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2016年10月31日(月)その2676◆需要供給のアンバランス
今日の彼は久々にパセオ出社。
仕事熱心(来客者に吠えまくる)なジェーは常にやる気満々であり、
私のほうは常に猫の手も借りたい状況である。
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2016年10月30日(日)その2675◆タイタニック
「沈みゆくタイタニック号の中で『自分は一等船室だ』
『三等船室だ』と騒いでいるようなもの、
私はそんな人々に『沈むぞー』と、
知らせて回る役目なのだと思っています」
(愛読する東京新聞・土曜夕刊より)
それは、外側には向き合わないほとんどのアートの現状。
有言実行でそこに永年取り組み続けるのは、
クラシックのピアニスト&文筆家である青柳いづみこさん。
微かな既得権も全体の生存あればこそ。
その認識を共有し、それぞれが行動に反映すべきなのは昔も今も同様。
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2016年10月29日(土)その2674◆これより他に
朝からガッツリ実務。
コツコツやるのがコツである。
これより他に生きる道なし。
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2016年10月28日(金)その2673◆拒まぬ心
「拒まぬ心」
二曲目の中盤でそれが明らかになった。
彼女のフラメンコの真髄に気づくのに
二十数年を要したわけか。
昨晩のパセオライヴ。
すべての観客が大きな感動に包まれた。
これは主観ではなく出口調査の結果。
詳細は石井拓人(パセオ忘備録執筆)に託すが、
媚びることなくすべてを真っ直ぐ受容する
あの歌声のときめきが今も耳を離れない。
ありがとう、川島桂子!
(川島桂子カンテソロライヴ/撮影・小倉泉弥)
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2016年10月27日(木)その2672◆ peace
平富恵さん、谷淑江さん、石井智子さんと、
一週間ほどの間に気合いの入ったスペイン舞踊の劇場公演を三本観た。
以下は執筆を担当した公演忘備録(パセオ2月号掲載予定)の初稿。
DANZARTE
バッハに舞うスペイン舞踊
2016年10月16日(日)/東京(北千住)シアター1010
【バイレ】谷淑江/ダビ・サンチェス/アントニオ・ペレス/加藤美香
【舞踊】若生加世子/春風まこ(東京シティバレエ団)
【カンテ】ニエペス・イダルゴ
【ギター】フェルミン・ケロル/安部一城
【ヴァイオリン】田澤明子
【パーカッション】容昌
初めて触れる未知なる世界観に、心の整理がついたのは帰りの千代田線の車中。フラメンコやスペイン舞踊の公演では毎度約束される野生美あふれる高揚感はほとんど無かった。他方、美しい洗練をキープする繊細なステージの後味は、輪郭こそはっきりしないものの妙に心地良いものだった。幕間の休憩時には未知との遭遇への驚きと戸惑いで混乱していただけに、終演後のしっとりする余韻の優しさには意表を突かれた。
すべての出演者がそれぞれ突出することのない構成演出。公演フライヤーやプログラムに座長であるはずの〝谷淑江〟が一切強調されないことにも関連しているのだろう。普段はハミ出すような魅力満載のバイラオーラ加藤美香やパーカッションの容昌までが〝予定調和の美〟に組み込まれていた。その一方で、フラメンコやスペイン舞踊に〝生命の躍動〟を常に求めてしまう自分の単細胞な思い込みを逆指摘されるような閃きがこの舞台にはあった。
谷淑江の舞台構成に特徴的だったのはシンメトリー(左右対称)の多用で、アルティスタは互いに未来の理想を共有し合いながら協働する。それらすべては音楽そのものに、同時にスペイン舞踊そのものに捧げられていて、個人技が暴走したり停滞することはない。音楽舞踊そのものを神聖視するかのようにどこまでも繊細に寄り添い合う。
プログラム前半の『バッハに舞うスペイン舞踊』は、かつてスペイン国立バレエ団が踊った躍動感あふれるバッハとは根底から世界観が異なる。全体に浸透される谷の美学は終始、躍動感ではなく穏やかにして美しい清明感を徹底させる。派手な技巧も抑制されスリリングな緊張感も表面化しないが、こうしたスタンスによって安定するクオリティが保たれること自体、とてつもなく強靭な意志と実質的な統制力が水面下で働いていることは明らかだった。
谷淑江のヴィジョンは〝スペイン舞踊〟そのものに在るのか、あるいはスペイン舞踊が内包する〝美しい協働〟に在るのか、あるいは......。いずれにしてもこの作品からは我執を捨てた人間同士の共鳴がもたらす美しい平和な世界を垣間見ることが出来た。亡命中のパブロ・カザルスがオーケストラを指揮したバッハ演奏と同質の、何より〝peace〟を切望する心が伝わってきた。その熟成には時間が必要かもしれないが、〝DANZARTE〟における谷の独創的ポテンシャルにより一層の期待が募る。(小山雄二)
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2016年10月26日(水)その2671◆救い
「そうではあるけれど、上を向いて」
人生たそがれ時ともなれば、
誰彼なくしみじみ共感できるペーソスと、
哀しむばかりじゃない健気な価値観に救いがある。
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2016年10月25日(火)その2670◆世渡り上手
寂しささえも、いと麗しき秋。
いよいよ彼が寝床にもぐり込んでくる季節となった。
布団の中が暖かくなるのに1分とかからない。
数分で私を寝かしつかせたあとは、のそのそと出てゆくらしい。
なかなか世渡りに長けた奴だと感心する。
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2016年10月24日(月)その2675◆川島ワールド
今週木曜に迫る川島桂子カンテソロライヴ。
エミリオ・マジャ(ギター)
有田圭輔(パルマ)
三枝雄輔(パルマ)
容昌(パーカッション)
協演メンバーもハンパない。
予定プログラムを眺めるだけで、
うねるように魅了する川島フラメンコの愛ある世界が躍り出す。
CANTIÑA
ALFONSINA Y EL MAR
TANGUILLO DE CÁI
A TU VERA
SAETA
MALAGUEÑA
TIENTO Y TANGO
SOLEÁ
SIGUIRÍYA
BULERÍA
座席指定若干あり。
予約はダッシュで03-3383-0246!!!
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2016年10月23日(日)その2674◆徳永兄弟のスペシャルお役立ち講座
「するするとアレグリアスの疑問の雲が晴れていくような爽快な講座」
「うまいだけじゃそれは漂ってはこない。 若くても、とても人生を感じる話しぶりだった。 きっと現場でさまざまに経験したんだろうなと この人たちに任せたら安全。安心。無事故。 だと感じさせる自信」
「プレグンタとレスプエスタ、これは目から鱗でした♪ なにげなくファルセータを聴いて心地良いな思う...それはこういうことだったのかと。レマーテ、コンテスタシオンの入れ方...歌詞の区切りはとても大事。ふだん生徒さんたちに伝えてること「間違ってなくてよかったー」と安心したり(笑)。これは教えてあげなくては!と思うこともたくさんありました。高い技術と知識と感性を持つ徳永兄弟の演奏は魅力的でわくわくします♪ また恋をさせてくれたよ」
バイレ&カンテの発展途上層、カスタネットの名手(バイラオーラ)、
フラメンコも弾くピアニストやジャズピアニスト、
ギタリスト、ファド歌手、フラメンコライター、三流ド素人(←おれ)などなど、
期せずして多彩なキャラが集結した日曜午後の徳永講座アレグリ編。
フラメンコ界の未来を全体的に底上げしてゆくであろう骨太明快な内容は、
プロアマ問わずさまざまな領域からの参加者の希求にも見事にジャストミートしていた。
とりあえず来年の講座四回分のスケジュールを暫定!
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2016年10月22日(土)その2673◆パセオ最新号
「次に何をするか分かっている踊りなんて、もう死んでいるようなものさ。
私は道を横切る猫たちに、そよぐ木の葉にバイレを学んだんだよ」
ブロンズの感触、氷の輝き。
パセオ最新号、表紙はビセンテ・エスクデーロ。
創刊間もない頃にも表紙に登場してもらったことがある。
〝シギリージャ〟を初めて踊ったプーロな革命家。
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2016年10月21日(金)その2672◆我がまま企画
(1)どっぷり深入りしたいアルティスタのソロライヴ
(2)最も集中しやすいノンストップ70分
(↑ もっと観たくてリピートしたくなる)
(3)独りで出掛けてもアウェイ感なし
(↑ 開演10分前に入場、ジャスト開演、休憩なし)
スタートから二年弱、来週木曜(川島桂子カンテソロライヴ)で
35回目を迎える高円寺エスペランサのパセオフラメンコライヴ。
すでにバレバレだが、このシリーズは我がままな私が
本当に観たかった内容を実現するチョー我がまま企画なのである。
人生の半分以上もパセオやってる私は観客席のプロであり、
同時に実技を伴なわない三流ド素人ミーハーなので、
その両面(深まりと広がり)を充たしてくれるライヴを渇望してたわけ。
気の毒なのはコラボ共催のエスペランサである。
ライヴハウスというのは主に幕間(開演前・終演後も)の
飲食売上によって営業が成立するわけだが、
ノンストップ70分という私の我がままはお店の成立条件を破壊している。
オーナーが33年来のポン友・田代の淳ちゃんだからこそ受けてもらえる状況で、
せめて終演後は売上に協力しようと
呑み放題コース(1500円)でお仲間たちと盛り上がるが、
浴びるほど呑んでちゃ店もたまらんと思うのだが、
ライヴが良ければ良いほど浴びるほど呑んじゃうわけ。
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2016年10月20日(木)その2671◆土日の楽しみ
哀しくも美しい終焉。
明日土曜は、いよいよ石井智子のロルカ『タマリット詩集』。
日曜午後は徳永兄弟のタブラオ出演・虎の巻レクチャー。
いろんなジャンルのトッププロから三流ド素人(おれだよおれ)まで、
こぞって参加する超お役立ち講座、残席あり!
http://www.paseo-flamenco.com/daily/2016/10/529.php#005922
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2016年10月19日(水)その2670◆楽女
昨晩NHKの平成落語ブーム。
若い〝楽女〟の増加がとってもうれしい。
さあいよいよ、楽男歴55年のおれの出番かっ?!
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2016年10月19日(水)その2699◆武者小路方式
きのう見た夢は、トータルで4シーンあった。
舞台は栃木の日光、アメリカ西部、東京の生家近く、そして京都の嵐山。
ストーリーに脈略はないようだが、
どのシーンでも私はパセオの発行者だった。
開拓時代のアメリカ西部なんかで、拳銃片手によくまあフラメンコ専門誌が出せたものだし、
昭和初期の嵐山ではトロッコ電車で日の丸弁当とパセオを担ぎ売りしていた。
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2016年10月18日(火)その2698◆冷静にドン引き
「毎朝バッハの無伴奏チェロを聴いてます」
と、日曜晩の『谷淑江/バッハで舞うスペイン舞踊』で、
おとなり席のチョー美人さんが云う。
そーゆー危ねえヘンタイはこの世に私独りだと思ってたから、
もーれつにドン引きしつつも、常に冷静な私は彼女に優しい言葉をかけた。
「だ、だ、だいじょうぶですかあ?」
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2016年10月18日(火)その2697◆わが世の秋
なんとなくエバ(ジェルバブエナ)とかぶる、
国際的人気ピアニストのエバ・ポブウォッカ。
強烈なフラメンコライヴの主催や取材が続いたこの一週間、
このエバのバッハで眠りに就く夜が続いた。
独創的な弾き回しの新鮮さにぐいぐい惹き込まれながらも、
逆に身体や神経はぐったり疲れてるから、
ある瞬間ストンと眠りに入り込む瞬間が妙に心地よかった。
八本あった先週に比べ、今週のイベントは
土曜の石井智子スペイン舞踊団(ロルカⅢ)と、
日曜の徳永兄弟レクチャー(タブラオの現場~アレグリ編)だけなので、
少し中休み(=仕事)できる状況。
年齢と共に好ましさを増す〝わが世の秋〟を、じっくり満喫したい気分 ><
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