フラメンコ超緩色系

月刊パセオフラメンコの社長ブログ

しゃちょ日記バックナンバー/2016年03月②

2016年03月01日 | しゃちょ日記

06雄二.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月31日(月)その2502◆縁と相性

朋(友)あり遠方より来たる。
屈託のない酒を呑み交す。
相性は重要であり、世代男女はあまり関係なし。
この一点のみ、孔子を好む。
基本、冷めた確率論者であるけれど、〝縁〟は軽視しない。

12923251_974672545943438_2999154781757585514_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月30日(水)その2501◆空しい努力

「48歳未満の女性はお断りだ」

こういう空振り宣言とゆーのは、まるでテレビに映る可愛らしいアイドルを
空しく罵倒するクソ爺のようなものだ。
どれほど若手を罵倒したところで、48歳以上の女性に
相手にしてもらえる可能性は、せいぜい2%アップがいいところだろう。
このように己を客観視できる私は、
さらに1%ほど好感度アップしている可能性が高い!、、、って誰も聴いてねーし。

18272_975139879230038_6088186208746799535_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月30日(水)その2500◆バックはやっぱり

やることが多すぎて、やや混迷気味のこの数日。
ねじりハチマキで、片っ端から片付けるのが唯一特効薬。
バックはやっぱりカマロン&パコ。
夜は東高円寺で呑み会。
残り五時間、めざせノーミス・スピード違反!

12494937_974349845975708_7554683019071141281_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月29日(火)その2499◆たくさんの宝物

12670509_973313092746050_6319692124961904162_n.jpg

木曜会最強メンバーにして、三十年来の盟友。
業界で最も信頼できるアルティスタのひとり。
写真はおそらく、スペインに渡った頃の彼女だろう。

鈴木眞澄・渡西40周年記念リサイタル
『たくさんの宝物』
4月3日(日)13時/新宿エル・フラメンコ
http://www.mami-mayor.com/

それにしてもピチピチだね、この写真。
まあ、その美貌は今もちっとも変わっちゃいないが(大汗)
パセオ公演忘備録は二つ年長の私が担当。
この四十年で彼女が見つけた〝たくさんの宝物〟とは?

────────────────────────────────────
2016年3月28日(月)その2498◆ドン底の先

パセオ5月号の締切入稿を済ませ、これからお隣り焼き鳥・大吉。
入店10秒前にお約束の予約電話を入れる(道が混んでるから
遅れるかもしれない等の状況うそ連絡が毎度のルール)のが定跡。

この32年、週刊将棋を眺めつつ独り呑む週1ルーティンも今日が最後となる。
この最終号、泣きはしねえが無念はある。
だが大丈夫、生きてる限り希望はある。

来週からは、将棋と落語とバッハとフラメンコとドラマ『相棒』に深い理解のある、
気立てのよい48歳以上(98歳未満)のそこそこベッピンさんと
しんねこで語り明かすのが第一希望である。

ドン底.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月28日(月)その2497◆仕上げ

家族や学校や社会のせいにしても、
何のメリットも生じない。
自ら肥料を探し、自ら耕し育てる。
借り物競争ではない〝教養〟の本質はそこに在る。
        
実用のための仕上げは、余分な教条(危ない思い込み)をていねいに取り除く作業。
自らの素を磨くこの大胆繊細な吟味そのものが、
教養の醍醐味であり、あるいは恩恵なのだと想う。

11059630_972113362866023_839167315753723957_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月27日(日)その2496◆枯れすすき

12440405_971183672958992_4355097914430485769_o.jpg

金曜晩の呑み会でこんなのが出てきた。
昨春の金沢の旅。
朝サウナ帰りにぶらついた金沢の海岸。
潮風でトムクルーズのズラが飛びそうですけど。

────────────────────────────────────
2016年3月27日(日)その2495◆無念の休刊

毎週日曜朝に宅配される愛しの紙メディア。
週にいっぺん、パセオ隣りの焼き鳥・大吉で、
これを読み読み独り呑みする楽しみは格別だった。

12670887_970560863021273_4960074438031127152_n.jpg

パセオと同じく32歳の週刊将棋が、本日発売号をもって休刊となる。
世界中を見渡してもパセオには競合誌がなかったから、
同期のこの週刊将棋に盟友のような親しみを抱いていた。

六段の将棋連盟認定資格もこの週刊将棋の検定で獲った。
消印締切の前夜、たいへんな難問を徹夜で解き、翌晩の営業接待の
終電居眠りで高尾や八王子からタクシー帰りしたことを懐かしく想い出す。

最後のひと月ほどは、記事中に編集スタッフの無念の想いが痛いくらいに伝わってきた。
購読落ちした同好の士にはバカ野郎と云いたい。
愛するアートのために、なんで週350円払えん?
それぞれに新たな道を歩み始めるスタッフの方々に心からの感謝を、
そして変わらぬ奮闘ご無事をお祈りする。

────────────────────────────────────
2016年3月26日(土)その2494◆流行知らずの時代遅れ

落語、将棋、クラシック、読書、江戸散歩。

私の趣味は、どれもいわゆる爺むさい。
小さい頃からずっと流行知らずの時代遅れだった。
永生きできたおかげで、昨今はどーやら年齢相応になってきた。
どれも半世紀近い年季だけは入っているので、味わう術は知っている。

フラメンコは〝趣味〟という感じではない。
16歳で出逢って以来、ずっとそれは〝憧れの生き方〟だった。
綺麗ごとはあきらめ、本音のほうを磨きたい。
うじうじタイプだったのに、少しずつ潔くなってきた。
どこまで生きても悟れる人ではないし、ずっとこの位置付けでいいのかもしれない。

12108102_969874816423211_904457480915543424_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月25日(金)その2493◆定点観測

今宵は高校同期の四季の呑み会。

写真は昨春の金沢旅行。
転居したカズユキと再会する旅だった。

12472785_968686719875354_2638903476109015602_n.jpg

新幹線で金沢に着くなり、地元の飛び切り美人をナンパした
元純情派のがんちゃん(左から二番目)。
剛力彩芽似のその美人さんが道案内を買って出てくれたのにゃあ驚いた。
その後のトムクルーズ(後列右)のナンパはすべて不発に終わっている。

おれを除き、皆ぐいぐい成長を続けている。
卒業から42年、飽きずに続く定点観測。
卒業とは多くの場合、出発点を意味するのだろう。

────────────────────────────────────
2016年3月25日(金)その2492◆連鎖反応

「もっと死んで来い、ということですね」

彼女はそう笑った。
木曜晩の渡部純子ソロライブ。
満員御礼の観客席は沸きに沸いた。

12472321_968271999916826_4574015579924591445_n.jpg

終演後、八割の絶賛と二割の要望を伝えた。
そして来年四月、渡部純子三度目のパセオライヴが決まった。
彼女の進化は止まらない。
渡部のフラメンコによって、私の細胞まで進化出来るような感触を思いきり信じてみたくなった。

────────────────────────────────────
2016年3月24日(水)その2491◆待ってました!

本日木曜、早朝からてんやわんやの大忙し。
猫の手も借りたいくらいだが、あいにく犬しかいない。
夜はパセオライヴ(待ってました、渡部純子!)でガッツリ締めるぞっ!

10346272_967559416654751_5707632322157303522_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月23日(水)その2490◆必要経費

綺麗に踊ることが、実は枝葉だったなんて・・・。
そこに十年で気づけば、まだ早いほうだろう。
わかっちゃいるけど己を欺き、ついつい綺麗ごとに走ってしまう。
そんな時期も十年続く。
こんな私で生きていきますと胸を張れるまで、さらにそこから十年。
そこで初めてフラメンコと一体化できる。
まあ、どうしたって、ざっと三十年はかかるわな。
おれなんか、四十四年かかって道まだ半ばだし。
フラメンコは、気長で人生好きな人に向いているのだ(汗)
(『フラメンコで生きる』より~人呼んで月刊パセオ、絶賛在庫中!)

1919329_967091316701561_5882583907961479597_n.jpg

ラーメン1杯分、月々733円税別は、スリリングな冷や汗と充実と本当の安堵を得る、
より佳きフラメンコ人生のための必要経費(福利厚生費)なのである!

────────────────────────────────────
2016年3月23日(火)その2489◆これがなければ

「人生の痛みと苦みを胸に秘めた男と女の陰翳が、フラメンコを粋にする」

先ごろの森田志保ソロライヴにやられたパセオ編集スタッフによる一節。
まるでコロンブスの卵だ。

なるほど。主軸たるものはこれだったか。      
どれほどカッコよくても、巧くても、綺麗であっても、
これがなければどうにもならないのがフラメンコなのである。

10325771_966655340078492_2623270631852761021_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月23日(火)その2488◆タモリ流

アガり症対策。
そういう発想はなかったなあ。
さすがはタモリ流、懐が深い!

「緊張できることをやらせてもらっていることを、幸せだと思うことだよ」

12802800_966212786789414_5689205336004829345_n.jpg

───────────────────────────────────
2016年3月22日(火)その2487◆色気の変遷

色気というのは本能に直結するものだから、
これを甘くみると折角の人生が妙にショボくなる。

女も男も、年齢とともに褪せる色気は仕方ないにしても、
年齢とともにじんわり増してくる色気というのはあるもので、
なるほど巧く出来てるもんだと創造主のバランス感覚に感心してみる。

1557639_965657260178300_7200337327814447486_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月20日(火)その2486◆渡部純子の矜持

再起不能の失敗は数知れず。

それでもまだ生きてるところをみると、あれはあれでよかったんだと、
素直に思えてくる。対不幸向けの免疫だけは売るほどあるから(汗)。
楽天性というのは、感性と行動と論理をもって築き上げるものらしい。
そんなこんなの今週木曜はいよいよ、ドキドキの渡部純子ソロライヴ。        

1929617_964157273661632_3531348628191581246_n.jpg

バルセロナの老舗タブラオ〝ロス・タラントス〟デビュー後、
十数年にわたりスター舞踊手として活躍した美貌のバイラオーラ渡部純子。

すべてが自然なファクターで構成される渡部のフラメンコは、
まず第一に、明快にして力強く親しみやすく美しい。
高い技術と彼女の人生観は境い目なしにシンクロしていて、
ステージ上の彼女は活き活きと光ある日常を暮らし、
生々しい喜怒哀楽とともに逞しい人生を歩む。

媚びない強さと媚びない色気。
客席と協演者に対する抜群の反射神経には、
常に対話を重視する精神が光る。
悠然としながら決然とするフラメンコ的ツネリは痛快そのもの。
いつも通りの渡部純子をタブラオ空間で満喫する大いなる歓び!
                (パセオフラメンコ3月号より)

────────────────────────────────────
2016年3月18日(金)その2485◆散歩の季節

この季節になると想い出す。

四季と街々を飄々と楽しむ散歩の達人だった。
早いもので、彼が旅立ってもう四年近くなる。
広がりと深まりを同時進行させる、
あの停滞なきサクサク感!

10264466_962280097182683_8134656096958384958_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月17日(木)その2484◆難点

物事の本質よりも、人の顔色を伺う。

私の得意技であるが、二十年ほど前に健康上の理由でやめた。
短期的な保身には向いているが、
大切な未来を失ってしまうところに難があるので。

1929789_961192157291477_6888755292185218939_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月16日(水)その2476◆『デスヌード』の爆進

早くも編集部・井口が昨晩のアルテイソレラ『デスヌード』の忘備録をアップ

10343668_960739497336743_7136677847662076832_n.jpg

高く安定する眩しいほどのクオリティ。
        
いつもは休憩ナシ約60分だが、今回は90分。
序盤から佐藤浩希は、勝負手のような演出を放つ。
おゐおゐ、どうまとめるんだというスリリングな終盤は、
既成概念を軽々と翔び超え、いつものような巨大な感動を運んでくる。
         
「デスヌード」。
面倒くせえものは脱ぎ捨てて、裸で勝負しちゃいなよ。
アルテイソレラとその協演陣の描く渾身のファンタジーは、
回を追うごとに、現実世界を改善するリアリティを高めている。

ところでプロ歌手・奥本めぐみのカンテ。
佐藤の勧めでフラメンコを歌い初めて一年余りというが、
この先の日本のカンテ界に強烈な活性化と進化をもたらすことだろう。

────────────────────────────────────


しゃちょ日記バックナンバー/2016年03月①

2016年03月01日 | しゃちょ日記

06雄二.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月15日(火)その2476◆説諭

1382798_959793164098043_8717117423811937913_n.jpg 12821533_959793220764704_7015512084393022295_n.jpg 1797532_959793727431320_3784523258175567880_n.jpg
[左から36年前、32年前、22年前]

1044960_959793917431301_804358193363885548_n.jpg 12832544_959799454097414_6431265666063234277_n.jpg
[左から8年前、52年前]
  
パセオやってない歴28年、
パセオやってる歴32年。   
うむ。58年前が最も勢いがあったな。
還暦とは、ここに戻れとゆーことなんだな。
    
58年前
                
「小さくまとまるくらいなら、勢いよく死ね」
母方の爺さん(警察官)にそう説諭される今朝方の夢。

────────────────────────────────────
2016年3月14日(月)その2480◆デスヌード

10343668_960739497336743_7136677847662076832_n.jpg

第三の故郷、代々木上原。

明晩はそのムジカーザで、鍵田真由美&佐藤浩希アルテイソレラ『デスヌード14』。
この創作シリーズは初回を除きすべて観ている。
共通項はハズレが皆無であること。

家路における深い癒しの余韻と、明日への希望が
もれなくセットで付いてくるところにこの傑出するシリーズの真価があり、
その意味では森田志保の創作シリーズのもたらす恩恵に似ている。

進化や深化を伴ないながら、そういうクオリティを育て続ける彼らの姿勢に
コータロー的道程を視ることもできる。
シリーズに足を運ぶ老若男女は年齢性別に関わらず、
彼らを信奉する以前に、まずは彼らと同じ情景を視よう・感じようとしている。

編集部からは総勢4名。
公演忘備録は本橋勝が担当!

────────────────────────────────────
2016年3月13日(日)その2479◆勢い

1934975_958601994217160_4006887470778187818_n.jpg

日曜朝の、単細胞を覚醒させる快感!

過去から現在を励まし、未来を見通す清冽な〝勢い〟。
小さくまとまることなく、ぶっち切りに疾走するカマロン。
止まってる場合かっ。
今日も仕事だ、がんばれオレ!

────────────────────────────────────
2016年3月12日(土)その2478◆わずか十文字

仕事好きなスケベ野郎。
           
人生六十年、わずか十文字で己を語れてしまう。
ちょっと寂しいが、そんなもんだろうという納得感。
あとひと月で61歳。
年齢的なガッカリ感はすでに極めたと想える。
今日は一日、同世代の彼(ジェー)とパセオで経理。

12803074_958034770940549_4945956783087625654_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月11日(金)その2477◆面倒くさくない人

寄る年波で、いろんなことを明快に俯瞰できるメリットが生じる代わりに、
物理的に何をやるにも面倒くさくなることが分かってきた(汗)。

特に、面倒くさい人との対応が面倒くさい。
物事をこねくり回す人には希望が視えない。
到底悟りは無理なので、ほど良い距離感を学ぶ。
もうひとつ。
面倒くさくない人になろうと決めた。

12718059_957675687643124_2117485795600074094_n.jpg     
       
────────────────────────────────────
2016年3月11日(金)その2476◆未来を射抜く古典

未来を射抜く古典。

パセオライヴ終演後のマエストラ森田志保。
撮影は伊藤亜紀子さん。
右のイカレおやぢは正体不明。

12814782_957413011002725_7045353984290385283_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月10日(木)その2477◆ハズレなし

12804644_956730657737627_3983244660213531755_n.jpg

スタートから一年、18回目を迎えるパセオライヴだが、
昨年2月の初回をファンタスティック、
かつ濃厚な感動で綴ってくれたのがこの志保さんだった。
何をやらかしてもハズレなし、
ほぼ100%の確率で、今回も凄いことになるだろう。

今回も座席指定ソールドアウトで、立見席(椅子は用意)のみ若干あり。
希望の方は☎03-3383-0246(セルバ)まで。
ライヴ終演後(21時10分~)は飲み放題コース(1,500円/23時まで)もあり。
おれも22時半まで呑むから、可愛いギャル(48歳以上限定)はじゃんじゃん付き合ってね!

────────────────────────────────────
2016年3月9日(水)その2476◆提言の真意

今宵は三人会。

エスアイイー林社長とプリメラ吉田社長と私。
すでに35年の付き合いとなる。
四季折々、勘定は順番に持ち回りで呑む。
都電・雑司ヶ谷近くの隠れ家的呑み屋に夕刻集合。

12495235_955978297812863_5808685159773819207_n.jpg

偉大なる大先輩お二人に対し、そのお体を心配する
若手最年少の私(今回の勘定当番)としては、
高い酒をがぶがぶ呑んだり、
高い肴をむしゃむしゃ喰ったりしないよう、
きっぱり提言するつもりだ。

────────────────────────────────────
2016年3月8日(火)その2475◆徳永兄弟の最新ディスク

12809650_955250927885600_310297024492635622_n.jpg

いよいよだね。
待望の徳永兄弟2ndアルバム。
いい感じのジャケット。
パセオ通販でも取扱い決定。
今回のテーマは〝旅〟。
中身を楽しみに待ってるぞ!

────────────────────────────────────
2016年3月8日(火)その2474◆儚さゆえに

「これが最後か」

万策尽き果てた三十代末。
神田川の桜は救いだった。
「いや、もう一度観よう」

12804861_955744227836270_2495853575451449567_n.jpg

あれからもう二十回も観ている。
おれはゾンビか、と想う。
          
この春は、三月末には満開らしい。
この世の華は儚(はかな)いけれど、儚さゆえに頼もしい。

────────────────────────────────────
2016年3月7日(月)その2473◆アーノンクールの遺産

12809520_955000821243944_7847187707169991257_n.jpg

古典のパワーとポテンシャルを現代に蘇らせた大指揮者。
フラメンコで云うなら彼は、大歌手アントニオ・マイレーナだった。
ニコラウス・アーノンクール(オーストリア/1929~2016年)逝去。

彼の切り拓いたバロック演奏の革新性は、
その60年後の現代においても大河のような影響を与え続けている。
アーティスト次第で古典は未来永劫となる、
そんなふうを実感させる彼のディスクのほとんどを聴いた。
マイレーナに例えたが、フラメンコに根ざした革新性という意味では、
彼はパコ・デ・ルシアだった。

もしもフラメンコが未来への視野を失う場合、
アーノンクールの演奏史はきっと、その創造作業の出発点となるだろう。

────────────────────────────────────
2016年3月6日(日)その2472◆眠くて眠くて

眠くて眠くて、ジェーを抱えたまま土曜22時就寝。
四時間で目覚め、気の向くまま二時間ばかり読書。
難かし過ぎて、まるで歯が立たん。
タイムトラベルの夢見を念じながら、ふたたび就寝。   

12806077_954342751309751_1494165300680535796_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月5日(土)その2471◆バランス調整

桜待つ春のときめき。

この三月は、古くからの親しい仲間たちとの呑み会が、四つばかり重なる。
たまたまなのか、はたまたそーゆー時節なのか。

10455580_953751384702221_7479852233287843701_n.jpg

古くは中学同級生(写真)で45年の腐れ縁、
新しいところでも30年の付き合いだから、
いわゆる〝春のときめき〟とはほど遠く、
むしろ〝晩秋の落ち穂拾い〟に近しい(TT)

孤立というのは人を腐らせるし、まあお互い、
これもひとつのバランス調整なのだろう。
互いに棺桶に片足突っ込みながら、しみじみ酌み交わす酒ってのも
程よく力が抜けて、案外と悪くはないのである。

────────────────────────────────────
2016年3月4日(金)その2470◆チェック機能

乗ってしまえば中野から四分だが、遠足気分で出掛ける新宿。
各種雑用のついでに、ビッグカメラで久々の買い物。

お目当てのイヤホン売場へ行くと、
自分のアイポッドに接続して試聴できるようになっている。
こりゃ助かる。その精度の聴き比べは、彼のヴァイオリンに任せるのがいい。

12376784_953295178081175_2371508987967068737_n.jpg

トーマス・ツェートマイヤー。
どことなく〝怪物くん〟の風情。
一番好きなヴァイオリニストではないけれど、
現役バリバリの中では一番凄い人に想える。
シャープにして繊細な彼の音色を再現できるかどうかが、
イヤホンを選ぶ汎用的なポイントとなる。
十種ほど聴き比べ、価格にして8千円あたりが分岐点と判明し、
合格ラインでもっとも安いものを購入。

仄暗くデーモニッシュなツェートだけの妖しい音色にゾクゾクのご満悦。
バッハの協奏曲集が突出してるが、この季節、
ベートーヴェンのスプリングソナタなんかも際どく絶景!

────────────────────────────────────
2016年3月3日(木)その2469◆次なる展開

それが夢だということを、微かに分かっている。

そうした意識に触れぬよう流れに任せることで、
幾度か夢の入り込みに成功しているものだから、
そのままゆっくりと、懐かしい型の都電に乗り込む。
穏やかな春の日の見知らぬ始発駅だが、
おそらくは昭和三十年代の東京下町。
車内には顔見知りが数人いるが、互いに軽く会釈を交わすのみ。

ほどなくアンティークな都電は専用車線を走り出す。しめしめ。
まばらな商店、ひなびた木造アパート、小さな雑木林、
線路に沿う小川、ちらほら桜も見える。
現在の荒川線・鬼子母神~面影橋あたりのイメージなのだろう。
ほど良いスピードで快走する都電は、やがて直角に近いカーブに差しかかり
極端に速度を落とし、次なる展開を期待させる。

曲がり切った刹那、安藤広重の世界が広がる。
ああ、そろそろ終わりなんだなあと予感。
雪が降っている。
回想シーンのような目黒・行人坂の太鼓橋。
そこでおしまい。
締まらないオチの余韻が朝から続いている。

目黒太鼓橋夕日の岡。現在の行人坂下).jpg

────────────────────────────────────
2016年3月2日(水)その2468◆森田志保ソロライヴ

「このパセオライヴ、一人で一時間あまりというのは、リサイタルなみの大仕事です。そして、今回2回目、考えを巡らせ迷走しましたが、やりたいことを素直にやろうというというところに着地し、アルヘンティニータやカルメン・アマジャの歌など古き良き時代のものを中心に、歌、ギター、踊りで綴って行こうかと思っています。これから、いろいろ勉強です。
 新しいものをやってみたくなる欲張りな性分は、いつも自分の首を締めますが、DiegoとEmilioに力を借りて、自分もお客さんも楽しめるところまで持っていきたいと思っています。エスペランサがいいエネルギーで満ちるのを想像しながら」(森田志保)

森田志保.jpg

http://www.paseo-flamenco.com/daily/2016/03/310.php#005900


ずいぶんと歳下なんだが、この人をまるで姉のように感じることが多い。
いよいよ来週木曜は、森田志保ソロライヴ。

『はな6』(2009年)が文化庁芸術祭賞を射止めた頃、
取材に応える森田志保は〝開き直り〟というキーワードを幾度か発した。
開き直りは江戸っ子たる私の常套手段だが、同じ開き直りでも
彼女と私の潔さの内実には天地の差があることに私は愕然とした。
そういう覚悟の在り方を学んでから数年が経ち、
私の内実は少しだけ好ましいスタンスを得たと思いたい。

彼女のあらゆる振る舞いには、いわゆる社会倫理を超えるところの
〝潔い正しさ〟が漂う。
ステージ上のあの絶対性を帯びた存在感は、きっとそこに直結している。
いつの日かそのエッセンスを心に内に溶かし込みたい想いで、
森田志保のライヴに足繁く通う。

────────────────────────────────────
2016年3月1日(火)その2467◆運を育てる

「三人の兄は頭が悪いから東大へ、
 私は頭が良いから将棋指しになった」

元将棋名人の米長邦雄語録のひとつ。

山梨県の米長家は大地主だったが、
戦後GHQの農地解放によってすべての土地を失った。
上手く立ち回れば多少の土地は残すことが出来たが、
米長の父親は敢えてそれをせず、潔くすべての土地を差し出した。
そのことが四人の子供たちに強運をもたらしたのだと、米長は分析する。

「運を育てる」という米長名人の考え方は、
わがまま放題な私にはずいぶんと助けになった。
楽しそうに暮らしている人のほとんどが、その人なりのやり方で
運を育てている実際を知るのはずっと後のことではあるのだが。
中途半端なやり方で私の場合は大いにしくじったが、
この戦略の優秀性は年々歳々実感しつつある。

12794565_951404271603599_3043739367872382176_n.jpg

────────────────────────────────────
2016年3月1日(火)その2466◆真摯な受け止め

「しゃちょ、若いなあ」
ライヴ終了後、美貌のバイラオーラによる社交辞令。

「ありがと。でもホントはおれ、80なんだよ」

どっかーん!とウケると思った。
実際には、真摯に受け止められた(号汗)

12809573_951109314966428_4926052445813527262_n.jpg