尾崎まことの詩と写真★「ことばと光と影と」

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2005.10/22開設

詩「男の調べもの」

2012年09月06日 23時37分53秒 | 新詩集
   「男の調べもの」



男から男へだけ伝えられている
根も葉もない神話というものがある

つまり女の体には二つの目のほかに
ひとつの美しい瞳が隠されている
だから男たちは一日の仕事を終えると悪い顔になって
女に埋められた宝石を探しだすのである

焼き魚のようになんども裏返したり
座布団のように片手でくるくる回したり
ゴム手袋のように女をはめてはくりっと裏返したり


探しあぐねて疲れ果て
そのお尻を木魚みたいに叩き
叩いても叩いてもなにが出るわけでもなく
やがてその尻と一緒に笑いはじめ

おれは闇の中に屹立するこの青白いもののために
死ぬのだと悟った
のかあるいは悟らなかったのか

女は背中にはりついたまま虚映を見つめる
おろかで悲しいけだもののために ほんの一瞬
己の一生を賭けてみようと思った
のかあるいは思はなかったのか

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