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2013年4月3日(水)/その1268◇今井翼のファルーカ
日テレ19時「笑ってコラえて」 今井翼のフラメンコ旅を、もつろん早引きで観る。
やってくれたよ今井翼。
わずか二日であれをやっちまうとは。
今回のフラメンコは彼のベスト。
三人の師匠の賛辞の、その半分以上は本音。
ここしばらく、フラメンコの技術練習時間は少なかったと思うが、
人生全体についての学習濃度は相当に高かったはず。
フラメンコにおいては、練習時間そのものよりも、
日々の暮らしそのものに重きがあることを、おそらく彼は実感している。
「目的と行動」の一致する姿が美しかった。
自分の生き方を信じ、迷わず踏み出す今井翼の意志とダンス技能に、
フラメンコが微笑んだ。
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2013年4月4日(木)/その1269◇核心めがけて
水曜放映「今井翼のファルーカ」については、
さすがに業界でも話題沸騰だった。
フラメンコ界が注目したのは、
彼の中に芽生えつつある、いわゆる「フラメンコのアイレ」である。
昨年末の『バーン・ザ・フロア』におけるスペインものの群舞でも、
唯一彼ひとり、それを発光してたから、
彼がその核心めがけて動き始めたことはほぼ間違いない。
ベタンソの振付場面で、テクニカルなサパテアードを
彼があっさり見送ったシーンに、編集部・小倉は注目していた。
つまり今井翼は、与えられた時間内で「よりフラメンコを踊る」ための
優先順位を直感的に見抜いていた。
練習時間が取れなくとも、ずっと映像は観ていたと云うし、
彼の中のフラメンコはずっと成長を続けていたのだ。
パセオの人気執筆者のひとりである〝さくさく堂〟も
あの番組をこんなふうに書いていて面白く読んだ。
http://mixi.jp/view_diary.pl?owner_id=315419&id=1897959315
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2013年4月5日(金)/その1270◇お前の夢は金で買えるのか
「お前の夢は金で買えるのか?」
柳葉さんと妻夫木さんによる、
あのロト6のテレビCMは傑作だよな。
人間の矜持と本性の葛藤が、
そのまま〝笑い〟として成立している。
いつもエラそーなことを抜かすわりに、
実際にはセコくいじましい自分が
スコンと浮き彫りにされるような爆笑快感!
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2013年4月6日(土)/その1271◇禁酒
今日は公演取材が二本。
実務も満載だからけっこうハードだ。
このあと出社し、13時半から新宿エルフラで、
碇山奈奈エランヴィタールの発表会。
永遠のカリスマバイラオーラ碇山奈奈さんはパセオ8月号で表紙に登場。
〝Con flamenco〟に短文を書くので、今日少しだけ踊るという奈奈さんを鑑賞。
そのあと一度パセオに戻り、18時より新百合ヶ丘で萩原淳子リサイタル。
外国人として初めてスペインのコンクールに優勝した
プーロフラメンコの若き旗手で、日本におけるリサイタルは昨年に続いて二度目。
こちらは公演忘備録(7月号)を担当する。
昨晩は呑み過ぎで、すでにフラフラの状況であり、
もう酒はやめようかと思う。
少なくとも、夜の公演が終わるまでは禁酒する覚悟だ。
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2013年4月7日(日)/その1272◇動く歓び
碇山奈奈さんと萩原淳子さん。
きのうは往年のカリスマ・スターと、
驀進する若手トップを昼夜で観て、
その過剰なインプットに溺れるような一日だった。
嵐が過ぎ去り、外はどうやら晴れている。
だが相当に風は強い。予定の大江戸散歩は見送り、
午後から出社で山積み仕事を片づける段取り。
「天才とは努力を続ける才能のことだ」
ふと、そんな名言がよぎる。
天災と呼ばれる男ならここに一人いるが、
なるほど彼は彼で、無駄な努力にせっせと励んでいる。
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2013年4月7日(日)/その1273◇ファルーカの余韻
ライヴをハシゴした昨日も、会場は今井翼の話題で持ちきりだったが、
いよいよパセオの中心執筆者の一人となりつつあるみゅしゃが、
今日はそれを日記に書いている(↓)。
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1898312906&owner_id=6763710
昨日は飛び切り上等のカリスマフラメンコ(碇山奈奈)と
プーロフラメンコ(萩原淳子)だったが、
お二人とも出身はダンスとは無縁の人。
ダンス出身ですでに国際シーンで踊りまくる今井翼との比較分析は
ことのほか面白くて、
今日中に片付けるべき残り5件の案件処理の運命やいかに!?
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2013年4月8日(月)/その1274◇安心しろ
旧知の後輩からの連絡で、久々に懐かしい中野の路地裏で呑む。
元気な様子をしていたが、もう永いこと迷いに迷っていると云う。
だから、迷う前に動いてしまう私のことを思い出したのだろう。
それだけで、センスや判断力が充分ニブっていることがわかる。
ひと通り話を聴いて、いかにも奴らしいと思った。
何事にも優秀な人間だが、考え過ぎて時期を逸してしまう傾向がある。
だが、長所と短所は裏表であり、
その幅と奥行きの風情や色彩こそが人の魅力というものだろう。
出来る出来ないの問題ではなく、やるかやらないかの問題。
奴の中ですでに答えは決まっていることがわかった段階で、
奴の期待通り、馬鹿のひとつ覚えを私は云った。
何をやってもやらなくとも、一生は一生だ。
安心しろ、いずれオレたちゃ必ず死ぬから(笑)。
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2013年4月9日(火)/その1275◇推薦入学
「ユーモアの源泉は歓びではなく、哀しみにある。
天国にはユーモアはない」
トム・ソーヤー、王子と乞食、ハックルベリー・フィンなどでお馴染みの
アメリカの作家マーク・トウェインのさすがの慧眼。
だからこそ、ユーモアを重視せぬ立場があり、
また、ユーモアこそを重視する立場があるのだろう。
私は典型的な後者だから天国には不向きだし、またその資格もない。
その代わり、推薦入学で地獄に直行できる道は開けているかも。
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2013年4月10日(水)/その1276◇初・相棒
うれしいような、こわいような。
あの憧れのヒーローが昨夜の夢に初出演してくれた。
『相棒』の杉下右京警部(水谷豊さん)が、
およそ10メーター後方をつけて来る。
時おり私が後ろを振り向くと、あの笑わない眼でニッコリ笑う。
どうやら私は犯罪常習者として桜田門にマークされている模様だ。
しかもあの右京さん担当となれば、私はかなりの大悪党である可能性もある。
だが、私にはこれといった犯罪プランがあるわけでもない。
このままでは彼の期待に応えることは出来ないと、私は焦り始める。
街の様子からすると、おそらくここは銀座あたり。
高級そうな宝石店や、立派な銀行に入ってみるものの、
強盗のやり方がイマイチわからないし、またそういう粗暴な犯罪だと、
何だかせっかくの右京さんに申し訳ない気がしている。
途方に暮れて天を仰ぐ、人影まばらな夕暮れの並木通り。
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2013年4月11日(木)/その1277◇仕切り直し
部分的な技術は良いのに、観てると何故か1分ほどで飽きてしまう。
いいとこ取りの寄せ集めであることが透けて視えてしまう。
だが、それらを気分よく統括するリーダーシップは視えない。
そういう性格や生き方の骨格が透けて視えてしまう。
元来自分がそっち系の人間であることにハッと気づく。
フラメンコはそういうところが怖い。
フラメンコを畏れながらも、それ以上に
フラメンコに惹かれ続ける理由はそこなのだと分かる。
私の場合、そのきっかけはウトレーラ姉妹のカンテプーロだった。
いいフラメンコに触れても、そうでないフラメンコに触れても、
「ならばお前はどうか?」という物騒なテーマを、
否応なくフラメンコは突きつけてくる。
ライヴの感想を書くことは、即ちそういうことだった。
自分自身との対話がよく為されているフラメンコというのは、
おおむね好ましいということにある時期気づいた。
技術は巧いに越したことがないが、そこは二の次だと知った。
自問自答の結論に直結しない技術は空振りに等しい。
周囲に対しどう取り繕うのかではなく、自分に対し如何に潔く在り続けるか。
ライヴの感想を書くことは、即ちそういうことだった。
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2013年4月12日(金)/その1278◇躍進する工藤朋子
協会新人公演奨励賞(ソロと群舞)、河上鈴子スペイン舞踊新人賞、
アルテイソレラ団員として文化庁芸術祭賞などを受賞した
注目の若手美貌バイラオーラで、女優の仲間由紀恵さんにちょっと似ている。
昨晩はその工藤朋子の初リサイタル。
会場の代々木上原ムジカーザは、家から歩いて数分なので、
早めにパセオを出て、家でひとっ風呂浴びてから駆けつけると、
歌舞伎やヘレスで大活躍の師匠・佐藤浩希が受付やってた。
本誌のレビュー担当だったが、前夜の工藤を観た忘備録仲間(みゅしゃ)が
その日のうちに感想をアップしていたので、そっちを採用することに決定。
『誰もが彼女に恋をした』
http://mixi.jp/view_diary.pl?id=1898702383&owner_id=6763710
いつもながら、その着眼が対象の真っ芯をしなやかに捉えている。
予想通り、工藤朋子渾身のフラメンコは〝美の躍動〟を具現化し、
今年の『マイベスト公演(来年4月号掲載)』に候補入りする快演。
すでに存分過ぎるほど魅せるのに、「コンパスをうねらせたいゾーン」に
伸びしろがたっぷりあるところが頼もしい。
心地よいアンコール含め、正味70分ほどの充実のライヴ。
一切のダレ場を排除し、充実の短時間で切れ味鋭くビシッとキメる。
アルテイソレラ系の舞台構成は、フラメンコの根っ子をきっちり押さえながらも、
観客のフィジカル面を重視し、惚れぼれするような余韻を永らく残す。
現時点における「劇場×フラメンコ」の最善手。
つまりあのアントニオ・ガデス定跡を現代に活かし切っている。
スペインではマリア・パヘスが最良の現在進行形でそれを継承するが、
昨年あたりから、日本の極めて優れた若手・中堅にもこの傾向は顕著である。
また、先週の碇山奈奈エランヴィタールの発表会における、
アルテと出演者と観客の三位一体をバランスよく設定し何かが降りるのを待つ、
60分強の力強いステージ展開にもうれし過ぎる驚きがあった。
終演後、『FLAMENCO曽根崎心中』などでアルテイソレアに縁の深い、
お元気そうな作詞家・阿木耀子さんと久々にお会いした。
お決まりコースだった、ムジカーザから二分ほどの〝秀〟はすでに無く、
独りトボトボ家路をたどるが、ライヴの余韻は目から汗が出るほど極上だった。
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2013年4月13日(土)/その1279◇手ごわい仕事はボケ防止
21時半ころ会社を出ると、
グッドタイミングでアキラから呑み☎。
ええよと応え、新しい隠れ家に集合。
安くて早くて旨いし、家から20秒ってところがミソ。
「どさんこととなり」という店の名を、きのう初めて知った。
劇団青年座のたまり場みたいで、なかなかに活気がある。
智ちゃんという若い女将は、かなり仕事の出来る人で、
20人くらい入る店の調理場とホールを一人で楽々と切り回す。
その気働きと段取りの良さは感動的でもあり、
アルテはこんなところにも宿っていることに気づく。
きのうは20も歳下のアキラの奢り。
のろけ話もさんざん聴いてやったし、まあタマにはいいだろう。
呑みすぎ食いすぎで、若干二日酔い。
これから風呂に入って出社する。
手ごわい仕事が待ってるが、ボケ防止には持ってこいだわ。
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2013年4月14日(日)/その1280◇思春期のマナー
58歳の誕生日。
わーい、うれしいな!って泣いて喜ぶ、
そーゆーおっちゃんはほとんど見掛けない。
あと二年で60かよってトホホと苦笑するのが精一杯のところだ。
まあしかし、この歳まで無事で生きられたことに
素直に感謝を捧げるのが正しいってことはわかっちゃいる。
わかっちゃいるけどやめられない、第二の思春期58歳。
昨年に引き続き、連れ合いがアンコーを奢ってくれるという。
地元の有名店なんだがベラボーに旨いアンコー鍋を喰わせる店だ。
お代わりしたくなったら、こう叫ぶのがこの店でのマナーだ。
ベラボー! アンコール!
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2013年4月15日(月)/その1281◇あと二年
若かりし(57歳まで)日々のことを、
まるでおとといのことのよーに思い出します。
きのう58歳の誕生日にmixiケーキがたくさん届いていた。
お送りくださった皆さん、お心遣いありがとう!
ほんとうに食えるケーキだともっとよかったが、
これ以上太ってはならないという有りがたい配慮にさらに感謝。
連れ合いからは皮財布をもらった。
お心遣いありがとう!
ほんとうは財布に入れる中身の方だともっとよかったが、
これ以上無駄使いしてはならないという有りがたい配慮にさらに感謝。
ジェーからは朝早く起こされた。
お心遣いありがとう!
ほんとうはもうちょい寝かせてもらいたかったが、
早う起きて仕事せんかい!という有りがたい配慮にさらに感謝。
感謝還暦!(←徳次郎作)まで、あと二年!
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2013年4月16日(火)/その1282◇デスヌード10 con 鼓童
午前中は自宅の庭(一般的には代々木公園と呼ばれる)で、
パセオ創刊30周年記念号用に〝ジェーと私〟の撮影取材。
午後は、重たいガチ原稿を一本仕上げる。
そしてその後は・・・
『道成寺』から三年、再び〝鼓童〟とのコラボレーション!
そう、今宵はアルテイソレラのデスヌードcon鼓童に出掛ける。
会場が地元上原のムジカーザなので、
「早引き→家でひとっ風呂→ライヴ→隠れ家で一杯」
というゴールデンコースが約束されている。
このデスヌード・シリーズは初回のみ見逃し、
それ以降はすべて観てるのだが、
毎回とんでもないクオリティで観客席のド肝を抜いてくれる。
まあ毎度毎度、感動の嵐とゆーか感動の翼とゆーか。
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2013年4月17日(水)/その1283◇4月16日『鼓童×FLAMENCO』メモ
ギャッと驚く衝撃の感動ライヴ!
世界中を魅了する鼓童の精鋭ソリスト三名と、
つい先日もフラメンコの本場ヘレスのフェスティバルで
スタンディングオベーションの祝福を浴びたアルテイソレラの共演だから、
プロセスは未知であれども、そういう結末だけは分かっていた。
芸能の王道、
骨太な伝統の逞しい美しさ懐かしさ、
エンタテインメントの超剛速球、
痛快無比な技巧と対比される洒脱なユーモア、
一瞬たりともひるむことない知恵と勇気、
エロスの漲るロマンティシズム・・・。
まあ、このような形容がポンポン後を断たない、
言語・思想・国境などを軽々と超える普遍的アルテ。
上っ面で帳尻を合わせるのではなく、
根源的な共通項に基づく自立協働の掛け算による
本物のコラボレーション。
突き抜けたその構成演出には〝鬼才〟を感じる。
湧き続ける歓喜に私は手放しで降参し、
迷わず今年度『名シーン・マイベスト』(来年4月号)にノミネート。
鼓童ソリストたちの溌剌とした名人芸に臆することなく、
鍵田真由美シギリージャの美の極致は、ある種絶対性を帯びていた。
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2013年4月18日(木)/その1284◇我が家の庭にて
9月号の月刊パセオフラメンコ創刊三十周年記念特別脱線企画。
その写真取材(撮影/井口由美子)を、我が家の庭で敢行した。
その壮大な庭園の入口に〝代々木公園〟と記されていたことを、
カメラマンが気づいたかどうかは不明であるが、
ウソのつけない相棒ジェーは、頑なに口を閉ざしていた。
さて、写真をミクシィにアップすると、即座にコメント(↓)が来た。
★ 「わー!ステキ♥ ジェーが」(オラシオン)
(↑)国外追放!
★「この俳優さんはどちらさま(笑)?」(ala nyan)
(↑)(笑)がなければ、たい焼き3本!
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2013年4月19日(金)/その1284◇同じ釜のコミュニティ
火曜の晩『アルテイソレラ×鼓童』ライブに大満足し、
新しい隠れ家に向かう帰り道、
代々木上原駅前〝花市場〟のヤリ手オーナー周さんとバッタリ。
先月有終の美を飾った〝秀〟のトホホな呑み仲間のひとりである。
「寂しいよ、また、みんなで呑もうよお!」
彼は元(35年前)ホストで、私よりひとつふたつ若い。
いつも高級スーツでハンサムで、仲間内で最も紳士風な彼は
開口一番そう云ったが、その一言はおそらく皆の気分を代表している。
翌朝PCを開くとgooブログに、
やはりお仲間のチョー別嬪・志歩ちゃんから、
皆との集いを懐かしむコメントがあった。
マヌケな青春ドラマのような自然発生的コミュニティの
さまざまな想い出がフラッシュバックする。
秀の女将の一周忌ころまでには、お仲間大集合を掛けてみるかと思った。
ご無沙汰しています。
秀さんでご一緒させていただいた松元です。
誕生日おめでとうございます!
小山さんにとりまして、より良い歳となりますように。
またご一緒できたら嬉しいです。
松元志歩
あんたコレ読んでたの、、、お気は確かか?
松ちゃんとは、こないだ旧〝秀〟の前であったよ。
取材のない月金は新しい隠れ家で呑んでるから、
いっぺん寄ってみな!