る。
70種ほどの無伴奏CDから選ぶ奏者は、
おでんだけにもっぱらピエール・フル煮え。

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2018年8月30日(木)その3332◆夫婦の絆

猛暑で疲労こんぱいのこの夏の締めくくりは、毎年恒例のプリメラ祭り。
新しくパセオおとなりに出来たバルで初ランチを食い、
パセオ11月号(特集は鍵田真由美・佐藤浩希の曽根崎心中)の入稿をすませ、
ひとっ風呂浴びて今宵の公演に出かける。
公演忘備録(12月号)は『夫婦の絆』を井口由美子が、
『一曲入魂』を白井盛雄が担当。

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2018年8月30日(水)その3331◆人類の英知

スタート時の運営陣は四十代が中心だった。
協会新人公演もこの夏で第27回、運営陣の多くは七十代となった。
自分たちの時代にはほとんど皆無だった若手の登竜門を、
ならば自分たちの手で創ろうと持ち出し・手弁当で奔走した団塊世代周辺。

先輩におごられたら後輩におごり返すのは人類の英知だが、
おごってくれる先輩たちがいなかったパイオニア世代。
与えられなかった恩恵を、
せめて後輩たちにという想いは様々な功罪を生んだ。
功が優ると私は想う。
そして泣いても笑っても、物理的にはもうあとニ・三年で世代交代。

他のあらゆる世界同様に、AIは産業革命以上の激変をもたらし、
新しい未知の時代は確実にやってくる。
それぞれがどんなポジションを選ぶか、年寄りも若者も、
その選択権は昔も今もこの先も個々の意志に一任されている。
時代の波に流されるのも自由なら自ら波を創るのも自由であるし、
何事もやってみないことには分からない。
ただひとつ明確なのは、愛とは決して後悔しないこと。

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2018年8月29日(水)その3330◆革命家の正体

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スペイン舞踊の革命家、超人アントニオ・ナハーロ、
志風恭子によるロングインタビューの踏み込みがもの凄い!
人気定番、貴方の知らないソレア・ポル・ブレリアの世界。
話題のクリスティーナ・ヘーレン学校の実用レポート!
プロの自主練は関西のエース松本真理子!
恐怖の冷や汗エッセイは鈴木眞澄!
ギター尾藤大介の新連載エッセイ『日々ギタリスト』!
以上、9/20発売号のちょい見せフライング情報ですた。

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2018年8月28日(火)その3329◆手遅れながら

異性にも同性にも媚びない、
人の普遍に向き合う逞しいフラメンコが好きなのだと、
この夏の新人公演で、
自分の憧憬ポイントがようやく分かった。
恥ずかしながら手遅れながら、これは大きい。

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2018年8月27日(月)その3328◆お天気さま

相手は46億年もお天気やってるのに、
私たち人類はたかだか数百万年のキャリアしかないわけで、
お天気さまに文句云ってもはじまらないけど、
何にしても暑いわ~

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2018年8月26日(日)その3327◆ベンチウォーマー

新人公演最終日。
ここ27年、高揚する気分はなぜか夏の甲子園決勝。
もし野球を続けてたなら、
地区予選初戦敗退のベンチウォーマーくらいは行けてたかもという感慨。

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2018年8月25日(土)その3326◆お祭り二日目

新人公演二日目。
本日はギター部門5名とバイレ部門30名。
これからご近所で指圧と、パセオ11月号の追い込み。
ブース品切れ分をかついで15時会場入り。
終演後は12月号わたし的奨励賞(ギター部門)執筆。
おつかれ会は23時スタートの見込み。

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2018年8月24日(金)その3325◆売り切れ

新人公演初日は無事終了。
ブースは鳴神効果(しゃちょ対談)でパセオ最新号がまさかの売り切れ、
明日は担げるだけ担いで行かねば。

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まぐろとたこ刺し、枝豆、マカロニ。よゐ子で留守番ジェーと、
選考でぐったり気味の連れ合いと遅めの晩酌。
ジブリ観ながら、続く土日のために体力温存。

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2018年8月23日(火)その3324◆ドラマは踊る

「バカヤロー、早く開けろー」
   
慣れない設営でリハが押しまくり、開場時間が遅れる。
屋根なし炎天下で開場を待つ人たちの苛立ちが爆発する。
フラメンコ協会新人公演の黎明期、
会場は麹町の都市センターホールだったか。
フロントと広報担当、三十代の私は罵声のシャワーを浴びながら、
長蛇の列に大声で詫びつつペコペコ汗だくで走る。

数分押しで開場すると今度は、
スペインの通信社のアポ無しテレビクルーが
出演者の控室を取材させろと激しく迫ってくる。
楽屋は慣れない新人たちが本番前の緊張でパニック状態だから、
代わりに客席最後方から本番を撮ってくれないかと、
通訳を通し丁重に頼むが納得してくれない。
あんたらの相手ばかりしてるヒマはないので、ネクタイを外しながら、
おいテメーらいい加減にしろよ、
テレビがそんなに偉えのか、
だから出演者が第一だって云ってんだろがと、
プーロな江戸弁でやさしくお願いするとやや引き気味に了解してくれた。

そして終演後、週明けからパセオで正社員として働く予定の
若いバイレ練習生が両眼をウルウルさせながらこう云う。
「社長すみません、新人公演を観てわかったんです、
 わたし就職やめてプロをめざします」

昔も今も、ベタなエピソードには事欠かない毎年の新人公演。
明日から丸三日間、さて今年はどんなドラマが展開するんだろ。

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2018年8月23日(火)その3323◆フラメンコロイド

「自分が輝けるシーンを探し続けています」

当日未明に北海道ツアーから戻った、
きのうのフラメンコロイドのパセオライヴ。
いつもはオンマイクで聴く松村哲志の生音ギターに痺れた。
ギターを弾く人にとっての憧れ、そのひとつの理想形だろう。
己の資質を知り、その可能性を探り、探り当てた特性をトコトン磨き鍛える。
半端なくそういう旅路に没入できるギタリストだ。
自分が輝くことと周囲を輝かせることがいつでもセットになっている。
そういう骨太で繊細なバランス感覚。

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2018年8月22日(火)その3322◆おまじない

パソコンのトップ画面を変えたらガラリ気分が変わった。
                
自宅パソコンのトップ画面は「あしたのジェー」、
会社パソコンには「ムヒカ大統領」。

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宗教や主義やお金にも無縁なバカちんにも、
それぞれ、それなりに魔除けの御札のような効用はあるようで。

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2018年8月21日(月)その3321◆作家・鳴神響一

運命を創る人

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2018年8月20日(月)その3320◆黄金の塔

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大和田いずみ『Torre del Oro』

『2018サロン・ドートンヌ展入選の大和田いずみ』
  (月刊パセオフラメンコ2018年9月号より)

艶やかな色彩感覚と心つかむ独創性。
この六月、2018サロン・ドートンヌ展(1903年フランスで創設された美術展覧会)
に入選された大和田いずみ画伯。
日本フラメンコ協会の新人公演やMARUWAコンクール・ファイナルなどに
出演した彼女をバイラオーラと認識されてる方も多いことだろう。

絵画にもまったくド素人の私だが、具象にしても抽象にしても、
あるいはデッサン画、水彩スケッチ、油彩画にしても、
彼女の作品たちには一瞬にして心を奪われてしまう。
共鳴する理由のひとつは、フラメンコという通低する
インスピレーションであるような気もする。
彼女の描くフラメンコの世界やスペインの風景を、
ぜひとも毎月のパセオフラメンコに載せたいと願った。

ちなみに今月号しゃちょ対談に登場する小説家・鳴神響一さんの
『天の女王』の表紙絵(どこかカンタオーラ川島桂子に似ている)は
大和田さんの作品であり、お二人は旧知であるという。
鳴神さんのフラメンコ小説のパセオ連載(2020年4月号スタート)の
タイトル画はすでに彼女に依頼済みだ。
だがとても連載開始までは待てないので、
来春4月号から毎月の絵画連載を画伯にお願いしたのだが、
「こんな感じでよいでしょうか」とお送りいただいたのが、
この油彩画(Torre del Oro~黄金の塔)である。
 
この秋スペインを取材旅行する大和田さんには、
パセオ来年2月号の表紙画もお願いした。
そのモティーフはもちろんFLAMENCOである。(小山雄二)

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2018年8月19日(日)その3319◆帰巣本能

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この夏、最初で最後の完全休暇。

電車とバスを乗り継ぐトータル四時間の旅は、
車窓を彩る景色に没入したり(こどもかっ)、
ほんの小一時間、故郷・墨東の懐かしいこの庭で
ぼんやり過ごすだけで疲れも屈託もおもしろいように抜けてゆく(あんまかっ)。
まったく帰巣本能の効用とはあきれるほどにしぶといものだ(祟りかっ)。
中野・高円寺界隈にこもりがちな昨今だが(寝たきりかっ)、
思い立ったら迷わず出掛けることに決めたとです(ヒロシかっ)。
通い始めて半世紀強、明治の文豪さんたちも絶賛する、
ただひたすら愛しい向島百花園。
ちなみにおやつは三百円まで。

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2018年8月19日(日)その3318◆73億の変態性

人の数だけフラメンコがある。
パセオ創刊からおよそ二十年ほどでそれを知った。

あれからさらに十五年、
人の数だけ人生があることを知りつつある。

人と会うのが生業だが〝平均的な人間〟など見たことがない。
人はそれぞれに特有な変態性を日々育んでいる。
どなたでも自分という人を考えればそれは明白であり、
自分以外の73億人についてもそれは同様。
類型化・差別化の虚しさはそこにあるよね。

なあジェーよ、犬もそーなのか?

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2018年8月18日(土)その3317◆印象派の犬

おや、おれはこんな絵を描きたかったのか。
たまたま見つけた意外な潜在意識の願望。

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十年くらい前の代々木公園、
ジェーと私の秘密基地近く。
淡い幻影の木橋の上をしみじみと、
枯葉を踏みしめながら彼は往く。
そんなたまたまのへぼショットを、
拡大してボカしたら好みの印象派になった。
モネの気分で、あれこれタイトルを模索、
「幻影を歩む犬」とか「あしたのジェー」とか。

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2018年8月17日(金)その3316◆今晩『となりのトトロ』

となりの芝生は青く見えるが、
となりのトロロが青く見える場合
そりゃ青海苔のかけすぎである。

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2018年8月17日(金)その3315◆夏の新人公演!

静かに深くマグマのような熱情がフラメンコ界をメリメリと沸騰させる。
いよいよ来週金曜より三日間、フラメンコ界の最強イベント、夏の新人公演!

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パセオ11/20発売号では総力取材でこれを特集。
表紙は大森有起氏に新人公演の魔物を撮ってもらう。
そして、同氏による受賞者全員の本番ステージ写真。
新人公演全体の俯瞰記事は石井拓人が執筆。
受賞者(1名)のインタビューは関範子が執筆。
本誌ライターによる「わたし的奨励賞」は、バイレソロ部門を白井盛雄、
群舞を井口由美子、カンテをさとうみちこ、ギターは私がそれぞれ担当。
このほか公演忘備録(12/20発売号)を白井盛雄、石井拓人が執筆。

ロビー右手には恒例のパセオブースを歌って踊る吉野理子が仕切る。
今年はパセオ定期購読の受付(割引!)もするし、
呼び込みのおっさんは太めのトムクルーズだ。

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2018年8月16日(木)その3314◆9月はカニサレス!

いよいよ来月、待望のカニサレス来日公演。
http://plankton.co.jp/canizares/
9/29目黒パーシモンにパセオ取材陣は殺到。
写真は2015年来日時のマエストロ夫妻歓迎焼肉大会。
当夜の太っ腹スポンサー(一番左)ミスター林がひときわ大きく見えたのは、
実際彼が巨漢だからだろう。
一番うしろの役立たずタダ喰い呑んだくれ金髪野郎がおれ。

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2018年8月14日(火)その3312◆命の使い道

あと28年ばかり早く生まれていたら戦死は必然だったが、
生まれ時の運で、フラメンコに命を使うことができた。
さてこの先、ラッキーな運命の余命をどう使うか。
決めるのは自分であり、その自由を支えるのは平和だ。
そんなことを考えたい終戦記念日。

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2018年8月14日(火)その3312◆トップ画面

すっかり話題に上らなくなったが、
人類の未来軸はこの人の言動に在ると想う。
日々忘れたくないのでPCトップ画面に貼った。

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2018年8月13日(月)その3311◆教訓

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数人の仲間と必死にチャリを漕ぐ。
制服からして俺らはサツで、ホシを追いかけている。
登っても登っても急な登り坂が続く。
だが何度も同じ景色に出喰わすのはどうしたわけか?
同じ道をグルグル周回しながら登り続けてるんじゃないか?

「エッシャーだよ、エッシャーーーー!」

先頭を走るエツコが大声で叫ぶ。
ああ、エッシャーかと合点し皆してUターン、
何でここでエッシャーなのか?とは誰も突っ込まず、
今度は猛スピードで下り坂をまっしぐらだ。
だが左手はガードレールのない断崖絶壁で、
ブレーキの効かぬ下りジェットコースター状態。
あまりの恐怖にガバッと目覚める。

寝てる間にエッシャー島でチャリを漕いではいけない。

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2018年8月11日(土)その3310◆ハスの切り方

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蓮根(ハス)のシャキッとした食感がたまらない。
いい素材なら煮物がいいし、そうでないのは炒めて食う。
枝豆とかブロッコリなど緑菜と炒めるのが、見た目も相性もいい。
ガーリック風味で仕上げに片栗でトロ味をつけるのがマイブーム。
ちなみに蓮根はハスに構えて切るのがいい。

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2018年8月11日(土)その3309◆家伝

ミスの許されぬ仕事があるので
やむを得ず秘伝の呪文を唱える。

「暑いの暑いの飛んでけっ!」

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2018年8月10日(金)その3308◆効用

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スリリングに荒れた生活だったから、
癒しの緑でバランスをとりたかったのだろう。
若い頃に大枚はたいて買ったコローの複製画。
割れた茶碗をご飯つぶでくっつけるくらいの効果はあったな。

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2018年8月9日(木)その3307◆台風の中

台風の中、ひと仕事終えたスナイパーの風情

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2018年8月9日(木)その3306◆井上圭子ソロライヴ

一年ぶりに観る華麗なるドドコ。
例によって本日演目のフライング情報。

パセオフラメンコライヴ Vol.097
井上圭子 ソロライヴ
2018年8月9日(木)20時開演
於:高円寺エスペランサ【電話予約 】☎03-3383-0246
主催:月刊パセオフラメンコ&エスペランサ

【プログラム】
⑴ Siguiriya
⑵ Músicos Bulerías
⑶ Guajira
⑷ Músicos Milonga
⑸ Farruca
⑹ Solo de cante
⑺ Alegrías

【出演】
井上 圭子(バイレ)
川島 桂子(カンテ)
鈴木 淳弘(ギター)
三木 重人(ヴァイオリン)

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2018年8月8日(水)その3305◆一枚の絵

近ごろちょっと情報過多かなと、
音楽もなく、一枚の絵をのんびり眺める。
案外と豊かな時にも想える。

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2018年8月7日(火)その3304◆国際情勢

この秋イスラエルの黄金時代がやって来る。
いよいよ緊迫する国際情勢!・・・なのか?

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2018年8月6日(月)その3303◆みよちゃん

「秋よ来い!」

この猛暑を一身腐乱に
歩きはじめる爺ちゃんは
ひたすらそう念じる

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2018年8月5日(日)その3302◆傷だらけのプーロ派

ようやく制作インフラが追いついた。
八ヶ月ぶりで仕事はひと段落。
生産性ゼロでのんびり暮らす日曜日。
湯上がりのハイボールでレコードに没入。
         
崖っぷち状態ではバッハオンリーだが、
ほんの少しでも余裕ができると聴きたくなる。
いやまったくプロコフィエフは凄えな。
身構える隙も与えず、聴き手の本性にズバリ斬り込んで来る。
ニ長調のこのヴァイオリンソナタなどはその典型だろう。
フラメンコで云うならドゥケンデ『サマルコ』か。
創刊時のパセオ編集長・架光時紀もそういうタイプだった。
彼のシャープな感性は、無私無欲に拠っていた。
周囲350度程度を敵にまわす傷だらけのプーロ派だった。

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2018年8月4日(土)その3301◆一発逆転屋

早起きして10月号の時報を書いてると、
いつの間にやら足元にしゃがみ込んでたジェーが、
おしっこ連れてけとせがむ。
この夏を乗り切るのは難しいと覚悟してるが、
この一発逆転屋にあきらめの兆しはない。

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2018年8月3日(金)その3300◆修学旅行

中三の修学旅行のメインは1970大阪万博だった。

ヨシオとタケオと私のお笑いトリオ、
そしてヨシアキとミノルとジョージの極道トリオを
組み合わせた6名1班のグループを、
担任のワタナベ先生が追跡するパターンで博覧会場をまわった。
お笑いトリオと極道トリオはふだんから相性がいいので、
これらの中和によって問題発生を予防するというのが
戦略家ナベさんの魂胆だったのだろう。

ワタナベ先生の作戦は効を奏したようだが、途中から、
後方をうろついてるはずの先生の姿が見えない。
「あーあ、ナベのヤローおでん喰いに行きゃがった」と、
先生の性向を鋭く分析するミノル。
やや拍子抜けしながらも、おれらはモノレールを駆使して各国のパビリオンを回る。
性欲満載の思春期だから、話題の月の石などにはまるで興味を持てず、
みな心を合わせ、各館の入口で愛想をふりまく万国の
チョー美人コンパニオンさんたちに熱狂するのみである。

宿舎の就寝時間を合図に枕投げの伝統儀式をすませ、
どこそこの姐さんがよかったかの人気投票が始まる。
私はインド代表をモーレツに支持したが、
投票結果はアメリカ代表だったと記憶する。
異国の異性に対する認識を広め、また民主主義を実践した点において、
修学旅行の意義は甚大であった。

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2018年8月2日(木)その3299◆不変の普遍

天災と人災のオンパレード。
どれも強烈なボディブロウだが、遠い昔のボクサー志望者として、
また現役フラメンカーとして此度のボクシング団体の
理不尽ワールドには拳がわなわな震えた。
   
それでもどーやら未来永劫人類全体が
そこそこうまくやってゆくための共有ルール。
その源泉たる英知を仮に普遍性と呼ぶなら、
スポーツもアートもまさしく普遍(フラメンコはその中道右派)の
最前線プロジェクトだ。

天の意向がどうあれ、混迷する政治・経済・宗教・メディア・
日常のコミュニケーションなどに、
そうした普遍の通奏低音(ベース)が少しずつ積み上げられるなら、
人類の暮らしはきっと少しずつ善くなる。
既得権死守の朱子学では未来は視えず、
先輩に奢られたら後輩に奢り返すのが人類存続のコンパスだ。

「千に三つの普遍性」
惜しくもこれが私の現状なので、文句を云う前にまずはおれ自身、
仕事に暮らしにコツコツと改善を進めてゆこう。
足元のグラつきほど普遍に反するコンパスはないからな。

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2018年8月1日(水)その3298◆ご降臨

中野北口のアーケードを歩いている。
ヨシオとタケオと、いつもの中3トリオだ。
何かおごるとヨシオが云う。
そうか、オレらは明大中野に入試願書を出すヨシオの付き添いだった。
するってえと、こりゃ昭和45年あたりか。

食いしん坊のタケオが上等そうな二階のパーラーを見つけ、
あれにするかと皆してエレベーターに乗り込む。
だが奇妙なことに、着いた二階にめざすパーラーはなく、
さっき歩いてきたような商店街が右に左に広がっている。
アーケードはアジアン系の活気にあふれ、ひとりとして日本人は見当たらない。

じゃあカレーを食おうと切り替えの早いタケオが提案し、
それらしき店に入ると、いつの間にやらターバンを巻いたヨシオが
現地語でぺらぺら注文している。
すでにドン引き中のオレは一番辛いのをと英語で頼むのが精一杯。

となりのテーブルで堂々パイプを燻らすのは
小松川二中3年8組担任ワタナベ先生で、
ここのカレーは旨えぞケケケと笑う。

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知性派の爆笑大王ワタナベ先生ご降臨にガバッと目覚める、
そのまま途切れてしまうのが余りにも惜しい水曜朝の懐夢。
ご健在ならば八十前後、おでんと笑いをこよなく愛す親愛なるワタナベ先生への
心からの敬意を、先週食った冷製おでんが呼び覚ましたのかもしれない。

コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年07月

2018年08月01日 | しゃちょ日記

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2018年7月31日(火)その3297◆フラメンコロイド

「自分たちの無意味な執着やこだわりを捨てる、ということ」
         
それが、フラメンコという垣根を吹っ飛ばし、ライヴを沸かせるフラメンコロイドの原点にあるもの。どこまでも観客と一緒に全力で楽しめるライヴを共有したいという強い想いで、年間100本ものライヴに力を注ぐ。全都道府県はとうに制覇し、活動は海外にまで及ぶ。MCにパルマやハレオレッスンを親しみやすく取り入れ、声を交わし、一体となるライヴは最高に楽しい。
              
パセオフラメンコライヴVol.098
フラメンコロイドライヴ
2018年8月22日(木)20時 高円寺エスペランサ
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/08/2018822.php#006065
               
松村哲志(ギター)
高橋愛夜(カンテ)
阿部真(カンテ)

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「僕たちのやっていることは積み上げの効かないもの。まったく見知らない人たちが僕たちのライヴに足を止めてくれる。その時の彼らの表情をもっといいものにすることがすべて」という彼らの音楽はワクワクするエンターテインメント性と同時に、エッジの効いたコンパス感と重量感を持つ直球フラメンコであり、それは音楽に留まらず在り方そのものにも云える。
 松村哲志、高橋愛夜、阿部真。突き抜けたセンスの実力派3人が、挑戦を重ねる途上で結び付き、フラメンコの旅は生き方の旅となる。

 昨秋、松村のギター初ソロアルバム『I'M MELONCITO』がリリース、「フラメンコアルバム最高峰の傑作」との絶賛も記憶に新しいが、当人はそこに留まることなく、仲間と次を目指し、フラメンコロイドのアルバム制作に取り掛かっているという。
「ツアーで回る日々、本当に旅から得る刺激はとても強烈。同じ日は二度とないことを旅から学んでいます」。
 さあ、独りで足踏みしてないで、果てなくも心躍る一夜の旅に加わろう。

(月刊パセオフラメンコ2018年8月号より~井口 由美子)
 
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2018年7月30日(月)その3296◆夢の位置づけ

第一に、そのエロさゆえに高校時代熟読したフロイトの『夢判断』。
第二に、アートの真髄をえぐる運慶(第六夜)を含む漱石の『夢十夜』。
第三に、夢がリアルを凌駕(改善?)する筒井康隆の幾つかの夢物語。

これら影響から抜けきれず、印象的な夢は
すべて目覚めてすぐ自宅PCにメモする習慣。
死病に直面した若き日の吉行淳之介は、ベッドで眠る時間の長さに着目し、
夢を人生の重要な一部として位置づけたという。
余命を意識する年頃だけに、その気分は少しだけ分かる。
もっとも吉行は、以降の作品にも色濃く残すように、
どんな悪夢も冷静に分析し大歓迎で味わい尽くしたわけだから、
そこらへんの覚悟の厳密性には遠く及ばない。

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2018年7月29日(日)その3295◆第六感

ほんわかドラマなのに、生で触れたマヌエル・アグヘータの激深カンテプーロに、
それまでの儒教的価値観を一撃で粉砕された若き日を想い出した。
          
「人生の目的は笑いである」
NHKドラマの赤塚不二夫伝はシンプルで普遍的な共感を残した。
日本人の10人中9人が無意識に信奉する日本式朱子学から
確信犯的に脱却しながら、争い好きな人類全体の重要テーマに迫っていた。

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動物は笑わない。
人間だけが笑う。
何故か?
細分化された文化・宗教・美学は衝突を生み、
また多くの社会的孤立は狂気凶暴を生むから。

それが目的とは云い切れないが、
たしかに人間には、よく笑う必要がある。
中でも自分を笑うのがイチバン効く。
ガン細胞を消滅させるし、拓いた心を優しくさせるしね。

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2018年7月28日(土)その3294◆高級料亭の味

「高級料亭の味だね、行ったことないけど」
台風の中、昨日作った冷製おでんを一口食って連れ合いは云った。
ま、そりゃそーだ、高級料亭風に仕上げたからな、、行ったことねーけど


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2018年7月27日(金)その3293◆時代は時代

執筆者やカメラマン、そして本誌登場者、さらには社員や助っ人パート。
それら出会いの八割強がSNS経由であるという事実に時代を感じる。

かつては本人からの売り込み、あるいは知人を通しての紹介や
求人誌による募集などが主流だったが、SNS経由の場合は
事前に対象者の志向・能力・人となりなどを
ある程度知ることができるし、即座にスカウトも可能だ。
また同時に私のヘボさ加減も等身大で知ってもらうことができるので、
互いに現実とのギャップにガックリくることも少ない。
とは云え、実際会って話してみないことには、
互いにまるで分からんことは昔も今もいっしょだ。

ネットの隆盛によって新聞・テレビ・出版などは構造不況に拍車が掛かる一方だが、
その一方では人と人との直接交流のチャンスは拡大し続ける。
古典派タイプなので時代に逆行したくなる衝動もなくはないが、
少なくとも出版は〝人〟なので、トータル的にはやり易い時代のように想える。

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変化というのは、当然ながらそれまでのプラス部分とマイナス部分を変質させる。
その見極めと試行錯誤、あるいは試行錯誤と見極めは、
それ自体に未知のロマンやファンタジーを内包していて、
骨太な手応えを感じることもある。
それが錯覚だったとしても、独りしゃがんで動かぬよりは数段楽しい。

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2018年7月27日(金)その3292◆井上圭子ソロライヴ

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2018年8月9日(木)
パセオフラメンコライヴVol.97
井上圭子ソロライヴ

井上圭子(バイレ)
川島桂子(カンテ)
鈴木淳弘(ギター)
三木重人(ヴァイオリン)
             
 井上圭子といえば、女性らしいしなやかな踊りに定評があるが、昨年のパセオライヴで驚いたことがある。2009年のラ・ウニオンの決勝で踊ったタラントが始まるとき、まるで映画のキューのように一瞬で別人になったのだ。炭鉱の生活の苦悩を背負った、心の芯まで凍ってしまったかのような女性がそこにいた。そこまでヌメロの世界に心を放り投げてしまう人が、体のほうはパーツ一つ一つまで緻密に制御して、「ここしかない」というラインを描いて動かしていく。目をそらせるわけがない。
 一転、アレグリアスになれば、見事なバタ・デ・コーラさばきを見せながら、華やかに舞う。そのオープンマインドはゴージャスなレビューの舞台のようで、会場全体に幸福感が充満する。
 以前のインタビューで彼女は、「私を通してアレグリアスが見えたり、私を通してタラントが見えたりしたら素敵だと思います。私自身を見てもらいたい、というのではないんです」と話している。それはまさにこういうことかとわかったライヴだった。
 さて今回のパセオライヴでは、どんなヌメロが登場するだろうか。昨年と別なヌメロ、別な振付ならば、きっと全く別の顔を見せてくれることだろう。楽しみで仕方がない。井上にどんなライヴにしたいかを尋ねたところ、「おそらく長年したためてきたヌメロの中から」と、「先入観を裏切りたいですね」とのコメントが返ってきた。井上圭子の踊りは、「百聞は一見にしかず」だ。見たらわかる。エスペランサへGo!
                   
 (月刊パセオフラメンコ2018年8月号より~若林 作絵)

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2018年7月26日(木)その3291◆夢のツッコミ

「おゐおゐ、そこはそうじゃねえだろががが」

夢の展開に対し、近ごろは脇からツッコミを入れる
自分を微かに感じることがある。
全体に夢は短めで、怖いのもハッピーエンドもない。
淡々と大らかで、夏目漱石やら過去の体験の断片やら筒井康隆やらが
ほどよくミックスされたバランスのいい夢が多いのだが、
ツッコミどころも満載であるところに、
晩年ならではのささやかな余裕を感じる。

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2018年7月25日(水)その3290◆杏梨ピアノソロライヴ

敏捷でありつつ透明度は深い。
クリスタルな音像はスタイリッシュにして求心性を秘めている。
古典においてはプロコフィエフあたりに、
そのしなやかな感性を発揮するに違いないと踏んだ。

数年前、ディエゴ・ゴメスを伴奏した一曲(カラコールのサンブラ)によって
彼女にパセオライヴ出演を依頼したのは、
近い将来ピアノフラメンコにまったく新しい地平を
切り拓けるミュージシャンだと直観したから。

このとき100%の確信があったわけではなかったが、
その後の劇場フラメンコ公演でピアノフラメンコを弾く杏梨を聴いて、
すでに彼女がこの領域に豊かなオリジナリティを発揮し始めていることを知り、
不安な要素はイッキに解消したものだ。
この木曜は、持ち前の度胸と美貌と底力で真っ向勝負を懸けて来ることだろう。
パセオ公演忘備録は白井盛雄が執筆。

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2018年7月26日(木)20時
パセオフラメンコライヴ vol.96
杏梨ピアノソロライヴ    

杏梨(ピアノ)
容昌(パーカッション)
松島かすみ(パルマ)
小松美保(パルマ)

会場◆高円寺エスペランサ
開演◆20時ジャスト開演(19時半開場 ※終演は21時10分頃)
料金◆4,500円1ドリンク付(税込)
電話予約:
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/07/2018726.php#006044

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2018年7月23日(月)その3289◆ゴンッ!

暑い。
庭に面した昭和な縁側に腰かけ、
きりりと冷えたパイナポーを喰いながら涼んでいる。
長い板敷きの左手には小猫がノビている。
寝顔をよくよく見ればジェーである。
この暑さでは犬も猫になるのだろう。

そこそこ広い庭の竹の垣根の手前を、静かに都電が横切る。
小さめのボディの旧型で、乗客はまばらだ。
飛び乗りたいのは山々だが夏休みの宿題をやらなきゃと、
自分の部屋に戻ろうと長い廊下を奥へと進むが、
山のように薪を積んだ台所あたりで迷子になる。
交番はないが、丸く鄙びた赤いポストが佇んでいる。
かなり古くて大きな日本家屋のようだが、私の生家ではない。
                 
よく磨かれた横広な木造の階段を登ると、
そこはあまり流行らない銭湯のようである。
番台の菊池寛もしくは加藤茶的おっさんに湯銭を払い、
でかい湯船の脇のガラス戸の先にある露天風呂へと向かう。
ひと気がないので、水すましのように泳ぐ。
身体が楽天性を帯びてくる。
人に出される宿題よりも、気ままに自分の仕事がしたいと想う。
ゴンッという鈍い衝撃音で目覚める。
タンスではなく枕元のCDデッキに頭をぶつけたらしい。

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2018年7月22日(日)その3288◆荒行

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来年新年号には、本誌ライター関範子の『森田志保論』、
四月号には、同じく井口由美子の『小島章司論』。

それぞれ本文カラー4Pの大作で、巻頭近くに持ってくる。   
ご両人はこの猛暑の中おそらく、滝に打たれながら心頭滅却・
臥薪嘗胆・焼肉定食にて熱筆に取り組んでおられることだろう。
頼もしいお二人のご健闘を、冷房のきいた書斎で
アイス珈琲を飲みながら一身腐乱にお祈りしている。

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2018年7月22日(日)その3287◆なんで僕?

「なんで僕?」
編集者の直感だよ、おもろいから書いてみ。
時おりFBにアップされる彼の文章には、
気負いのない淡々とする善き味わいがあって、
こういうアイレをパセオに欲しいと思い、すかさずスカウト・メッセを送った。
尾藤大介『日々ギタリスト』
10月号(9/20発売)から始まる隔月連載エッセイ。
タイトルはびーちゃんと編集部理子と私の合作。
デザイン(大宮直人さん)の上がりが待ち遠しい。

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同じく10月号から新連載『編すたグラム』(写真と文/吉野理子)がスタート。
江戸っ子以上の反射神経を持つ理子との雑談中に10秒で決まった企画で、
タイトルも3秒で決まった。

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2018年7月21日(土)その3286◆似顔写真

あまりの暑さに、徒歩100メーターご近所魚河岸寿司で
連れ合いと臨時ヘコタレお疲れ会。
忘れちゃならねえ留守番犬ジェーへの定番土産はこれだす

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2018年7月20日(金)その3285◆だからスペインで暮らす

「だからスペインで暮らす」

困難覚悟で異国に永住する心境の、その本音を垣間見たい。
二十年ほど前にパセオで試行したシリーズ企画だが、
時は流れ、同じタイトルで内容を一新し復活させる。
本文カラー4頁の大河モノローグ。
スペインのフラメンココンクールに優勝し、
現地の国際的写真家と結婚した邦人バイラオーラに、
そのシリーズ初回を依頼し快諾を得た。
秋には上がってくるその原稿が待ち遠しい。

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2018年7月19日(木)その3284◆サンドバッグ人生

「神さまだっていつまでご無事かわからんし、早いうちにサシでやっとけや」
         
一昨年の今枝ライヴの折、ブラックプロデューサーの企てで、
今枝友加とエンリケ坂井の夢の協演
(この秋10/17の今枝友加パセオライヴ)が決まった。
冒頭暴言はハリツケの刑に値するが、
結果として協演が実現されるなら百叩きの刑程度で勘弁してほしい。

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で、さらに番組は続く。
エンリケ坂井VS今枝友加の本音対談(パセオ2019年3月号の巻頭記事)が
おとつい決まり、パセオライヴ本番翌日あたりに収録予定だ。
この暑さからか、近ごろは危険すぎる企画が面白いように決まる。

スペイン人もびっくりのプーロフラメンコの大守護神と、
プーロを極めつつエンタにも羽ばたける若き天才が、
フラメンコの未来を見据えながらガチンコで語り合う。
民間人の私はレフェリーとまとめ文責を担当。
生ぬるい対談を避けるためには、双方気兼ねなく
芸風同様のハンマーパンチを繰り出せる状況が必須となろう。
かくなる非常時こそこの私の、
ボコボコ打たれまくりのサンドバッグ人生経験が活きるかもしれない。

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ちなみに、あす金曜はそのエンリケ坂井師のパセオ講座
『カンテフラメンコ奥の細道』。空席有り。ものは試し、
フラメンコな心を覚醒させる、そのディープな世界を一度はご覧じよ!
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/07/626_1.php#005931

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2018年7月17日(火)その3283◆明るい葛藤

ともにヘレスのフラメンコを心底愛しながらも、
やってることはまったく違うという強烈なコントラストの超大物同士。
月刊パセオフラメンコ、来春に向ける目玉連載がまたひとつ動き出した。
大沼由紀さんと佐藤浩希さんによる月替わり交換エッセイである。

両雄超多忙につき物理的に難しいことは分かっちゃいたが、
ダメ元で喰い下がったところ、この連休中にスコンと道は拓けた。
躍進を続けるそれぞれの心模様が、
共感しながら反発し、反発しながら共感するシーンが、
この交換エッセイ最大の魅力となるだろう。
その前進する葛藤はきっとフラメンコ界全体をあっためる。
対抗ページにはこれも新連載となる大和田いずみ画伯の誌上個展
(題材はフラメンコとスペイン)を配置し、本誌全体の化学反応的活性化に期待する。

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2018年7月17日(火)その3282◆正路あすかソロライヴ

2018年7月18日(水)20時
パセオフラメンコライヴVol.95
正路あすかソロライヴ
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/07/2018718.php#006043
正路あすか(バイレ)
モイ・デ・モロン(カンテ)
パコ・イグレシアス(ギター)

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「一番影響を受けた人はエル・グイト。私の永遠のマエストロ」

 フラメンコを踊る上での核心となっているものについて、正路あすかは迷わずそう答えた。プロの道を目指すと決心した最初のスペイン留学で、巨匠エル・グイトの踊るファルーカに雷に打たれたような衝撃を受けた。"静の動き"に魂を鷲掴みにされ、椅子から立ち上がれなかった、という。

 正路は、中学生時代から習っていたバイレを大学卒業後も薬剤師として働きながら続けていたが、ある時、患者さんの命に係わる仕事とフラメンコの両立は無理だと自覚し、フラメンコ一筋に生きることに大きく舵を切った。最終的に自分が死ぬ時に後悔しない生き方はどちらかを考え抜いた末の、葛藤を乗り越えた潔い決断だった。敬愛して止まないエル・グイト、彼への想いは単なる憧れではない。その偉大な存在が、正路自らの生き方のセンスに共鳴した。

 2010年に新人公演奨励賞を取った骨太のファルーカは忘れ難い。そして昨年、奨励賞受賞者枠で踊った熱いソレアも記憶に鮮明に残る。常に"いま"の自分自身を惜しみなくさらけ出す挑戦を繰り返している。そんな正路あすかのダイナミックなフラメンコは、歯を食いしばりながらも笑って生活していく人々の背中を明るく押してくれる。

「パセオライヴでは自分の大事にするものをすべて出し切ります」。
 彼女のとびっきり朗らかな笑顔の内側には、聡明な確信がある。

     (月刊パセオフラメンコ2018年7月号より~井口 由美子)

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2018年7月16日(月)その3281◆ヤスと叔父

これを持って出来るだけ遠くに逃げてくれと、
やつれ果てた安松が云う。
無精ヒゲを生やした高二同級のヤスは40くらいに見えるから、
私もそんな歳なのだろう。
将棋のプロテストに落ちたころには、
よく葛飾の奴の家に泊まりに行ったものだが、
二十代半ばで善人ヤスは失踪した。
『相棒』に出てくるような大窓のカフェで、
茶色い紙包みを手渡す彼の顔は深く蒼褪めているが、
ラグビー部イケメン俊足の人懐こい笑顔は昔のまんまだ。
ヤスには借りもあるし、自分の職業も住まいもはっきりしない私は、
理由も聴かずそれを引き受ける。

すでに逃避行は始まってるようで、列車は海岸沿いを走っている。
修学旅行で初めて観た穏やかな瀬戸内の景色かもしれない。
だが到着した巨大な駅は明らかにヨーロッパのどこかだ。
追っ手がやって来ないので、駅中の安そうなレストランに入り、
無難そうな肉料理とパンとスープを注文する。
そのときケータイが鳴る。
駒込に暮らす叔父からで、順天堂に入院したから将棋盤持って見舞いに来いと云う。
用事がすんだら行くよと電話を切ると、
頼んでもないレモンのカキ氷が運ばれてきて、
その鮮やかなイエローに目を覚ます月曜祝日。
定時出社しバッハや落語をおかずに単調な事務を片づけ、宵から焼き鳥大吉。

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2018年7月15日(日)その3280◆ヤケクソ

パセオ創刊からおよそ一年、隣家からのもらい火で私の生家は全焼した。
トイレまで丸焼けで、これがほんとのヤケクソだよと、
駆けつけてくれた見舞客に感謝のギャグを飛ばしたあたりで
その後の私のキャラは定まったような気がする。

十代半ばから働きまくりで収集したレコード数千枚も焼失したが、
それを契機に家やモノにまったく執着しなくなったことは、
その後のフラメンコ人生においては吉と出た。
そのぶん人やコトに思う存分集中できるようになったから。

相次ぐ天災・人災は人間の宿命であり、
トータルな運不運は「人間万事塞翁が馬」的平等であることの見極めには
さらに十年ほどかかったが、
唯一「明るい開き直り」という頼りになる世渡り術が我が身に残った。

境遇に対する捉え方は人それぞれであり、その捉え方そのものが、
良くも悪くもその人の決める人生ということになるのだろう。
サパテアードの起源は、地団駄(じだんだ)踏んだことにあると云う。
出発点からヤケクソだったことに、フラメンコとの相性の良さを感じる。

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2018年7月13日(金)その3279◆指圧のこころ

「孔子? 人気無いですねェ。中国は儒教でだめになった歴史があるから」
ご近所の指圧の中国人先生はそう云う。
ちなみに国民的ダントツ人気は三国志の関羽だそうだ。

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先生は相当なインテリで、
治療中は私のツッコミに楽しそうに明快に答えてくれる。
中国人に抱いていた疑問や偏見が、肩や腰やの凝りとともに、
少しずつほぐれてくる。
今宵は餃子だな。

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2018年7月10日(火)その3278◆マイ・コンパス

毎週日曜は17時には家に戻り、湯船に飛び込みキリッと冷えたビール。
17時半からウイスキーソーダで、きかんしゃトーマス、
次いで笑点・大喜利にかぶりつく半時間。
こんな一時間で安息日のリズムをキープする防衛本能。

そして翌月曜は17時5分よりパセオおとなり大吉で焼き鳥タイム。
切り貯めてくれる新聞将棋欄を、旨い安酒とともに味わい尽くす小一時間。
私のヘボさ加減を相殺する一流プロの指し手は、ほどよい闘争本能を発生させる。

理由はよう分からんが、これら日月曜の癒しと刺激のルーティンが
近頃の私の一週間のリズムの要であり、
やりたい放題を保証するコンパスの源となっている。
いい歳こいた我が身のお目出たさに苦笑しつつも、
しばらくはこのささやかなマイブームに身を任せる。

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2018年7月11日(水)その3277◆留守番犬

あす木曜20時スタートの鈴木敬子バイレソロライヴ、
例によってプログラムのフライング・アップ・

1.Martinete(マルティネーテ)バイレ/鈴木敬子
2.Musical(音楽"Retama")
  ギター/ペペ・マジャ ヴァイオリン/三木重人
3.Alegrías(アレグリアス)バイレ/鈴木敬子
4.Solo de Cante(カンテソロ)カンテ/エル・プラテアオ
5.Soleá(ソレア)バイレ/鈴木敬子

パセオ忘備録執筆は石井拓人、
フロントは編集部理子とわたし、
家の留守番は体長2メートル超、
スターウォーズなどでもお馴染みの
獰猛な土佐犬ジェーでごわす。

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2018年7月10日(火)その3276◆歌丸一代

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アントニオ・マイレーナのような役割を果たした。

桂歌丸師匠の最期は最良だった。
録音では力を出せなかったが、ライヴの舞台では特に中終盤、
鍛え抜いた底力で客席を圧倒した。見事にハラは括られていた。
笑点の司会も歴代トップだった。
初代談志師匠の天才的切れ味を、
あったかい苦労人総合力で切り返した至芸は唯一無二であり、後継は難しい。

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2018年7月9日(月)その3275◆前者も後者も素晴らしい

羽生善治竜王の将棋は好奇心に充ち溢れていて、
あらゆる戦型に新たな踏み込みを挑む。
真理を追求するプロセスには実にしばしば、
惚れぼれするような美しい指し手が現われ、
結果として上質なエンタテイメントを産むことも多い。
だが、その実態はアートである。

一方で藤井聡太七段の将棋は、純粋に最短距離の勝利を目指している。
ケタ違いの終盤力を裏付けに、そこからの緻密な逆算で
中盤のみならず序盤においても、
伝統に囚われないストイックな推進力で一手一手を構成する。
見た目はかなりごっついが、これこそが美と評される日はそう遠くない。

無理くりフラメンコに例えるなら、
前者はパコ・デ・ルシアおよびマリア・パヘスであり、
ほとんどこじつけで云うなら後者はイスラエル・ガルバンである。

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2018年7月8日(日)その3274◆紙一重

ろくすっぽ挨拶もしないし返事もしない。
何か云われれば逆ギレする粗悪な美学。
世渡りに慣れ働きずれした二十歳のころには、
自分にも社会の善意に依存するタチの悪い寄生虫のような一時期があった。

だが、ボチボチとやりたいことが明確になってくると、
そういう脆弱なモラトリアム症は自然と治癒する。
そうは甘かない世渡りにあって本望を遂げようとするなら、
社会とうまくやってゆく適正距離を発見する必要に迫られるからだ。

想い起こせば、運命の分かれ道的な局面は幾十もあった。
巧くやれた記憶、やり損なった記憶が洪水のように押し寄せる。
圧倒的に後者でありながらぎりぎりセーフだったことは幸いだったが、
いまこの瞬間だって、
そうした延長線上にあるんだという紙一重の現実にハッとする。

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2018年7月7日(土)その3273◆身の丈

金なしコネなし根性なしでは、敷かれたレールに載ることさえ難しい。
だから今でも鉄道に憧れるのかもしれない。
特にローカルな単線とか廃線が好きなのは、
自分の身の丈をよく知ってるとゆーか、
その慎ましさに涙ちょちょ切れそうになる。
夏だというのに、クロード・モネ『雪の中の蒸気機関車』を眺めていると、
程よい調和がもたらされる。
中央おっさんのうしろ姿はかなりイケてる。

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2018年7月6日(金)その3272◆靴が履けない

2018年7月12日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.094
鈴木敬子ソロライヴ

鈴木敬子(バイレ)
エル・プラテアオ(カンテ)
ぺぺ・マジャ(ギター)
三木重人(ヴァイオリン)

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はじめて鈴木敬子の声を聞いたとき、その凛とした佇まいに、友と顔を見合わせた。
邦画の名作に登場する、マドンナ女優のような美しさ。
さほど歳はかわらないはずなのに、落ち着いた色香を放っていた。
でも私は知っている。彼女のブラソがひとたび虚空を切ると、
とてつもなく熱いものがほとばしることを。
足を踏み鳴らせば大地を揺るがす振動を、大舞台から響き渡らせることを。
昨年の協会新人公演で、彼女の指導した群舞に釘付になった。
なんと踊る楽しさに溢れているのだろう。
はつらつとして伸びやかで、どこか懐かしいフラメンコ。
そうそう、こんなふうにベテランの方も年数が浅かろう方も、
みな気持ちをひとつにして踊りを積み上げていったっけ。
そんなプロセスを想像させ、その行く先を柔らかな笑顔で
鈴木敬子が照らしているようだった。
スペインでの華々しい成功や、錚々たるスペイン人たちとの大舞台を
何度も経験しながら、踊れない苦境をいやというほど味わってきた。
昨年も突然の病に倒れ、靴を履くことすらできなかったという。
踊る歓びと引き換えに与えられた苦しみ――その辛さはいかばかりだったことだろう。
そういった生々しい生のすべてを昇華させ、彼女独自のフラメンコが切り拓かれた。
幸いにもすっかり回復されて艶を増し、恒例となった
巨匠アントニオ・カナーレスとの息のあった舞台は多くのファンを魅了している。
ゆるぎない体幹から紡ぎ出されるムイ・フラメンコ。
彼女の息遣いをライヴという間近で体験したいと思う。       
       
      (月刊パセオフラメンコ2018年7月号より~さとう みちこ)

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2018年7月5日(木)その3271◆潔い女性

「君が好きなので、どうか付き合ってほしい」
「いえ、私はそうではないのでごめんなさい」

潔い女性の対応で、フラれた男も潔く沈没できるのがいい。
こうした経験の限りない積み上げによって、
私の潔い性格は形成された。
潔い女性は善である。

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2018年7月4日(水)その3270◆じゃがいも大王

フルートを吹くフリードリヒ大王。
文武両道、仰天エピソードの豊富さで、西欧史ベストテンに入る人気者である。

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①次期国王なのに家出、すぐにバレて手助けをした親友は目の前で死刑。
 その時フリードリヒはどうしたか?、失神したという。
②自由とアートを愛する大王さまで、即位後すぐに拷問の廃止、
 貧民への種籾貸与、宗教寛容令、オペラ劇場の建設、検閲の廃止、新聞発刊、
 著名な学者を集めアカデミー設立など、抜群の行動力で実現。
③軍隊は縮小、当然そう来ると皆思ってたが、
 まさかの軍拡でドンチャカ戦争を始める。
 「フリードリヒは持久戦の名人」と日本最強の天才プロ軍人・石原莞爾は評した。
④自ら旗ふって〝ジャガイモ〟を普及、ドイツ民族の食生活を変えた。
⑤自作のテーマをバッハに与え、
 バッハの『音楽の捧げもの』(=ジャケ写)作曲を導いた。

大王の波乱万丈の生涯はフィクションを軽々超えるが、
今でも世界中の音楽ファンは⑤『音楽の捧げもの』によって恩恵を受けている。
中でもトリオソナタは室内アンサンブルの最高傑作だと私は想う。
大王の機転がなければ存在しなかった稀代の名曲であり、
これを聴く時には大王に敬意を表しつつポテチやトルテージャ等、
できるだけジャガイモ系を食うようにしている。

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2018年7月3日(火)その3269◆夏夢

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松任谷由美『春よ、来い』のような景色が広がっているが、
ここは確かに生まれ育った故郷・小松川だ。
都電が横断するスモッグとドブ川の街だったはずなのに、
その情景は春のときめきに溢れ、
家々の小庭や点在する原っぱはどこも花盛りである。

ご近所の仲間たちと遊び転げた懐かしい路地裏を
ひとつひとつ確認するようにゆっくり歩く。
街の風情は昭和四十年あたりを示しているが、
徘徊する私の年齢や職業や住まいは不明である。
それにしても妙だ。生家があるはずの路地だけが見当たらない。

「あの、もしかして小山さんの息子さん?」
突如うしろから、見知らぬ婦人が声を掛けてくる。
「ええ、そうです。ええと、ごめんなさい、どなたでしたっけ?」
両親の知り合いなのだろうが、よく観れば
白いワンピースの似合う美人さんでおそらくは三十半ば頃。

そこでエピソードは途切れ、草と土と石段の荒川の土手に私はいる。
帆舟と屋形船が水面を走る広重の世界が広がる。
傍らにはみえことりえがツクシンボウを摘んでいる。
喉の渇きで目覚めるが、もう少し佇んでいたい夢だった。
書斎からユーミンベストを引っぱり出し、二度寝の子守唄とする。

 春よ遠き春よ まぶた閉じればそこに
 愛をくれし君の なつかしき声がする

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2018年7月1日(日)その3268◆半休ベリーマッチ

よーし、NHK将棋観たらパセオに行こう、
今日は四時間だけ番犬勤務やってくれ。
カンテ教本の増刷手配、原稿一本、決算準備でおしまい。
きのうは指圧と遠足とおつかれ会が効いて9時間爆睡。
ジェーもそこそこ好調だから、夕暮れの緑道を少しだけ散策。
晩めしは枝豆の炊き込みご飯、タイムサービスの刺身と干物、
具だくさん豚汁、かぶ茄子きゅうりの一夜漬け。

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コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年06月

2018年06月01日 | しゃちょ日記

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2018年6月30日(土)その3267◆上限と例外

10時より浪越流指圧、午後から向島百花園で充電、
始発・三ノ輪まで足を伸ばし終点・早稲田まで都電の旅。
宵から連れ合いと月イチ呑み会。
おやつは300円まで、
ただしバナナとゆでたまごはこれに含まない。

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2018年6月29日(金)その3266◆ポコ・ア・ポコ

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少し落ち着いてきたので、さしあたり2ページ増やした
パセオフラメンコ8月号(7/20発売)。
それぞれのコーナーにテコ入れしながら、じんわりと厚みと奥行き、
そして面白さを増強しようとする身の丈戦略。
さて、8月号表紙は9月来日のマエストロ・カニサレス、
真理子夫人が本文4ページ記事を熱筆。
        
新連載は人気必至の『プロの自主練』。
企業秘密ともいうべき内容だから、原稿集めには苦労するが、
「へえー」とか「ひゃあー」やら連発しながらのスリリングな編集整理。
鈴木敬子、渡部純子、松本真理子、小島慶子、岡本倫子、AMI、
松下幸恵、東仲マヤ・・と、ツワモノたちが続く。

他方リレーコラム『冷や汗』は、大沼由紀、佐藤浩希、AMI、鈴木眞澄、
石井智子、鍜地陽子、中田佳代子、矢野吉峰、森田志保・・と、
冷や汗とは無縁であるような方々が二つ返事で書いてくださる。
しばらくはポコ・ア・ポコで新たな仕掛けを試みる。

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2018年6月29日(金)その3265◆はあ、わかりますた

はあ、わかりますた。
それもひとつの道ですから。
私の愛するバッハとか将棋とかフラメンコとは異質の世界と知りました。
二度とサッカー観ることはないです。

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2018年6月28日(木)その3264◆フラメンコ愛

老いたから恋をやめる?
そりゃ違う、
恋をやめるから老いるんだ
  
今宵はフラメンコ愛、
エンリケ坂井ソロライヴ!

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2018年6月28日(木)20時/高円寺エスペランサ
エンリケ坂井フラメンコギターソロライヴ

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2018年6月27日(水)その3263◆The Wey We Were

交番襲撃、プロアマゴルフ、国会党首会談・・・
絶え間ない理不尽ニュースに風呂上がりのビールの泡も意気消沈。
テレビはやめて、80年代のピアノトリオを聴く。
懐古趣味を戒めつつも、奔放な個人プレイ同士の柔軟なチームワークに、
萎えるハートに灯りがともる。
まあしかし、独りよがりってのは、ダメだな。
本音をシンクロさせてゆく工夫と努力が足りない。
The Wey We Were『追憶』が流れる。
すでに気分は上々だが、久々の安ドライジンは相変わらずまずい。

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2018年6月26日(火)その3262◆昇り坂

私「昔よりぜんぜん上手くなってる」
師「昔はもっとバリバリ弾いてたさ」
           
ここ数年で十回は交わした会話。
プーロフラメンコ教の天子さまに対し、失礼この上ない暴言だが、
私は私で観る聴く専門のプロだから、率直にツッパリ通す。
三十五年という得がたい交流の歳月を、心から光栄に想う。
プーロフラメンコのコンパス、技術、音色、歌い回し。
それらが純粋に一本化されるフラメンコギターの心意気。
聴くたびに私のチャラい来し方は、木っ端微塵に吹っ飛ばされる。
そのズタズタの爽快感がたまらない。
エンリケのギターに青褪める限り、まだまだおれも昇り坂だ。

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/06/2018628.php#006041
エンリケ坂井フラメンコギターソロライヴ 6.28(木)20時/高円寺エスペランサ

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2018年6月25日(月)その3261◆カメルーン代表

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何かを狙う勝負師の眼。
だがカメルーン代表、今回はヒマ。

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試合がないので観戦に専念。

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2018年6月24日(日)その3260◆正夢

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早寝早起きでパセオへ。
思いがけず昼過ぎには編集整理が終わり、愛する向島百花園に直行。
まったり過ごしたのち、隅田川沿いを浅草に向かう
郷愁コースで帰巣本能を満喫・・という夢から大寝坊で目覚めた。
午後から晴れると云うから、NHK将棋観戦をあきらめれば、
あるいは正夢かもと、これから朝湯でオレと私の検討会。

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2018年6月23日(土)その3259◆編集日和

しっぽりと絶好の編集日和。
パセオにこもって9月号しゃちょ対談
(作家の鳴神響一さん)のラストスパート。
番犬ジェーさん、やる気まんまん。

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2018年6月20日(水)その3258◆親切な助言

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春雨じゃ濡れてゆこうのパセオライヴ。
今宵は奨励賞バイラオーラ鈴木舞。
若くして受賞した彼女も二児の母。
はよやらんかいと、尻を叩いての初ソロライヴ。
本人死ぬ気で踊るというから、
死なない程度に踊れと親切な助言をした。

協演陣は、
有田 圭輔(カンテ)
尾藤 大介(ギター)
伊集院 史郎(パルマ/カホン)
鈴木 千琴(パルマ/バイレ)

フロントは編集部吉野理子、忘備録執筆は井口由美子、
新人カメラマンも撮影参加。
わしゃ開演ギリギリまで編集整理(本日15本入稿=汗)

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2018年6月19日(火)その3257◆どうかしばらく

関西のフラメンコのみなさん。
余震も強敵です。
どうかしばらくは
ご自身を守ってあげてください。

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2018年6月17日(日)その3256◆生涯三回

酔いつぶすつもりが逆に酔いつぶされて
千葉や八王子の駅ベンチで寂しい朝を迎える。
健常な男子のみなさんなら、
そんなほろ苦いノスタルジー体験を百回や二百回はお持ちと思われますが、
清廉潔白がウリの私は生涯三回だけです。

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2018年6月16日(土)その3255◆ざっくばらん

ざっくばらん。
       
東京のビンボー下町に生まれ育ったので、
生業も暮らしもこの感じが最も生きやすい。
身体の衰えがややこしさを拒絶するから、
歳とともにシンプルさに拍車が掛かってくる。

まちがったら素直に謝ればいいし、
分からないことは素直に聴けばいいし、
意見の違いはそれはそれと素直に認めればいい。
余分な虚飾や美学(偏見)を削ぎ落とすたびに、
ゆるやかに視野が広がってくる感触もいい。

ざっくばらん。
通用しない領域もあるが、いまのところ、
それが最良の知性のように想える。
まあしかし、そこには気働きとユーモアも不可欠で、
そこが追っつかないので大失敗もしばしばという昨今。

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2018年6月15日(金)その3254◆四季の呑み会

『二つの水彩画』。
         
昨夜の大沼由紀、衝撃の〝粋〟に胸打たれ、
ライヴ打ち上げの午前さまでがっつり寝坊。
本能が求めるバランス調整に応じ、
朝っぱらから懐かしのディーリアス。

録音の古さと深い歌心とが郷愁を煽り、
淡い色彩の青春がフラッシュバックする。
夕暮れどきなら、もっともっと染み入るに違いない。
だが、実際の色彩はそれとは逆の獰猛な原色であったはず。

今宵は懲りずに45年続く高三同期の四季の呑み会。
バカ騒ぎもほどほどが肝心と自戒を促すが、
大丈夫おれに任せろとノスタルジックな脳内極右勢力が高笑い。

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2018年6月14日(木)その3253◆想定外現象

本日20時大沼由紀ソロライヴ
座席指定ソールドアウトで
立ち見残あり
注目のバイラオーラが今宵また
巻き起こすであろう想定外現象

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2018年6月13日(水)その3252◆一週間 ♪

月曜は中野北口でうわさのミスター西田と盛り上がり、
火曜はおとなり焼き鳥大吉で盛り上がり、
本日水曜は終日地味な仕事で盛り下がる。
木曜は志風恭子と新連載打ち合わせと
パセオライヴ(大沼由紀!!!)で盛り上がり、
金曜は高校同期のちゃんこ会で盛り上がる。
つまりこのペースで行くと、土日は思いきり盛り下がる。

テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャ テュリャリャ
テュリャ テュリャ テュリャ テュリャーリャー♫♦・*:..。♦♫♦*゚¨゚゚・*:..。

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2018年6月12日(火)その3251◆度量不足

とどまることを知らないアメリカの校内発砲殺人。
日本では秋葉原無差別殺人が記憶に新しいが、今度は新幹線内で起きた。
        
こうした現象を「天災」ととらえる考え方がある。
社会と折り合ってゆこうとする人種は多数を占めるが、
社会と折り合えない少数の人種が、
気に食わない社会を破壊することでバランスをとろうとする。
どんな時代・地域であってもそうした現象はある種必然であり、
台風や地震などの自然災害の一部として位置づけようとする考え方だ。

人は皆「紙一重」を生きている。
総論としては納得しやすい論理である。
では各論としてはどうか?
見ず知らずの人間に、一方的に命を断たれた人間が、
自分や身内、親しい人々であった場合、
それが対自然ではなく対人間であるがゆえに、
復讐の激情を抑えることは実際極めて難しい。

だが、人類も私も復讐の連鎖の恐ろしさと虚しさをよく知っている。
ならば事件を未然に防ぐ社会整備を進めるよりないという結論は本筋に想える。
かと云って「精神鑑定→無罪」という図式を容認できる人類ほど
私は寛容ではないことを改めて知った。 

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2018年6月11日(月)その3250◆黙とう

「社会が悪いんでしょうかね・・」

新幹線の惨劇に、経理の万理ちゃんがため息をつく。
即答は出来なかったが、それは違うと感じる。
おそらくそれは彼女も同じだろう。

空気を読んだり、空気を創ることを知らない。
ギブ&テイクで社会が成り立つことを知ろうとしない。
挨拶も返事もしない。
そういうタイプの若者に助言すれば逆ギレを喰らう。
例年喰らっちゃいるが、殺されたことはないので、
運がよかったとしておく。
理不尽な凶悪に立ち向かった38歳の善者に黙とう。

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2018年6月10日(日)その3249◆呑み会シーズン

中野サンプラザを巨大ドームに建て替えるか、それとも存続か?
そして新旧交代。
そこらが大きな争点になってる中野区長選に朝イチ投票。
歩いて二分の投票所は、校庭開放してくれる桃花小学校。
いつもは一家総出のイベントも、あいにくのお天気でジェーは欠場。

朝めしは納豆・おでん定食。       
NHK将棋を観てから、パセオでせっせと決算準備。
今週は呑み会が四本集中、年寄りの冷や酒だわ。

(↓)代々木時代、カフェでとなり合わせた老画伯から進呈されたスケッチ。

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2018年6月9日(土)その3248◆おでん日和

ショーブは時の運と云うが、
凛とする菖蒲の立ち姿を運よく眺めることができた。
小石川後楽園から戻り、ジェーにプリンをやっていると、
急におでんが食いたくなって、すぐに買い出しに。
小ぶりで旨そうな里芋の皮をのんびり剥きながら、
ホプキンソン・スミスのリュート(バッハ)にどっぷり浸かる。

今宵は里芋、はす、はんぺん、豚バラブロックがメインで、
ゆで卵、昆布、ちくわぶ、椎茸、こんにゃくなどが協演。
旨そうな匂いに、早くもジェーが浮き足立っている。
夕方の散歩をすませたら、ひとっ風呂浴びて、
塩らっきょとカツオの刺身で晩酌。
ジェーの晩めしタイムにおでんは完成。

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2018年6月9日(土)その3247◆気休め

朝湯あがりのストレッチ。
割れた茶碗をご飯つぶでくっつけるくらいの効用がある。

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2018年6月8日(金)その3246◆菖蒲麗し

あす土曜は、午前中に残務を片づけ小石川後楽園に直行、
あの麗しの菖蒲に再会いたす。
散策の友は、鳴神響一最新作『多田文治郎推理帖その2』にてござる。

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2018年6月4日(月)その3245◆初見世

月刊パセオフラメンコ、
最新号顔見世!

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2018年6月3日(日)その3244◆スーパーギタリスト

本物が浮上してくる時代。
少なくとも、フラメンコはそういうサイクルに入った模様。

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2018年6月28日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.93
エンリケ坂井ソロライヴ

エンリケ 坂井(ギター/カンテ)
南 リオ(ギター)
未定(パルマ)

『ショーシャンクの空に』。エンリケ坂井さんのフラメンコを想う時、あの名画を思い出す。希望の灯を失うことなく、ハンマーひとつで忍耐強くトンネルを掘り続けていくあのイメージ。
 二年前のある夜、ダビ・ラゴスをはじめ、ディエゴ・ゴメス、プラテアオといったスペインの名カンタオールらと膝を突き合わせ、ひとりひとりギターで対峙していった光景を忘れはしない。まさにこのエスペランサの客席で自然発生した濃厚なペーニャ。エンリケさんのギターを待ち望む彼らに寄り添い、スペインの故郷の遺伝子さえ震わせるような包容力のあるギターでその想いに応えていた。フラメンコギターに魅入られスペインに渡った青年は、当時未開のフラメンコに飛び込み、歴史的マエストロたちのアルテを体現し、差別の理不尽をも超え、信頼を育てるに至った。
「時代や環境、個人の感性に違いがあっても、アルテに心血を注いで取り組んできた人であればそれは必ずどこかに表れています。時代と共に変わると言ってもその根底には変えてはいけないもの、これ無くしてはフラメンコと呼べないものがあると私は腹の底から信じています」。エンリケ坂井さんにとってのハンマーは、フラメンコを何よりも愛する想い、そして静かな闘争心なのだ。
「ムイフラメンコでありながら楽しい会になれば。乞う御期待!」
 希少なエンリケ坂井さんのソロライヴ。真にフラメンコを探求する者ならば、エンリケ坂井さんのハンマーと共にフラメンコの深淵を掘り下げてみない手は、無い。

 (月刊パセオフラメンコ2018年6月号~井口由美子)

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2018年6月2日(土)その3243◆平和な土曜

待望の菖蒲は来週にまわし、今日は指圧と残務。
久々にジェーさん出社の予定。
晩めしは白ワインでシチュー、
夜は対談のテープ起こし。
平和なりゃこそ。

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2018年6月1日(金)その3242◆夢の途中

記事企画、人選、原稿依頼、入稿、原稿チェック、デザイン出し、
校正、修正、再校正、印刷、著者進呈、原稿料振込。
まあ、ざっとこんな手順で編集がひと段落する。
短いもので三ヶ月、長いものでは二年のスパン。

朝イチで6月号の原稿料振込が完了し、
炭火焼の珈琲とともに約三分間、ささやかな幸福に浸る。
歳とともに〝完成〟よりも〝プロセス〟に愛着が深まる不思議。
終わることのない『夢の途中』をスーツケースいっぱいに詰め込んだりして。

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コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年05月

2018年05月01日 | しゃちょ日記

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2018年5月31日(木)その3241◆野趣な快感

月末の銀行回りと怒涛の原稿依頼、そして湯上りのビール、
続くぬる燗にさっぱりした肴がほしい。
今朝買った瑞々しい大根を、皮むき器で薄皮にむいてゆく。
長さは8センチ、幅2センチ、厚さは1ミリ弱ほど。
合わせは塩と酢と酒とタカの爪、
そこへ昆布出汁といきてえところだが今日は味の素。

うっ、うめえっ!
パリッと活きのいい大根の野趣な快感がたまんねえ。
制作時間は三分、材料費は60円程度。
ビンボー暇なし江戸っ子にゃあ絶好のアテ。

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2018年5月30日(水)その3240◆大沼由紀ソロライヴ

2018年6月14日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.91
大沼由紀ソロライヴ
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/06/2018614.php#006039

大沼由紀(バイレ)
クーロ・デ・ラ・チクエラ(カンテ)
西容子(カンテ)
山内裕之(ギター)
伊集院史朗(パルマ)

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近年は毎年のようにテアトロ公演を開催する大沼由紀。
テアトロ公演は大変な消耗を伴なうものだから、
どこで踊っても超能力を発揮できる彼女にそこまでの必要はないと
観客サイドは思ったりもするのだが、
大沼由紀の内面に生じた必然性というのは彼女の中では唯一無二の絶対であり、
だからこそ彼女のステージにはこれぞ一期一会!という
重量感と忘れ得ぬ余韻とが伴うのだろう。
               
「例えばボクシングなんかだと、小手先のパンチじゃ効かないけど、
 胴体全体を効かせたパンチなら相手を倒せるでしょ。
 本当は誰でもそのことを知ってる」
ステージ上の大沼の存在感に驚愕し、
その秘密を追及した折の彼女の回答がこれで、
チャラい私は仕事や私事でドジを踏むたんびに、
さらり彼女が云ってのけたこの重たいボディブロウを思い出す。

例年大沼のパセオライヴが終わるころ、彼女のスタジオのある
中野北口のルノアールで数時間討論会(?)をやるのが恒例行事なのだが、
そこでのスリリングな対話からは、一方的に新たな糧を得ることも多い。

「もともと安住したくない人だから、破壊と再生をくり返しています」。
年齢とともに実質を増しながら深化しゆく理由はここにあり、
彼女は休む間もなく自らリスクを引き受け続ける。
有り得ないと考えられていた協演、
鍵田真由美との生と死の二重奏(2015年『infinito~無限』)の耽美なる凄絶などは
日本フラメンコ界至高の伝説となった。
いつでも本気な〝会津の女〟にハズレはない。

 (月刊パセオフラメンコ2018年6月号~小山 雄二)

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2018年5月28日(月)その3239◆ピクニック

表紙と巻頭特集は、9月来日の巨匠カニサレス。
8月号の編集作業(若干増ページ)にメドが立ち、
今日は付随するもろもろ編集事務を片づける。
状況によっては土日連休の可能性も出てきた。
正月以来の大型連休、
お天気と彼の調子次第だが、ご老体同士、
久々に裏の緑道ピクニックもありかもだ。

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2018年5月27日(日)その3238◆ご生還

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「たあっ!」
          
パセオから戻った私に飛び込んでくるジェー。
この一週間ほど体調を崩し、いよいよかと覚悟も決めていたが、
どーやら持ち直したようだ。
歯も抜け耳も遠くなり、すでに肉体年齢は私より熟しているご老体だが、
精神年齢的にはいい勝負と云えるだろう。

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2018年5月27日(土)その3237◆トカゲの尻尾

「いいかい、君には見ず知らずの人々の大切な時間を奪う権利なんてないんだよ、
君だってそんなことされたらイヤだろっ?」

そりゃ誰だって人には優しくしたいが、100%仕事に集中している最中に、
まるで無関係な営業電話が掛かってくると、それも本数が重なると、
やるせない怒りがバクハツする。
おそらくは春の新人研修の一環なんだろうが、
自社の社員教育のためによその会社を疲弊させるやり方には許し難いものがある。
呆れたことに、そのほとんどはよく知られた大会社である。

駄目はダメ。        
そういう理不尽を命令する者も云いなりに従う者も同罪である。
自分の利益のために監督やコーチの云うことなら
どんな悪事もやっちまう構造とまったく一緒で、
そんな組織にしがみつくセンス、
しがみつかせるセンスなど分かりたくもないし、
バカ騒ぎ中の忖度問題も同様。

「無責任上司の云うことなんか鵜呑みにしないで、
 事の善悪は自分で判断しなさい」ガチャ

なんだか最近、むかしのご近所のおぢちゃんおばちゃんみたいになって来た(汗

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2018年5月26日(土)その3236◆日曜はカンテ講座!

さあ、お待ちかね、
あす日曜は石塚隆充カンテ講座!
お題は『カーニャ』である。
タカさんのCD付カンテ教本『カンテ・デ・タカ』第二集は
飛ぶような売れ行きで、第一集はなんと四回目の増版が決まった。 

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講座は13時スタートで90分一本勝負。
場所は編集部の一階のスタジオ・アルソル。
まだ席はあるので、
カンテに初チャレンジされたい方、
フラメンコ界最強イケメンに触れたい方、
善は急げっ!!!
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/05/post_100.php#005916

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2018年5月24日(木)その3235◆天の女王

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女王の貫禄。
今宵の川島桂子ソロライヴは超満員の模様。
ギターはあのエンリケ坂井である。
そう、知ってる人は知っている、きっと何かが起こることを・・・。

開演前に高円寺で「しゃちょ対談」取材。
ゲストはフラメンコファンにはもうお馴染みのあの人気小説家である。
どうしても川島&エンリケの一期一会に立ち会って欲しくて、
茅ヶ崎在住のこの超ご多忙作家を無理くり招いた。

先ほどより準備運動的に『天の女王』を再読中。
この作品、装画はあの大和田いずみさんである。
で、この絵よくみると川島に似てねー?

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2018年5月23日(水)その3234◆謙虚な性格

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「地球じゃなくて、
 宇宙唯一の月刊フラメン専門誌なんじゃないの?」

フラメンコ協会の田代淳事務局長がそう笑う。
だが、この広い宇宙のことだから、例えばM78星雲あたりに、
もうひとつくらいはあるんじゃないかとゆーのが私の考えであり、
こういうところに私の謙虚で繊細で控えめな性格が出てしまうのであった。

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2018年5月22日(火)その3233◆風邪

ふぐ、アワビ、鮎・・・
ゆうべの新入社員歓迎会で風邪を引いた。
おれじゃなくて財布ががが

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2018年5月20日(日)その3232◆おつかれさまでした

同じ歳のモテモテ人気者には嫉妬が生まれるものだ。
そのトホホな感情が、おめえも頑張れやと煽ってくれる。
悪戦苦闘の果てによーやく自分らしき道がぼんやり視えてくる。
嫉妬するヒマもなく道なき道を切り拓くことに熱中する。
何とかなるかもと一息つけたとき、初めて嫉妬の対象に共感を覚える。
ひと皮むけるというのは、そういう時期のことだろう。
そういう循環運動なら悪くないと想う。

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2018年5月19日(土)その3231◆凹み仲間

旧式の感性では理解不能で、感動できない。

ヒョードル(総合格闘技)の全盛期に近い、
目の眩むような強さ。
竜王戦で若手強豪を破り「藤井七段」が誕生した。
棋譜を並べていて鳥肌が立った。
新しい伝統の原型はすでに生まれている。
その衝撃にまだ適応できないでいる私は、
とりあえず今日一日思いきり凹もうと思う。

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2018年5月18日(金)その3230◆識別能力

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新宿ガルロチ、カナーレス&レデスマ夢の協演。
パソコン画面に目をパチクリさせながら、
帰りの遅い人生の相棒(左から三人目)を識別、
ひと声ワンっ!と吠えるジェー。

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2018年5月18日(金)その3229◆川島桂子カンテソロライヴ

 恐ろしく艶のあるのびやかな声が天から降ってきたかと思うと、腹の底にまですうっと溶けこんで私と一体化する。女神の歌声は私の喉のあたりを震わせて腹まで入りこみ、まるで自分も一緒に歌い出してゆくかのような(オコガマシイ)錯覚を起こさせる。
 もう何年も前、当時はまだ少なかったカンテライブに初めて行った。舞台は高円寺の老舗タブラオ、カサ・デ・エスペランサ。マイクを通さない舞台で聴き、涙した川島桂子のアレグリアスは一生忘れることができない財産となって私の裡に色濃く遺っている。私にとっては永遠の歌姫、ディーヴァである。
 その偉大なる女神にこんなことを言うのは気が引けるが、最近この人の歌にはある種独特の人なつっこさがあるんじゃないかと思うようになった。おしゃべりをするときの、はにかんだ少女のような甘い空気、相手をほわっと包んでくれる声の温もりが好きだ。恋の告白のようになったが、この人なつっこさが彼女をフラメンコへと導き、人を守る歌へと広がっていったのではないか。
 前回のパセオライヴで二階バルコニーから響いたサエタは、まさに愛そのものだった。すべてを許される幸せに酔った。歌には本気で人を救う力が在ると知った。彼女のオレ!を聞くと守られていると感じると語った踊り手は誰だったか。踊り手が背中で感じる川島桂子の無限の愛を、カンテソロのライヴでは客席の全員が受け取れるのだ。甘やかされ、抱擁され、弄ばれた挙げ句の怒濤の至福の時間が待っている! 高円寺へ行こう!

(月刊パセオフラメンコ2018年5月号~新田 陽子)

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2018年5月24日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.90
川島桂子カンテソロライヴ
川島桂子(カンテ)
エンリケ坂井(ギター)

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2018年5月18日(金)その3228◆昇格

「一心不乱」
好きなことには寝食忘れて没頭する精神疾患が大人になっても治らない。
さらに、歳を喰うとそこに運動不足も加わるから
「一身腐乱」も夢じゃない!

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2018年5月17日(木)その3227◆良い席&割引!

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招聘元との交渉で「良い席&割引」のパセオ先行予約受付が実現する。

芸術監督アントニオ・ナハーロが創出するその強靱なクオリティに、
いまや世界中が注目する、この十月のスペイン国立バレエ団来日公演。
任期の問題があるから、鬼才ナハーロ&国立バレエの来日ステージを
観ることができるのはこれが最後かも知れないから、
プレ記事もレビュー記事もたっぷり追いかけたい。

さて、パセオ読者のための「良い席&割引」の詳細。
受付期間は一般発売に先立つ5月20日(日)10時~25日(金)18時
☎03-3234-9999(チケットスペース)
「パセオフラメンコを見た」とオペレーターに伝えれば、
それで自動的に良い席と1000円割引(S席とA席)が確定する。
どのみち観逃せない舞台なので、ぜひこのチャンスにいい席確保を!

☆スペイン国立バレエ団 創立40周年記念公演☆
会場はすべて、上野:東京文化会館大ホール
【Aプロ】エリターニャ/マントンのソレア/
     サラサーテのサパテアード/アレント
10月19日(金)19時開演
10月20日(土)13時半
10月20日(土)17時半
10月21日(日)13時半
10月22日(月)13時半
【Bプロ】カンティーニャス・デ・コルドバ/ビバ・ナバーラ/
     ボレロ/セビリア組曲(新バージョン)
10月26日(土)19時開演
10月27日(土)13時半
10月27日(金)17時半
10月28日(土)13時半
【パセオ先行予約割引】
S席=13000円→12000円
A席=11000円→10000円

フラメンコを知らない友だちを誘うならBプロ。
そして、後悔しないための正解は両方ガチ観!

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2018年5月16日(水)その3226◆ファンタジスタ

第一に月刊パセオ締切、
第二に業界をあっためるもろもろ種まき、
第三にその他(全体の約五割)という日常なので、
だいたい休日は「その他」と戯れることになる。
なので、頭をカラにする最大のリフレッシュタイムが〝パセオライヴ〟となる。
そういう無農薬・自給自足の本日は森田志保ソロライヴ、
この畏るべきファンタジスタの舞台で心身を丸洗いし、とことん旨い酒を呑む。

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2018年5月15日(火)その3225◆犬の矜持

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迷いのない潔い眼差し。

「散歩いこーよ」
「なんかくれよ」

どちらかを希求しているが、媚びる風情はない。
理性よりも本能と感性を頼りに、
転んでもメゲることなく、
シンプルに暮らしを楽しむ姿勢は、
わが家のルームメイトによく似ている。

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2018年5月14日(金)その3224◆森田志保ソロライヴ

 あの日エスペランサで、観客は舞台へと移動させられて戸惑いながら開演を待った。午後8時の暗転ののち、正面のバルコニーから両手を差しのべるディエゴの、きらめく光のシャワーのような歌声を全身で受けとめて幸福感に満たされた2015年2月12日パセオフラメンコライヴの扉が開かれた日。vol.001は森田志保。記憶に残るシーンは、いつも素敵な"驚き"で観客を魅了する森田の、もはや伝説となった演出で今回は4度目の登場となる。

 昨年2月、「なぜフラメンコに引きつけられるのか」をテーマに、東京・永福町ソノリウムで、今枝友加、エミリオ・マジャらと映像とライブで3日間4公演を開催した。2014年2月には、写真家の高木由利子が監督した「短編映画GRAVITACION(引力)」を発表している。

 そしてこの6月、石川県・金沢21世紀美術館シアター公演を控えた今回のパセオライヴは、ソノリウムという「点」と金沢という「点」を結ぶ線上の、力を蓄え渦を生む通過地点として位置付けられるという。フラメンコの原風景を探す旅の途中なのだ。

 さて、森田志保は、構成・演出力が突出しているために、ダンサーとして進化し続けている凄さを私たちは時に見過ごしてしまう。それは、存在そのものの大きさや独特の間や醸し出す雰囲気などに圧倒されるという言い訳も成り立つ。けれど、日々の研鑽がなければ、あのソレアも、シギリージャも、グアヒーラも生まれてくるはずはないのは容易に想像できる。消えてゆく一瞬を永遠に脳裏に刻ませてしまう凄さ。そこがまた森田の真骨頂なのだ。

     (月刊パセオフラメンコ2018年5月号~関 範子)

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5月16日(水)20時
パセオフラメンコライヴVol.89
森田志保ソロライヴ

森田志保(バイレ)
今枝友加(カンテ)
エミリオ・マジャ(ギター)
森川拓哉(ヴァイオリン)

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2018年5月13日(日)その3223◆平和な日曜

NHK将棋トーナメント観戦後ジェーと出社し、
パセオ7月号の追い込みとやり残しの実務処理。
ジェーは番犬と昼寝を担当。
早く終われば桃園緑道を散歩。
晩めしはタイムサービスの刺身とサッパリ系ちゃんこ鍋。

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2018年5月12日(土)その3222◆鬼の名曲

最終盤、まさかの鬼手筋「天使の跳躍」で快勝。
           
これで羽生竜王の二勝一敗となった将棋名人戦。
平成ベスト3に入るであろう激戦で、並べていて震えがきた。
フラメンコで云うなら、リカルド&チョコラーテの名盤に匹敵する名局。

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2018年5月12日(土)その3221◆人生の快感

まあ、多少は制約があったほうがもっと面白いなんてことも多々あるけど、
人間やりたいことをやりたいようにやるのが、そりゃ一番うれしく楽しい。

基本の大切さについては、踏み込み始めた瞬間にわかるから問題ない。
才能うんぬんについては、そりゃそういうのも確かにあるだろうけど、
だいたいどんなことでも好きで三十年くらいやり続ければ、
それ自体が〝楽しめる才能〟となるからこれも問題はない。

だから「石の上にも三年」ってのはちょっとインチキ臭くて、
歳をとって実は最終到達点なんか無いなんて事実に気づくと、
日々のプロセスそれ自体の快感を実感できるし、
余分なプレッシャーもなくなるから、腰を据えて楽しむことに
さらに集中できるようになる。

落語(歴57年)、読書(55年)、将棋(49年)、バッハ(48年)、
パコ・デ・ルシア(46年)と趣味の自歴をふり返れば、
月刊パセオフラメンコ(35年)なんてまだまだ新入りヒヨッ子と分かる。
義務でも求道でもない、楽しみの伸びしろがビューンと視えてくるが、
こうした瞬間に唐突にサボることにもまた格別の快感がある。

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2018年5月11日(金)その3220◆誌上個展

「生命力」「美しさ」「深み、もしくは重み」。
このうちどれかひとつ強烈に突出するもの、
あるいはこのうち二つ以上を充たすもの。
それが現パセオフラメンコ編集部の写真選出基準。
パッと見だけじゃなく、幾度も観返したくなる写真。
写真だけじゃなく、ライヴや文章も
そこらへんに着目していることに改めて気づく。
AI革命を目前とする、年寄りならではの暴走である。

秋のスペイン国立バレエ来日公演のオフィシャル・カメラマンが
写真家・大森有起に決まった。
それを伝えるついでの雑談で、パセオ2019年新年号の目玉企画が決まった。
『大森有起の誌上個展』がそれで内容は大森に一任、
通常より16ページ増やしてこれに対応する。
彼がキャッチするフラメンコの躍動感には突出する美しさがある。
やりたいことを存分にやってもらいたい。
おかげで正月の楽しみが増えたわ。

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2018年5月9日(水)その3219◆フラメンコ上達法

フラメンコ上達法。
    
① パセオ熟読
② 七転八倒
③ 下記熟読

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2018年5月8日(火)その3218◆60になったら

 私が50歳になった十年前、60になったら自分のわがままだけで舞台をやろうと決めました。好きなフラメンコは?と考えたら、生き方も含め尊敬しているのがエンリケ坂井さんと三澤勝弘さんだと気づきました。お二人に「60歳になったらご一緒に舞台お願いできますか?」と尋ねるとお二人の答えは
「生きてるかなあ(笑)」    
 そして昨年60歳を目前にエンリケさんにもう一度フラメンコ(カンテ)を習うことにしました。フラメンコ歴45年の還暦、それでもまだまだ知らないことだらけということに気づき、お二人との還暦記念の舞台を私の新たな出発点と決めました・・      
 そんな眞澄さんの話を仲間内の呑み会で聴いた。シギリージャを踊りそして歌う『シギリージャ特集』だという。そりゃ凄いな、ぜひパセオライヴでやってよと、その場で話がまとまった。
「人間復活って云ったら大げさだけど、フラメンコの原点はそこじゃないのか、もともと自分の中に備わっている力をまずは思い出すことからフラメンコは始まるのじゃないかって」    
 AI時代の到来に想いを巡らすとき、そのアンチテーゼとして浮かび上がるキーマンこそが鈴木眞澄である。あるがままの自分をシンプルに見極め、大切なことだけを一生懸けてじっくり磨いてゆく。それが鈴木眞澄のフラメンコ道であり、すでに三十余年、そんな彼女の生きざま人間性に全幅の信頼を置き続ける私は、改めてライヴの抱負を尋ねる。
「素晴らしいアーティストがずらり並ぶパセオライヴですけど、私は敢えて鈴木眞澄発表会です。
     (月刊パセオフラメンコ5月号より~小山雄二)

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2018年5月10日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.88
鈴木眞澄ソロライヴ
鈴木眞澄(バイレ/カンテ)
エンリケ坂井(ギター/カンテ)
三枝雄輔(パルマ)
三枝麻衣(パルマ)
鈴木英夫(特別出演)

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2018年5月6日(日)その3218◆犬も歩けば

来年の話をすると鬼が笑うが、
再来年の話なら福が訪れるという。(うそ)
昨日今日で、そういうパセオ新連載の万歳プロジェクトが決まり、
今月末にはその準備が勢いよくスタートする。
しくじりも多いが、動いてナンボだと毎日想う。

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2018年5月5日(土)その3219◆学習とは

連発する北朝鮮の〝鬼手〟には後のない凄味とユーモア(卓球とか)がある。
獰猛で小狡いアメリカの次の一手は?
韓国は朱子学の腹黒いハラを決め、中国は静かに〝漁夫の利〟を狙う。
そしてロシアは?
丁半博打で云うなら日本は〝ケン(じっと様子見)〟に徹すべき時期・・・
みたいな実践的授業だったら、〝人類の業〟についてもう一度中学で学んで、
大人の世界でちっとは改善したい。

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2018年5月4日(金)その3218◆棲み分け

十代半ばから二十代後半までは主に勝負師系、
それ以降は主にフラメンコな人たちと親しくツルんできた。
彼ら同様、一般的な会社員としての経験は皆無であり、
うそ社長としての経験(38年)だけは売るほどある。

あぶれ者の宿命というか、ここらが私の欠陥の源だが、好きな仕事を続けるためには、
まるで不向きな社長業の道以外なかったこともまた現実だった。
まあしかし立場はどうあれ、好きな仕事で暮らしてゆくことは、
どんな時代・境遇にもカラっと明るく腹をくくって手間ヒマ惜しまず働き、
そんな積み上げのプロセスに米と充実と仲間と次なる希望を得ることであり、
いま流行の働き方改革の議論とはほとんど無縁のように感じる。

どのみち死ぬのだということも知らず、
〝楽すること〟ではなく〝楽しむこと〟に迷わず集中する
彼のシンプルな生態に触れてると、なおさらそう想える。
闘争ではなく労使双方「いかに棲み分けるか」の問題。

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2018年5月3日(木)その3217◆方程式

実は3・4・5の三連休を目論んでいたのだが、
昨年末からの仕事してえ病が猛威をふるい連チャン出社となった。
「そこに山があるから」。
いまはその感じがよくわかる。
「たいへん=面白い」という懸案の方程式も、
あともうちょいで解けるかもしれないという錯覚。
じじいの狂い咲きとはこのことかい。

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2018年5月3日(木)その3216◆あしたのハムレット

代々木カデーナか、
中野パセオ編集部か、
それとも家で留守番か?

明日金曜の勤務地を問われ、
ハムレット状態となるベテランプロ番犬。
さあジェー、明日はどっちだっ?!
          (〝あしたのジェー〟より)

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2018年5月2日(水)その3215◆追跡

「あんた刑事さんやろ。面子が足りんので、
 ちょっとだけマージャン付き合ってくれんか」

逃亡犯を追ってこの島に来た私は、そこで自分が刑事であることを知る。
情報収集を条件にマージャンに加わり、山の頂上の森に逃亡犯が潜むことを知る。
山頂には部屋の真ん中にある階段を登って行けば到達するのだという。
その階段は各階の民家を貫いており、島民たちの暮らしぶりが丸見えである。

ずいぶん昔に別れた最初の女房が知らない男とイチャついていたり、
いきなり後ろからキン〇マをつかむオバちゃんがいたり、
大広間の台所で肉まん作りを手伝わされたりで、当初の目的がぼやけてくる。

それでも何とか階段を登って行くと、天窓にぶつかる。
難なく開けて、首を出して周囲を見渡すと、話に聞いた森はそこになく、
閑散とした海水浴場が広がっている。
おでんの屋台を見つけ、旨そうなはんぺんとちくわぶとぬる燗を頼む。
とりあえず呑もうと思った瞬間、目が覚める。
久々の長夢は筒井康隆風であり、けっこう楽しめたが、
まったく意味は不明である。

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2018年5月1日(火)その3214◆邂逅

 

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フラメンコを愛し、
実際のフラメンコ界を知る者にとって、
このライヴの意味は強烈である。
参加者はすべて、フラメンコ史の生き証人となる。

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コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年04月

2018年03月01日 | しゃちょ日記

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2018年4月30日(月)その3213◆プロの自主練

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『プロの自主練』。
          
スリリングな夢から覚めた瞬間に閃いた企画。
試しに早速ジェーの雇用主に打診してみると、
十日ばかり時間がほしいと云う。
云ってみれば企業秘密の公開だから交渉は難航すると思っていたが、
ボツなら書き直すからと先ほど原稿を寄こした。
          
うん、初回はこれで行けるという内容。
デザインを起こしたら、それをサンプルに、
さしあたり一年分の執筆者たちに依頼をかける段取り。
早けりゃ8月号から連載スタート。

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2018年4月29日(日)その3212◆干され中

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あまりの唯我独尊ぶりに、
代々木の勤務先で干され中のジェー。
だが、なぜかご満悦の表情だ。
どこまでもミステリアスな男である。

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2018年4月28日(土)その3211◆禁書

禁煙
禁セクハラ
働き方改革
 
世の動向は、私を立派に更生させる勢いだ。
そのうち禁酒法も整備されるだろう。
本能を活性化させるという理由でフラメンコもターゲットになり得る。
理性を活性化させるという理由でバッハも禁止か。
だんだんとオーウェル先生描く理想郷が実現しつつある。
監視と密告のユートピア。
となれば当然、パセオは禁書だな。
その栄光の日まで出し続けたくなってきた。

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2018年4月28日(土)その3210◆謎ニモマケズ

うららかな土曜の朝湯。
連れ合い推奨の指圧院で疲れをひっこ抜いたら、
散歩がてらジェーとパセオへ。
感動の渡部ライヴの忘備録執筆と来年パセオライヴの仕込み。
そのあと北口ブロードウェイ市場で肴の買い出し。
晩めしは味噌漬ポーク焼き、ベーコン野菜スープの構想。
今宵のお楽しみは人気急上昇中、鳴神響一さんの新刊
『名探偵・宮沢賢治~謎ニモマケズ』。

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2018年4月26日(木)その3209◆注目◎の人

大入り満員、渡部純子ソロライヴ!
今晩20時、高円寺エスペランサ。
注目◎の人だけに、さすがに関係者も多数詰め掛ける。
フロントは歌って踊るパセオ新入社員、
パセオ忘備録執筆は、、あれ、えーと、誰だっけ?
忘備録掲示板調べてみると・・・おれだった(汗)

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2018年4月24日(火)その3208◆3秒フラット

水曜晩の右京さん『相棒』は長期休養中であり、
曜日感覚がかなり怪しくなっており、日曜午前のNHK将棋だけが頼りだ。
五十年来の習慣で、終盤の秒読みシーンになると、
その日が日曜であることをようやく自覚する。

持ち時間を使い果たすと一手1分の将棋、NHKのような30秒将棋、
他に初手から10秒将棋、3秒将棋なんてのもある。
勝てば焼肉・タクシー、負ければスッカラカンで二時間くらいは歩いて帰る、
みたいなフツーに勤勉な高校一年生だったから、
瞬間の決断力はあの頃ずいぶん鍛えられたはずだし、
父の介護もパセオ創刊も結婚も3秒フラットで決めた。

だが近ごろはそうした直観力もずいぶん怪しくなってて、
何か問題が起きたら犯人はこのおれだと決めてかかる直観が、
問題解決の最短距離となりつつある。      

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2018年4月24日(火)その3207◆蒼ざめた馬

永い間、アバウトな感覚だけで生きてきたことへの反動だろう。
詰将棋に近い感覚で、交渉ごとを直接会話やメールで進めるマイブーム。

5対5のギブ&テイク、もしくはウィンウィンが正解であり、
それを詰め上がりの正解とする。
勝利を正解とする将棋と、双方の幸福を正解とする世渡りとではそこが大きく違うが、
目的からの逆算で手段・行動を詰めるという点ではほとんど一緒だ。
そういう明快な方向性は、元旦から始めた「毎晩一局、藤井将棋を並べる」ことの
成果かもしれないが、意外にもマイナスは大きい。

ギブ&テイクなど鼻にもかけない独善主からの交渉を、
そりゃお話になりませんねと、こちらから一方的に話を打ち切ってしまう。
ややあってそれも驕りと怠慢だと気付き、そのアホさ加減に蒼ざめる。
そう簡単に藤井将棋には迫れない、にわか猿知恵の祟り。
二月に一回、四月に一回、馬鹿は死ななきゃ治らない。
なに様ですかいと、我が蒼ざめた馬に問う。

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2018年4月22日(日)その3206◆日帰り

驚きの12時間爆睡。
身体が生き返った感触。
指圧が効きはじめ、
眼医者や歯医者の治療も終わった。
いよいよ歯医者復活戦その第二回戦進出の勢いだ。

だがジェーは悲嘆に暮れている。
とうとう連れ合いが実家(新潟)に帰ってしまったのだ。
何時戻るか分からないが、用事済ませて今晩中には戻るとのこと。

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2018年4月21日(土)その3205◆やっぱしね

いい天気だ。
ジェーをお供に今日はパセオで原稿整理。
戻ったら買い出しと晩メシの仕込み。
PCを開くと昔懐かしいベッピンさんからメール。
読んでみると何やら怪しい物販勧誘。
おれも捨てたもんじゃねーなと一瞬ニヤけたが、
やはり、おれも捨てたもんだった。

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2018年4月20日(金)その3204◆渡部純子ソロライヴ

セクハラ記事でとっ捕まる可能性(汗

2018年4月26日(木)20時 高円寺エスペランサ
パセオフラメンコライヴVol.87
渡部 純子ソロライヴ

渡部 純子(バイレ)
栁 法枝(クラシコ エスパニョール)
ミゲル・デ・バダホス(カンテ)
ペペ・マジャ・マローテ(ギター)
三木重人(ヴァイオリン)

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 おおっ、明日は渡部純子のバイレライヴだっ! こう気づく瞬間、明朝遠足に出掛ける小学生の嬉し楽しい心持ちになる。とても美しい女性だからというのもひとつの理由だろうが、皆さんご存知の通りフラメンコというのは綺麗なだけではどうにもならないジャンルであり、八割方の理由は別にある。それは永年本場スペイン・バルセロナの老舗タブラオでトップを張ったプロフェッショナルな至芸そのもの、そしてそれらを日夜生産する柔軟にして逞しい矜持である。
「フラメンコは踊りでもないし音楽でもない、フラメンコはフラメンコ」なのだと、師である佐藤佑子、そしてエンリケ坂井の信念を継承するスタンスは、現代フラメンコシーンにあってむしろ新鮮な歓びとパワーを呼び醒ます。媚びるところの一切ない潔い男前のフラメンコは、上質なエロスと女性的な魅力に充ちあふれている。
 オンとオフの差は「ジキルとハイドです」と笑う彼女だが、何げないコミュニケーションを重視する普段の姿勢と、ステージ上で凛として輝く姿がわずかな狂いもなくまぶしく重なる。何処へでも飛んでゆける瞬発力を内蔵しながら力を抜く。本番は"ゴールキーパー"のイメージで臨むと聞き、大いに腑に落ちたものだ。
 オープニングから全身全霊で飛ばしてくる渡部のスタミナを心配するフリしながら、実は12ラウンド目いっぱい打ち合って、最終ラウンド終了間際、いつものように鮮やかにKO勝ちで飾る彼女のフラメンコをぞくぞくしながら期待してしまうおれってやっぱりサドなのかって想う。
 (月刊パセオフラメンコ2018年4月号より/小山雄二)

電話予約 ◇
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約 ◇ selva@tablaoesperanza.com

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2018年4月19日(木)その3203◆基礎工事

あす金曜晩はパセオ講座『カンテフラメンコ奥の細道』。

フラメンコの使徒・エンリケ坂井師による、
しみじみと心洗われる上質レクチャー。
現代フラメンコに脈々と引き継がれる古典のインスピレーションと粋。
聴いて歌って、歌って聴いて、そのルーツの情景を味わい尽くす。

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/04/626_1.php#005931

「そのことはバイレ上達に関係あるのか?」
いや、関係というより、深層心理の基礎工事に近いのではないか。
おそらくは、無意識の最深部を育くみ、揺るぎない動作の品格を高める源泉。

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なんてことを前にも書いたが、同じことを書きたくなってしまう。
パセオの新人ライターしの(凌木智里)はこのレクチャーの常連なのだが、
こないだ初めて彼女のバイレ(←ストロング系)を観て、
なるほど合点がいった。

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2018年4月18日(水)その3202◆有子の楽しみ

今宵は待望の屋良有子ソロライヴ。
ほぼ一年ぶりに有子の成長・深化を楽しむ。
ギターはエミリオ、カンテはミゲル、パルマは雄輔。
パセオ忘備録はさとうみちこ、フロントは御子柴明子、雑用係はおれ。

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2018年4月17日(火)その3201◆中野たそがれ

「そっちもそーか?」
「えーーーっ、そっちもかあ」

まあ、そんなやりとりが老境の同世代というものなのだろう。
いい呑み屋を見つけたから中野まで出てこいと云うと、
現役バリバリ多忙をかき分けそのひと月後に奴はやって来た。
お互い血の気の多いほうだったから、
互いに気負いとアクの抜けたソフト化に驚き合っている。

立場の違いで三十・四十代にはよくぶつかり合った仲だが、
もともとウマが合うと云うか、根っこに近いものがある。
永い歳月が淘汰した、遠慮も建前もいらない
楽チン気ままな熱燗がしっくり沁みてくる。
なるほど、これが虚勢も装飾も要らぬ本音酒というものか。
相手や自分を鼓舞するような酒が多かったが、
ああ、もうこれでいいんだと、
寂しいような、しみじみ安堵するようなフシギな黄昏感。

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2018年4月16日(月)その3200◆強運やら悪運やら

「フラメンコに専門誌が無いなんて、おかしいだろ?」
「じゃあ、おまえが出せばいいだろ、人のせいにすんな」

1984年春、親しい音楽仲間たちとの呑み会。
愚痴を犯罪と考える連中だから言葉はきつい。
グーの音も出ない、シンプルな正論だった。
28歳、いま想えばそれが人生最大の転機だった。
グチ多き私はその日を境に、グチを止め提案する人になった。
生命保険を担保に借金をし、
とりあえずフラメンコの専門誌を三年続けることに決め、
その夏パセオを創刊した。

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パコ・デ・ルシアに代表されるフラメンコそれ自体、
とてつもないパワーを内包していることは当時から薄々感じていたが、
実際それは私の愚痴癖をピタリ止めさせた。
そのことの恩恵が強運やら悪運やらを引き寄せ、
まさかの創刊35年目を生きている。
かつての私のようにグチ多き人はたくさんいるが、
取っ組み合い覚悟で私を諌めた旧友たちに報いるべく、
相変わらずのワンパターンを押し通す。

「グチは聞かねーけど、おもろい提案なら一緒に汗かくよ」

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2018年4月15日(日)その3199◆同伴出社

土日連チャンで同伴出社。
連れ合いのスタジオがセカンドハウスなら、
パセオ編集室はサードハウス。
寝っ転がって校正してると、背中に乗っかり爆睡する。
終わったら、緑道沿いのカフェでチーズケーキのお約束。

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2018年4月14日(土)その3198◆屋良有子ソロライヴ

2018年4月18日(水)20時
パセオフラメンコライヴ Vol.86
屋良有子ライヴ

屋良有子(バイレ)
ミゲル・デ・バダホス(カンテ)
エミリオ・マジャ(ギター)
三枝雄輔(パルマ)
         
 あの目に射抜かれたいと思わない? フラメンコの世界で唯一無二の人・屋良有子。強い軸から生えたブラソは目にも留まらぬ速さで宙を切って残される軌跡、独楽のように正確なプエルタ・ケブラータ、心静かにここぞと刻むサパテアード。どんなに踊ろうが乱れぬぶれない体には、ぶれない精神が宿っている。
 有子さんの美しさは仏像に通ずるものがあると思っている。たとえれば、三十三間堂の千体千手観音立像。そっと目を開き、九百九十九体を残し抜け出して踊る。抱えているのは宇宙のありとあらゆるものに全幅の信頼を置く奉謝の気持ち。千の手には千の目があり、目は「知」の象徴と聞けば、そのオーラも納得する。
 強い眼差しは、けれど、時おりあやしく光る気がする。あやしさや色っぽさという言葉に「崇高な」という冠をかぶせたくなる数少ない人のひとりと思う。そのあやしさが、また、素敵だ。
 有子さんから、「"いま何をやってみたいか"と自問して、毎回答えを出してきました。大勢のアーティストを呼んだり、違うジャンルの音楽を取り入れたり、演出・構成を考えたり。その時の私に必要なことに挑戦してきたと思います。"ではいま何をやってみたいか"、フラメンコを踊りたい。ただただシンプルに。でも真正面から。少し怖くて、、、とっても楽しみです! ぜひ観にいらしてくださいネ」と手紙が届く。
 エミリオ、ミゲル、雄輔をバックにパセオライヴならではのギュッと詰まった70分。屋良有子の魅力に酔いたい。

 (月刊パセオフラメンコ2018年4月号より/関 範子) 

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2018年4月13日(金)その3197◆親孝行

東京下町・人形町育ち、画家志望だったが当時の慣いで12歳で奉公に出た父。
生涯仕事(紳士服仕立て)とクラシック音楽を愛した内気で温厚な働き者だった。
人さまのお役に立つことが生き甲斐だった駒込育ちの母。
まぢ下手だったがTBSラジオの民謡選手権に出場し、
あれよあれよと予選を勝ち抜き度胸と愛嬌だけで優勝した。

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我がまま放題の末っ子が、親の有り難みに気づいたのは十代後半働き盛りのころだが、
どちらの長所・短所も濃淡織り交ぜながら引き継いでいることに気づいたのは
ずっとあとのこと。遺産も負債も皆無で、
目減りしない暮らしの元手(仕事好き音楽好き)だけを遺してくれた。

明日4/14、63歳。
誕生日は気重なものだが、父の享年と並べることをちょっとだけ親孝行としておこう。
明日土曜は宵からご近所でかれこれ二十年つづく連れ合い主催の残念会。
短い首を長くして留守番ジェーは折り詰めを待つ。
本日13日の金曜日、机上は編集整理の海と嵐。
とりあえず今日一日、死なない程度にがんばろう。

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2018年4月10日(火)その3196◆粋で律儀で

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明晩の石塚隆充パセオソロライブ、
ギター伴奏は石井奏碧。
で、例によってプログラムのフライング発表だが、
なんと『CANTE DE TAKA』(CD付カンテ教本の第一集)
を掲載順に十曲歌うという。
明日はその第二集の発売記念ライヴでもあるわけだが、
律儀なタカミツらしい粋なアイデアだよね。

1. Soleáres
2. Alegrías
3. Tientos
4. Bulerías de Jerez
5. Siguiriya
6. Malagueña
7. Tangos
8. Sevillanas
9. Tarantos
10.Martinete
     
座席予約は絶賛受付中!
中盤あたりから、何かが降りてくる予感!
    
2018年4月12日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.85
石塚隆充カンテソロライヴ
電話予約 ◇
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約 ◇ selva@tablaoesperanza.com

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2018年4月11日(水)その3195◆リトマス効果

重たく逞しい憂愁はマルティネーテに似ている。

心のリトマス試験紙。
バッハ無伴奏チェロにはそんな機能もある。
寝不足の今朝は、やや酸っぱく弱酸性。
ややアルカリ(苦い)っぽい、
ケラスの冷静な推進力に引っぱってもらおう。

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2018年4月10日(火)そ3194の◆永い目

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戒律に飽き、仕事を怠け東京中を彷徨い歩いたころ。
三年歩いて気が済んだ。
いまのバランスはあの頃の恩恵だろう。
バランスは本能に聴け、とゆーことか。

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2018年4月9日(月)その3193◆石塚隆充ライヴ

発売同時にバカ売れ中!となったタカミツ先生のカンテ教本その第二弾!
CD付で2,500円は安すぎるが、今回も普及を取りますた。
その出版記念のパセオライヴは今週木曜で、もちろんサイン会付き。
まだいい席あるのでご予約はこちらまでどーぞ(↓)。

2018年4月12日(木)20時
パセオフラメンコライヴVol.85
石塚隆充カンテソロライヴ
電話予約 ◇
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約 ◇ selva@tablaoesperanza.com

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「心の核は"無"に近いです。それは僕にとって、自由と解放を意味します。無とは、いかなるものからの束縛もない状態であり、同時に、いかなるものにもなり得る状態なんです」
 フラメンコはもとより、ラテン、ジャズ、ポップスと多才に歌い、親密なライヴであろうと大劇場でのミュージカルやオペラの舞台であろうと自然体で闘い続け、その存在感を刻みつける石塚隆充。その「核」に在るものは?という問いに、彼はそう答えた。
 様々なジャンルのミュージシャンと共演を重ねてきて、石塚は自らの心境の変化に気付いたという。純粋なフラメンコを歌うときは常に厳しい「自分との勝負」である一方、他ジャンルとの共演で意識が強まってきたことは「聴き手の存在」であり、何かを感じてもらい、その感じたものを持ち帰ってほしいという願い。その祈りにも似た想いこそが、石塚の真髄であり、それは"優しさ"なのだ。何でも歌いこなせるように見えて石塚は決して器用なタイプではない。「歌うことが好き」という彼の言葉の奥には、心を無にして一曲一曲の歌に込められた想いを受け止めようとする深い懐がある。ニュートラルな状態で歌の世界に染まり、素直に解放することで、その光景は温もりを帯びて聴く者の胸に届く。
「僕のステージが、未知なる新たな音楽と出逢うきっかけになれば、こんなに幸せなことはありません」 
 真摯に歌う合間のシャイな破顔一笑を想い出す。クールなカンタオールに宿る優しさに、また触れにゆきたい。
     (パセオフラメンコ2018年4月号より~井口由美子)

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2018年4月7日(土)その3192◆先喰い

午前中に仕事を済ませて遠出のつもりだったが、
ふと思い直して整体⇒パセオコースに変更。
今年は梅はパス、桜も数時間だったので、
せっせとスケジュールを先喰いして時を作る。
藤(亀戸天神)とつつじ(根津神社)と菖蒲(小石川後楽園)がやたら恋しい。

昨晩からのお約束でジェーも出社。
午後はどっぷりカマロン特集だな。
晩メシはおめえさんが泣いて喜ぶ、おでんに炊き込みご飯。
きのう仕入れた極上アジの干物もちょっとだけあげよう!

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2018年4月6日(金)その3191◆いよいよ

「シンプルな粋」。
そこが再注目される時代はもう来ないのかと想っていたが、
どーしてどーしてすでに来ていたことを、
昨晩の新宿ガルロチのペペ・トーレスに対する、
詰めかけた関係者多数の一様の反応で知った。
技術の進化と内実の深化とが、うまく噛み合わない時期は
意外と長かったから、正直救われる気分だ。
こうした傾向はこの先三年くらいで浸透する気配がある。
フラメンコの自浄性にびっくりしている。
2020年あたりの協会新人公演で、
そうしたバランス感覚が顕著になることを予測しておこう。
昨今の国際情勢と相反するところが頼もしい。

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2018年4月5日(木)その3190◆刷り上がり

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早くも刷り上がってきたパセオ5月号。
文化庁芸術祭大賞に輝く石井智子(川島浩之撮影)を
冷静に分析賞賛する若林作絵の巻頭一文が秀逸。
続く、味わい深いカプージョ(アントニオ・ペレス撮影)、
ドキリとする森田志保の見開き(大森有起撮影)。
ラスト近く、踊る喋り屋〝しの〟とよらんだ漫画に爆笑。
苦肉の埋め草〝しゃちょ日記〟は入れるんじゃなかった。
日々好日、日々反省。
        
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2018年4月4日(水)その3189◆三人会

明晩は四季の三人会。

ギターつながりで知り合った頃、
チコさん(プリメラギター社社長)は34歳、
林さん(カニサレスモデルや沖仁モデルのSIE社長)は32歳、
駆け出しプロモーターの私は24歳だったからみんな若かったし、
当時から世代を超えて妙にウマが合った。

あれから38年経過したわけだが、毎度まいど集まるなり
懐かしい昭和の昔にすこんとタイムスリップする。
皆生来のわがまま者だが、私の存在が霞んでしまうほど
お二人の先輩には筋金入りの迫力がある。
まあそれでも、云いたいことを云い合って、
それでもケンカにならない関係は悪くないと想う。

呑み会の勘定はワリ勘ではなく順番の持ち回りルール。
今回は私が幹事長なので、なんぼ呑んでも三千円みたいな
美女揃いの高級クラブで開催したかったが、
新宿ガルロチに行きたいという林さんのわがままに押し切られた。
「最年少者は幹事長職を辞退できる」という
後輩に優しい法案を今度こそ通してみたいものだ。

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2018年4月3日(火)その3188◆反動

メール返信が大小三十本ばかり溜まってしまった。
ムチャぶり多し。
普段の行ないの反動である。
今日は朝から晩まで渾身の返信。
ボックスを空にしたら、仕事してよしっ!

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2018年4月2日(月)その3187◆ポテンシャル

スタジオ番犬歴は十五年。
経理・総務の経験はない。
新しい仕事がしたい気持ちはわかる。
営業は向いてるかもしれない。
        
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2018年4月1日(日)その3186◆ケア

あれよあれよの四月。
三年先のインフラと一年先のスケジューリング、
それと毎月の締切とを粛々とこなしていたら、
半年ばかり放っておいた身体が悲鳴を上げはじめた。
ここらでちょっと抜くかと、6月号追い込みの合間をぬって、
きのうは眼科と歯科と整髪に出かけ、今日は整体とコンタクト新装。
どれも家から三分以内で行けるので、ほどよい休憩の気分で身を任せる。
待ち時間は久々の藤沢周平にどっぷり浸かって英気を養う。
生きてるだけで丸儲け、という先人たちの英知が春の青空から降ってくる。
        
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コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年03月

2018年03月01日 | しゃちょ日記



 

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2018年3月31日(土)その3185◆だからリアル

もとはスペインで生まれたダンス音楽。
エロすぎて演奏禁止を喰らったこともある。
「シャコンヌ」。
バスク語の chocuna (ひどい)が語源 (汗)
決定版を創ったのはバッハ。

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テーマは低音部のメロディ。
そのリピート上に三十ほどの変奏を載せる。
ひとつの本質から生まれるさまざまな顔。
 天使と悪魔。
 激情と安堵。
 刹那と求道。
だからリアルで、まるで暮らしの参考書のよう。

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2018年3月30日(金)その3184◆自我爺さん

「Paseo編集長、新作ありがとうございます!
 相変わらず素人でも面白い絶妙な編集ですね
 面白かったです」

パセオライヴにも出没する
上原時代の呑み友Yukaちゃんからメール。
はみ出る色気と癒しの美人さんだが、
さすがにおだてのツボを心得てやがる(笑
まあしかし、ボコボコにされるのを常とする編集長稼業ゆえ、
月に一度はマッカランで自画自賛(自我爺さん)

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2018年3月30日(火)その3183◆メソポタミアの昔から

過度に内罰的、そのくせ責任回避したい。
自分以外の何かに原因や救いを求める病。

現場の鬼にしてパセオライター、石井拓人は現代の若者の傾向をそう読む。
なるほど納得の分析であり、ここ数十年、
つい最近まで(そしてこれからも)驚きと落胆の連続だった。
とは云え、若い私だって安穏とそこにハマった時期もあるわけで、
親や周囲もそういう頼りないモヤシ野郎を憐れんでいたに違いない。
だからこそ今、力なく笑いながらも、どーやら立ち直ることもできるのだろう。
「今どきの若者はなっちゃいねえ」
これはメソポタミアの昔からの伝統である。

不安は前進の糧だ、やり尽くしてから考えろ。
一心不乱の父は、シンプルな楽天性。
唯我独尊の母は、壁を作らないバランス調整力。
とまあ、不滅の名盤『シロコ』冒頭のタンゴがそう響く。

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2018年3月29日(木)その3182◆今宵はマリア

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今宵はマリア・パヘス。
近ごろの渋谷は鬼門だが、オーチャードだけは別もの。
パセオ忘備録(8月号)は白井盛雄と関範子が担当。
編集部新人Ricoも2018マイベスト座談会に向け初取材。
人気連載つれづれメンコの取材(6月号)で写真家大森有起も入る。
これから夕方まで6月号汗だくの追い込み。
終演後は来年度の重要企画会議という名の呑み会。
帰宅後は3/22藤井六段VS糸谷八段戦、三度目の徹底検証。
   
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2018年3月28日(水)その3181◆間違い探し

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日曜のNHK将棋トーナメントの決勝戦。
ジェーも私もテレビの画面もまったく動かないことに驚く連れ合い。
間違い探しですか?と突っ込むまにさん。
            
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2018年3月27日(火)その3180◆無いほうがいいもの

頼りになるデザイナーが精魂込めて仕上げてくれたレイアウト刷りをズラリ床に並べ、
この段階でページの並びを最終的に決める。
オールカラーに踏み切ったことでそういう自由度が増し、
マーケティングから割り出す予定の代割が大幅に変わることもある。
結論と決断、自由と責任、もう後戻りは出来ない、
センスのみが頼りのアナログ編集長冥利に尽きる瞬間だ。

ここはもっといい写真じゃないとな、
ここはもっと面白い文章じゃないとな・・と次々に欲が湧いてくる。
そのイメージが次号からのクオリティを高めてくれるから、
安い原稿料のわりに協働スタッフへの要求も高まってくる。
これは無いほうがいいなと感じるのはおおむね私の原稿であり、
一刻も早く全体のレベルを高めることで、
こうした汚点を早期撲滅する必要がある。

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2018年3月26日(月)その3179◆それがゆえに

あらゆる宗教から距離を置くようになったのは、
育った時代に拠るところも大きい。
もちろん共産主義や儒教などもその例外ではない。
1970年代に思春期を迎えた世代というのは、
そこそこ世界の宗教史の裏側を学んでいるし、
それらの布教現場の現実も嫌やというほど知っている。
そうした反動から哲学やらアートに流れたことはともかく、
世代的にはやはりラッキーだったと想える。
漂流先がフラメンコだったことは意外だったが、
今はそれが数少ない必然だったようにも思える。
挑戦と融合。
フラメンコは大いに本能的だが、
それがゆえに戦争を避ける知恵を内包している。

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2018年3月25日(日)その3178◆嵐の前の静けさ

花見帰りのオープンカフェ。
スイーツにがっつく寸前のジェー。

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2018年3月25日(日)その3177◆だから

深い味わい。

その人だけの魅力。
踏み込んだがゆえの困難、
その泥沼から探りあてたその人だけの真実。
行為と思索の積み重ねだけが生む、信頼に値する美しさ。
その熟成には永い葛藤を要する。
それらはしばしば普遍性を帯び、
人々に安堵と勇気を与えもするが、
すでに本人はあまり意識していない。
だからパセオを創る。

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2018年3月25日(日)その3176◆花見

きのうはパセオで番犬、今日は一家で遠足。
朝から絶好調のジェー。
朝湯で新聞を読んでたら、早く行こーぜと迎えに来る。
連れ合いは自主練に出かけた。
ケーコはケーコ好きなのである。
戻ったら、皆してご近所新井薬師の桜だ。
元旦以来の全休なので、全身脱力でのんびり暮らす穏やかな日曜日。

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2018年3月24日(土)その3175◆三日見ぬまの桜かな

各員万障乗り越え、あす日曜は一家総出で花見。
今年が最後だと云い聞かせつ、一方で塩分控えめの暮らし。
切腹を前に煙草を勧められ、いや身体に悪いから結構、
と断った故事を想い出す。

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2018年3月21日(水)その3174◆見よう見マネ

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なんとかしちゃう奴。
男でも女でも中性でも、先輩でも後輩でも同期でも、
そういう人間とつるむことが多いのは、
観ていて爽快であり、かつラクチンだからだろう。
元来ヘコタレ野郎の私も、やはりそう在りたいから、
見よう見マネでこの半世紀ほどそうやってる。
詰まるところ、これが一番疲れない暮らし方であり、
そんな意味でフラメンコはもってこいの場だった。

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2018年3月20日(火)その3173◆髙野美智子ソロライヴ

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高円寺エスペランサ、ともに20時スタート。
明日日水曜は松下幸恵(Vol.83)、
明後日あさって木曜は髙野美智子(Vol.84)が登場するパセオライヴ。
二日連チャンはシリーズ開始以来はじめてのこと。
高野は私の熱望にチャレンジしてくれると云う。
熱望とはどちらにとってもプレッシャーと知る(汗)。
パセオ忘備録執筆は井口由美子。

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2018年3月19日(月)その3172◆松下幸恵ソロライヴ

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あさって水曜パセオライヴは名古屋のマエストラ松下幸恵が初登場!
高円寺エスペランサ20時スタート。(フライヤーの19時半は開場時間)
協演はカンテのマヌエル・デ・ラ・マレーナ、
ギターの鈴木尚と俵英三、パルマに井山直子。
座席指定は予約開始翌日にソールドアウト。
以降の立見予約もパンパン状態。
パセオ公演忘備録担当は若林作絵。
気合い入るわあ。

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2018年3月17日(土)その3171◆かぼちゃプリン

「天気はいいけど寒いよ」

起き抜けに連れ合いが云う。
陽射しが書斎を直射して心地よい。
ユーミン『春よ、来い』が聞こえてくるようだ。

 春よ 遠き春よ 瞼閉じればそこに
 愛をくれし君の なつかしき声がする

お出かけ日和だが、連れ合いは生徒たちのライヴ本番、
私はパセオで記事書きなので、ジェーも出社で番犬、ご褒美はかぼちゃプリンだ。
晩めしもおめえの好物ちゃんこ鍋だから、今日もさわやかに張りきって行こーぜ!

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2018年3月16日(金)その3170◆35年目

編集長復帰号(4月号)の発送もすみ、5月号も校了し、
間髪入れず6~7月号の編集整理に入る。
本業もあるので今は時を稼ぎたい。
ページを減らしたが、Since1984、創刊35年目にして
ようやく念願のオールカラー印刷。
新企画をもりもり潜行させながら、来年新年号には増ページのメドも立った。

せっせと両面コピー手作り製本している29歳のおれに
こいつを見せて活を入れてやりたいが、あいにくタイムマシンは故障中。
まあ、欠陥だらけだがあきらめない奴なので、きっと何とかするのだろう。

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2018年3月16日(金)その3169◆節約

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寒い朝はパールマンであっためる。
暖房費の節約。
つま先まであったまる。
だがジェーはふかふか布団の中。
          
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2018年3月15日(木)その3168◆口説き文句

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「自分の欠陥に邪魔されない仕事に打ち込めばいい。
 できないことを悔やむには及ばない」

今朝の東京新聞で、ホーキング博士のこんな矜持を知った。
博士の功績に畏れながらも、欠陥とコンプレックスのデパートのごとき私は、
ド共感で胸がいっぱいになった。
また、博士はこんなことも云っているのだが、これは編集長復帰以来、
お仲間たちを口説くのに汎用する私の定番文句でもある。

「どのみち死ぬんだから、多少は善いことを」

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2018年3月15日(木)その3167◆安全ベルト

今日明日でパセオ5月号のデザイン入校が終わる。
だいぶ勘が戻ってきたので、ジェットコースターに例えるなら、
両手で万歳しながら引きつった笑顔をふりまくぐらいのことは出来るようになった。
ちなみに安全ベルトはセロテープである。

新連載は一本だけだが、これがめっちゃおもろい。
踊る喋り屋しの(凌木智里)による連載エッセイで、
春夏秋冬、年四回の掲載予定だったが、
とりあえず隔月連載に増やす魂胆であり、本人はまだ知らない。

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2018年3月14日(水)その3166◆大爆発を未然に防ぐ

「愚痴は周囲と自分を同時に腐らせるから、
 一歩踏み込んで具体的な改善策を提案したらいい」

十年も昔にmixiにそんな風を書いたら炎上した(汗)。
十代半ばで社会に出た頃、それが愚痴だということも知らずにさんざボヤいたことで、
周囲の大人たちから総スカンを喰った苦い想い出から、
あの頃はほんとバカだったよと自嘲を込めて書いたつもりだったが、
愚痴がいかんとは何事かとボカスカやられた。

「男と女では生理が違うのよ。ぐちぐちコボすことで大爆発を未然に防ぐの」
唯一この見解には合点がいった。
とはいうものの類は友を呼び、永年の仕事仲間や呑み友たちは男も女も皆、
愚痴知らずの完全燃焼タイプであるからして、
いっこうに愚痴に対する免疫は育たず、十年にいっぺんほど、
こうしてぐちぐちコボすことで大爆発を未然に防ぐ。

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2018年3月14日(水)その3165◆ギブ&テイク

まー何処へ云ってもグチだらけでたまったもんじゃねーが、
そんなにおれにグチが云いてーなら、
一分だけ聞いてやるから一発殴らせろというグチ。

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2018年3月13日(火)その3164◆高め安定

前列左のヒロミ(山室)とボクシング観戦の打ち合わせ、
右隣りの今宵の忘備録ライター関範子と来年新年号の大型企画の相談、
後列のボケ老人への対応と、いつもながら何かと忙しい開演前。

代々木上原ムジカーザのアルテイソレラ『港に着いた黒んぼ』初日。
やはりと云うか、鍵田真由美と大沼由紀の〝黒白(こくびゃく)の
コントラスト〟には内臓に鳥肌が立った。
横綱同士が恐れることなく対峙し、互いの底力を存分に発揮し合う
世にも稀なるガチンコシーンに、なぜか不思議と涙腺がゆるむ。
凄いもん同士がこれ出来るって、実はこれ稀有なことなんだよね。
フラメンコ的完全燃焼という点で若干不満は残るが、
アルテイソレラの高く安定するクオリティに今回も脱帽。
団員たちの深く潔い献身、そして、おそるべきコンダクター佐藤浩希。
あっ、矢野吉峰のワル役も九平次ばりに黒光りしてたぞっ!

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2018年3月13日(火)その3163◆港に着いた黒んぼ

今宵はアルテイソレラ、久々のデスヌード。
会場は代々木上原のムジカーザ。
以前住んでた自宅から歩いて五分の会場だったので、
開演前にひとっ風呂浴びてブラり出掛けるのが定跡だったが、
中野に引っ越して来てからもその黄金定跡は不滅である。

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今回は小川未明の原作『港に着いた黒んぼ』。
あの大沼由紀さんの客演が大きな観処になるだろう。
何年か前の日本橋劇場の「鍵田真由美(生)VS
大沼由紀(死)」の凄絶な葛藤は、日本フラメンコ史の金字塔だった。
観る前からゾクゾクするパブロフ状態がアルテイソレラ公演の真骨頂である。

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2018年3月11日(日)その3162◆生き埋め以外は

パセオ5~6月号の入稿ラッシュで、土曜予定の遠足は来週に先送り。
ボーナスとしておやつは450円まで。これで歌舞伎せんべいが射程に入った。
納期と闘うそこそこハードなトンネル工事は、抜けてみれば結局、
これが裏方稼業のやり甲斐、自らも掘り進む現場監督の歓びなのだとわかる。
この先も果てしないトンネル工事はつづくが、
生き埋め以外はすべてオッケーと判明。

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2018年3月10日(土)その3161◆労働歌

歩いて五分のパセオ編集部。
来客や電話の少ない土日祭などは妙に作業がはかどるので、
休日は連れ合いのスタジオの仕事(番犬)が非番となるジェーを連れ、
ついつい遊びに来てしまう。

ひとり気ままな休日出勤の主なBGMはグールドのバッハ、
ファジル・サイのモーツァルト、桂枝雀師匠の落語などで、
作業の性質に合わせてアバウトに選ぶが、
さすがに"音楽"としては聴いていない。
ただ、どれもパコ・デ・ルシア『アルモライマ』や『熱風』のように
数千回はまじ聴きしたものばかりで、
あらゆる細部に至るまでしっぽり心身に染みている。
だからある瞬間に触れるだけでその全貌が全身を貫く。

おそらく私は、ある一定の距離を保ちながら名人たちのリズムの呼吸に反応している。
それらに共通する安定した骨太の通奏低音が、
雑念から逃れ作業能率を高めながら集中に達しようとする快適な追い風となる仕組み。
その意味ではフィジカルに作用する労働歌に近くて、
事務作業は落語、編集整理はモーツァルト、企画と記事書きはバッハ、
みたいな役割分担が多い。

中でもシンプルな二声が対話の理想を奏でるグールドのフランス組曲(バッハ)は、
読者や取引先との会話を楽しむような気分ですらすら筆を進ませる。
このようにほぼ万全たる休日の制作環境であるのだが、
唯一文章のクオリティの問題だけが解決されぬまま今日に至っている。
ちなみに、平日はフラメンコ漬けのジェーの、
休日のお気に入りはモーツァルトのようで、
落語をかけると何故かのそのそ足元から遠ざかる。

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2018年3月9日(金)その3160◆一週間

明日土曜は久々の安息日。
地元書店でじっくり選んで、向島百花園で読書三昧。
おやつは三百円まで。
ただしゆで卵とバナナはこれに含まない。
帰りに渋谷タワレコで外盤バッハ新譜を漁り、
宵から中野で連れ合いと月イチおつかれ会。
ちょっとサボってささやかな平穏と解放、日曜から新たな一週間、
テュリャテュリャテュリャテュリャーリャー♪~   

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2018年3月8日(木)その3159◆注文の本質

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「3月22日は2回目のパセオライブ、
 小山さんに前回頂いた課題をクリアできるように頑張ります」

クールビューティ、という形容がぴったりだったあの頃の髙野美智子。
あの頃というのは、小島章司門下生だった三十年も前のことである。
やがて髙野は、事も無げに協会新人公演奨励賞を受賞し、
美しい絵心・洗練の突出する本格バイラオーラに成長した。

「フレームからはみ出して完全燃焼する髙野」
それが私の注文(ムチャぶり)だった。
我ながら、まったく観客席というのは我がままなものである。
まるで編集部に対する読者の如しである(汗)
期待する人に対する注文とは、結局のところ、
それは自分に対する注文でもあるわけだ。

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2018年3月7日(水)その3158◆すっかり朝型

近ごろは6時始業なので、遅くも23時にはジェーと布団にもぐる。
早くに帰宅し『相棒』待機の煮物中。
かつおと昆布と日本酒の京風出汁で、豚バラ、大根、こんにゃく、
じゃが芋、ゆで卵、うす揚げ、最後にはんぺん。
(いけねっ、ちくわぶ忘れたあ)
ジェーと連れ合いの帰宅に合わせ、あとはコトコトとろ火で煮込むだけ。
これから湯船でゆっくり、カズオさんの続き。

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2018年3月6日(火)その3157◆伸びしろ満載

予定より三日早く、編集長カムバック号が仕上がってきた。
         
スリルと冷や汗万点の二ヶ月だったが、
パセオ創刊時や協会設立時のジェットコースター感覚が蘇り、
やっぱりオレにはこれなのかと合点がいった。
将棋なら初手を指したところ、
ステージなら幕が上がったところであり、
すべてはここから始まる。
まあしかし、おれなら迷わず定期購読だな。
「いつか読み返したくなる」という編集方針の精度はさておき、
希望と伸びしろだけは満載である。
自分独りじゃ何も出来ない奴だけに、
ひと肌脱いでくれたすべての仲間たちに感謝!

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2018年3月4日(日)その3156◆飛躍

作用反作用の法則。
だから人は平等である。

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2018年3月3日(土)その3155◆いつかきっと来る

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1966年フランス映画の名作『男と女』のアヌーク・エーメ。
私ら世代における美女の典型である。
ところが若い世代と話すと、意外と無反応であったりする。
なるほど、美女や美男の基準は、時代や地域によって大いに異なる。
環境による刷り込みは思いのほか大きく〝絶対〟はない。
つまり、いつかはあんたやおれの時代がきっと来る。

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2018年3月1日(木)その3154◆反動は三日後

筋肉痛が三日後にやって来る。
若い頃ならスッと翌日来てくれたものだが、
伝達回路に衰えが生じている。

身体ばかりではない、心も同様である。
いいことも悪いことも、
鈍く静かに受け止めることが出来る。
嬉しすぎて馬鹿にハシャぐこともなく、
哀しすぎて落ち込むこともない。
冷静にその時点ですべきことに集中するわけだが、
およそ三日後にその反動がやって来る。

嬉しさ余って相手に抱きつくでもなく、
また怒りに任せて張り倒すでもなく、
わが身に起こった事象に対し、
衝動的に反応するのではなく、
ある程度冷静に判断できるわけで、
まあ、その意味では悪かない。
しかしながら、それを年の功と云うべきか、
あるいは耄碌(もーろく)と云うべきかは、
実にビミョーだ。

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コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年02月

2018年02月01日 | しゃちょ日記

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2018年2月27日(火)その3153◆お得なセット

問題発生と問題解決。
これらをセットと認識することで
ノープロブレムになる。

 

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2018年2月26日(月)その3152◆一週間

 

9時間ノンストップ爆睡、ゆったり珈琲で朝刊。
この一週間のいいスタートが切れそう。

 

月曜日にお風呂をたいて
火曜日はお風呂に入り
テュリャテュリャテュリャテュリャテュリャテュリャリャー
テュリャテュリャテュリャテュリャーリャー

 

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(注1)ジャケットと音源が異なることもあります。
(注2)地元出身みどり先輩、ご、ごみんなせえっ!
         
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2018年2月25日(日)その3151◆転化力

 

恐れている暇がないほどスリリングな時期は
緊張感と集中力が我が身の安全と進化を保証している。

 

そんなのが通用するのはせいぜい四十代までだろうと認識していたが、
六十を超えてもそうした傾向はあまり変わらないことに驚く。
身近な周囲を見渡すだけでも、そんな先輩たちが十数名おられる。
鈍くなった反射神経と衰えた体力を、
全体を見通す余裕と判断力に転じることができれば、
あるいは可能なことなのかもしれない。

 

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2018年2月24日(土)その3150◆復帰間近

 

忙中閑あり。

 

この春のパセオの新入社員と新人執筆者が出演するというので、
今晩は高円寺エスペランサ(二部から)、
賑やかしに連れ合い連れて呑み放題コース。
明日日曜は13時よりタカミツ先生のカンテ講座(曲はマラゲーニャ、席あり!)、
16時よりよらんだ画伯と連載まんがのネタ出し。
編集長就任号(四月号=ページ減らしてオールカラー)の制作手配もほぼ完了し、
月曜から久々に本来業務に復帰!

 

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2018年2月24日(土)その3149◆足湯

 

近ごろは足湯にハマってる。

 

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2018年2月23日(金)その3148◆重たく爽やか

 

「そろそろ通院でよいでしょう」
主治医は言ったが、彼女は同じ口から五年後の生存率は
三十パーセントですとも聞いている。
もう入院治療を続ける意味がないという最後通告にも思われた。
「死亡率七十パーセントですね」
「人間の死亡率は百パーセントですから、よい方ではありませんか」

 

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13の短編からなる乙川優三郎の『トアイライトシャッフル』。
どれも重たく爽やかだ。
引用は『ミラー』という小品の冒頭。
どちらを持つにしてもこんな会話が好ましい。

 

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2018年2月22日(木)その3147◆以心伝心

 

四度目の編集長復帰、本日パセオ四月号校了。
私の仕事がひと段落したことを彼は感じている。
しばらくは復活祭の呑み会がつづく。

 

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2018年2月21日(水)その3146◆相棒

 

ウィスキーで『相棒』。
寝る前にカフェオレ。
すたすたとジェーが書斎にやって来る。
素早く専属カメラマン(元写真部)が撮る。

 

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2018年2月21日(水)その3145◆日曜午後の

 

「カンテ歌ったことのない人でも受講できますか?」
「はい、いつも半数はド素人さんです」

 

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きのうも今日もそんなお電話。
日曜午後はタカミツ先生のカンテ講座なりっ!     
ジェー(用心棒犬)も三階編集室で待機の構え。

 

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2018年2月21日(水)その3144◆エル・トロ

 

いよいよへレスのカンタオール、エル・トロの初登場。
カンテソロのライヴは50人超えが難しいのが普通だが、今回は楽々それを超えた。
興味津々の連れ合いもレッスンをやりくりして駆けつけるという。
明日は早朝から12時間実務フルコースを軽々とこなし(汗)、
待望のエル・トロ鑑賞の段取り。
  
2018年2月22日(木)20時
パセオフラメンコライヴ Vol.082
アントニオ・ペーニャ・カルピオ"エル・トロ"カンテソロライヴ

 

アントニオ・ペーニャ・カルピオ"エル・トロ"(カンテ)
石塚隆充(ギター/パルマ/カンテ)
斎藤誠(ギター)
末木三四郎(パルマ/バイレ)

 

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 歌には人の本質が宿る。バイレやギターなら隠しておくこともできるそれがカンテでは丸裸になる。無論、技芸に秀でた玄人は"装う"こともできる。しかし歌い手がリミッターを振り切る時、隠しきれない本性が立ち現れる。思わずニヤリ。¡Olé!の瞬間である。
 ヘレスの歌い手 "エル・トロ"。カルピオ家に生まれた彼は、10歳より歌い手としてアナ・マリア・ロペスらをはじめとする踊り手の仕事で各地を巡り経験を積んだ。過去には鍵田真由美・佐藤浩希フラメンコ舞踊団の招きで度々来日、直近では秦晴美氏が招聘したヘレサーノの一員として大沼由紀氏らと共演歴がある。
 彼の強みは、連夜の歌唱にも喉をつぶさずスタミナ切れを起こさない身体の強靭さと、彼を知る人が「あれほど真面目でいい人は見たことがない」と口を揃える人格。伝統的なヘレスのブレリアやカンテホンドで威力を発揮する深い歌声には、確かに彼のそんな本性が宿っているようだ。例えるなら白色の温かい光。
 しかし、ドローレス・アグヘタを招聘している慧眼のアフィシオナーダ濱田貴代さんによれば「一度、トロの歌にヒターノの漆黒を見たことがあるわ」と言うではないか! ニヤリ、そして¡Olé!の瞬間である。なぜか居てもたってもいられなくなり、本人に聞いてみた。
「カンテを歌っているとき、何を感じる?」
トロいわく
「自由、平穏、喜び、愛。そして...」
「そして?」
「僕の中の荒ぶる何かがすべて解放されていくのを感じるよ」
 白と黒、エル・トロの本質やいかに?
 2月22日エスペランサで目撃されたし。
 (月刊パセオフラメンコ2018年2月号より~瀬戸雅美)
         
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2018年2月20日(火)その3143◆ヘイ・ジュードー

 

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DVDもらった。
無我夢中で柔道にかけた姿三四郎の、その懐かしのテレビ版(1970年)。
主題歌はビートルズのヘイ・ジュードー、、んなわけねーだろ

 

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2018年2月19日(月)その3142◆通奏低音

 

そりゃあ何と云っても色気や愛敬のある異性と呑むのが一番だが、
親しい野郎どもとの酒にもまた格別な味わいがある。
春永までにいくつか幹事をやらにゃならんが、
どれも呑み屋天国わが街・中野に集結させる段取りだ。

 

云ってみれば奴らとは戦友同士であり、また、
いつ誰が逝ってもおかしかない世代だから、硬軟どんな話題であろうと、
そういうペーソスな通奏低音がそれぞれの中に好ましい共感を生むのだろう。
永い歳月は無駄ではなかったし、そうしたふれあいは男女を問わない。
人は誰しも共感なしには生きられない寂しがり屋だから、
暮らしにおけるそこからの逆算は案外重要かと想う。

 

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2018年2月18日(日)その3141◆やがて伝統

 

フラメンコで例えるならロシオ・モリーナ、
あるいはマヌエル・トーレか。
中盤の暴れ方はゴジラそのものだし、
正確無比な終盤はスパコンか。
       
準決勝で羽生善治竜王を、決勝で広瀬八段を破り朝日オープン優勝。
二つの棋譜をじっくり並べたところだが、開いた口がふさがらない。
伝統的な価値判断では計りようのない精緻な前衛手の数々。
その意味では棋力十三段と評された幕末の大棋士・天野宗歩に近い。
宗歩の革新は明治・大正・昭和を経て、やがて伝統となった。
藤井六段の革新もやがては伝統となり、
棋界全体を底上げすることになるだろう。

 

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(写真左より羽生竜王、藤井新六段)

 

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2017年2月17日(土)その3140◆一本化

正月からほぼ無休で斬り込んだ現行プロジェクト。
ようやく目鼻がついたので、久々に分厚いステーキを喰った。
土日も出勤だが、軸の決まったインプロなので気分は軽い。
そして、これも久々の旨すぎ高すぎマッカラン。
冷や汗だくだくで飛んだあとのささやかなご褒美。

 

大音量でパコ・デ・ルシアを聴いている。
若い頃は正反対に感じたバッハと、同質な要素を感じる瞬間も多い。
二律背反の一本化。
ずっとそれが望みだったが、なんやかんやと四十五年、
ずいぶんと時間がかかった。

 

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2017年2月15日(木)その3139◆自給自足

 

2/14パセオライヴから帰ると、
テーブルに高そうなチョコレート。
すでに包みは開いてる。
ジェーを抱く連れ合いはキャハッと笑った。
「遅いから、先に食べちゃった」
自給自足、仏壇お供えの先喰いである。

 

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2017年2月15日(木)その3138◆才人

 

ライヴでモーツァルト(ピアノ協奏曲21番)を聴いた。
楽譜やピアノから抜け出したモーツァルトが広い宇宙を駆け巡る。
第二楽章の天使のインプロは、作曲家でもある鬼才サイならではの閃き。
舞台上で起こっている奇跡をそれと認識するのに数分要した。
十年も前の僥倖だが、俯瞰するならあれは一生の宝だ。
誰が聴いてもモーツァルトに、そしてサイに惚れ込む。
かつてはハルサイの多重録音でクラシック界に風穴を開けた。
ファジル・サイはライヴの人だが、この録音にも僅かながら
そういうファンタジーを垣間見る。

 

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2017年2月14日(水)その3137◆叱咤激励

 

四日間で26個。
義理チョコとしては多い。
香典・お布施・塔婆料としては少ない。
君たち、もっと目標を明確にしたまえっ!

 

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2017年2月14日(水)その3136◆師弟ライヴ

 

本日20時スタート、パセオライヴ!
恒例の演目フライング発表!

 

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青木 愛子
ヴォダルツ・クララ
師弟デュオライヴ
2018年2月14日(水)20時開演
於:高円寺エスペランサ

 

青木 愛子(バイレ)
ヴォダルツ・クララ(バイレ)
有田 圭輔(カンテ)
石井 奏碧(ギター)
森川 拓哉(ヴァイオリン)

 

1:ラ・ビダ・ブレベ
2:シギリージャ
3:グアヒーラ
4:タラント
5:ムシコス
6:アレグリアス
7:フィン・デ・フィエスタ

 

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2017年2月13日(火)その3135◆お供え

 

五十代半ばからチョコレートの数が増えた。
義理チョコとゆーより、香典先払いという感触。

 

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2017年2月13日(月)その3134◆青木愛子&ヴォダルツ・クララ

 

2018年2月14日(水)
パセオフラメンコライヴVol.081
青木愛子&ヴォダルツ・クララ デュオライヴ

 

青木愛子(バイレ)
ヴォダルツ・クララ(バイレ)
有田圭輔(カンテ)
石井奏碧(ギター)
森川拓哉(ヴァイオリン)

 

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 青木愛子をNHK趣味悠々「情熱のフラメンコ ウノ!ドス!トレス!」で知った人は多いと思う。本誌「グラシア!」(2015年2月号)のインタビューで彼女は、小松原庸子スペイン舞踊団でやっていくために徹底的に基礎を追究したと語っているが、アシスタントとしてテレビに映し出された彼女は、初々しさの中に既に正統派の所作と天性の華やかさ、ノーブルな雰囲気を醸し出していた。
 その姿勢を貫いて、昨年11月のリサイタル「Relicario」では、そこからはるかに進化した姿を見せた。クールでダイナミックな動き、しなやかな上半身、大人の色気、徹底的に鍛え上げた体。地味なことを一つ一つ積み上げてきた歴史には迫力があった。
 ことにサラ・カレーロ(スペイン国立バレエ団の元ソリスタ)に師事したクラシコ・エスパニョールには、磨きがかかっていた。顎から胸のライン、ボディのしなり、そしてふんわりと丸い形の腕。クラシコ・エスパニョールとはこんなにもフラメンコとポジションが違うものかと驚いた。そのうっとりする美しさをぜひ間近で見てほしい。
 今回のパセオライヴは、弟子のヴォダルツ・クララとのデュオライヴとなる。ヴォダルツは、2014年日本フラメンコ協会新人公演にて奨励賞受賞、2017年CAFフラメンココンクールのファイナリストで、いま勢いのある踊り手だ。師弟のフラメンコは表面的にはそれほど似ていないが、受け継がれているものもしっかり見える。そこも見どころとなりそうだ。
  (月刊パセオフラメンコ2018年2月号より/若林作絵)

 

あす水曜は青木愛子&ヴォダルツ・クララのパセオライヴ。
昨秋の草月ホール公演でめざましい進境を魅せた愛ちゃんと、
新人公演奨励賞以来のヴォダルツさんの師弟ライヴにもりもりと期待が募る。
座席指定残りわずか、パセオ忘備録執筆は若林作絵。

 

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2017年2月12日(月)その3132◆はよせーよ

 

スリリングに生々しい夢。

 

起きるなり記憶するシーンをwordに打ち込む。
考察は加えず、実際の場面のみを即物的に入力し終えたところ。
これだけストーリーが明快な夢も珍しい。
舞台は近現代の東南アジアか。
私は盗賊頭で、ハリマオとインディジョーンズが交錯するエンタ夢。
反体制ジタンの複雑な心境が盛り込まれているところが秀逸。
解析が楽しみ!って、、はよ仕事せーよ。

 

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2017年2月11日(日)その3131◆おぞまじい光景

 

時おりブ厚いビフテキが食いたくなるように、
時おりブ厚い音響が聴きたくなる。

 

オケならショスタコやブルックナーあたり、
などと気取りまくった青春時代のヤセ我慢の反動なのか、
近ごろは臆面もなくベタベタな人気交響曲を聴く。
悲愴、新世界、40番、未完成、運命、田園、ブラ3・・・
ぎゃあ、恥んずかしい!などと照れてる場合ではない。
明日にでもモチを喉に詰まらせ一丁上がりの世代なのだから、
残り人生を率直に謳歌したいものである。

 

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で、ブ厚いビフテキ代わりにドヴォルザ-ク『新世界』を
大音響で聴きながら一杯呑ってる。
肴は惜しくも薄い豚肉と鱈の湯豆腐。
最終楽章のころには髪ふり乱しながら指揮棒(長めの箸)を振り、
トランペットの強奏部分では両手は宙にユニゾンで吹き(歌い)まくる。

 

客観的には世にもおぞまじい光景かもしれんが、それがどーした・・・
ふと斜め後ろを見やれば、約3メーター後方でジェーが思いきり引いている。

 

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2017年2月10日(土)その3130◆万病に効く

 

バックにも家にもパセオにも周到に仕込んである。
ちょっとでも具合が悪いと、すぐさまその常備薬を呑む。
なので滅多に風邪をひかないし大病もしない。
バカは風邪をひかないと云うが、私の場合はひと味違う。

 

ふふっ・・・
お江戸の昔から、
ガンでも痔でも骨折でも金欠病でも、
何でもかんでも万病に効くと伝え聞く、
例のアレを呑んでいるのだ。

 

(↑ 昭和三十年代に多いカッコンおやぢ)

 

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2017年2月9日(金)その3129◆そこそこいい奴

 

梅見を来年の楽しみに、今日はパセオ4月号追い込み。
そこそこの天気にジェーもやる気まんまん。
表紙は最新DVDが発売となるサラ・バラスの、
あのゾクッとくるような逞しく美しい背中に注目!
よらんだ漫画や近藤佳奈さん写真連載や
白石和己さんのエッセイを含む新連載六本も、
校正直し待ちの安全圏。
夕刻から北口で、連れ合いと月イチおつかれ会。

 

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2017年2月9日(金)その3129◆そこそこいい奴

 

しばらく先までスケジュール表は真っ黒に埋まっている。
多くは達成感の高い案件なので、そこそこハードルも高い。
飛べるかどうかはわからない。
ゆえに、もろもろ周到に段取りを進めている。
それなりのプレッシャーはあるものの、
逃げを打たない限り、
まあ結果的には飛ぶことができるだろう。

 

そして何年がすると、飛んだクオリティ自体が
飛んでも無い大失敗ものだと分かってくる。
そうした循環の中で、それでもこうして生き永らえる不思議。

 

はあ~、人に対して人生は寛大だとつくづく想う。
神か仏かわからんが、
創造主というのはそこそこいい奴だと想えてくる。

 

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2017年2月8日(木)その3128◆乱歩ワールド

 

永年恋焦がれた女性。
若くして嫁いだはずだがら離縁したのかもしれない。
その憧れのマドンナの実家に婿で入ることになった、らしい。
何故そうなったのか、プロセスはまるで分からない。
しかも、その彼女が誰であるのか特定できない。

 

江戸の外れ、おそらくは世田谷あたり。
立派な庭のあるそれなりの豪邸に一張羅のスーツで出向く。
私は三十前後だろうか、下心満載で妙に身体が軽い。
自分の住む家も仕事も、そこらへんも分からない。
ただ、凡庸で尻軽な独身会社員であるような気がする。

 

全体にセピアトーンだが、灯篭の明りはオレンジ。
時代的には昭和三十年代の空気感が漂う。
右手に池を見ながら、長い廊下を歩いているうちに、
浮き浮きしていたはずの気持ちが徐々に暗くなる。
だが、耽美にして妙にエロティックではある。
すでに江戸川乱歩的世界に突入しているらしい。
暗くダダっ広い座敷に招き入れられる。
ボロを隠すべく、静かに卒なく対応する。   
楽しくはない先方のご両親との会見が終わり、
ようやく二階にある彼女の部屋に案内される。
やけに電灯がまぶしい。

 

ぎょぇっ!!!
ふり向いた彼女の異様に長い顔。
潤んだ大きな瞳に見覚えがあるが、声もアイレも未知の女性だ。
永年恋焦がれたマドンナとは別人のようである。
次の一手がわからず、呆然と立ち尽くす。

 

唐突に夢は終わる。
ホラーではないが、生々しい落胆を絵に描いたような結末。
断片的にはいくつか思い当たるフシがある。
おそらくは潜在意識が、この世にうまい話などひとつも無いぞ!と、
いい歳こいたお調子者のご主人さまに警告しているのだろう。

 

青春期に死病を患った吉行淳之介は、
貴重な残り時間の一部である夢を実際の人生の一部とみなし、
筒井康隆は人の夢こそが、人類を解き明かす鍵だと位置づける。
夢を見る時間というのは、数秒とか数十秒とか極めて短いらしい。
それだけでは意味不明の、映画のぶつ切り予告編みたいなイメージがある。
目覚めとともに忘れてしまうことが多いが、印象的は夢というのは、
それを思い出しながら辻褄が合うように物語を形成しているのだろう。
本日未明に見たであろう乱歩ワールド的な夢は、
年に一度見るかどうかの傑作。  

 

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2017年2月6日(火)その3127◆魅惑の珈琲

 

パセオフラメンコライヴ Vol.080
小林伴子ソロライヴ

 

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小林伴子(バイレ/パリージョ)
遠藤あや子(カンテ)
三澤勝弘(ギター)
山﨑まさし(ギター)
大谷美佐子(ヴァイオリン)
2018年2月8日(木)20時/高円寺エスペランサ
☆残席わずか!

 

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「例えば、スペインのおじさんやおばさんがなぜカッコいいのかというと、心と身体運動が一体化しているからだと思うのです。そこに超絶技巧は無い代わりに、まるで動物のように自然体です」
 踊ることへの心構えとして、心と体の相違を埋めていくのが稽古で、それはある技術を通して自分の感じた事が観た人にうまく伝わって欲しいと願うからだという小林伴子さんの言葉が好きです。そこに立ち、いるというだけで意味があるように思えてくる存在感。カスタネットの旗手として名を馳せているけど、むろんその踊りにはいうまでも無く気品と優しさと温もりがある。どれほどの鍛錬が今の彼女を作っているのか想像もつかぬが、私たちはそこに座って同じ空気を吸うだけで、その恩恵に属すことができる。超絶技巧と自然体とが同時に味わえる幸せ。
 初めてのパセオライヴでは直前に倒れたアギラールへの追悼を兼ねた公演になってしまったが、その思いは痛いほど伝わる舞台だった。その脇に笑顔の彼が見えたのは私だけではなかったと思いたい。二人の人柄が、相性が、垣間見えた気がした一夜でした。
 彼女が音楽家でもないのに音楽を奏でたい!と思う瞬間を創り出す伴奏者達と奏でる一夜の夢。小林伴子自身が創りたいと思う音と踊りに満ちた空間のアンサンブル、この日もきっと熱く黒く魅惑的な珈琲の様な味わいで魅了してくれると思うのです。
 それと忘れてならない猫好きってこと。時間があるとフラッとスタジオの看板のグリさんを見に行ってしまう私。(パセオ2月号より~石井拓人)

 

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2017年2月5日(月)その3126◆アルゲリッチ

 

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およそ四十年前の録音だが、
もぎたてのフルーツのような新鮮な味わい。
だがあの頃、先鋭的な彼女の演奏を懐かしいと感じた。
愛される革新、吟味された伝統とは、
こうしたものではないかと想う。

 

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2017年2月4日(日)その3125◆晩のおかず

 

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床屋に行ってすっきりしたジェー。
NHK将棋を観てから、土曜日曜と連ちゃんのパセオ出社。
すでにやる気まんまんの模様である。
晩のおかずを相談しながら、裏の緑道を往こうな。

 

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2017年2月3日(土)その3124◆気合いの入るまじない

 

このところ平日は鉄板業務だから、
土曜の朝はさすがに疲れが出る。
すでに連れ合いは代々木のスタジオに出掛け、
いまひとつ気合いの入らぬ私は、
手帳の年間スケジュールをちんたら改編しながら、
ペペ・デ・ルシアとともに『ブアナ・ブアナ・キングコング』
(パコ・デ・ルシアのライヴ・イン・アメリカ)をドラ声音痴で熱唱している。

 

何ごとですかいっ!?と、ジェーが書斎に飛んでくる。
いや何でもねえ、単なる気合いの入るまじないだ。
さてこれから、彼とお約束の同伴パセオ出社。
晩めしはおまえの大好きなクリームシチューだわ。

 

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2017年2月2日(金)その3123◆理想のテレビ局

 

トーマスと相棒とニュースを一時間ずつ流してくれるテレビ局があったら、
チャンネルはそこに固定で決まり。
なんなら6~8時と20~22時以外は全部CMでもいい。

 

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2017年2月2日(金)その3122◆ゆきが降る

 

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雪が降るたびに想い出す。

 

数年前、カリスマ・バイラオーラ大沼由紀さんに
パセオへの連載エッセイを熱望依頼した。
二人してその連載タイトル付けに迷い、
真摯の塊りのような由紀さんに
張り倒され覚悟でこう提案した(汗)

 

『ゆきが降る』

 

驚いたことに由紀さんは笑ってこれを承認し、
奇跡的に私は無事だった。

 

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2017年2月1日(木)その3121◆キリリと燃やす

 

それと感じさせない超絶技巧から紡ぎ出される気品と洗練。
冷静かつ精悍な音程と絶対的な美音は、なぜか独特の暗い表情に包まれる。

 

『相棒』目当てで早めに帰宅し、一本だけ原稿を書いたら、
胸がいっぱいになるようなオーケストラ伴奏のヴァイオリンが聴きたくなった。
たぶん腹が減っていたからだろう。

 

曲ではなく人で選んだのは、
フランコ(フランス)・べルギー派の巨匠アルテュール・グリュミオー。
学生の頃はこの人のモーツァルト(今でも人気ナンバーワンディスク)の
端正にすっかりやられたものだが、珍しく今宵はブラームスのコンチェルト。

 

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人気曲だけに数十はある名演の中、特に人気のある演奏ではないが、
彼のようなウルトラクラスになると、世の超美人さんたちといっしょで、
あとはもう好みの問題でしかなくなる。
最初から最後までキリリと内面を燃やす、
お寒い晩にぴったりフィットするブラームスの浪漫。

 

コメント

しゃちょ日記バックナンバー/2018年01月

2018年01月01日 | しゃちょ日記

 

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2017年1月31日(水)その3120◆万難を排し

銀行回り、パセオ3月号最終校正、支払調書の作成配送、
原稿整理2本、原稿執筆2本と、晦日は何かと忙しい。
本日『相棒』後編、万難を排し万全の体制でこれに臨む!

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2017年1月29日(月)その3119◆寝床

長々と出口の視えない退屈極まりないスピーチに、
パーティ設営側も参加者も全員ハラワタが煮えくりかえっている。
校長先生の炎天下の役に立たねえ訓話やら結婚式の拷問的式次第などを含めれば、
誰だって百回や二百回はそんな目に遭っている。
されど人は誰しも、実もなく面白みもないダレ話など正直御免こうむりたいものだ。
また、そういう悪趣味な時間超過によって、
その後に準備された設営側の汗と苦心の工夫は一挙に破壊される。

語られるご本人さまだけがご満悦の様子は、
地位を笠に着て罪なき庶民に痛すぎる独演会を拝聴させる、
あの古典落語の大傑作『寝床』の拷問シーンそのものである。
古今東西、鬱屈した自己顕示欲の暴走というのは
大小さまざまな事件を巻き起こしてきた。
昔も今もスピーチは三分以内という粋な良識。
誰でも知ってるそういう当たり前の相互マナーを意に介さない御仁の厚顔には、
被害者全員でパイやらピザなどを思いきり投げつけるのが
世の中の健全なバランスというものだろう。

まあしかし、加害者はご高齢であられることも多いし、
それで怪我でもされた日にゃ大騒動となるから、
目には目を!ではなく、もっと穏やかに抗議する必要がある。
例えば、囲碁・将棋のような秒読みシステムの導入はどうか?
スピーチの持ち時間は常識的に3分、残り30秒前になったら
記録係が秒を読み始める(なんなら慣れてる私がやってもいい)。
ところがどっこい大先生、時間切れになってもまだまだ喋り続けるだろうから、
次なる一手は送迎係の出番だ。
万難を排し語り続ける大先生を高価な壊れものでも扱うように
若手力持ち四人がかりで台車に乗せ、
会場となりの来賓用カラオケマイク付き豪華控室にご案内する。
「先生こちらでお気のすむまでお語りください」と思いやりを込め
明るく前向きな忖度を胸に、外側からしっかり鍵をかける。

何だかますます『寝床』みたいになってきたが、
こんな陽気な逆襲ならば被害者全員ハラを抱えて笑えるし、
その後は安心して運営陣が工夫を凝らしたパーティの段取りを楽しめるから、
次回の参加者が増えることだけは間違いない。
また逆に開き直って、そういうお笑いアトラクションとして
最初からプログラムに組み込む手(所要時間3分半)は相当に有力だ。
まあ誰しも欠陥はあるし、
これはあくまで自戒のための冷や汗ものの是々非々論。
           
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2017年1月28日(日)その3118◆留守番のご褒美

「2020年、2020人で踊る大セビジャーナス」
きのう日曜は早朝から編集整理と原稿書き。
午後から中野サンプラザで大セビジャーナスの決起大集会を取材。
全国からそうそうたるメンバーが集結し、そ
の実現に向けギネスものの巨大プロジェクトが豪快にスタートした。
南口の珈琲ロードで記事をまとめ、
17時より同じサンプラでフラメンコ協会恒例の新年会。
前年の新人公演奨励賞の受賞式で、ようやくフラメンコ界の新年が始まる。
ベテラン陣もみんな元気で何よりだ。
その初司会を務めた連れ合いが何も食えなかったというので、
帰り道の安旨寿司で打ち上げ。独り留守番を務めたジェーは、
土産の厚焼き卵でさくっと機嫌を直した。

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2017年1月28日(日)その3117◆知的好奇心

この正月からそれが毎晩のルーティンになった。
藤井聡太四段の棋譜を一局だけ並べる。
就寝前の小一時間、対戦相手の側に座り、彼の指し手とじっくり対話する。

上達を望んでいるのか?

いや、実戦から退き45年、筋ワルの老境アマチュア六段に
そういう良質な野心はない。
多少なりとも知識のあるジャンルを足掛かりに、
AIおよびAI世代の思考方法を探る試行錯誤をただ飽きずに繰り返している。

17世紀から徳川政権のサポートを受けつつ積み上げられてきた、
人知の結晶とも云うべき膨大な将棋定跡および手筋の数々。
「これにて先手良し」的な神話に現代科学のメスが入り、
がらがら音をたてながら伝統が崩壊する様子には、
現代人としてのある種の快感があるが、
その美性・善性まで同時に失なってしまう寂しさは正直やるせない。
もう、あの日には帰れないのである。

藤井さんの指し手には、真理探求を軸に、
そうした諸々を具体的に現場検証するかのような、
時おり鋭い痛みを伴なう未知なる覚醒がある。
まるでイスラエル・ガルバンやロシオ・モリーナの舞台に
ガチンコ対峙するかのような興奮と落胆と希望がある。
45年ぶりの知的好奇心が、
この先の仕事や暮らしに役立つかどうかは分からない。
ただし、それが〝フラメンコの未来〟に無縁であるとは感じられない。

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2017年1月27日(土)その3116◆「許しませんよっ!」

早起きして原稿到着分の編集整理を終え、家に戻りジェーと
遅めの昼飯とドラマ『相棒』にかぶりついてると玄関チャイムが鳴る。
重要なシーンだったが、宅急便を待たせちゃいかんと急ぎドアを開くと、
ひと目アレだった。

それまでの人生の来し方がすべて現れる十秒という時間だけ、
濁った両眼の勧誘者のプレゼンを聴き、折悪く水谷右京警部が憑依中の私は、
怪しい来訪者に吠えまくるジェーの正義を背中に受けつつ、
よしゃあいいのにこう云った。

「あなた方はご自分の心の闇に他者を巻き込むことで、
ご自分を救おうとしておられる。
ご自分の魂はご自分で救済すべきではありませんか?
いたずらに他者の大切なひと時を奪うなんて、、、
決して僕は許しませんよっ!!!」

柄にもないことをやり過ぎだぞと自分を戒めながら、
束の間の平穏を唐突に侵され怒りまくるジェーをなだめつつ、
かの二人組が相棒ファンでないことを彼らの神に祈った。

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2017年1月27日(土)その3115◆もやし野郎

光栄にも女子会(ほぼ円熟系)からお呼びがかかり、
タダでたらふく呑ませるから外部アドバイザーをやれと依頼(脅迫)される。

「エラソーで頼りないモヤシ野郎は絶滅せよ」
     
最長二時間のお約束で参加した当懇親会における、
それが第一線で活躍する彼女たちの不満とストレスと糾弾の結論であり、
現代の残忍極まりない犯罪の多くもソレ系男子の仕業だと断定し、
客観的同意を私に求める。
つまり私は外部アドバイザーなどではなく、
吊るし上げの格好のリアル素材だったことに手遅れながら気づく。
タダより高いものはないのである。

窮地に追い込まれつつも、ひき肉餡かけもやしラーメンが大好きな私は、
もやしと俺とを一緒にすんな、もやしにはもやしなりの重要な役割
(麺とか肉とか他者とかに逆に勇気を与える)があるんだ、
それが調和を夢みる全体バランスってもんだと熱弁をふるい、
争点をボカし局面を複雑化させる姑息な手筋によって、
辛うじて集団パワハラから逃れたのであった。
しかしながら、自立する女性たちが世のもやし野郎を嫌う気持ちは実はよくわかる。
なぜなら私だって頼りない無責任もやし姫がちょっと苦手だから。
           
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2017年1月26日(金)その3114◆若い理由

「自動車の安定じゃなく自転車の安定を」

老いたがゆえの鑑賞眼(=老眼)で周囲を見渡せば、
転ぶリスクを背負って漕ぎ続ける人はたしかに、
彼(彼女)ならではの魅力を失うことがない。
つまり、チャレンジには付きものの〝いい冷や汗〟を
かき続けているから呆けてるヒマがないし、
リスクに対する真剣さがゆえの艶がある。
還暦過ぎの舞踊家たちが十も二十も若い主たる理由はそこだ。
なるほど、そーゆーことだったか、
・・・ったく老いも若きも、楽しいことは楽ではないねえ。

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2017年1月25日(木)その3113◆運動不足

「家と会社の行き帰りで10分、歩くのはそんだけの日もあるなあ」
「そりゃ運動不足だな」
「あ、でも、区切りのたんびに屋上で一服するから、けっこう階段歩くな」

「余計悪い、タバコやめてマラソンやれよ、お前全校三位だったじゃん」
私を除く六人のうち三人が口をそろえてこう云う。
みな元ヘビースモーカーの現役マラソンマンである。
一方、現役スモーカーである残りの三人はこう断言した。

「階段いいじゃん、タバコやめたら運動不足でお前死ぬぞ」

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2017年1月24日(水)その3112◆ソコロフの憧憬

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ソコロフこそは世界一のピアニスト。
         
そう主張するピアノファンの気持ちは、例えば彼の弾く
ショパンの協奏曲(第一番)を聴くと、いとも簡単にわかってしまう。
そのあまりの雄大さに畏怖さえをも感じるのだが、
それは例えば今話題の藤井四段の棋風にも通じるところもあって、
しかし私はそうした完全性をあまり好まないという本音が羞恥となって、
健常なる音楽愛好家たちとの対話を曇らせるのである。

偉大なる崇高なるロシアン・ピアニズム。
ソコロフのバッハ(パルティータ第二番)を聴きながらこれを書いているのだが、
好みから云えば圧倒的に愛着の深いシフの演奏(二度目の録音)と
ついつい比較してしまう。
ソコロフの淡々と流れる巨大さに、寒々とした冥さを感じてしまう
自分のみみっちい器を照らし出されるようで、いまひとつ踏み込めないでいる。

とは云え、グレゴリー・ソコロフ(1950年~)は
現代の混沌とその解決のヒントを実に大胆繊細に描き出す。
深々とするあの重低音からは未知なる領域からの普遍と救いが聞こえてくるし、
その中高音は人間の業や欲望を否定しない。
文学の領域では難しいかもしれない生理感覚で描き出される憧憬にひれ伏しながらも、
その完璧な即物性にちょっとだけカチンと来ている。
うっ、なんか昭和のガキだぞおれ。

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2017年1月24日(水)その3111◆フライング情報

明日木曜晩、高円寺エスペランサ20時スタート
エル・プラテアオのカンテソロライヴ。
新春を飾る本格プログラムにどっきり。
究極のパコに出会う予感!         

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1. TIENTOS
2. GRANAINA
3. SOLEA DE TRIANA Y APOLA
4. ABANDOLAOS
5. PREGON Y SEGUIRILLA
6. CUPLES POR BULERIAS
7. CANTIÑAS Y MIRABRAS

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2017年1月23日(火)その3110◆老境

思わぬ臨時収入にニヤリ。
何か買おうと考えるが・・・欲しいモノがひとつもない。
ひゃあ~~~、老境とはこうしたものなのか。
・・・まあええわ、モノよりコトとゆーことで。

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2017年1月22日(月)その3109◆真っ赤なバスと透明な青空

海岸線の道をひとり歩いている。
ほとんど波のない静謐な海。
夕暮れにまでには時間がありそうだ。

百メーターほど先に十名ほどの集団が見える。
時おりふり返り、手を振る者が何人かいる。
中学か高校の仲間のようだが、はっきりとは視えない。

追いつこうとするが、疲れているのか歩は遅い。
ふと見やれば、ちょっと先にバス停がある。
ベンチに腰かけバスを待つことにする。

ここは何処だろう? 後方を見渡すと、穏やかな一面の砂丘。
その背景に山や街は見えない。
穏やかすぎて寂しい、淡い水彩画のような風景。

海の方向に振り返ると、目前にあったはずの海が遠ざかっている。
道の右手から真っ赤なバスが走ってくる。
よし、あれに乗ろう。

停留所に間に合うかどうかは微妙だ。      
砂丘から海に向かって、なぜか私は自転車を漕いでいる。
必死にペダルを漕ぐのだが、海は遠ざかる一方ではないか。

その時、真っ赤なバスが方向を変え、
猛スピードで私をめざし突っ走ってくる。
私もバスめがけて突っ走る。

この忙しい中、何となく闘牛をイメージしている。
正面衝突寸前でバスは消えるが、うなるような走行音は残っている。
恐怖も安堵もなく、仰向けにぶっ倒れて仰ぐ透明な青空が奇妙に美しい。

そこでおしまい。
先週見た路面電車の夢よりスリルがあったが、
必死でチャリンコを漕いだぶんだけ疲れた。

途中から半覚醒であったような気もする。
真っ赤なバスと透明な青空が象徴するものは何か。
いろんな夢判断が可能だろうが、観たままをメモることに留める。

明朝は郵便局・銀行に立ち寄り、某賞の選考会議で喰っ喋り、
各種役所を駆けまわり、中野南口・珈琲ロードで文春・新潮を読み、
午後の自由時間にどっしり本業と向き合う段取り。

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2017年1月21日(日)その3108◆熱望

ああ、このお方のカンテが聴きたい!

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2017年1月20日(土)その3107◆おまじない

「マイナス的なことを決して云わない」
娘さんは大好きな父親をそう評した。

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夜の人気ニュース番組に生出演した将棋の羽生善治永世七冠。
強く優しく愛され続ける自然体なキャラを、改めて凄いものだと想う。
マイナス的なことを云わない理由は、
「自分の言葉は自分という人間を創るものだから」。
なるほど、愚痴も云い訳も悪口も、デビュー当時から決して口に出さない人だ。
将棋の発展深化に全身全霊で集中するあまり、
そんな馬鹿げた行為に興ずるヒマはなし、という側面も少しはあるのだと想う。
私に云える筋合いではないが、人生の楽しみ方を、きっと彼は熟知している。

「リスクを引き受ける」
今夜の生出演もそうだが、近ごろの羽生さんは必ずこうコメントする。
その深く厳しく楽しい意味合いに反応できるうちは、
きっと自分も何とかなるだろうと、効果不明のおまじないを唱えてみる。

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2017年1月19日(金)その3106◆博士の愛した数式

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『博士の愛した数式』。

寺尾聡さん主演の映画で知ったが、
第一回本屋大賞の受賞作で、原作は小川洋子さん。
芥川賞受賞作を読んでつまずいたが、この作品で再度注目した。
朝湯で読んだ昨日の東京新聞の彼女のエッセイが、二日酔いの胸に突き刺さる。

「こうしたいろいろな場面が、スコット・ロスのチェンバロの音色とともに蘇ってくる。
 そのCDをかけると、聴いているのか、思い出しているのか、
 記憶の中の風景を見つめているのか、よく分からなくなる。
 どれでも同じことだと思えてくる。
 死者と一緒にバッハを聴いていると、口先だけではなく、
 心の底から正直に、死ぬのが怖くなくなる。
 自分が死んだあとの世界にも、バッハは流れる。
 この当たり前の事実が、私を慰めてくれる」

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2017年1月19日(金)その3105◆霊感

80回目を迎えるパセオフラメンコライヴ。
当初目標の100回まであと20回。
そりゃ何をやってもいろいろあるけど、
やってよかったと心底思える納得のシリーズ。

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今回登場はセビージャ出身、おなじみエル・プラテアオ。
この歌い手の語りかけるようなグアヒーラにやられた瞬間、
古典フラメンコの小粋な味わいに目覚めた。
彼の生音ライヴでは予想だにしない霊感と出逢うことも多い。
高円寺エスペランサ、1/25(木)20時スタート。
踊り伴唱とはまた異なる深淵を引っぱり出すパコ。
絶対に後悔させないカンテフラメンコのソロライヴ!

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/01/2018125.php#006026

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2017年1月18日(木)その3104◆基礎工事

あす金曜晩は、カンテフラメンコ奥の細道。
スペイン人にも敬愛されるカンテ伴奏の名手エンリケ坂井による、
しみじみと心洗われる上質レクチャー。
現代フラメンコに脈々と引き継がれる古典の霊感。
聴いて歌って、歌って聴いて、
そのルーツの風景を味わい尽くす。
   
そのことはバイレ上達に関係あるのか?
いや、関係というより、深層心理の基礎工事に近い。
それは無意識の最深部を育くみ、
揺るぎない動作の品格を高める源泉だと私は想う。

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2018/01/626_1.php#005931

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2017年1月17日(水)その3103◆内圧と間

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さあ、今宵はパセオライヴ、
「内圧と間」
あの稲田進の登場である。
必ず何かが起こるっ!
当日予約は17時までによろしくっ!

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2017年1月16日(火)その3102◆社会人への道

なぜか将棋と落語が来てる。
特に将棋は江戸期以来の空前のブームである。
理由はちょと分からんが。
さて、ここにフラメンコとバッハが加わると、
私の趣味道楽は四冠王となる。
すでに半世紀以上、終始沈んだまんま、
あらゆるブームとはまるで無縁なさみしい江戸っ子だっただけに、
正直ちょとうれすい。
一般人・社会人への道は、わりと近いっ!・・のかっ?

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2018年1月15日(月)その3101◆オブリビオン

曲はオブリビオン(忘却)。
暗いガード下でピアソラを弾く老人。
ぎりぎりの演奏だが味わいは深い。
持ち合わせがないので、足元にそっと煙草を置く。

やって来た路面電車にあてもなく乗り込む。
夜明けとともに田園風景が広がる。
神保町らしき街で降り、角の花屋で真っ赤なバラを求める。
入院する彼女を見舞いに行くのだろう。

名前も顔も忘れてしまったから、逢えるかどうかわからない。
すずらん通りのオープンカフェで熱いカフェオレを頼む。
やって来た路面電車にあてもなく乗り込む。
運転手の動作をまねてみる。

線路はやがて単線となり、終点は増上寺近くの砂丘だった。
キーを渡しながら運転手は云う。
「あとはよろしく」
見よう見まねで電車を動かす。

そこでおしまい。
もう少し続きが見たかった久々の長夢。
ちなみに夢はカラーだった。

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2018年1月14日(日)その3100◆タイプ

滔々と流れる大河のように、ぎりぎり一杯まで歌う。
今となっては稀少となったプレイズバッハ。
無伴奏のチェロ一本でここまで歌い切るリスクは大きいが、
それでも全体の構築性がビクともしないところに名人フルニエの真髄がある。
好み以外の何ものでもないが、舞踊家でも俳優でも、
結局このタイプにシビれてしまう傾向に、たった今気づく。

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2018年1月13日(土)その3099◆おつかれ会

この土日はパセオでどっぷり編集・執筆。家でやるのも好きなんだが、
ひと仕事片付けるごとに青空社長室(=屋上)で一服する開放感がたまらなくいい。
さて、今宵は連れ合いと月一のおつかれ会。
彼女はフグ刺しを狙っているが、
ジェーは玉子焼きのお土産を狙っている。
         
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2018年1月12日(金)その3098◆犯人

初めて入る東高円寺の呑み屋。
めちゃ良しライヴの余韻醒めやらず、
ああだこうだと親しい仲間と呑んでると、
なにやら不穏な匂いが漂ってくる。
そのあまりの強烈さに、すでにヘベレケ同士の
フラメンコ談議は余儀なく中断される。

「うっ、こ、これは、くさやの干物っ!」

そのときハッと気づく。
犯人(注文した不届き者)はおれだった。

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2018年1月9日(火)その3097◆妙味

なんて深い味わいなのだろう。
ひゃあ、うめえもんだなあ、惚れぼれするわあ。
おそらくは、技術のための技術ではなく、
あらゆる細部が表現を助けるための技術であるところに深い共感が広がるのだろう。
戦前から戦後にかけ一世を風靡した国民的大歌手・岡晴夫さん
(1916~1970年)の名唱の数々を、近ごろは同じく
フラメンコの大歌手マイレーナ(1909~1983年)や
カラコール(1909~1973年)に浸るような感覚で聴いている。

空前のヒットを飛ばした『憧れのハワイ航路』『啼くな小鳩よ』
『東京の花売娘』などは、カラオケのお仲間だった今はなきフラメンコ界の
マエストロ本間三郎師匠(1936~2013年)の十八番だった。
銀幕スターのような容貌で、若い頃には歌手を志したくらいの粋人だから、
渋くて艶のある、そりゃもう実に見事な歌いっぷりだったよ。

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サブロー師匠の生歌唱を二度と聴けないのがちぎれるほどに寂しいが、
高円寺エスペランサの木曜会で折あるごとに拝聴させてもらったおかげで、
今でもあの味わい深い響きをフィードバックすることが可能だ。
眼前で聴く師匠の歌唱には、生きるヒントが満載だった。
こういう素朴なエピソードが、振り返れば実は
人生の核心のひとつだったりするところに人生の妙味がある。

さて、年とともに〝味わい深さ〟にハマってゆくのは悪い感じではないのだが、
若さゆえの芸についてもみっちり向き合っていたい。
元若者ながら実は後者のほうがはるかに難しいが、
楽しく暮らしてゆくには仕事も私事もここらへんのバランスは極めて重要だ。
そんなこんなの偏りを改善すべく、この正月から毎晩寝る前に一局ずつ、
若いエネルギーに充ち満ちた、あの藤井四段の
ハチャメチャど迫力の棋譜を並べている。

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2018年1月8日(月)その3096◆定跡

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「さてとっ、今宵の金曜ロードショーは何かな?」

大吉の親切な美人さんたちが毎日切り抜きストックしておいてくれる
一週間分の新聞将棋欄を読み終えた私は、
その日の夕刊を手にしながら毎度こう云う。
手相観の鉄人・大吉マスターは焼き鳥を反転させつ定跡通り淡々と応える。

「はい、今日は月曜ですから、金曜ロードショーは無いですね」

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2017年1月7日(日)その3095◆希望

「おいっ、そんな手は破門だ」

1970年代、かなりの筋ワルだった私が、
独創性と信じ本筋にはない手を指すと、
そう師匠にドヤされた時代が懐かしい。

ここ数年は、人工知能の発達によって伝統的な〝本筋〟そのものの
合理性・実利性に鋭くメスの入る時代だ。
永遠にも想えた将棋定跡の神話は崩れつつあり、
既存の価値観に安住していては敗北にまみれるばかり。
そうした傾向は序盤戦術と中盤の戦略に顕著であり、
将棋界も囲碁界も日夜その対応に追われる時勢となった。
困惑するであろう社会の十年・二十年先の現実に先んじ、
彼らは未知の困難に直面しているのである。
ただし、最近の棋譜を観る限りの羽生さんについては、
むしろこうした状況を歓迎しているかのようにも想える。

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2017年1月6日(土)その3094◆最大リスクとは

「年齢を重ねるとリスクを避けがちですが、あえてリスクを取るのも大事。
 まったくリスクを取らないのは最大のリスクになる」

史上初の将棋永世七冠王・羽生善治(47歳)さんは、
同じく史上初の囲碁現役七冠王・井山裕太(28歳)さんに、
かつてこうアドバイスしたという。
わたしたちの次元に当てはめては火傷するだけだが、
なんとも身に染み入る言葉だ。
こたびのお二人の国民栄誉賞授与によって、
たとえ一瞬であっても政治が真実に追いついたことがうれしい。

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2017年1月5日(金)その3093◆案外単純

「男らしいカッコよさ、女らしいカッコよさって、確かにあるのよ。
 それを捨てた時、つまんないおじさんおばさんになっちゃうの」
あの時分、実際カッコよかったその女性は云った。
「しかしさ、そういうのを超えた人間らしいカッコよさってあるだろ」
「ぷっ、馬鹿ね、人って案外単純なのよ」
そんなことあるもんかと思っていたが、
まんざら間違いでもなさそうだと、今は想う。

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2017年1月4日(木)その3092◆繁栄の昭和

パセオから帰ってゴロンと横になってたらウタタ寝したらしい。
散歩をせがむジェーに鼻先をペロペロ舐められ目を覚まし、
まだまだ新年の薫る町内をぐるっと回って先ほど帰宅。
湯上がりにアンドレ・プレヴィンのギター協奏曲(ギターはジョン)を聴いてるが、
ちょっとだけプロコフィエフなところが好き。
いつもはシンプルなバッハなのに、ちょっとユーモラスな管弦楽に、
足元でフシギ顔のジェー。

今日から本格的に仕事始め。
おとつい下準備を蒔いた成果から絶好調で目標クリア。
さて、正月に鳴神響一さんの小説を二冊読んで、すっかり読書づいたようで、
これから筒井康隆さんの新刊『繁栄の昭和』(文春文庫)を読む。
十代後半から記事を書き始めた50歳まで、
毎日一冊ペースで文庫を乱読してた頃を想い出す。
あの時代の猛烈なインプットが現在の文章力にまったく反映されてないところに、
この私の大器晩成の資質が垣間見れる・・てゆーか、
いってえ大器晩成っていつごろなのか?(汗)

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2017年1月3日(水)その3091◆君の名は

「君の名は。」

世代ギャップを覚悟でラストまで観る。
意外にも「コクリコ坂から」のようにどっぷり楽しめた。
身体のガタピシはともかく、気だけはまだ若けーなと想う。

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2017年1月2日(火)その3090◆ユニバーサル

それは本場スペイン仕込みの邦人フラメンコが、
日本人のオリジナリティをフラメンコの根源に違和感なく融合させることで、
フラメンコ全体の広がりと深まりに貢献する美しい情景によく似ている。

鳴神響一『猿島六人殺し』。
ブレイク必至の『脳科学捜査官』につづく正月期待のもう一冊。

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読み始めて間もなく、アガサ・クリスティへのオマージュ作品とわかる。
模倣の仕方が下手なら〝パクリ〟、上手なら〝オマージュ〟である。
三章までは面白さでぐいぐい一気に読ませるが、
四章・五章の深い味わいのオリジナリティが上質のオマージュたらしめる。

鳴神響一のボーダーレスでハイセンスな音楽的教養にはいつも驚かされるが、
彼の中ではやはり異邦人(特に日本人)のフラメンコは
特別な位置付けなのではなかろうかと推測する。
赤丸上昇中の超多忙な作家だからそう簡単には実現しないだろうが、
パセオ本誌(しょちょ対談)でそこらへんに思いきり突っ込みたい衝動に駆られる。

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2017年1月2日(火)その3089◆極楽読書

年末からうずうずしながら封印してた、鳴神響一さんの新刊二冊。

一気に読ませてしまう面白さがこの並み優れた小説家の特性だ。
『脳科学捜査官 真田夏希』は、
おなじみの逢坂剛さん『カディスの赤い星』(1987年直木賞受賞作)を
想起させるスピード感とクオリティ。
サスペンス・エンタとしても抜群だが、プラスアルファの領域に
彼の真摯な美性が大いに発揮される。
発売わずか一週間で増刷だという。
とても興味深い実用性もあって、近いうちに再読復習することはまず間違いない。
そう遠くないうちに映像化されることも予言しておこう。
主役は例えば、そう、綾瀬はるかさんかな。
どうあれ、この作品のシリーズ化は必至!

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2017年1月1日(月)その3088◆わっしょい 

達者になった甥や姪たちとの新年ギャグバトル、
そして〝相棒〟元旦スペシャル。
そこでようやく正月を実感するここ数年の定跡。
明日はちょこっとだけ会社に出て、
あさっては昼から〝相棒祭り〟で盛り上がる。

夢のような三が日だが、四日本格スタートのプロジェクトも待ち遠しい。
ナンボ生きてもやっぱ正月は楽しいわあ。
あっ、そう云や今年はいぬ年だわ、おめえもせいぜい
妙なる浮世のコントラストをさくさくっと楽しむこっちゃ。

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2018年1月1日(月)その3087◆初笑い

お月さまとお日さまと雷さまが、仲よく旅に出かけた。
ある朝、雷さまが目を覚ますと連れのお二人がいない。
こりゃどうしたことかと宿の姐さんに尋ねると、
「あら、お月さまとお日さまなら、朝早くお立ちになられましたよ」
おや、そうかい、雷さまは感慨深げに独りつぶやく。

「ふうっ、月日の経つのは早いものだ」

深読みするほどにおもしろい、
年明けに何かしらのヒントをもたらしてくれそうな、
元旦の笑いにドンピシャの、ほのぼのとする古典小噺。
本年もまた、どうぞよろしくお願いいたします。

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