フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2016年11月②

2016年11月11日 | しゃちょ日記

06雄二.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月30日(水)その2696◆保存版効果

あれこれ試行錯誤しながら、ようやく当たった
毎月カラー8頁の保存版ヒット連載『ヌメロの常識』。
そりゃそうだよ、フラメンコやる人は誰しもヌメロと日夜親しく付き合っているのだから、
知るべき事柄は出来ることなら知っておきたいわけだよね。

で、最新のパセオ12月号のヌメロは⑨タンギージョ。
こんな豆知識ひとつであっても、知っているかそうでないかで、
ずいぶんと実際の表現のニュアンスは変わってくるに違いない。

2016-12numero.jpg

 タンギージョのひとつの特徴として、歌詞が実話に立脚していることが挙げられる。
身近なできごとが唄われているだけに、その中身は共感を呼びやすい。
それが、タンギージョというあまり音韻も凝らないシンプルな節回しに乗せられることで、
まるで噂話のように人の口から口へと伝わるのだ。
それが、タンギージョが親しまれ愛される理由のひとつでもあるように思われる。
(曲種の分類より抜粋/濱田吾愛)

───────────────────────────────────
2016年11月29日(火)その2695◆血の雨降るか?

今宵はパセオ3月号掲載「2016マイベスト公演」の座談会収録。
アンカーを務める若林作絵ほか、たくさんの忘備録ライターが編集部に集結する。
どうか血の雨など降りませぬように!(汗)
(※注:このお題ではよく降るので)

終了次第(21時半ころ)、おとなり大吉で打ち上げる段取り。
遠方からも押し寄せる手相観の達人・大吉マスターに
ライター陣の未来(主に恋愛運)を占ってもらうつもりだが、
ここでもどうか血の雨など降りませぬように!

15193608_1184476324965172_1763524522848931323_n.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月28日(月)その2694◆屋良有子のルーティン

私、毎日日記を書いているんです。
その最後にはいつも「ひとつも後悔がないように」と書いています。
毎日同じことを書いているので、「これ、書く意味あるのかな」と思ったり(笑)。
「もっとできたかな」と思うのが嫌なんです。

『ラ・ウニオンのフェスティバルに日本代表として出演!/屋良有子インタビュー』
月刊パセオフラメンコ2017年新年号より

2016-12yaraariko.jpg

常に全力で体現するスーパーフラメンコ。
いかにもアリコらしいエピソード。
常人との差は、ああ、こんなところにもあるのかと知る。
アリコなのに保険を掛けない潔さ。
 
───────────────────────────────────
2016年11月27日(日)その2693◆カストロ

チェ・ゲバラに心酔するあるギタリストの演奏・言動に心酔していた若き日。
フィデル・カストロの他界でふと彼を想い出した。
彼の『チェ・ゲバラ讃歌(クチェラ作曲)』は空前の名演で、
私の主催するコンサートで何度か弾いてもらったことがある。
すでに三十年お会いしていないが、カストロの死をどう彼が受け止めたか、
朝からぐるぐる、そのことばかり考えている。

fidel-che02.jpg

(写真左が若き日のカストロ、そしてゲバラ)

───────────────────────────────────
2016年11月26日(土)その2692◆正解は?

「持ちつ持たれつ」 
ごく身近な環境から地球環境まで、ひと言で云い当てる正解。

10102020303_5f4396600e_b.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月25日(金)その2691◆フラメンコの構造図

15094416_1147815465295811_594369634018463655_n.jpg

さて、こりゃいったい何の図か?

おそらくは世界初、フラメンコのリズムを建物に例えることで、
その神秘と謎をすっきり解明するリズム構造図である。

バイレ、カンテ、ギター、パルマ、その他リズム楽器・・。
神秘的とも云えるあの生理的快感を発生させるために、
それらがどう関連し合っているのか(特にタテ軸)、
落語とバッハしか知らない私にはまったくの謎だった。

それぞれのリズムたちはどう助け合い、どう高め合っているのか?
西欧音楽のスコアの如く、その相関関係を明快に解き明かす
原田レクチャーをつい最近目の当たりにして、ああなるほど、
全体としてこーなってるわけかーと、とりあえず理論で納得。
スコアに基づきまずは各パートをマスターし、
どのパートからも他のパートたちの動きとアクセントを把握できるようになれば、
やがて自立協働を踏まえた大胆なノリを獲得できるはず。

この図の設計者は、特許取得のフラメンコメトロノームや
KIKUDAKEフラメンコCDの開発で知られるギタリスト原田和彦さん。
一回のレクチャーでここまで理解できるなんてちょっと信じ難い、
目からウロコのチョー簡単ハイレベル講座
フラメンコの神秘にさらに踏み込みたい実技ド素人の私も参加、
建物の物陰よりこっそりと覗く。

◆11月27日(日)13時~14時半(12時半開場)
 受講料◆90分(休憩なし)/3,000円(当日受付にて)
 予約☎03-6382-4611/メール:paseshop@paseo-flamenco.com

───────────────────────────────────
2016年11月24日(木)その2690◆雪よりカンテ

雪が降る。

江戸っ子は例外なく雪好き。
まあ、めったにゃ降らないからねえ。
数年前なら、仕事ほっぽり出しで長靴はいて駒込の六義園やら
向島・百花園あたりに速攻駆けつけたものだが、
今朝はパセオで神妙に仕事をしている。

今宵は高円寺エスペランサのパセオライヴ(エル・プラテアオ)。
ご来場者の足回りが心配で、雪見どころではない。
まあ、ある意味おれもちっとは大人になったか!と、しておく。 

1121]1.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月23日(水)その2689◆忘れたくとも

天災は忘れたくともやって来る。

忘れないための慎重性と忘れるための楽天性が、同時に求められる時代。
ここでもやはり、各自そのバランス調整ということか。

───────────────────────────────────
2016年11月20日(日)その2688◆うれしい途惑い

木曜晩のパセオライヴの徳永兄弟。

すべてが目玉だったが、最大の目玉はバッハ。
大胆な発想と磨き抜かれたクオリティ、
そして曲創りに対する誠実な姿勢に言葉を失った。

彼らの創造力は、時代に一歩先んじている。
脆弱な私の経験値では計ることの出来ない、
その壮大なポテンシャルに両手放しで歓びながらも、
彼らにどんな感想を贈るべきか、いま正直途惑っている。

15110897_1144489042295120_7904248151060242726_o.jpg

IMG_7071.JPG


しゃちょ日記バックナンバー/2016年11月①

2016年11月11日 | しゃちょ日記

06雄二.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月13日(日)その2686◆リハと本番

「これまでの人生はリハーサル、これからが本番」
  
若々しい精神を保つための秘訣だそうだ。
六十過ぎるとついつい、本番終わって後片づけ的な気分になりがちだが、
なるほど、それではボケるとゆーことか。
けっこう骨の折れるスタンスだが、他にやることもねーし、
検討の余地はありそうにも想えてくる。

Jean-François_Millet_(II)_002.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月11日(金)その2685◆私は14歳

「どっち?」
近ごろ毎朝の儀式。
どちらかの手にジェーの好物が入ってる。

ジェーどーも2.jpg

一年前、急病で死に損なった彼だが、
今日11月11日、満14歳の誕生日を迎えた。
人間で云うと彼は私並み(61歳)の年齢であり、てことはつまり、
犬で云うと私は14歳だ!と胸を張ってよい。

───────────────────────────────────
2016年11月10日(木)その2684◆二年待ち

歩いて一分、ご近所〝コープみらい〟が今週新装オープン。
二年前、中野五差路脇に引っ越し、こりゃ便利だわとヌカ喜びの翌週、
待ってましたとばかり新装工事に入りゃがった(苦笑)

新店舗は売場面積が倍となり、品揃えはツボを押さえ価格もまずまず。
料理好きなんで、すんごく助かるわあ!     

20150522_mfb_thumb-thumb-320x320-3413.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月9日(水)その2683◆天性

15002508_1134823203261704_1335354801294148199_o.jpg

「ドゥエンデ、あるいはズッキュ~ン。
そう、私の中で言葉がうまく文字に変換できないのでした。
荻野さんから感じた熱はフラメンコを獲得していく過程で得た魂の塊ではなくて、
持って生まれた熱なのではないかと思えます。
それはカンテの今枝友加さんにも共通する国境を
易々と跨ぎ越す完成度と言って良いのかもしれません」
(2016年2月号・パセオ公演忘備録より/石井拓人)

ああ、拓人も想いは同じだったかと、昨年のリサ・ライヴ。
〝天性〟という言葉を出来るだけ使いたくない私だが、
リサのフラメンコを観てると、どうしてもその響きを感じてしまう。
明晩の高円寺エスペランサは、待望の荻野リサ・ソロライヴ!
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2016/11/10sura.php#005948

───────────────────────────────────
2016年11月8日(火)その2683◆エル・プラテアオ

パコにとって二度目のパセオライヴ。
ド迫力の踊り歌も快感だが、この人のカンテライヴには
意表を突かれるような深い歓びが満載!

1124エル・プラテアオ★.jpg

2016年11月24日(木)
パセオフラメンコライヴVol.38
エル・プラテアオ カンテソロライヴ

残席あり/電話予約
昼(セルバ)☎03-3383-0246/
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

エル・プラテアオ(カンテ)
フェルミン・ケロル(ギター)
ベニート・ガルシア(バイレ)
鈴木敬子(バイレ)
三枝雄輔(パルマ/バイレ)

「パセオライヴ第二回目となる僕のソロライヴです。素晴らしいアーティストであり友人でもある仲間たちと、伝統的なスタイルで歌います。プログラムは私に影響を与えてくれたカンテの巨匠たちを巡ります。ニーニャ・デ・ロス・ペイネス、彼女の弟トマス・パボンや、ファニート・バルデラマなどを思い出し、そうした名人たちに最大限の敬意を表したいです。それから私事になりますが、今年の一月に亡くなった私の父にこのライヴを捧げます。父からは全てを学びました。生きること、愛すること、それは私のカンテに今も大きな影響を与えて続けています。この日がくるのが待ち遠しい。歴史あるカサ・デ・エスペランサとパセオによるこの企画のために準備は万全です。皆さまとフラメンコを楽しみたい!」

 パコのカンテを初めて聴いたとき、その歌唱のあらゆる瞬間が歌全体のイメージ形成に直結する見事な俯瞰・構成力に驚いた。そのユニバーサルな芸風からてっきりバルセロナ系かと推測したのだが、実際の彼は生粋のセビージャっ子であり、これによって私の見識に対する信用は一気に崩壊した。以下は彼との対談(2015年10月号)の折に飛び出したパコの至言である。彼のアルテの輝きはまさしくここから発している。
「何をおいても、まずその瞬間に入りこむこと。そこですべてを出し切ることが、フラメンコにおいても、僕の人生においても最良のこと」 (小山雄二)

月刊パセオフラメンコ2016年11月号より
撮影Ⓒ大森有起

───────────────────────────────────
2016年11月7日(月)その2682◆徳永兄弟のバッハ

徳永兄弟のバッハ初挑戦。
迷わず受けてくれたことがうれしい。
音楽史上最高の名曲と評されるシャコンヌを、おそらくはブレリアで。

徳永兄弟最新.jpg

2016年11月16日(水)
パセオフラメンコライヴVol.37
徳永兄弟 フラメンコギターデュオライヴ

徳永健太郎(ギター)
徳永康次郎(ギター)

残席あり/電話予約
昼(セルバ)☎03-3383-0246/
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com       

「今回のライヴは前回同様二人だけで、さらに生音でのライヴを考えています。今までリリースした二枚のアルバムからのオリジナル曲はもちろん、他にも伝統的なヌメロや僕たちが尊敬するマエストロの名曲なども演奏させてもらう予定です。そしてなにより今回の目玉はあのバッハのシャコンヌをフラメンコカバーで演奏するという試みです! これはパセオ小山社長から提案していただき、僕らも新たなチャレンジをしてみたいという思いで取り入れました。現在忙しくてまだなにも手をつけられていませんが笑、間に合うよう頑張ります。徳永兄弟の枠にとらわれないフラメンコギター、伝統的な古き良きフラメンコギター、そしてフラメンコギターで奏でる名曲のカバー、全てを凝縮したライヴにしたいと思っています」

 音楽史上の最高傑作と称されるバッハの名曲シャコンヌ(原曲はヴァイオリン)というムチャ振りを、まさか本当に受けてもらえるとは正直思ってもみなかったぞ笑。そういう柔軟にして大胆なチャレンジ精神が、帰国後の兄弟の目を見張るような躍進の原動力にもなっているのだろう。スリリングな安定感とでも云うべきか、徳永兄弟のライヴというのはとにかく楽しくて、フラメンコを知らない友人たちを気軽に誘えるのもうれしい。彼らの明るいキャラもこの世界の宝。私たちに出来る応援は、さしあたりライヴに足を運ぶこと。(小山雄二)

(月刊パセオフラメンコ2016年11月号より)

───────────────────────────────────
2016年11月6日(日)その2681◆主要目的

別の人生もあったんじゃないか?

そんな疑念がパタリ途絶えたのはパセオ創刊十余年のころ。
一所懸命踏み込みつつも、弱い自分との葛藤の日々は続く。
そんな中、フラメンコや生活を介してめぐり合い親しくなった人々。

いま想うに、誰がどこでどう生きようと、
唯一その人だけに訪れる一期一会のふれあいの数々、
分かり合える掛け替えのないひととき。
それらは副産物などではなく、むしろ主要目的のひとつだったのではないか。
死が寂しいのも、多くの理由はそこに集中するだろう。
だからこそ生の意味がくっきり視えて来たりもする。  

14938165_1130469927030365_6501226452143842740_n.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月4日(金)その2680◆荻野リサ
来週木曜は荻野リサ!
     
2016年11月10日(木)20時/高円寺エスペランサ
パセオフラメンコライヴVol.36
荻野リサ ソロライヴ

               
残席僅か/電話予約
昼(セルバ)☎03-3383-0246/
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493
メール予約:selva@tablaoesperanza.com

荻野リサ(バイレ)
逸見豪(ギター)
マヌエル・デ・ラ・マレーナ(カンテ)
三枝雄輔(パルマ)

「パセオライヴは今回で2回目。エスペランサで踊るのは2年振り。2回目である事の難しさを感じてはいますが、でもどこかで深く考えすぎず、素直に正直にやれたらそれでいい、とも思っている私がいます。エスペランサにはエスペランサにしかない、〝何か〟があります。小さな空間に凝縮された空気があります。それを楽しもう、きっと面白いことになる、そんな気がします。このライヴ直前までスペインにいるので、向こうで感じてきたものをそのまま皆さまにお届けします」(荻野リサ)

 世界中を駆けめぐる眼耳の肥えた親しい音楽関係者が、あるとき荻野リサのバイレフラメンコを目の当たりにし、そのあまりの素晴らしさとレベルの高さに絶句し、以降日本のフラメンコに対する認識が180度激変したという。実際リサの実力が全開するステージというのは、さまざまな制約に喘ぐ人間の苦悩を軽やかに乗り超えるような美しい快感があって、そうした華の瞬間が、観る者の脳裏に永遠なる映像を焼きつける。
「蝶のように舞い蜂のように刺す」のはモハメド・アリだが、天上の至福を舞うリサのフラメンコにも痛烈なツネリがセットになっていて、ただ美しいだけの舞踊とは一線を画す。近頃は伝説のバイラオール、父ホセ・ミゲルのシルエットが彼女のバイレに重なって視える瞬間がある。だがそれは父の幻ではなく、紛れもなく荻野リサの揺るがぬ実存なのだ。(小山雄二)

月刊パセオフラメンコ2016年11月号より
写真ⒸPepe Zapata

荻野リサ最新.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月3日(木)その2679◆カナーレス&鈴木敬子

昨日今日は代々木カデーナにて、
カナーレス&鈴木敬子。
パセオ忘備録は石井拓人が担当。
期間中ジェーは動物ホテルでご満悦中。

14124252_938139502964895_1501303219971609846_o.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月2日(水)その2678◆堀越千秋画伯

10月31日マドリーにて、堀越千秋画伯が他界された。
カンタオール、文筆家、陶芸家としても活躍されたパワフルな大豪。
突然の巨匠の訃報に愕然とされる方々も多いことだろう。

私より六つほど年長の画伯。
スーパーマン的な人は自分より先には死なない。
幾つになっても、そういう幼い思い込みが私にはあって、訃報に接し脱力したまだ。      
ふだんから生者と死者をあまり区別しない性質にこういう時は助けられるが、
だからと云って脱力が止まるわけでもないし。

堀越千秋.jpg

───────────────────────────────────
2016年11月1日(火)その2677◆試される人

早くも11月。
明晩は座・高円寺、この人のリサイタル。
稀代のカリスマ・バイラオーラ大沼由紀。
例によって両日ともにチケットは完売。

3大沼由紀.jpg

少しずつガチ書きに向かう私を、無謀にも彼女が指名してきた。
よって公演忘備録(パセオ2月号)は私が担当。
試されるのは私の方である。