フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2016年04月②

2016年04月01日 | しゃちょ日記

 

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2016年4月29日(木)その2535◆本間静香の深化

本間静香ソロライブから今しがた帰宅。

フラメンコ通もイチゲンさんも存分に楽しめるエキサイティングなガチンコライヴだった。
静香のステージにはそういう華と勢いがある。
つまりフラメンコを知らない友人知人を心配なく引っ張ってこれる、
分かりやすいパッションと充実がある。
いま風とは異なる、必要以上に女性性をセーブしないスタンスも頼もしい。
女子会・男子会ノリとも無縁な艶のある、老若男女ノーボーダーで
フラメンコそのもののリピーターを発生させやすいストレートな芸風。
川島も圭輔も健太郎も最強だったな。

相棒プロデューサー(田代オーナー)の文句なしOKも得て、
静香にはその場で来春の再度出演を依頼し快諾を得た。
呑み放題コースですでにへべれけ上機嫌最高潮だが、
これからマッカランで締めてバタンキューの段取り。

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2016年4月28日(木)その2534◆本間静香ソロライヴ

今宵いよいよ、本間静香ソロライヴ。
カンテ川島桂子・有田圭輔、ギター徳永健太郎のスーパー協演陣。
いつも通りの静香で頼むと云うと、にっこり彼女は頷いた。

技量もルックスもい~い女に成長した静香だが、
私の中ではまだまだ中学生だった頃のイメージが強い。
おそらくは牧子夫人や淳ちゃん(田代マスター)や私のとなりに降りてくるであろう
故・本間三郎師匠とともに、ダメ出しメモ片手に応援する。

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2016年4月28日(木)20時
会場◆高円寺エスペランサ
開演◆20時ジャスト開演(19時半開場 ※終演は21時10分ころ)
料金◆3,900円1ドリンク付(税込)
予約◆立ち見席のみ数席残あり、本日16時までに☎03-3383-0246

終演後のエスペランサは通常営業に戻り、23時まで1500円呑み放題セットあり。
明日は早よから遠足だが、ギリギリまで本間師匠に付き合うつもり。

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2016年4月27日(水)その2533◆誰でも歌えるフラメンコ

ぎゃあ、かっこええーーーーー!!!

タカミツのプロデューサー瀬戸さんが、こんな音源(↓)をアップしてくれた。
論より証拠、百聞は見に如かず、モチベーションはもう満開である!

 お申込みはこちら→ paseshop@paseo-flamenco.com

https://www.facebook.com/takante/videos/1338055219554440/?pnref=story

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2016年4月26日(火)その2532◆ふぁるせぇた祝400号

創刊400号を迎えた『ふぁるせぇた』。
パセオの同期の桜である。
編集発行人であるギタリスト吉川二郎さんから寄稿を頼まれ
とりあえずざっと草稿をメモり、のちほど清書して送る段取り。
寄稿よりも奇行に定評のある私だが、
江戸っ子だけに何にしても早いのだけが取柄だ。

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巨匠マヌエル・カーノを後継するにふさわしい関西の凄腕コンサートフラメンコギタリスト。
吉川二郎の東京デビューは鮮烈だった。
あのコンサートからおよそ35年が経つ。
繊細にして逞しい煌めくような音楽と、明るく真摯で気さくな人柄。
そういうタイプのフラメンコアーティストとはそれまで無縁だったので、
うれしく面喰らったことを今もはっきり覚えている。

その数年後ほぼ時を同じくして、吉川二郎さんは『ふぁるせぇた』を、
私は『フラメンコ情報誌パセオ』をそれぞれ創刊する。
1984年というのは、この日本に奇しくも同時に
二つの月刊フラメンコ・メディアが誕生した年だった。
寝る間も惜しんで仕事したあの頃の記憶というのは実に曖昧なのだが、
一方で二郎さんのことはよく覚えている。

ふぁるせぇた創刊二年後の1986年に日本人初の自作のフラメンコギター協奏曲を
大阪シンフォニー管弦楽団と協演されたことは、
日本のフラメンコギター界に大いなる衝撃と刺激を与えたものだ。
また、日本フラメンコ協会(現在は社団法人)を設立するために
全国行脚していた折にも、二郎さんにはひとかたならぬお世話になったことも忘れ難い。

当時音楽プロデュースが本業だった私のほうは
編集も広告も販売もまったくの出版ド素人で、
そのことにハタと気づくのは創刊号を出したあとだった(汗)。
闘いながら闘い方を覚える私のやり方というのは、
次々と新たな冒険にチャレンジしながら着実に実績を積み上げる
先輩・二郎さんに少なからぬ影響を受けているはずだ。

創刊から32年の歳月が流れ、四つ先輩の二郎さんも私も今や60代となり、
相変わらず刊行を続けている。
その苦しさ楽しさがもたらすものは、フラメンコの世界では
私たち二人のみが共有する感慨であり、
こうしてふぁるせぇた創刊400号への祝辞を書きながら、
ふとささやかな歓びがこみ上げてくる。

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2016年4月25日(月)その2531◆類似性

ったく何をやってんだ。

過去の文化文明の衰退・滅亡の歴史を学ぶたびにそう思う。
そうした点においてのみ、過去の文化・文明にとてもよく似ているおれ。

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2016年4月25日(月)その2530◆ヒマさえあれば

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春もたけなわプリンスホテルである。

亀戸天神のふじ。
根津権現のつつじ。
堀切菖蒲園のしょうぶ。

桜のあとも江戸っ子おやぢはそこそこ忙しい。
ヒマさえありゃあ仕事に打ち込む状況だ。         

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2016年4月22日(金)その2529◆夏目星

「こういう天才に、掃除や料理や洗い物をさせてはいけない」

三十余年前、私のプロデュースライヴで彼女のバッハを一聴した、
のちのパセオフラメンコ初代編集長・架光時紀はそう断言した。
ギターを弾く指や爪にもしものことがあってはならぬというのがその理由である。

当時高校生、クラシックギター界のニュースター斉藤明子の天才に異論はなかったが、
男女・職業・体重問わず、炊事・洗濯・掃除を必修科目と認識する私。
互いに手の届かぬ高嶺の花をめぐる、インテリ架光との空しい大議論を
阿呆らしく懐かしく想い出す。

この春アランフェス協奏曲をテレビ収録されたという斉藤明子さんが、
久々の新譜アルバムを発表したことを知り早速にCD入手、
アイポッドに入れ連日大切に聴いている。

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メインは28分に及ぶギターソロ大曲『夏目星(Mars)』。
夏目星とは〝火星〟の和名で、斉藤明子演奏を想定した
中村洋子作曲によるオリジナル作品。
宮沢賢治が最も愛した自作童話『双子の星』をイメージの源泉とする
全八章からなるファンタジー組曲で、ほの碧いシンプルな透明感が郷愁を誘う。
永い歳月、丁寧に磨かれた斉藤明子の深化が目に視えるように聞こえてくる。

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2016年4月21日(木)その2528◆わくわくドキドキ

この人のステージにはわくわくドキドキの魅力がある。
来週木曜は、バイラオーラ本間静香の初登場!
座席指定は早々にソールドアウトで、立ち見席(椅子はあります)が数枚残の状況。
川島・有田の最強カンテコンビと、2ndアルバムが話題の徳永健太郎のギター。
初体験となるそのアンサンブルも興味津々だ!
          
パセオフラメンコライヴVol.21
本間静香ソロライヴ

本間静香(バイレ)
川島桂子(カンテ)
有田圭輔(カンテ)
徳永健太郎(ギター)

2016年4月28日(木)20時
会場◆高円寺エスペランサ
開演◆20時ジャスト開演(19時半開場 ※終演は21時10分ころ)
料金◆3,900円1ドリンク付(税込)
※終演後(~23時)は1500円呑み放題セットあり。
【予約】立ち見席のみ数席残あり
昼(セルバ)☎03-3383-0246
夜(エスペランサ)☎03-3316-9493

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 かつてスペイン留学中のグラナダの地で出会ったのは、大地に深く根をおろす揺るぎない重心と、より上へ上へと高みを目指す上体とその魂の、二極の激しいせめぎ合い。そんな全身で今の生き様を叫ぶような踊りでした。
「たまらず表出して溢れ出るもの」
 いま現在の自分の、嘘偽りのない真っ直ぐな本間静香のフラメンコ、そんな心持ちでこのライヴに臨みます。 そして共演は、川島桂子さん、有田圭輔さん、徳永健太郎さん。最高のメンバーと共に出来る限り頑張ります。(本間静香)
    
 昨秋、日本のフラメンコ黎明期のスター舞踊手・本間三郎の三回忌ライヴでタラントを踊った長女・静香。まだまだ荒削りなその踊りにはプリミティブで強烈な魅力があった。この新人公演奨励賞バイラオーラにパセオライヴへの出演を依頼するのは数年先だろうと漠然とイメージしていた私は、その好ましいインパクトに逆に面喰らったものだ。終演後、相棒プロデューサー(田代淳)に駆け寄り意見を求めようとする寸前、すでに私の驚きを看破していた彼はこう云う「充分行けるんじゃないか」。その瞬間、本間静香へのパセオライヴ出演依頼が決まった。
 彼女のフラメンコはとにかく魅せる。セクシーさと清冽さとが渾然一体となったそのベクトルは、フラメンコを初めて観る老若男女を惹きつける広角的魅力を満載している。潔い姿勢で観る者を最後まで引っ張ってゆく、リスクを恐れぬ勢いを見逃すことはできない。(小山雄二)
        
※月刊パセオフラメンコ2016年4月号より転載

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2016年4月20日(水)その2527◆デブの云い分

やせ我慢は得意技だったが、他人のそれを見るのが辛くなって、
自らそれを止めたのは、太り始めた頃だった。
大ざっぱに云って、人間素直がイチバンだと想う。

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2016年4月19日(火)その2526◆習性

「ほんとは自分で稼いだお金じゃないと強くなれないんだけどね」。
千円札二、三枚を笑いながらポンと恵んでくれた姉貴の、このひと言は身に染みている。
新聞配達スルーで、受験勉強もほっぽらかしで将棋修業に没頭した中学二・三年のころ、
道場通いと上達書籍購入のスポンサーは姉だった。
二年間で四段まで昇れたのは彼女のサポートのおかげだ。

上達本の中でもとりわけ加藤一二三九段の名著『振り飛車破り』には大いに助けてもらった。
そこでの構想力と判断力の具体的トレーニングは、
むしろプロテストに失格にした後の人生の決断力の核になってくれた感がある。
(その結果はほとんど失敗に終わるのだが、論旨が吹っ飛ぶのでここでは触れない)

指し手(定跡)を丸暗記するのではなく一手一手の意味合いを理解し、
常にヴィジョンと現状分析の合算からの次の一手を、
制限時間の秒読みの中で発見しようとする習性。
振付フラメンコも好きだが、タブラオのインプロに強く惹かれるルーツは、
どうやらここらへんにありそうだ。

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2016年4月18日(月)その2525◆これがほんとの

隣家からのもらい火で、小松川の実家は全焼。
パセオ創刊翌年のことだった。
焼け跡を眺めながら、兄は静かにこう笑った。
「綺麗さっぱり焼けちゃったなあ」
兄のその明るい諦観の爽やかさは一生の宝だ。

気丈な兄に張り合う気持ちもあったのだろう。
相次ぐ見舞いの連絡に、私はこう応えた。
「トイレまで焼けちゃってなあ。
 これがほんとのヤケクソだよ」

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2016年4月18日(月)その2524◆サクサク感

朝風呂、朝バッハ。
まあとにかく、何が起きてもサクサク対応できるようにしておこう。

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2016年4月17日(日)その2523◆復元力

「右か左か。逆の方向に行けば、煙にやられて死んでたかもしれんな」

当時八つかそこらだった父や、父に手を引かれて
一面の火の海から逃げまわった叔母(父の妹)から、その恐怖体験を幾度か聞いた。
1923年(大正12年)の関東大震災は、東日本大震災以前の日本災害史上最大級の被害で、
復興のための外債は年間国家予算の半分以上だったという。

震災から18年後の太平洋戦争(1941~1945年)では、
今度は日本中が天から降ってくる爆弾から逃げまわる生活が始まるのである。
12歳で働きに出るのが普通だった苦難多き父の世代というのは、
ちょっとやそっとのことでは驚かぬ、また多くを望まぬ質実剛健の世代でもあった。

日本の現実を知るにつけ、昔の人たち(当時の現代人)の
生命力と復元力の逞しさに驚かされる。
自分もまたその構成員の一人なのだという矜持については、
もっともっと自覚的であるべきかもしれない。

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2016年4月16日(土)その2522◆おもちゃ屋

焼け跡の池袋、もしくは上野あたり。

闇市らしきどこか怪しい活気の路地を、母に手を引かれグズりながら歩く。
私は昭和三十年生まれだから、ちょっとおかしいシチュエーションなのだが、
おもちゃ屋に入りたい私はそんな成り行きを期待しながら歩く。

「お父ちゃんには内緒だよ」
ありふれた中華屋でひとつのラーメンをすする贅沢。
薄い焼き豚、なると、支那竹を私に与え、母の器には海苔とほうれん草。

いつも間にか私たちは駒込の母の実家近くを歩いている。
あたりはすでに夕暮れだが、よく法事で出掛けたこの坂の上にある
美しい桜の菩提寺に向かっているようだ。
           
寺の住職と叔父(母の弟)が囲碁を打っている。
ルールは分からないが、黒石の並びが綺麗なので叔父が有利なのだろう。
私は詰襟を着ていて、母は姿を消している。

「じゃあね、叔父さん」
「うむ、また来い」

パセオの締切原稿を思い出し、寺の裏手から早稲田行きの都電に乗り込む。
目覚めの朝風呂で、そんなたわいもない夢の意味を想う。
いまのおれには編集部がおもちゃ屋なのか、
そう適当にこじつけながら、炊飯器をオンにする。

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しゃちょ日記バックナンバー/2016年04月①

2016年04月01日 | しゃちょ日記

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2016年4月15日(金)その2521◆折れちゃう心

大盛況、大熱狂の昨晩の大塚友美パセオライヴ。
        
終演後、二階楽屋前でガッツな出演陣を出迎えるべく待機してると、
階下からハピバソングが聞こえてくる。
その日61になった私に対するサプライズだった。
あわてて階段を下りその祝福に感謝する。

「で、小山さん、お幾つになられたんですか?」
「はい、いい質問です。私はお幾つでしょうか?」
「49歳!」と、今枝友加が即答する。
おしっ、なかなかの回答じゃないか。
今枝は年齢オンチなのである。
だがそこで、カンテ井上泉のビミョーに鋭い会心の一撃。
「62歳!」

・・・はい、、真っ二つに心が折れますた。

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2016年4月14日(木)その2520◆春はあけぼの

春はあけぼの。

天候いまいちなれど、ほのぼのと和む朝風呂の快適。
きのうのカレーを温め、ベーコンエッグに春キャベツ炒め、
味噌汁に酒悦福神漬スタンバイのち5分間ストレッチ、
次いでパセオ公式HPにもろもろアップ。

今宵は大塚友美ソロライヴ。
久々の友美さんに期待が募る。
18時出陣までに片づける仕事はわんさか。
出社前のひととき、バッハ無伴奏(ソナタの2番)で充電。
いつ聴いてもハイフェッツは素晴らしい。
ヴァイオリン・プーロ、元気出るわあ。

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2016年4月13日(水)その2519◆初登場、大塚友美!

今週木曜は、早いもので20回目を迎えるパセオライヴ。
四半世紀前の第一回協会新人公演で、ぶっち切りの奨励賞に輝いた
伝説のバイラオーラ大塚友美さんの登場!
          
パセオフラメンコライヴ Vol.020〝大塚友美ソロライヴ〟
2016年4月14日(木)20時開演
於:高円寺エスペランサ    
【出演】
大塚友美(バイレ)
鈴木尚(ギター)
今枝友加(カンテ)
井上泉(カンテ)
【メニュー】
一皿目 タンゴ・デ・トリアーナ   
二皿目 カンテソロ
三皿目 バンベーラ
四皿目 カンテソロ
五皿目 タンゴ
六皿目 ギターソロ
七皿目 ソレア
八皿目 ブレリア・デ・へレス
【予約状況】
座席指定は早々に売り切れ。現在の立ち見席3席残については、
木曜16時までに☎03-3383-0246までご確認を!

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 地方に住んでいると、「大塚さんが踊っているのは、スペインの、え~っと・・フラダンス?」なんて声をかけられ、ずっこけちゃうこともしばしば。大塚を料理人に例えるなら、スペイン料理を初めて口にするお客様に、おいしいものをお腹いっぱい食べてもらいたい!と願いながら普段調理場に立っていますが、近頃猛烈に「まかない料理」を作りたくなりました。「飾り気はないけど、味はいい」そんなフラメンコを並べて、客席の皆さんと一緒にひとつのテーブルを囲みたいと願っています。共に厨房に立ってくれるのは、鈴木尚さん、今枝友加さん、井上泉さん等スーパーシェフ達。地元浜松の皆さんにも同じライヴを楽しんでいただこうと考え、三枝雄輔さんにも加わっていただき、浜松編を5/31に開催します。(大塚友美)
         
 今から25年前、1991年の日本フラメンコ協会の第一回新人公演において、ぶっち切りのクオリティで奨励賞を受賞した大物バイラオーラである。パセオ制作の人気DVDシリーズ『自宅でクルシージョ』にも出演していただいた。彼女が東京を離れる折には寂しい想いを抱いたものだが、友美さんは嬉々として地元・浜松に太い根を張り、公演・教授に精力的に活躍している。「飾り気はないけど、味はいい」まかない料理のようなフラメンコを望み、五月にもパセオライヴの浜松編を開催するという。こうしてライヴを設営することで、大塚友美のあの生き活きと美しい生バイレに触れることのできる幸運には格別の歓びがある。(小山雄二)
※パセオフラメンコ2016年4月号より

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2016年4月12日(火)その2518◆意志表示

具体的に判明した格差社会のカラクリ。
         
「パナマ文書」と「エル・ペペ前大統領」の強烈なコントラスト。
その対比議論によって、全世界が改善されるチャンスが訪れた。
パナマ文書で明らかになったマスメディアのスポンサー企業の隠蔽工作と、
ヘタすりゃ首が飛ぶ報道関係者の矜持。
そして、あらゆる〝わたし個人〟の意志表示。
                
未来にツケを回すのではなく、まずはウミ出し。
憎悪の連鎖の回避。猶予期間を設ける是正。
貧困や戦争は必ず縮小する。

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2016年4月11日(月)その2517◆たくさんの宝物

先週日曜の鈴木眞澄リサイタル。
パセオ7月号の公演忘備録初稿。

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鈴木眞澄/渡西40周年記念リサイタル「たくさんの宝物」
2016年4月3日(日)/東京(新宿)エル・フラメンコ
【バイレ】鈴木眞澄
【ギター】鈴木英夫/山まさし
【カンテ】永潟三貴生
【ベース】五十川博

 写真は高校を卒業してスペインに渡ったころの鈴木眞澄18歳。現在は社団法人日本フラメンコ協会の専務理事としても奮闘する、多忙な彼女の渡西四十年を記念するリサイタル『たくさんの宝物』は、その数日前に7月閉業を発表した創業五十周年の名老舗・新宿エルフラメンコで開催された。
 知ったかぶらず、心から信じられるものだけを厳選し、それを心の宝物としながら迷わず突き進む。不器用なので技巧的な立ち回りは出来ないし、ウケ狙いの新奇さを採り入れるつもりもない。人と人との心のつながりを最優先し地道やシンプルを慕う、それが私のフラメンコ人生。そういう彼女のブレない軸と、ちょうどこの時期に来日したあのエル・ペペ(前ウルグアイ大統領)の佇まいが、私の中で多くの部分重なる。

 プログラム前半はガロティン、ファルーカ、ティエント、タラントという深く彼女と縁のある四曲。技巧的な切れ味や派手なケレンは一切ない。その古典的佇まいは、現代バイレを見慣れた眼には凡庸に映り、実際私は何度も居眠りしそうになった(汗)。ところが、協演者を休ませるためにオーケストラ録音で舞ったファリャ『はかなき人生』の有名なスペイン舞曲第一番が、やや緩慢だったステージの情景を一変させた。ファリャの曲想を活かすスケール大きな振付に、パリージョやサパテアードがもたらす心地良いインパクトの優美。クラシコ・エスパニョールの技法で、春の桜の花吹雪の如き華やかな美しさで舞ったこの曲を境に、眞澄ワールドの真価は全開となった。そして畳み掛けるように続く十八番ソレア、アレグリアス。

 作為のない好ましい自然体が柔らかで充実した密度を高める。技巧的に突出した動きはひとつもないのだが、逆にそれが底なしの安堵感を生む表現の不思議。リラックスした動作はそれ以上の必然はないくらいのしっくり感を伴いながら、大きな感動の波を引き寄せる。それは静かであるが、親密な信頼を帯びた懐かしい情感だった。ひと言で云うならそれは、〝母性〟である。虚栄や余分な欲望を削ぎ落とすことによって生じる、年齢制限のないフラメンコの無限性。ファリャ、ソレア、アレグリの後半20分強はエンタメをも充たし、満開の観客席に至福の時を与えた。足腰に故障を抱えていても、還暦を間近にしても、フラメンコの道に終わりはない。そういう素朴な真実を彼女自ら実証した、いつまでも記憶に残るであろうステージ。(小山雄二)

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2016年4月11日(月)その2516◆後の先

「後の先(ごのせん)」

相撲など勝負において、相手より一瞬あとに立ちながら、
ぶつかり合った後には先手をとってる激突シーン。
出足が本物なら、一瞬先に立った相手に対し、
遅れて立ったほうが低く有利な角度で入り込めるという合理。

早く出過ぎれば相手にそれを逆用されるし、遅れ過ぎれば吹っ飛ばされる。
将棋の世界などでは、ここらへんの呼吸が分かってくれば初段だ。
な、なるほど。
つまり実人生において、私は六級程度であることが判明する(汗)

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2016年4月10日(日)その2515◆コンダーラ

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「思い込んだら試練の道を」
半世紀ほどそう認識してたが、
石井拓人の指摘によって目が覚めた。

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2016年4月10日(日)その2514◆遠足

いい天気だ。
昼過ぎには仕事を済ませ、夕暮れまで散歩。
早くもやる気のジェー。

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2016年4月9日(土)その2513◆まずは自ら

「あなたの理想を、この世界に実現できますか?」     
「君も私も、この世界にそれを実現することは難しい。
ただし、君個人、私個人がこの理想を実現することは可能だ」

来日中のウルグアイ前大統領は、
いまこの瞬間から実践できる行動理論を提示した。

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2016年4月8日(金)その2512◆卒業

若い頃は、富を均等にすれば世の中は救われると思った。
だが、今はそれだけでは足りないと思う。
消費文化そのものを卒業しなければ、人は幸せになれない。

そのような主旨をペペ(前ウルグアイ大統領)は語った。
パナマ文書系に暗殺されないことを祈って寝る。

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2016年4月7日(木)その2511◆マイナーの自覚

「淡きがゆえに美しい」

ふだんはそういうものを好むくせして、
ライヴなどでは「出し切る」シーンに感動することが多い。
ああ、けっこうおれは和洋折衷なのかと気づく。
なるほど、藤沢周平とフラメンコを同時並行で愛する人は少ない。
何かモノを云う時には、そういうマイナーキャラをよくよく自覚する必要があるな。

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2016年4月7日(木)その2510◆肩を並べて

きのう書いた来日中のホセ・ムヒカ大統領は1935年の生まれ。
日本フラメンコ界の初代スター本間三郎師匠とほぼ同期であり、
20年先輩にあたるこの世代のオトナには、
ちっちゃな頃から随分と助けられたものだ。
振り返れば、なんと云うか
「真善美」に対する質実剛健で繊細な感覚がとりわけ優れていた。

今宵は高円寺エスペランサの木曜会。
四半世紀以上つづくこの親睦呑み会は、サブロー師匠の肝いりでスタートし、
他界されるまで座長(=聴き役&スポンサー)を務められた。

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師の愛娘は当時まだ中学生だった。
あの頃の彼女にフラメンコに進む兆しは見えなかったが、
やがて新人公演奨励賞を受賞し、その後も際立つ華に磨きをかけながら、
目を見張るような活躍を続けている。
三週間後のパセオライヴ(本間静香ソロライヴ)では、
嬉し懐かしサブロー師とかつてのように肩並べ、
鋭く逞しい彼女の成長をじっくり眺める段取りだ。

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2016年4月6日(水)その2509◆貧しい人

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沖仁さんの母上(実枝子さん)FBからの引用。
グーの音も出んわ。
己の小物感が浮き彫りになる(汗)

絵本にもなった「世界で一番貧しい大統領」こと、
ウルグアイのホセ・ムヒカ前大統領。
〝世界で一番貧しい〟というご自身に対する称号を
どう思われるかという質問にこう応える。

「みんな誤解しているね。
私が思う『貧しい人』とは、限りない欲を持ち、
いくらあっても満足しない人のことだ。
でも私は少しのモノで満足して生きている。
質素なだけで、貧しくはない」

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2016年4月5日(火)その2508◆何をやっても

周囲や己をよくよく観察してみると、
「生」の大半が「愛と死」に向けられていることに気づく。
それぞれのケースが、それぞれ異なる華を咲かせる。
どんな選択をしても、一生は一生なのだと想う。

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2016年4月4日(月)その2507◆笑いは笑い

この数年で何度も仕切り直しをしたが、
まだまだ足りてないことがよく分かった。
成長の余地はまだまだあると、
とりあえず笑ってみることが肝心だ(苦笑)

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2016年4月3日(日)その2506◆言葉だけじゃね

「いつまでもあると思うな 親とタブラオ」

アルバロの惜別会を手伝ってくれたバイラオーラが、こんなふうに綴っていた。
もうひとつ。ベテラン・バイラオーラのきっぱりとした矜持。

「よく、自分の好きなお店を応援すると言いますが、お金を落とさないとダメです。
 言葉だけじゃ。痛感してます」

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2016年4月2日(土)その2505◆凍える寂しさ

大草原にしっかり根を張る大木。
音もなくスローモーションで倒れる情景。

悪夢ではなかったが、凍えるような寂しさで目覚めた。
新宿エルフラメンコ、7月閉業の報。
エルフラに初めて出かけたのは大学五年だったから、37年前のことになる。
パセオを創刊するのはその五年後だ。

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来年新年号にエルフラ50周年大特集を決めており、
昨年末にお店の全面協力も取りつけ、
すでに小倉編集長は準備を進めている。急な事情もあったのだろう。

フラメンコの世界もトータル面でかなりしんどくなるが、
とにかくやれることをしっかりやることが変わらぬルーティンだ。

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2016年4月1日(金)その2504◆研究者魂
  
「48歳未満の女性はお断りだ」
私の空振り宣言から派生した、昨晩の白熱のコメント会議の模様。
出席者は優秀な科学者男女二名と私。
               
H氏「送別会で酔った勢いで言います。
 良い女性の尺度=パイ×エロ×人生経験(ただしパイは定数)、
 ワイン飲みすぎました」
私「うーん、ワインが足りてませんね。
 たしか2πRの2乗にエロを掛けた向上心が人生経験の円周率になるはずです」
H氏「さすが。ワインの不足によるパイ計算精度劣化の改善が課題のようです、
 ありがとうございます」
私「パイ計算の精度改善の件ですが、実際に揉んでみないと正確には
 算出できないところに問題解決の困難があるのではないでしょうか」
H氏「今のところガリレオのように収監される危険を犯す勇気はありません。
 身内の場合は収監されないとは思いますが、科学者たるもの
 データは一つだけでは発表できないと思います。
 ただ亡くなった自分のボスは女性の弟子で測定に勤しんでいたことを申し上げます」
私「社会通念の遵守を採るか、真実の追及を採るか。
 私には到底出来ませんが、Hさんのボスには真善美を感じることができます」
H嬢「こんなところでいいね!してしまう自分の研究者魂を褒めてあげたいと思います!」
私「勇気ある研究者魂にジャンヌダルク性を感じますね。
 最終的には火あぶりでしょうが、そうした美魔女の宿命には真善美を感じることができます」
H嬢「研究者冥利につきるお言葉、励みになります!」

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2016年4月1日(金)その2503◆誤釈

ったく素人の思い込みとは恐ろしい。

人の自然な自立(建)を閉ざす(封)アホ当主のことだと、
わしゃずっと勘ちがいしとった(汗)。
〝封建主義〟の実際とは、一族や功臣に土地を与えることで(封土)、
全土を支配(建国)しようとする主従関係のことだった。
中央集権に向かう歴史的必然だったわけで、たいへんにすまんこってす。

てゆーのも、伝統は革新の精華(つまり現在進行形の生き物)だと知ろうともせぬ、
既得権を守るだけのケチな王様たちを昔からけっこう身近に見てきたし、
そりゃ今でもゴロゴロいることが、トホホな誤釈に拍車をかけたんだな。

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