尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

不思議の森へあなたを訪ねて下さい。
「人生は正しいのです、どんな場合にも」(リルケ)
2005.10/22開設

立方体

2006年04月09日 13時22分41秒 | 詩の習作
重さならば
人の子ほどある
サラシに包まれた
立方体の肉が
昼間の電車の中に
引きずり込まれた

発車すると
血と油を浮かべた布が
振動でプルプル揺れた

見てはいけないものと
乗り合わせた

肉を食う肉たちは
この時間を
だまっていた

電車は
いくつかの駅を
とばした
プラットホームの人々を
電柱のように過ぎた

ある駅で
立方体が
引きずり降ろされたら
体を屈曲して座っていた
電柱は
腹を割って
白い歯を見せた

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