少し怒ったようにしながら
ほらっ
わたしの花だよ
と、少女は言った
白い小さな蛇だって走った
高原のお花畑で
女の子が
見せてくれたものは
少年には残酷すぎる
傷にしか見えなかった
成人してから
二人は別の人と結婚した
しかし
結婚というと
白い美しい蛇が
ちらっと走り
宝石のように
大切にしまってきた
あのつつましく
密やかな記憶のことを
思うのである
ほらっ
わたしの花だよ
と、少女は言った
白い小さな蛇だって走った
高原のお花畑で
女の子が
見せてくれたものは
少年には残酷すぎる
傷にしか見えなかった
成人してから
二人は別の人と結婚した
しかし
結婚というと
白い美しい蛇が
ちらっと走り
宝石のように
大切にしまってきた
あのつつましく
密やかな記憶のことを
思うのである