フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2013年6月①

2013年06月01日 | しゃちょ日記

a98f692b3ed043b032e288b033e7cf5ac6d1c03228.jpg

   定期購読のお申込みはhttp://www.paseo-flamenco.com/まで

───────────────────────────────
2013年6月1日(土)/その1329◇安息日

 こうなったらいいなと思ったことが明け方の夢に。
 あともうちょいってところで目覚める。
 ちょっと悔しいが、夢でそのまま完遂してたら
 目覚めのショックは痛すぎるから、なるほどうまく出来てる。

 童話の領域を超える、世界中の大人のための巨大なファンタジー。
 予測通りグッサリ心に突き刺さる、昨晩の鍵田真由美&佐藤浩希(ツバメンコ師匠)
 アルテイソレラによる『赤いろうそくと人魚』。
 それにしても矢野くん(曽根崎心中の九平次)、いい味出してたなあ。
 善人つーのはホント悪役が巧いね。

 朝バッハはダニエル・ホープでヴァイオリン協奏曲。
 モダン楽器で古楽器奏法、古風なんだがスタイリッシュで新鮮というアイロニー。
 リリース当初は奇を衒った感を持ったけど、何度聴いても新しい。
 ひょっとして名盤かも。少なくとも朝バッハには最適のひとつ。

 久々の全休の携帯文庫は、そろそろ忘れたであろう池波〝鬼平〟の長編。
 江戸色濃厚な向島百花園あたりでじっくり読みたい。


 百花園01.jpg

───────────────────────────────
2013年6月2日(日)/その1330◇命名者の憂鬱

 向島百花園。
 (むこうじま・ひゃっかえん)

 60歳以上の若者に人気のスポットである。
 入園料はそれなりに高いが(一日150円)、
 風流に金を惜しんではいけない。

 これが名高い「バッハ橋」である。
 小川(独語でバッハ)にかかる石橋を見て私が命名したが、
 おそらく管理人の方々はご存じないと思われる。

 バッハ橋.JPG

 これがあの「バッハ街道」である。
 これも私の命名だが、右手に何やらいらんことが書いてある。

 バッハ街道.JPG

 そう、云わずと知れた「モーツァルトの小径」である。
 さっき写真をアップする時に、ほとんど発作的に命名した。

 モーツァルトの小径.JPG

 勝ってナンボの〝菖蒲〟の世界。
 こないだ正月だったのに、もうこんな季節である。

 勝つか負けるか菖蒲の世界.JPG

 藤沢周平師の作品は、だいたいここで読む。
 企画書もよくここで書くし、幸い屋根もあるので、
〝パセオフラメンコ社長室〟と呼んでも差し障りはないように思う。

 藤沢周平読書ベンチ.JPG

 この日記をご覧になった方々の御心は、
 おそらくこんな感じであろうか。

 6704226_168892336_1large.jpg
 
───────────────────────────────
2013年6月3日(月)/その1331◇コンパスと時間は伸び縮みする

 ヴィジョン・戦略を本音で宣言し、
 前向き・具体的な戦術を編み出す空気を創ること。
 そして資金繰りと営業と三流マシンガンギャグ。
 目下の社長業はそんだけ。

 余った時間で、各種布石打ちと編集作業。
 さらに余れば各種ヘボ執筆。
 余らなくともお仲間と呑み会。
 い~い女だと時間は無尽蔵になるところが不思議だ。


 1872150413_147.jpg

───────────────────────────────
2013年6月4日(火)/その1332◇最近知ったこと

 宝クジは買わないと当たらないことを
 知っている人は意外と多いが、
 自分から変わってゆかないと世の中は改善されないことを
 知ってる人は意外と少ない。


 1869487346_230.jpg

───────────────────────────────
2013年6月5日(水)/その1333◇消去法

 どうすれば女にモテるか?

 男にとって二番目に重要な命題である。
 若い連中に時おり酒場でそんな質問を受ける。

 私は潔く自分の過去を語り、
 最後にビシッとこう締めくくる。

 「以上のような過ちを犯さなければ、
 女にモテる余地は残される」


 おーまいがっど.jpg

───────────────────────────────
2013年6月6日(木)/その1334◇自由な選択

 きのうのツイッター、Copy writing氏‏より、
 へえーっと、思わず和んでしまったものを二つばかり。


 「その恋は10年後の日常よりも、
  美しい思い出になることを選んだ

                       #失恋を肯定するコピー


 「私には、好きでもない仕事をしているあなたのほうが、
  狂っているように見える

                                by ゴッホ


 6704226_168892803_1large.jpg

───────────────────────────────
2013年6月7日(金)/その1335◇軟弱野郎

 「エガちゃん、またやってくれちゃったか。
  まあ、社会的制裁は仕方ないけど、エガちゃんは
  私的・邦人アーティストベスト10の中でますます順位を上げた」

 エガちゃんファンの私は、苦情殺到承知で今朝方こんなツイートを打ったのだが、
 あっちゃこっちゃでむしろ好意的な反応が多いことに驚いた。
 全体的には少数派かもしれないが、わかってる人はわかっている。
 そのことがとてもうれしい。


 さて、パセオ7~8月号にこの秋来日する鬼才イスラエル・ガルバンの記事が載る。
 根っ子はプーロ(純粋)フラメンコだが、筋金入りのモロ前衛の若き巨匠。
 だからスペインから送られてくる写真もモノ凄いやつが多い。

 「えっ、エガちゃん!?」

 つまり、イスラエルにはそーゆーショットが多い。
 今回私は、意識的にそれらの写真掲載を断念した。
 すると、私の内のアートの正義が、
 いい子ズラしようとする編集長を、何度も何度も糾弾する。

 「ちっ、この裏切り者めっ!」

 だがこの秋、日本の観衆の前で彼がその真価を発揮するなら、
 次回からは、イスラエルのエガちゃん風をすんなり掲載できる空気が生まれる。
 エガちゃんファンの同志の皆さんよ、今回ホントにごめんなさい!


 090815わん1.jpg

───────────────────────────────
 2013年6月8日(土)/その1336◇不思議に想う

 今日はパセオでインタビュー起こしと、新宿渋谷で幾つか打ち合わせ。

 夕方からは高校のオチコボレ同期と四季の定例呑み会。
 いつもは母校近くのチャンコ屋集合が定番なんだが、
 今回はやはり同期のタイチローが包丁をふるう恵比寿の奴の料理屋に集合。
 四十年前にこの私をスコンと振った同級のマドンナ、
 初代ミス・キャンパス〝愛しのエリー〟も三回連続でゲスト参加。

6704226_1888482110_67large.jpg
                 「最近のいいとしのエリー」

 高校三年生のわずか一年の縁が、
 その後四十年続く定例呑み会の布石であったことを不思議に想う。
 その後まるで成長を感じさせない俺たちの不変性を不思議に想う。

───────────────────────────────
2013年6月10日(月)/その1338◇革命の順序

 脳科学者の茂木健一郎さんのツイッター。
 そのプロフィールにこうあった。

 「社会の前に自分を革命せよ

 ひゃあ、さすがは茂木さん、うめえこと云うもんだ。
 社会批判の無責任ツイートが目に入ると妙に空しくなるが、
 今後はこう突っ込んで完結することにしよう。

───────────────────────────────
2013年6月11日(火)/その1339◇悪癖の報酬

私 「根っからの〝いい人〟を好ましいと思うが、
  〝いい人っぽく振る舞うのが好きな人〟がその手の言動に出るとき、
   ついつい飛んだゴキブリを連想し丸めた新聞紙で張り倒したくなる悪癖は、
   今年中に治そうと思う」

某さん 「私も治せるかな(¬_¬)」

私 「宗教の訪問勧誘の方々につい罵詈雑言を浴びせてしまう悪癖を治すよりは
  比較的容易であるような気がします」


 きのうのツイートでこんなやりとりがあったのだが、
 朝になるとフォロワーがずいぶんと減っていますた。

───────────────────────────────
2013年6月11日(火)/その1340◇持久自足

 「強いから勝つ」のではなく「勝ったから強い」。

 そういう人生の実相を効率よく学べる世界でありながら、
 すっかり競技人口の減ってしまった麻雀。
 この私だってすでに三十年ほど打っていない。

 青春放浪期の生業資金源たる麻雀だったが、
 パセオフラメンコ創刊と同時にスッパリ足を洗った。
 金を賭けないと懸命になれないところが麻雀の弱点だが、
 それがゆえに囲碁将棋よりも人生に近い。

 意外と淡々とした弱肉強食の原理を学べること。
 現状維持では必ず沈んでしまう世の現実を体感できること。
 多くは反面教師的理由から、人付き合いのマナーと急所を学べること。
 金は極めて重要であり、かつ最終目的にはなり得ないことを思い知ること。

 とまあ、メリットはいろいろあるわけで、
 こういう技能・英知を義務教育の正課で学べない建前は残念だが、
 まあ、学校にはフラメンコの授業も無いように、
 本当に大切なことは、自分で探して自分の銭で学べということか。


しゃちょ日記バックナンバー/2013年6月②

2013年06月01日 | しゃちょ日記

a98f692b3ed043b032e288b033e7cf5ac6d1c03228.jpg

   定期購読のお申込みはhttp://www.paseo-flamenco.com/まで
 
───────────────────────────────
2013年6月12日(水)/その1341◇小島章司&今井翼、スペイン王立劇場速報!

 スペイン在住の人気ライター東敬子より、
 スペイン王立劇場のツイッター速報!


 https://twitter.com/keikohigashi
 ただいま王立劇場のガラ終了!コジマ・ショウジに大感動。
 ミゲル・ポベダもよかった。
 そして今井翼、凄かったよ!
(^O^)/

 あの東敬子がそう云うんだから、まず間違いはねえだろ!


 ツバメ~1.JPG

───────────────────────────────
2013年6月13日(木)/その1343◇今井翼と小島章司とミゲル・ポベーダのファンの方は

 今井翼と小島章司とミゲル・ポベーダのファンの方は、
 これ(↓)を読んで、
 飛び上がって喜んじゃってみてくだせえ。

 http://www.paseo-flamenco.com/daily/2013/06/post_7.php#004241

───────────────────────────────
2013年6月13日(木)/その1342◇生きることは生きること

 「踊ることは生きること」

 数年前にフラメンコ舞踊手である連れ合いをインタビューした折、
 こんな言葉がポンと飛び出した。
 ああ、なるほどそーゆーワケかと、
 それまで不可思議にも思えた彼女の言動がすべてひとつにつながった。
 さらにそのフレーズには続きがあった。

 「生きることは踊ること」

 私には彼女における「踊り」に相当する部分が無いことに、
 そのときはっきり気づいた。
 社長業も営業もプロデュースも編集も執筆も、
 その境地には至ってないことに愕然とした。
 どこかで「仕事ですから」みたいな、腐ったおざなり感があったことに気づいた。

 変化の突破口は、意外にも〝執筆〟だった。
 冒頭の出来事からしばらくすると、
 「書くことは生きること、生きることは書くこと」
 みたいな感覚が当たり前に浸透している自分が居た。
 書く行為自体、楽しくて苦しくて嬉しくて仕方なかった。
 つい三年前のことである。

 その頃から〝執筆〟は私にとって特別なものとなったが、
 一方で何か大切な忘れ物をしてきたような気持ちの悪い違和感があった。
 じゃあ、置き去りにされた社長業や営業やプロデュースや編集はどうなるの?
 日々の暮らしや、人付き合い・犬付き合いなんかはどうなるの?
 それって書きたいこと、発見したいことの大元になってくれるもんじゃねーの?
 おれの場合、それが楽しいから生きてるんじゃねーの?
 それらを疎かにしてまで書かなくちゃならねえものって一体何なんだ?

 そこでハタと気づく。
 私という人間の場合、書くことが唯一最大となれば、他の部分は壊死する。
 書くことはつまり、今日を精一杯生きることの小さな句読点に過ぎない。

 さあ、そこから先は芋蔓(いもづる)式に自分なりの正解が視え始めた。
 あらゆる仕事も生活も大ザッパにひとつであることが私には好ましい。
 書くことは特別なことではなく、普通に生活の一部だった。
 そこに気づいた瞬間、無駄な行為、無駄な時間というものが私の中から消え去った。
 ただしこれも、次の変化に向かう循環の1プロセスに過ぎないことには薄々気づいている。

                
 1872150413_147.jpg

───────────────────────────────
2013年6月14日(金)/その1344◇スリル満点

 「眼は心が理解する用意があるものだけを見る」

 élan vital(生命の躍動)で名高いベルクソンはこう云った。
 哲学科生時代は常にベルクソンを持ち歩き、実はチンプンカンプンなのに
 わかったフリをするのにえらく疲れたことを思い出す。

 本誌にフラメンコ公演忘備録を独り書き始めたころ、
 不意にベルクソンのこの名言を思い出した。
 人は自分にとって都合のいい面しか見ない。
 特にオレの場合、こりゃちょっと危ねえと思った。
 もちろん信念という思い込みが無ければブレブレになるから、
 そりゃそれで最悪だが、誌面が単一方向に流れる危険は避けようと思った。

 さまざまな感性からのフラメンコな発見を立体的に誌面化する。
 それがフラメンコの普及発展には必須の道筋であり、
 ともに忘備録を書くお仲間たちを積極的に募った理由はそこにある。

 そして現在のお仲間は休眠二人を含む総勢十人。
 誌面に余裕があればもっともっと増やしたい一方で、
 主に品性などの問題から、まず最初に淘汰される書き手が、
 おそらくはこの私であろうことに我ながらドキドキしている。


 おら.jpg

───────────────────────────────
2013年6月15日(土)/その1345◇云い辛いこと

 283人。(=ツバサ)
 mixiコミュ『今井翼/翔ぶために生まれた』の
 本日早朝における参加同志の人数である。
 (ちなみに今現在は287人)

 893人。
 mixiコミュ『パセオフラメンコ社長室』の
 今現在における参加同志の人数である。
 893=ヤクザ。
 ほとんどがマイミクさんなので、大声では云い辛い。


 おーまいがっど.jpg

───────────────────────────────
2013年6月16日(日)/その1346◇それぞれの常識

 「何でフラメンコの専門誌なんか出してるんですか?」

 かれこれ三十年、
 スペイン人や日本人やジョーシキ人の方々に
 何百回となくそう訊かれショージキ困ったよ。
 
 こっち的には至ってフツーだと思ってるわけで。


 代々木公園のフィクサー3.JPG

───────────────────────────────
2013年6月17日(月)/その1348◇次行こう!

 今井翼さん表紙&連載開始のパセオフラメンコ7月号。

 定期購読者の驚異的底上げと、全国書店からの爆発的注文で、
 通常より数千部多く広い世間に浸透する見込み。
 それがプラス三千部なのか、その数倍なのかは今後の成り行き次第だが、
 1990年代の女優山口智子さんシンドローム以来の
 〝フラメンコの春〟の気配を感じている。

 昨日あたりから、その最新号を入手された新たな購読者の
 第一声がそろそろツイッターに載り始めている。
 そのほんの一部だが20ほどの声をリツイートして拾ってみた。
 https://twitter.com/paseoflamenco

 どんな業界も知らず知らずのうちに自家中毒に陥りやすいものだ。
 最新号をめくりながら、あれやこれやと改善の余地を発見する。
 春のそよ風がもたらすこの爽やかな開放感を、
 より深く豊かでかつ開かれた内容につなげてゆこうと想った。


 1872150413_147.jpg 


 ※【今日のミクシィ日記より転載】

★由美★2013年06月17日 07:11
おはようございます!夕方にPaseoが手元に届いてから一気に読み、あと僅か読んでないページがあり、今日残りを読むのを楽しみにしてますぅ。表紙の次のページは、数えきれないくらい見てますぅ。文章も何回も読んでます。どんだけぇ~ですね~。表情と文章に何か私の心に響くものありました。朝から長々とすみません!

しゃちょ2013年06月17日 07:14
ありがとう由美!
御礼に、その美しい余韻をいつまでも維持するための愛あるアドバイス。
まつがってもわたすの書いた記事だけは読まないこと!

しゃちょ2013年06月17日 07:15
最近注目してる男性フォロワーのツイート(↓)。
「パセオフラメンコ7月号を読んでいる。これほんとすごい雑誌だなと。舞踊のことは全くわからないのだが、一枚一枚の素晴らしい写真からは映像が目に浮かぶようだ。今井翼さんの新連載は驚くほどストレートに情熱的でめっちゃ好感度上がるし、体つきや表情や姿勢はさすがのもので、羨みの溜息も出ない笑」

しゃちょ2013年06月17日 07:22
これ(↓)もうれしい!
「パセオフラメンコ届いた翼が関わらなければ未知の領域だったけど面白いな。全然違うんだけど90年代の別冊宝島思い出した。良い意味でコアだからだろうか。本筋とは関係ないところでは良い紙を使っていて、紙の良い匂いがする。本屋より図書館の匂いの方が好きなんだけど、そっちの匂いに似てる」
               
しゃちょ2013年06月17日 07:37
いまさっきのツイート(↓)
「パセオフラメンコを読みながら通勤です。φ(..)エストレージャ・モレンテさんの言葉は私の中に古いものが溜まって執着になってると気付かせてくれました。もっと知りたいです。宝物です。本当に素敵な一冊です。ありがとう」

[ゆう2013年06月17日 07:41
「私の元にも到着しました。 とにかく感激の一言で、また一歩着実に歩み始めた翼君の事を想い、涙が溢れました。 ファンなら誰もが知っている、真っ直ぐで、頑固で、不器用で、そして人一倍努力家な翼君の魅力が、幅広い方々に届く事を信じています。 しゃちょ様、本当に素敵なそして大きなチャンスをありがとうございました」

───────────────────────────────
2013年6月18日(火)/その1349◇あふれよ我が涙

 「朝から安い牛肉を焼いて喰った。ステーキな一日になると思う」


 きのうのツイートが珍しくウケた。
 やはり、淡々と事実を記すのがよろしいとゆーことか。
 そして、以下のような反応があった。

 「私に隠れて、もう!」
 「ぎゅうじつした1日になるように」
 「しゃちょさま モ~すてぇきなおかた(´Д`)ノ」

 鏡に映った私の魂はブレリアを踊るが、
 その輝かしい共感はあふれる涙で視えない。


 おーまいがっど.jpg

───────────────────────────────
2013年6月19日(水)/その1350◇一期は夢ぞ

 企画制作、取材、構成などプロデュース&ディレクションの全面で
 今井翼さんの連載を担当する相棒ぐらの日記。
 http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1905040663&owner_id=7195243

 当初は私が担当するつもりだったが、
 先方との未来構想が合致した瞬間、
 今井さんと同世代の小倉に全面的にゲタを預ける作戦が閃めき、
 ちゅうちょなく彼はそれを引き受けた。
 
 ほんの少しでも彼にちゅうちょが有れば、その時は私がやるつもりだった。
 歴史はほんの一瞬の判断で決まることが多い。
 「大切なことは三秒で決めろ」
 誰が云ったか忘れたが、そんなふうに私も生きてきた。
 果敢な決断そして、その日常的準備と地道な帳尻合わせ。

 重大なミステイクも数限りないが(汗)、
 数少ない成功は、まさにそれによってもたらされたわけで、
 このスタンスへの愛着は年々募るばかりだ。


 6704226_168901236_1large.jpg

───────────────────────────────
2013年6月20日(木)/その1351◇想えば叶う

 ああ、この人はフラメンコ人口を増やしてくれる人だな。

 以来、遠くから注目しながら事あるごとに彼のことを書いてきた。
 あれから五年が経ち、彼の連載が始まるパセオフラメンコが今日書店に並ぶ。


 1870864545_14.jpg
 
───────────────────────────────
2013年6月21日(金)/その1352◇自画自賛

 5月の音楽祭で1万5千人の音楽ファンを熱狂させたカニサレス。
 あの奇跡のフラメンコギターを日本のプロモーターが放っておくわけがない。

 カニサレス、12月来日公演決定! 

 マエストロはパセオ9月号の今井翼対談に登場するのだが、
 その号に急きょ来日公演記事を書くことになった。

 カニ.jpg

 その類まれなる超絶技巧、即興演奏、作曲能力を正確に伝えることで、
 満員御礼、アンコールの鳴り止まぬあの熱狂の音楽祭の再現をサポートしたい。

 昨日これぞというキャッチコピーが閃いたので発表するが、
 こりゃきっと日本はおろか世界中の音楽界にも定着するぞお!

  「フラメンコギターのベートーヴェン!」
                               (by わし)


 6704226_1872438851_231large.jpg

───────────────────────────────
2013年6月22日(土)/その1353◇安息日

 今井さんのテレビ出演があるので、今宵は外には出掛けず家で呑む。
 仕事帰りに小田急で肴をみつくろい、
 久々に豚ブロックでカレーでも作ろうかと思う。

 6時起床の朝バッハは、この春指揮者としてカニサレス弾くアランフェスを
 サポートしたジャン・ジャック・カントロフで無伴奏ヴァイオリン。
 シャコンヌのあの懐かしいデーモニッシュな浪漫が、
 二十代半ばのハチャメチャな行状をさまざまに変奏する。
 
 お外を見やれば案外といい天気なので、
 後ほどジェーを連れて自宅の庭(通称代々木公園)でも散歩しよう。
 柔らかな陽が注ぐ噴水脇のベンチで寛ぐひとときには明朗な潤いがある。

 6704226_1922647052_171large.jpg

 でかいプロジェクトが幾つかひと段落したが、
 先々の仕込みがガッツリ待ち構えているので、今日明日はそれに没頭。
 生涯戦歴3勝997敗を誇る私が編み出した前倒し必勝法であるが、
 ここ十数年、4勝目がなかなか出ないことを不思議に想う。

───────────────────────────────
2013年6月23日(日)/その1354◇無我夢中

 一生懸命だと知恵が出る。
 中途半端だと愚痴が出る。
 いい加減だと言い訳が出る。


 戦国の名将・武田信玄はこう云ったという。
 まったくもって、昔も今も人は変わらぬものだと想う。
 この不朽の至言をしかと自分に云い聞かせたのち、
 パセオフラメンコ生活三十年の経験則から、その返しを歌ってみる。


 身を捨ててこそ浮かぶ瀬もありフラメンコ

       
 1872150413_147.jpg


───────────────────────────────
 2013年6月24日(月)/その1355◇良薬耳に痛し

 「ツイッターを見ていると、
 読み手の理解力がないためにヘンなレスが来たり、
 結果として炎上しているケースがよくある。
 ホリエモンの場合、きわめて論理の緻密度が高いので、
 そこについていけない人は、きっと誤解して感情的なレスをするのだろう。
 そして、ホリエモンは感情に感情で返さない」


 理解力のない読み手によるアゲ足取りが世間的に勝利してしまう状況下、
 茂木健一郎‏さんの上記ツイートに具体的なヒントが視える。

 なるほど、「感情に感情で返さない」、か。

 好ましい反射神経を鍛えたいフラメンコ系には何ともしんどい難題だが、
 人の嫉妬がここまで正当化されるシーンにおいては、賢明な現実論にも思える。
 少なくとも、てめえなんぞにパセオは売らねえと年に一度はキレる私にはいい薬だ。


 090815わん1.jpg         

───────────────────────────────
2013年6月25日(火)/その1356◇修業の理由

 ネット上でうれしい発見をすることが多々ある。
 逆にムッとするような発言に出喰わすことも多々ある。
 これらがワンセットであるところは、
 仕事や呑み屋などのリアル世界同様であることに気づく。

 好ましい発言に対し、何とかアゲ足を取ろうとする稚拙な発言の多さに辟易とする。
 自分の愚かさに気づきたくないから、世間に対して悪あがきをする。
 こうして自分の理解を超えたものを非難する人々をついつい私は非難の目で見るが、
 つまりこの私も理解を超えたものを非難する人々のひとりであることにも気づく。
 
 さらに、若い頃の自分を振り返れば、実は彼らの気持ちはよく分かっているのだ。
 優れた発言に対する妬み僻みからの反抗。
 格下ながらも何とか同じ土俵に立ちたいとあがく代案無きアゲ足取り。
 これらはあの頃の私の十八番だったではないか。

 歳を食って多少は物事が視えるようになったからと、
 自分のみを棚上げするスタンスは、我ながらチャンチャラおかしいと想う。
 実力や真心を欠く〝上から目線〟というのは、
 人類における最も醜悪なスタンスなのかもしれない。
 まあ、こういうトホホな新発見もあるから、今しばらくはネットで修業したい。


 1872150413_147.jpg  

───────────────────────────────
2013年6月26日(水)/その1357◇勘違い閉口某

 パセオフラメンコ最新号。
 朝から晩まで、書店注文の電話が鳴りやまない。
 発売日の前はそれぞれ1冊2冊の注文が多かったが、
 20日以降の追加注文はそれぞれ5冊10冊という具合に膨らみ始めた。

 きのうは私も10本以上注文電話を取ったが、その夕方、
 「リブロ池袋から100冊追加がありました!」と、
 編集部のマドンナ岩井が叫び、全員拍手でこれに応え、
 ついでに私はこう叫ぶ。
 
 「オレの〝しゃちょ日記〟のおかげじゃあ!」

 盛大な拍手がパタリとまった。


 代々木公園のフィクサー3.JPG

───────────────────────────────
2013年6月27日(木)/その1358◇想定外

 フラメンコギターのベートーヴェン!
 この12月来日するマエストロ・カニサレス。

 カニ.jpg

 あるときカニサレスと昼めしを食った。
 迷わず私はカニ釜飯を注文したが、
 カニサレスは予想に反し天ぷら蕎麦を注文した。
 それではエビサレスではないかと、内心私はあせった。

───────────────────────────────
2013年6月28日(金)/その1359◇フェイドアウト手法によるヴァージョンアップ

 パセオフラメンコ誌面全体のクオリティアップのために、
 今井翼連載開始号より「2ページ⇒1ページ」にヴァージョンアップした〝しゃちょ日記〟だが、
 多数のモニターより「全体バランスが改善された」という賞賛をいただいているので、
 この分だと「1ページ⇒0ページ」にヴァージョンアップする日も近いかもしれない(泣)。


 おーまいがっど.jpg

───────────────────────────────
2013年6月29日(土)/その1360◇探しものは私の内に

 「能のある一人の人間が、その能を生かすためには、
  能のない幾十人という人間が、
  目に見えない力を貸しているんだよ」
                          (山本周五郎『さぶ』)

 新聞のコラムに懐かしい与平爺さんのセリフを見つけ、
 将棋のプロ棋士を志した頃を思い出した。
 当時の仲間の何人かはプロテストに合格し、
 実力通り私はあっけなく落ちた。

 その後永らく私は停滞するのだが、この爺さんのアドバイスによって
 自らの存在理由を確認できた折の、目からウロコ感が懐かしい。
 その納得感は、アートの裏方で生きる選択を大いに後押ししてくれたし、
 人を羨む救いのないヒガミ根性からも解放され、
 やがてプロになった仲間を本音で応援できるようになった。

 さて、多くの裏方稼業では、才能よりも〝好き〟がモノを云う。
 〝好き〟によって人並みの倍ほどもドン臭く働く用意さえあれば、
 多少問題のある人間(オレだよ俺!)でも、
 どーやらこーやら何とかなってゆくのが裏方稼業の実情のように思える。

 〝好き〟は才能を補填する、というのが近年の実感だが、
 才能ある人というのは実は、早くに自分のそれを発見した人なのかとも想う。
 私は五十を過ぎた頃に、自分にとっての本当の〝好き〟を発見したつもりでいるけれども、
 そのことを遅過ぎたとは思わないし、むしろ私のようなわからんちんの人間ほど、
 たくさんの寄り道をする必要があったことを思い知るのである。

 6704226_168901259_1large[1].jpg

 とりあえず晴れてる土曜の朝バッハは、
 フルートのMagali Mosnier(←読めない)によるオケ伴編曲アルバム。
 颯爽と歌うイタリアン・コンチェルトが楽しい。
 このあとジェーと代々木公園、
 その後はパセオで執筆か向島百花園に遊ぶか、大いに迷う。
 ま、間とって百花園で執筆ってのも悪かねーか。

───────────────────────────────
2013年6月30日(日)/その1361◇東京タワー派
 
 携帯が鳴りまくる昨日土曜の当初予定はグズグズとなり、
 渋谷でラストの打ち合わせを済ませ、家路をたどる途中タワーレコードに寄る。

 久々のタワレコは、クラシックフロアが6階から7階に移動していた。
 運よくブロックフレーテのライヴをやっていたので20分ほど立ち聴きしたが、
 一時期ほんのちょっとだけバッハ(無伴奏チェロの編曲)を吹いてた事があるので、
 あの素朴で親密な佇まいが嬉し懐かしかった。

 相変わらずバッハのコーナーだけでも、数千種類あるのはうれしい。
 グールドのコーナーも相変わらず王者健在という風情でうれしい。
 彼の鍵盤バッハが肴なら、まだまだ朝まで呑めるかもしれない。
 さて、今回仕込んだのは新譜を中心にバッハのみ5枚。
 
 ○マキシム・ヴェンゲーロフ(ヴァイオリン)2012ロンドンライブよりシャコンヌ他
 ○ヴィクトリア・ムローヴァ(ヴァイオリン)&オッタヴィオ・ダントーネ(チェンバロ)と
  アカデミア・ビサンチナ/ヴァイオリン協奏曲集
 ○ミゲル・リンコン(バロックリュート)/無伴奏ヴァイオリンの編曲集
 ○クリストフ・バラティ(ヴァイオリン)/無伴奏ヴァイオリン全曲
 ○ロリン・マゼール&ベルリン放送交響楽団/ブランデンブルク協奏曲(1965年録音)

 今週の朝バッハはフレッシュな充実が期待できそうだが、
 とりあえず、ヴェンゲーロフで無伴奏パルティータ(シャコンヌ付)を聴く。
 予想通り分厚くタップリとした横綱相撲だが、暑苦しさはない。
 どこまでも楽譜を深く読み込み、一切のケレンを排した正調で、
 どこか東京スカイツリーを連想させる堂々たる安定性。
 どちらか云えば東京タワーのような演奏を好む
 古くて修業の足りない私にはちょっと立派過ぎかも。

             
 6704226_1922647697_10large.jpg