武田百合子著「富士日記」を読んだ。
なんとも言えないくらい、ほのぼのとした暖かい、家族愛の日記で、☆☆☆☆☆です。
中巻から・・
昭和41年10月~44年6月まで表紙のお二人の写真が、なんとんも言えず、可愛らしくて、ステキ。娘さんの写真家 花さんの写真だろう。
焚火のそばの、名前の判らない高山植物のような、毎年一輪しか咲かない花を、去年一株、犬の墓の上に移してみたら、今年は焚火のそばの花が散ってから遅れて一輪咲いた。葉柄も花茎も花の表がわも、すっかり白銀色の柔毛につつまれている。猫柳の毛のようだ。花は百合よりもっとうつむいて咲く。花の奥をみようとして、花柄に指をかけて仰向かせると、花の柄はしなやかでくにゃくにゃしていて、猫の手をいじって遊んでいるときそっくりの感触だ。動物のような花。花の中がわは黒ずんだ真紅で、オレンジ色の花芯がある。毎年こうして猫をいじるように遊んでみるが、毎年、不思議でたまらない。散ってしまうとほっとする。
毎日の献立も愛情いっぱいだ。
泰淳氏が、いつも「百合子、毎日日記をつけてごらん、買い物でも献立でもいいから」といつも言われていたとか。
午後 草刈のあと、大やかんに湯を沸かして、主人の身体を拭く。(風呂のエントツがはずれているので)おちんちんも拭く。「ここのところ、もっと拭きたくて」と言うと「拭きかたやめ。こういうところは あまり拭くと頭が悪くなる」
もう 本当に可愛い。散髪も髭剃りも百合子さんの仕事。此の卷では、愛犬ポコが死ぬ。
下巻から・・
昭和昭和44年7月~51年9月まで・・
・・・
主人はテラスで風に吹かれている。
「帝銀事件の平沢画伯描いた絵で、日本髪結った目の不自由な女の人が鏡にむかっている絵みたことある?“心眼”て題がついているの。ずいぶん前に一回しか見たことないけど、忘れられないよ。あれ?この話わたし、前にもしたっけね。
どういうわけか、硝子磨いたり鏡磨いたりする時 必ず思い出す。誰もいなければ一人で思い出すているのだけど、そばにとうちゃんがいるとついしゃべっちゃう。」「もうなんども聞いたぜ、しかしまあ、しゃべりたきゃ、しゃべったってかまわんがね。」もう どうしましょ 可愛い。此の巻では、泰淳が亡くなる。
最後に、言いつのって、武田を震え上がらせるほど怒らせたり、暗い気分にさせたことがある。言いようのない眼つきに、私が押し黙ってしまったことがある。年々弱っていくそばで、沢山たべ、沢山しゃべり、大きな声で笑い、庭を駆け上がり駆け下り、気分の照り降りをそのままに暮らしていた、丈夫な私は、なんて粗野で、鈍感な女だったろう。
そんなことはないよ、百合子さん、充分大事にしていたよ、と言っていた私です。
旺森社社長が経営する喫茶店兼酒場「ランボオ」に勤務している時、泰淳と出会い、結婚するらしいが、美人で献身的な百合子の日々の日記は、読んで爽やかな、やさしい気持ちにさせてくれる。
つらい事や悲しい事を、口角泡を吹いて髪を振り乱して話すよりも、
ユーモアなど交えながら淡々と語られた方がしみじみ伝わりますよね。
湧水庭園の車椅子のエピソードなどもそのさんはさりげなく書いておられるけど…
「泰淳と百合子」はそのさんに重なる所があるのかも─立ち入りすぎた想像ならゴメンナサイ。
神田の「ランボオ」という喫茶店。実在したのですね。
超下品なエロマンガ「曼荼羅屋の良太」にも
「(萩原)朔太郎や三好(達治)君と話し込んだものです云々」というくだりがあります。
天国のパパは段ボール箱に2個も日記を書いていましたが、いまだに、読むことが出来ません。来年の7回忌には子供達と開けてみようかな?と思っております。
最近 自分の生まれた年代の本 やたら読みたくなってきましたが、年齢から来る物でしょうか?
私もいそがしい、本も読まねば、DVDも見ねば、パッチワークも頼まれてるし・・・
ブログにもはまりこんでいるし・・・
まだまだ頑張ります。
そのさんパッチワークもやるの?
お店 本 DVD パッチワーク ブログ
大変だあ~
でも楽しいからやれるんだね
この本は、当時の物価の値段が書いてあるのですが、某スーパーの値段とあまり変わらないようなものもあり、改めて、某スーパーは安いなぁと思いました。
パッチワークは、私、手足多汗症なので、寒くならないと針がもてないのです。
期間限定で、お客さんにあげています。