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フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

秀さん [220]

2008年09月04日 | 日記





 

                 秀さん




 1コンパス12年にわたり通い詰める、私の愛する隠れ家的呑み屋“”。
 この間、週3日としても2000回近く通った勘定になる。
 そのオーナーシェフを秀さんと云う。
 梅宮辰夫さん、中村玉緒さんら食通たちもこぞって通うほどの料理名人である。
 やんちゃで茶目っ気もあるが、なにより優しく頼もしい大人で、俳優のメル・ギブソンに雰囲気が似ている。
 とーぜん女どもにもモテたが、男どもにもモテた。
 グチを嫌いユーモアを愛し、いつも明るく前向きで、誰からも好かれ認められる超一流の仕事人。
 秀を知る者は、みな一様に彼の気取らぬ人柄と腕前を慕い愛した。

 ちょうど一週間前、8月28日の早朝に、秀さんがなくなった。
 深夜に自宅で倒れ、病院に担ぎこまれたが、すでに施しようはなかった。
 手術後、入退院を繰り返していたが、可能な限りカウンターに立ち、死の数時間前まで訪れる客に愛情のこもった極上の料理を創りつづけた。
 覚悟はしてたが、現実はやはり別物だった。
 私より5歳上の58歳だった。
 しばし平衡感覚を失い、泣きながら仲間たちにその旨を電話で伝えた。

 

 「小山さん、これやっから、大事に使えやっ」

 別れの三週間くらい前のことだった。
 元気さを装う笑顔の下に末期ガンの苦痛を抱える秀の店に、前以上の頻度で通ってた。
 板前の魂とも云える包丁の一本を、その日秀さんはこう云いながら私に与えた。
 料理好きの私にはチョーうれしいサプライズであるにもかかわらず、嬉しそうな顔を維持するために、むしろ私の顔は何度もひきつっていたと思う。
 それが形見分けであることを、いかに鈍感な私と云えども、その瞬間に気づいた。
 どれぐらいもつのか?
 それがわかったところで何もできねーなら考えるのはやめろ、いつもと同じように通うしかねーだろ。
 家に戻った私は、すぐに冷蔵庫にあった肉の塊でその切れ味を試し、翌日その結果をはしゃぎながら報告すると、秀さんはうれしそうに笑った。
 ブタに真珠と云えども、名人の愛した包丁の使い心地は実際最高だった。


 秀さんは福島いわきの出身。
 小学一年の頃から納豆なんかを売り歩いて小遣い稼ぎをしてたという。
 料理の腕前はその当時から一丁前だったらしい。
 やはり天職だったのだ。
 高校を出るや、料理人として貿易船に乗り込み、七つの海を駆け巡る。
 時おり話してくれるその頃のハチャメチャな武勇伝にはハラを抱えて笑ったものだ。
 船を降りてから、向島の料亭で本格的な日本料理の修業をはじめた。
 秀さんのベースは懐石料理だったが、その本領はイタリアン、フレンチなどの技法を採り入れた創作料理にあった。
 フラメンコをベースにジャズやロックを咀嚼吸収し、さらに再構築~創造することで、世界中にフラメンコギターの魅力を知らしめたパコ・デ・ルシアのような料理だよと云っても過言ではないが、時おり暴発する下ネタがその総合評価をイッキに下げていたと云ってもこれまた過言ではないだろう。

 この12年の間に二度ほど、秀にダメ出しを喰らったことがある。
 嫌な雰囲気を醸し出しほかの客に迷惑をかける人に対し、私はひどく冷酷だった。
 そうした相手に、ただのひと言で息の根を止めるような辛辣な言葉を浴びせたことがある。
 そのあと、二人だけで話せる機会を待って秀さんは私にこう云った。
 「いかな相手でも、あそこまで云ってはダメだ」
 店全体のことを考えイヤな役目を買って出たつもりの私だったから、最初にそう云われた時は、何を理不尽!と思い、そう云い返した。
 しかし、二度目に同じことをやんわり云われたとき、秀さんが、もっともっと大きな調和をヴィジョンとしていることに気づいた。
 そのことの意図する豊かさのわからぬ歳でもなかった。
 以来私は、怒りの頂点に達した自分が発する猛毒を棄て、相手の急所をはずすトホホな罵倒方法をおぼえた。


 7月半ばに秀さんを囲む呑み会をセッティングしたのは、私にしては上出来だった。
 何となく察していた十人ほどの仲間は"あ・うん"で集まり、秀さんを真ん中に据えて下北沢の鮨屋で呑んだ。
 少し気まずくなってた友も仕事をキャンセルして駆けつけた。
 肴の注文を引き受け、全開の笑顔で終始うれしそうに冷酒をやってた秀さん。
 今また、気を利かした後輩の撮ったその集合写真を眺める。
 生涯にそーオイソレとは訪れない、皆して笑いこけ続けた、利害のない、心だけでつながる、あの深い想いに充ちた美しい呑み会の光景がよみがえり、心の鳥肌がとまらない。

 そうした現象の源が、秀の放つオーラにあったことを改めて深く認識しなおす。
 残る命を惜しむことなく、往く数時間前まで板場に立っていた彼に想いを馳せる。
 “プライド”のほんとうの意味とか価値について考える。

 月を見上げて泣くスッポンよ。
 おめえもあんな風に生きてーなら、もーちょいしゃんと生きてみんかいっ!

 

 

           






          


チャレンジャー [161]

2006年10月12日 | 日記






         チャレンジャー





 ご近所“秀さん”の呑み仲間Mちゃんが、今度の区議選に立候補するという。
 うっそーと、駅前のポスターを見に行ったらほんとだった。M党公認だって。

 たしかまだ30代のはずで、顔もスタイルもモデルばりのMちゃんだから、もっそりとした他の候補者ポスターに比べると、ひときわ見栄えがいい。

 正義の味方でチャレンジ好きのMちゃん。
 その特技はヴァイオリン演奏で、ANIF新人公演奨励賞クラスの腕前だ。

 酔っぱらうと、十八番“ベートーベンのヴァイオリン協奏曲”のオーケストラパートを私に歌わせて、自らはソロパートを朗々と歌うという赤恥パターンもしばらくはお休みだな。……ま、がんばれや、1票は固えぞ。


 

          


 

 で、本日の社長室は『難点』。
 今日もまた実にくだらねえ出来映えだ。★ひとつは固えぞ。
 
http://www.paseo-flamenco.com/cat5/index.html





 


 


アメとムチ [158]

2006年10月07日 | 日記






             アメとムチ




       




 雨上がりの今朝の秋空。

 散歩日和とはこのことで、雲ひとつない青空が広がる。
 (↑うそ、雲だらけ)
 だがしかし、朝グモは縁起がいーのだ。
 (↑雨と無知→ TT )


 今日は皆から上がってきた企画書の整理と、パセオ新年号・年始協賛広告の掲載依頼の手配をすませれば、ぬあんと、そのあとは自由の身だ。
 当たらんことには定評のある私の予想によると、ガッと集中するならば三時半には終わるはず。

 歩くことに飢えまくる僕ちゃんに思い切り散歩させたい親心。
 自分のことをちゃん付けで呼んじまう51歳ウキウキ気分。
 神田川のパセオ(散歩道)を、水源の井の頭公園まで遡るコース(休憩入れて四時間)が最有力。お楽しみCDは昨晩セレクト済み!(マイテ、カマロンほか)








 


遠き道 [157]

2006年10月06日 | 日記





 

             遠き道

 



 若き日は信長のヴィジョンや秀吉の行動力に憧れ、寄る年波とともに家康の戦略性に注目し始める……というのが男どものありふれたルートだ。

 んで今日の“社長室”は、その徳川家康さん(故人)の想い出。

 みんなあ、とってもベンキョーになるぞお!って、ほんとにお勉強すべきはおめえさん(私)だけなんですけど。


 


 (社長室/その62)不足なし
   http://www.paseo-flamenco.com/cat5/index.html


 


                    

 


 






 


脱皮 [156]

2006年10月05日 | 日記






               脱皮




  最近のコンピューターというのは、将棋の指し手を1秒間に1億手も読むのだそうだ。

 「ならば僕は1億3手読みましょう」と云ったのは、私の大好きなトップ棋士、佐藤康光棋聖である。
 アート面における独創性と、勝負面における豪胆さと緻密さを、無理やりフラメンコで云えばギターのカニサーレスに近いか。
 棋聖はまたヴァイオリンの名手でもあるのだ。

 この秋、将棋界のビッグタイトル竜王戦(読売新聞主催)に挑戦することになったその佐藤棋聖が、かつてこんなことを云っていた。


 「天才とは、不変だけれど徐々に脱皮してゆくもの」。


 う~ん。……なるほどねえ。
 頭脳エリート集団として知られる将棋界の中でも、誰もが認める天才ご本人のお言葉だけに並みの説得力ではない。


 そういう意味でまっ先に想い浮かぶ天才というのは、私的にはモーツァルト、ピカソ、パコ・デ・ルシア、かな。…………んー、それとヘビ。

 

 で、今日の“社長室”は「情熱の覇者」。

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一石二チョー [155]

2006年10月04日 | 日記





         一石二チョー




 当ブログ開設の頃からのジジババ読者の方々からクレームがついた。
 mixiで日記をやってることがバレたのだ。

 かれらは私のようなしなやかな感性を持ち合わせておらず、つまり、いい気になって若い人たちに交じりつつも一人寂しく浮きまくる状態に耐えられる根性がないため、私をmixiから引きずり落としたろうという魂胆なのである。

 そのような脅しやら色仕掛けやらに屈する私ではないが、カラスミやら土瓶蒸しやらの接待攻撃の前には無力であり、妥協案としてmixiと同じ内容のものをこのブログに載っけることに同意したのであった。
 よって、手間もあまり変わらんことだし、今日からはほぼ同じ日記をこちらとあちらに載せることになった。

 ご存知の通り、私に限った場合「一石二鳥」というのは「二兎を追う者は一兎も得ず」と同義語である。
 お寄せいただく
コメントに影響されて次に書くことが決まることが多いわけだから、そのコメントの流れが複数とあってはうまく進められる可能性は極めて低いのだ。
 例によって、とんでもない失敗の前兆であることは明らかである。土瓶蒸しのたたりじゃ。とりあえず何日かやってみて、駄目だったら迷わず撤退しようと思う。

 
ま、あしたは明日の風が吹くことだし。


 ということで、今日はこれまで8日間のmixi日記を一挙掲載。
 毎日5分でぱらっと書く日記だけに、さすがにそのつまらなさはハンパではないが、あなたにとっても私にとっても、その短さがせめてもの救いである。面白えコメントがすでに百本以上来てるのだが、それを載せられないのが残念。


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9月26日(火)自己紹介

 

 おととい"めめ"からメールが来て、紹介するから入れという。 
 私はめめを全面的に信頼してるのでとにかく入った。 
 ただ、まだそれが何なのかサッパリわからん状態だ。

 とりあえず、めめに御礼を書いて、プロフィールもアップして、日記も書くことにした。 
 で、ポートレイトもアップした。 
 大半の人はこれを私だと思うだろうが、実際の私はもっともっと愛くるしいフツーのおやじだ。"暑くるしい"と云い換えても過言ではないほどの男っぷりである。



9月27日(水)昨日はどうも

 みんなあ、昨日はどうもありがと。 
 とりあえずアップだけ、と思ってたのだがうれしい悲鳴だったよ。 
 でっかいプロジェクトが始まっちゃったので、しばらくは時間がとれないけど、ま、ぼちぼちみなさん宅を探索してみようと思ってるのでよろしくね。  
 
  勝手がわからんが、とりあえず今日の"社長室"。 
 
[その55]元パセオ界隈(創刊の地) 
 
http://www.paseo-flamenco.com/cat5/index.html 
       


9月28日(木)視点

 電車に乗って同じ街を眺めるとき、立って運転席の窓から眺める景色と、座って横窓から眺める景色とでは、まるで異なる印象がもたらされることに驚く。 
 
 昨晩の亀田vsサンチェス戦。 
 思わず夏の新人公演選考員のご心労が偲ばれたよ。  
 
  今日の"社長室"。 
[その56]元パセオ界隈(東大赤門前) 
 
http://www.paseo-flamenco.com/cat5/index.html


9月29日(金)自滅の香り

 きのうの帰りがけにmixiの機能をいろいろ調べてみた。 
 まだ四半分もわかっちゃいないが、よく出来てるなあ。驚いたよ。 
 おじちゃん、ついてくのがやっとだよ、って全然ついていけてねえって。  

  プロフィールに[★マイミク申請について](注:写真付き相互リンクみたいなやつ)を追加したが、スタート四日目にして早くも自滅の香りが濃厚であることに気付く。 
 ま、いつものこったが。  
 
  で、さらに本日の"社長室"。きょうもまた飛び切り上等のつまらなさだ。低質の安定度だけは抜群なのである。 
 
[その57]元パセオ界隈(湯島天神) 
 
http://www.paseo-flamenco.com/cat5/index.html

 

9月30日(土)当たった!

 宝くじが当たった。 
 東京都宝くじ第1946回(9月28日抽選)である。 
 やはり人間、日ごろのおこないである。 
 
 「買わねばあたらぬ宝くじ」というのは、フラメンコ界の名物プロデューサー西脇美絵子の座右の銘(↓のコメント欄)だそうだが、それに従って私は生まれて初めて宝くじを買ったのだ。 
  
http://blog.goo.ne.jp/paseo1984/d/20060917 
 
 
 勝ち取った金額は、な、なんと「百円」。 
 百万円でないところに辛さもあるが、初買いでこの成果は見事である。しかも投資額はわずか千円なのだ。 
 
 この調子で行くのなら、宝くじで一億円をゲットするのには、わずか十億円の投資ですむという単純計算が成り立つ訳だ!って、くやしーならくやしーって素直に云えばいいじゃんなあ。 
 
        

10月1日(日)秘密

 ふと気づけば秋。  
 
  日曜朝の恒例、一家総出の散歩~朝食会をすませてパセオに直行。 
 各種返信を打ってから、ブログ超緩色系「その154 無尽」をアップする。 
   
http://blog.goo.ne.jp/paseo1984/d/20061001 
 
 
 午後からは新規プロジェクトの戦略プラン大詰め。 
 普通の社長ならば1時間で終わるだろうが、私の場合は少なくとも3時間は必要とする。水準的に平均を大きく下回るレベルであることはここだけの話だ。フラメンコの名誉のために、こうした私の実態を決して業界外部にチクってはいけない。  
 
  さて、それをやっつけちまえば、あとはオールフリーだ。 
 カニサーレス"ガリガリ君"でも聴きながら散歩がてら家路をたどり、ぬるめの湯船で藤沢周平の世界にどっぷり浸かるのが第一希望。


10月2日(月)よく云-よ

 で、きのうは結局たいした成果も出せず、家に着いたのが夜の十時。 
 実務能力水準は下の中未満である。 
 これじゃ休みがとれるわけないよ。 
 
 ま、道楽を仕事にしちまった以上は、仕事が道楽だあああ、と割り切る以外に精神の健全を保つスベはない。 
 てゆーか、よく云ーよ(↑)。もともと何をやっても精神の健全を保てるタイプじゃねえくせにさ(苦笑い)。  
 
  で、本日"社長室"はきのうの流れでカニサーレスの"ガリガリ君"。  
   
http://www.paseo-flamenco.com/cat5/index.html


10月3日(火)徘徊願望

 めめに連れられmixi始めて、はや一週間が経つ。 
 まさか、こんなに面白えもんだとは思わなかった。 
 老いては美女に従え、というのは本当だな。 
  
 こうなってみると、家にパソコンがなくて逆によかったよ。 
 あれば夜通しいろんなところを徘徊しまくり、挙動不審で職務質問されちまうところだろう。 
 
 「フラメンコファン、何想う?」ってのは、私にとっては最大の関心事のひとつ、とゆーかむしろ生命線だからな。テレビなんかよりよっぽどドキドキしちまうわけだ。 
 
 ああ、せめて丸三日でいいから思う存分徘徊してみたい。 
 
 ……だがしかし、年内は無理だろな。ま、ゆっくり付き合うしかない。  
 
  で、今日の"社長室"は創刊満一年号(1985年)の昔話。面白くもなんともねーけど、当時の私は30歳で第二の青春まっ盛り。  
   
http://www.paseo-flamenco.com/cat5/index.html