「誇」-URAWA REDS-
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情けなくて、不甲斐なくて。
審判の笛がどうであろうと、関係ないよな。

簡単に失点する。
追い付こうとして奪われる。
怒りすら沸かないよ、もう。
自分たちのやり方に拘りすぎて、
勝利への執念を忘れてはいないか。

ゴールに向かう姿が見たいのに。
綺麗なサッカーも大切かも知れないけれど、
形振り構わずやらなきゃいけない試合だったんじゃないのかな。


物足りないんだ。


ACLの権利は何としても確保しないと。
シーズンが無駄になってしまいそうだよ。

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忘れてはいけない日。
繰り返してはいけない日。
風化させてはいけない日。

どれだけ辛く悲しいか。

体験しなければ分からないなら、
それを伝えていかなければならない。

負けていい試合なんてない。
上の順位にならなくていいなんてことはない。

「やり直したらいい」
「優勝なんてしなくていい」
「ACLは行かなくていい」

そんなことはあり得ないんだ。
「あの時勝っていれば、引き分けていれば」
「もう一点取れていれば」
どれだけ後悔したことか。

1999年11月27日。
浦和が浦和であるかぎり、
忘れてはいけない日。

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誰も諦めてなんかいない。
処分、契約更新。
1週間のインターバルの間に、クラブは揺れた。
首位との勝ち点差は1。
直接対決を残していない以上、
もう負ける訳にはいかない。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・原口・柏木・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・直輝・梅崎・関口
所謂“ベストメンバー”。
序列が決まってしまったり、
組織的な守備を構築しなかったりと、
期待した部分の成果が出ると、
弱点も気になりだしてしまう。
「暢久のために」
そんなことは思わない。

そろそろタイトルが欲しい。
それだけだ。

「気合入ってるなぁ」
果敢にプレスを掛ける浦和。
「良く動いてる、いいぞ」
この試合に懸ける意気込みを感じる。
柏木がボールに触れる、前を向く。
「今のうちに点取ろうよ」
川崎の前線が網を張る。
「そんなに追い掛けて90分持つのか?」
中2日の川崎、休養十分の浦和。

中村憲剛のCK。
「何でだよ…」
甘いマーク、安い失点。
12分、川崎先制0-1。
簡単に得点を許す悪い癖。
あの気合は、空回りだったのか。
ジェシがゴール裏を挑発する。
「チクショウ…」
あんな奴に負けたくない。
「じっくりやろう、そうするしかなんだから」
粘り強く、根気強く。
失いかけた声を絞り出す。
「原口、行け、行け!」
奪われても奪い返す、エリア内に入る。
「打て、打てる!」
シュートはGK正面。
「洋平なんだよな…」
乗らせたら手に負えないGK。
昔から洋平は、そうだった。

右へ大きく展開、ヒラがクロスを上げる。
左はウガと槙野がコンビネーションで崩す。
「我慢して、焦るなよ」
自分たちのサッカーを貫けば、チャンスは訪れるはず。
「カウンター狙いだもんな、あっちは」
無闇にラインを上げない、浦和のミスを誘う川崎。
「やっちったか…」
高い位置でボールを奪われる。
「足りてないぞ…」
振り回されるDF。
「ダメか…」
クロスバーに救われる。
「ツイてる、まだ大丈夫だ!」

前半終了、浦和0-1川崎。

「抑え切れきれないな」
レナト、大久保の突破を許す。
「外すな、しっかり」
2点差を追い付くほどの迫力は、今のウチにはない。
丁寧にパスを繋ぐ、相手の隙を伺う。
「焦るなよ、落ち着いて」
まずは追い付いてから、試合をリセットしてからが勝負か。

原口が左サイドを駆ける。
「どうする?中は足りてるか!?」
低いボールを入れる。
「どうだ!?」
57分、浦和同点1-1。
「さあ次だ、次!」
喜ぶヤツはいない、まだ追い付いただけなんだ。
「お前らが喜んでどうする…」
センターサークルに戻らず、喜びを分かち合う選手たち。
「甘い、甘いんだよ」
「行くぞ、ほら!」
57分、平川out関口in。
「畳み掛けろ、頼むぞ、関口」

左を崩される。
「マズい…」
59分、川崎勝ち越し1-2。
苦労して奪った得点が水泡と化す。
「何でなんだ…」
行く先は坂道ばかり、キツい。
「ほら、しっかりしろ!」
優勝なんて言葉は、まだ語ってはいけないのか。

60分、川崎4番に警告。
粗いプレーに悩まされていた浦和。
「当たり前だろ」
主審は吉田氏。
陽介がニアに入れる。
「惜しいっ!」
阿部勇樹のヘッドはクロスバーを掠めていく。
「これ決めないと、ヤバいのかな…」
ナビスコ杯決勝もそうだった。
もしかしたら、今度もそうなってしまうのか。

70分、宇賀神out梅崎in。
「アウト2枚、か」
仙台戦とは異なる役割を与えられる。
「いいのかな、それで」
前掛かりになった訳ではないのに、カウンターを喰らう。
「しっかり、戻れ!」
山岸が立ち憚る、追加点を許さない。
「勝ち点1でもいい、点取ろう!」
勝ち点3以内なら、逆転も有り得る。
「もっと動かないと」
中2日の相手を振り切れない。
「走って、足元じゃなくて」
もどかしい。

84分、森脇out直輝in。
「もうちょっと早く出してくれれば…」
阿部勇樹と柏木が1枚ずつ下がる。
時間がない、あと2点は苦しいか。
「引き分けでもいい、負けちゃ駄目なんだ」
萎えそうになるココロを奮い起こす、
「負けんな!」
自分自身に、選手たちに。

アディショナルタイム4分。
「少ないよ…」
露骨に時間を稼いでいたはずなのに。
45+1分、川崎追加点1-3。
「どうして…」
天を仰ぐ、悔しさと情けなさが去来する。
「もっと普通でいいのに…」
難しいパスを選択し、ボールを奪われる。

浦和1-3川崎。
崩れ落ちる柏木。
「もっとやれることがあったんじゃ…」
あの2文字が遠くなる。

冷たい風がスタジアムを抜ける。
「ACLだけは、何としても」
追い掛けても追い掛けても届かない。
実はまだ、熟していないのだろうか。



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この季節は本当に嫌だね。
僕が敷島に通っていたのはまだ、
香川真司がJ2で戦っていた頃。
浦和から前橋まで約2時間。
距離を近づけていたのは、
ウチが失った幸せな部分を、草津が持っていたから。

BSからスカイAに切り替えると、
ザスパクサツ群馬のセレモニーが始まっていた。
櫻田和樹が現役を退く。
昔、駒場がそうだったように、
埼玉スタジアムでは感じることが出来ない
素敵な空間が映し出されていた。
20位。
苦しいシーズンも、
あの温かい気持ちがあるから乗り越えられた。
きっとそうなんだと思う。

勝ち点差が4に広がった翌日に、
もう一度奮い立たせてくれた敷島に、感謝。


Let's Go SAKURADA KAZUKI
俺たちとともに戦おう!

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チャラ男って呼ばれてるの、
盗み聞きしてさ。
それ以来、僕らの間では「チャラ」。
勝手にそう呼ばせてもらったよ。

浦和生まれの浦和育ち。
いい響きだよね。
突然巡って来たチャンス、駒場デビュー。
なかなか良かった、嬉しかった。

草津にも追い掛けて行ったんだ。
ちょっと怪しい守備だったけど、
スピードに乗ったまま上げるクロスボールは、
大きな武器だったね。

ユース出身の選手がチームを去るのは、
寂しくて仕方がないけれど、
プロの宿命だから。

左利きのサイドバック、23才。
これからだよ、これから。
ユニフォームの色は違ってしまうけれど、
エイコや堤くんのように、
主力選手としてピッチに立つ姿、期待してるから。

まだまだ、始まったばかりだよね。
いつかまた、敵として会える日を楽しみにしてるよ。




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水曜日の夜、アウェイ磐田戦。
懸命に戦っていた。
漸く巡って来たチャンス。
勝利のため、
レギュラー争いに食い込むため。
だから涙を流したんだよね。

忘れないよ。
あの場にいた誰もが、同じ悔しさを味わったんだから。

監督だって庇ってたじゃないか。
チャレンジして奪われたのなら、非難することはない。
そうなんだよ、それが魅力なんだよ。
岡山が返したくないって言うほど、
いい選手なんだよ。

ベンチでの所作もね、
人として優れていると感じさせてくれたね。

果敢に駆け上がって鋭いクロスを入れる。
ゴール前に切れ込んで、フィニッシュしてしまう。
ハイボールにも競り負けないんだよね。

加入して直ぐにレンタル移籍。
あの時は、申し訳ないことをしたけれど、
帰って来てくれたこと、嬉しかったんだ。
嫌われてなかったんだって。


次はある、必ずある。
だよね。

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誰よりも君の名を叫んでいたよ。

「しっかりしろ!」
「ちゃんとやれ!」
「ぼーっとすんな!」
「何やってんだよ!」

ウチに初めて入った「超高校級」。
青いユニの10番、FW。
どん底で喘いでいたウチの希望の光だった。
「暢久最高!」

懐かしいね。

チリチリ頭の若者は、ムラっ気が酷くてね。
「どうしてお前はそうなんだ」
やればできるのに。
清水のアレックスが中に逃げるんだぜ。

アイツは代表に選ばれるべきだ。
柳本?名良橋?
違うだろ!?
強い相手に滅法強く、格下相手にチョンボする。

「またギドに怒られてるよ…」
初めて首位に立った時はストッパーだったね。

進化の途中、迷い道の中に君はいなかった。
あの時だけだよな、試合に出られなかったの。

2000年も、君はそこにいた。
本当は下のカテゴリーなんて嫌だったんじゃない?
案の定、格下相手にそれなりで。
らしいと言えばらしいんだけどさ、
結構ムカついたんだぜ。


やっと選ばれた代表は、カシマでおしまい。
もう1回呼ばないのかな。
それは、叶わなかった。

まさかね、キャプテンだなんて。
「ギド、分かってんのかなぁ」
「スゲーな、やっぱり」
「やりたいってずっと言ってたからなぁ」

トップ下、鮮やかなパフォーマンスで僕を魅了してくれた。

「それ、決めちゃうんだ」
「ギド、さすが分かってるよなぁ」

君がチームメイトに囲まれてシャーレを掲げる日が来るなんて、夢のようだった。
いや、なんだか笑っちゃったよ。


2番はディフェンダーみたいだからイヤ、
暑いのは嫌い、
サイドじゃなくて真ん中やりたい。
ご飯おいしくないから帰る。

子供かよ。

「右で使えないのかな」
「そろそろ出してもいいんじゃ」
「やっぱりやる時はやるよな」
「メンバーに入ってたらな…」
いい選手だよね、巧いし強いし。


出場機会が減り、ベンチから外れることもあった。
それでもね、
いつの間にかレギュラーに戻ってるんじゃないかって思ってた。
競り負けるなんて、
また気が抜けてるんだろうって思うことにしてた。


いないと存在の重さが分かる選手じゃなかった。
いて当たり前の選手。
ピッチにいるだけでわくわく、そわそわした。


決してレジェンドなんかじゃない、
ヒーローでもなかった。
アイドルだったのかな。


山田選手、ヤマ、山さん。
違うな。
タリーさん?
誰だよそれ。


ありがとね、暢久。


もう一度、シャーレを掲げる姿を見たい。
僕らはゴールを決めることは出来ないけれど、
出来ることを精一杯やろう。
魂込めて闘うから。

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気になったのはね、この部分なんだ。

(6)本件は、一般紙やスポーツ紙で取り上げられるなど社会的な影響は大きく、
スタジアムが危険であるとの印象を社会に与えてしまった。

これって、ウチだから記事になったということかな。
それとも、何者かが意図的にリークしたものなのかな。
ホームで清水が仕掛けた。
けれど、注意を受けたのは浦和。
エコパでは、ホーム側のスタッフは警備員からの通報を受け
“直ちに”警察に通報。
ここも勘繰ってしまうんだよ。
清水側はトラブルが起きると必ずウチのスタッフを呼びつけてたよね。
何で今回はそうしなかったのか。
あの時思った正直な感想はね、
「汚ねーよな、あのクラブはいつも」
性善説とやらに、嵌められたかな。
僕だって事件を起こした奴らのことは好きじゃないよ。
だけどね、何だかしっくりこないんだよ。


あの時の2000万円よりも、今回の1000万円の方が
クラブに与える影響は大きい。
入場料収入が伸び悩む中、クラブが努力して黒字化を図って来ただけにね、
無駄な支出になってしまったよ。
あいつらが悪いとかさ、野暮なことは言わないよ。
それを止めさせることは、僕らにも出来たことかも知れないのだから。


これでね、有利な笛が吹いて2ステージ制賛成のクラブが優勝したら…。


健全なスタジアムって、どういうものだろう。
胸に響くものなのかな。
何事にも代え難いものを与えてくれるものなのかな。
Jリーグがどこに向かって舵を切るのか、
それだけははっきりしたかな。


[追記]
制裁内容でおかしいなと思ったことをもうひとつ。
アウェイ側クラブの責任が問われたこと。
規約に明文化されてないんだよね。
だからG大阪よりウチの処分が重かったんだよね。
見えない何かが動いているような気がして、むず痒いんだ。

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日曜日19時、宮城。
高い駐車料金、不便な公共アクセス。
嫌がらせのような日程は、誰が仕組んだのだろう。

2か月前、櫓が組まれていた場所も真っ暗。
屋台が並ぶ一角も薄暗くて。
盛り上げようって気がないのかな、と思ってしまう運営。
足元を浚う冷たい風。
横浜の敗戦を知り、勝てば首位が見える大事な一戦。
一気に走り抜けるためにも、勝利を収めたい。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・柏木・原口・梅崎・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・直輝・関口・阪野
啓太が出場停止、マルシオが負傷離脱。
シャドーに梅崎、ボランチに柏木が入る。

「これだけいれば十分だよ」
日付が変わる前に帰浦することは不可能なのに、
赤く染まるゴール裏。
「ギシ!!」
シュートがDFに当たる、勢いを失くすボール。
「取れないのか…」
2分、仙台先制1-0。
「まだまだ、これからだ!」
絶対に負けない、強い意志を纏った僕らに迷いはない。
「来た!!」
左からのクロス、右で受けた選手がネットを揺らす。
6分、浦和同点1-1。
「次だ、次!」
喜ぶつもりは毛頭ない。
引き分けじゃない、勝ちに来たんだ。
「で、誰だろう、決めたの?」

左サイドを狙う、
ウガと槙野がチャンスを演出する。
「いいね、悪くないよ」
失点数の少ない仙台DFを揺さぶる。
興梠が身体を張る、梅崎が縦に抜け出す。
「あれ、全然寒くないかも」
冷たい風を感じなくなるほど、集中している。
23分、槙野に警告。
「飯田淳平なんだよな…」
ウチと相性の悪い主審。
「何もここで当たらなくても…」
いつ相手に流れが向いてしまうのか、心配でならない。

柏木のFKが弾かれる、零れ球に梅崎が反応する。
「惜しいなぁ」
GKがパンチングで逃れる。
「こういう所で取れたらな」
柏木のCK。
「決まった、やった!!」
「巧いよ、流石だよ!」
31分、浦和逆転1-2。
興梠が決める。
「エースだよ、あいつは」
勝てば首位、4位鹿島との差を勝ち点4に戻せる。
「行こうぜ!」
どうしても勝ちたい。
余計な野次や罵声のない、一体感のあるスタンド。

「しっかり」
ウィルソン、赤嶺から自由を奪う。
「良く頑張ってるぞ」
那須、森脇、槙野、阿部勇樹が競る、陽介が走る。

前半終了、仙台1-2浦和。

「安過ぎるだろ…」
FKを頭で合わされる。
47分、仙台同点2-2。
「まだ力不足なのかな」
一気に畳み掛ける勢いは、今のウチにはないのか。
「ったく、しょうがないな」
気合を入れ直す。
「やるしかないからね」

「しっかり、落ち着け!」
立て続けにシュートを浴びる。
「ギシくんで良かったよ…」
ゴール前に立ち憚る山岸。
「大丈夫だよ、大丈夫だから」
焦らなくていい、崩す力はあるのだから。

陽介がキープ、梅崎にボールが渡る。
「どうだ!?」
クロスが入る、興梠が粘る。
「やった、やった!!!」
59分、浦和勝ち越し2-3。
揉みくしゃになる、歓喜の輪が広がる。
「勝つぞ!絶対勝つんだ!」
負けない、俺たちが付いている。
残り3試合、少しでも優位に戦いたい。
60分、平川out関口in。
「ヒラはここが限界ってことかな」
サイドに流れるFWを抑止するためなのか、
より攻撃を強めるためなのか。

速攻、ウメから原口、狙う。
「打っちゃえばいいのに」
ループシュートは枠の上。
「ヤバい…」
裏を抜かれる。
「ギシ!」
シュートストップ、難を逃れる。
「甘いよ、甘いって」
真ん中を空ける、シュートを浴びる。
「嫌な流れだな、ちょっと」
笛の音も仙台側に流れていく。
「もう1点欲しいんだけどな」

78分、原口out暢久in。
「陽介を1枚上げるのか」
「守りに行くにはまだ早いよな」
逃げ切れるチームじゃないはず、
広範囲を動く陽介に、余力はあるのか。
「暢久、頼むぞ」
攻撃の芽を潰さなければ、決壊してしまうかも知れない。
87分、梅崎out坪井in。
「どうするんだ?」
永田充や森脇で失敗したことを繰り返している。
「もう追えてないじゃん、興梠だって」
弱気な采配、防戦一方になる浦和。

アディショナルタイム3分。
「もうちょっとだ、堪えてくれ」
時間を稼げない、次々にクロスが放り込まれる。
「クリア、クリア、クリア!」
90+2分、仙台同点2-2。
大の字になる槙野、倒れ込む柏木。
「立てよ、早く立て!終わってねーんだよ!」
勝利への執念を感じない所作に憤る。
「ラストだ」
低い位置からのクロスボール、弾き返される。

試合終了、仙台3-3浦和。
「またか…」
終了間際の失点、消極的な采配、失う勝ち点。
「鹿島と勝ち点2差か、ヤバいな」
ふるい落とせなかったツケは、誰が払うのか。
あと3試合、
宮城で負った傷が大きくならなければいいのだけれど。

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晴れ間を狙って駒場に向かう。
ホーム最終戦。
勝って残留を決めたい、
彼女たちの頑張りが報われて欲しい。
何もできないけれど、
スタジアムを埋めることくらいなら僕にも出来るから。

GK池田
DF齊藤・高畑・坂本・堂園
MF柴田・岸川・藤田・加藤
FW吉良・後藤
リザーブ田尻・和田・猶本・安田・大滝
齊藤が右SB、左に堂園、センターに坂本。
連敗を受け、最終ラインを弄った浦和。
「また雨だ…」
試合開始直前、大粒の雨がピッチを濡らす。

「いいぞ、狙って行こう」
DFの間を抜けるパス、裏を狙うFW。
オフサイドフラッグが上がる。
「スピードは勝ってるよね」
トラップに掛かっている訳ではない。
「何回も狙って行けば崩せるよ」
浦和より上位に位置する伊賀。
監督は浅野哲也。
「選手紹介の時、拍手にざわついてたよね」
あの苦しかった時代を知らない人が増えたということか。

「来た!」
後藤のパスにゴラッソが反応。
「決めろ!」
「ダメかぁ」
GKとの1対1をものに出来ず。
「そんなに強くないよね」
下位に喘ぐ浦和と上位をキープする伊賀に、
レベルの差は感じない。
「ウチだって整理されればやれるってことだよね」
早く残留を決めて、伸び伸びとやらせてあげたい。

前半終了、浦和0-0伊賀。

「引き分け以上で残留か」
吉備国大が敗戦したことをオーロラビジョンで知る。
「ちょっと狙いどころを絞られてるかな」
ボランチの前、ハーフウェイラインより自陣寄りでボールを奪われる。
「向こうのミスに助けられてるね」
中央を絞り切れず、ピンチを迎える。
「事故が起きる前に決めちゃいたいな」
堂園のCK。
「やった!!」
高畑のヘッドが決まる。
56分、浦和先制1-0。
「DFとGKが被っちゃってたね」
相手のミスに乗じて得点を挙げる。
「ラッキー!」

「ゴラッソ、決めろ!」
PA付近で加藤千佳がボールを奪う。
「巧いんだよね、ちっちゃいのに」
63分、浦和追加点2-0。
残留に向け大きく前進。
「自信さえつけば、もっとやれるよ」
不安に苛まれていた季節が、過去になる。
「猶本が呼ばれてる」
「まだかな、代えないね」
「和田奈央子も呼ばれた」
時計に目を落とす監督。
78分、吉良out猶本in。
「ワントップにして猶本をシャドーかな」
藤田と岸川がいるボランチ。
左右に開くMF。
猶本の適性はどこなんだろう。
「巧いんだよね、良く見えてるし」
「使って欲しいんだけどな」

86分、加藤out和田in。
「最終ラインに和田だとちょっと怖いしね」
89分、柴田out安田in」
「もうちょっとだ、頑張ろう」
目前に迫る勝利。
大丈夫だと分かっていても、笛が待ち遠しい。

試合終了、浦和2-0伊賀。
なでしこリーグ残留が決まる。
選手たちの笑顔につられ、頬が緩む。
高畑のスポーツ選手らしい受け答え。
ゴラッソの“ゴラッソらしい”インタビュー。
そして、一年間苦労を重ねた後藤三知の言葉。

まだ終わってないけど、
皇后杯もあるけれど。
良く頑張ったねと、拍手で選手たちを称えたんだ。









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不思議なくらい落ち着いていて。
それなのに、なんだか胸が高鳴っていて。
国立への向かう道。
今日が特別な日だと、
2年前もその前もずっと、同じような光景だったことを思い出して。
ナビスコ杯決勝。
タイトルを手中に収めて、新しい時代を切り開きたい。

GK山岸
DF森脇・那須・槙野
MF平川・阿部勇樹・啓太・柏木・原口・宇賀神
FW興梠
リザーブ加藤・坪井・永田充・暢久・梅崎・関口・マルシオ
ここまで戦ってきた中で、
監督が最も信頼する選手たちで構成されたメンバー。
主力を5人欠く柏よりも優位なはず。
一発勝負。
いつも以上に集中して、戦わなければ。

「慎重だな」
カップ戦独特の手堅い立ち上がり。
リスクを負わず、丁寧にパスを選択する。
「向こうはカウンター狙いだな」
ブラジル人監督らしい、勝つためのサッカー。
「ウチはウチのやり方しか出来ないからな」
勝負に徹することが出来る相手が恨めしい。

阿部勇樹がGKからのボールをカット、
柏木から縦にパスが抜ける。
「オフサイドか…」
興梠が飛び出す、副審の旗が上がる。
「汚いな、10番」
手を出す、挑発する。
審判からの注意はない。
「こういうのでリズム崩さなきゃいいけど…」
しっかり裁いて欲しい、主審は扇谷氏。

右に展開する、左から刳る、中盤の底からチャンスを伺う。
「サイドが全然出て来ないんだよな」
崩せない浦和、一発を狙う柏。
「あれ、雨だ…」
青空が広がると思いこんでいた上空から、雫が落ちる。
「すぐに止むんじゃない?」
ピッチが濡れていた方がウチにとって有利なはず。
「丁度いいんだ、これで」
森脇が倒される。
「何なんだよ…」
30分、森脇に警告。
「逆だよ、そりゃないよ…」
じわりじわりと柏に流れが傾いてしまうのか。

原口が突っ掛ける、宇賀神が仕掛ける。
「柏木がイマイチかも…」
PAエリア内で勝負させてもらえない。
「前半はこのままでいい、しっかり守ろう」
アディショナルタイム1分。
右からクロスを入れられる。
「やっちまったか…」
90+2分、柏先制0-1。
「どっちも付いてなかったか…」
サイドも中央も、相手選手のマークを外す。
「勿体ない、勿体ないって…」

前半終了、浦和1-0柏。

「返せるよ、絶対に」
信じること、阿呆みたいに信じて戦うこと。
捲土重来を期すために、タイトルという切欠が欲しい。
「勝って浦和に還るんだ」
強い気持ちを、ピッチに届けよう。

槙野が上がる、クロスが入る。
「そうだ、そうだよ」
阿部勇樹のシュートはDFがブロック。
「引いて来たか、やっぱり」
10人で守る柏、口を突いて出そうになる雑言を胸に押し込む。
「破る チャンスは必ずある、焦らずに行こう」
止んだかと思えば激しく振り出す雨。
「帽子くらい持って来れば良かったかな」
雨に視界が遮られる、寒さは感じない。
「雨だよな、雨の国立だよな」
思い出の詰まった雨の国立、ウチが勝つはずなんだ。

柏木のFKに那須が合わせる。
「惜しい!」
シュートは枠の外。
「セットプレーも可能性あるぞ」
背の高い選手を揃える柏DF、
今のウチなら壁を破ることが出来る。
69分、平川out関口in。
「いよいよ勝負か」
リスクを負って浦和が勝負を懸ける。
原口が壁を突破する、スピードに乗る。
「あっ!」
阿部勇樹が突っ込む、足を伸ばす。
GKを越えたボールはクロスバーを掠めていく。
「ツキがないのか…」
絶好機を逸する浦和。

77分、啓太outマルシオin。
「仕方ない、もうそれしかないもんな」
柏木が1枚下がる、攻撃の層を厚くする。
「大宮みたいだな…」
自陣に籠る柏。
外国人選手が、GKが露骨に時間を稼ぐ。
「チクショウ、こんなサッカーに負けたくないんだ」
関口がライン際を駆ける、
何度も何度も左サイドからチャンスを演出する。

「危ない!」
攻め続ける、裏を取られる。
「足りない、戻れ!」
那須が追い付く、侵入を許さない。
「!」
山岸がストップする。

「打て、打て!」
原口が強引にシュートを放つ。
「まだだ、打て、打て!」
跳ね返ったボールを押し込む、ネットが揺れる。
「どうだ、どうなんだ!?」
副審の旗は上がらない。
「入った?どっちなの!?」
ベンチに駆けだす浦和イレブン。
「オフサイド…、じゃないかな」
主審と副審が協議する。
「やっぱりそうか…」
得点は認められない。
「もう1回、もう1回あるよ」
これ以上の決定機があるのか。
信じよう、信じなければ。

アディショナルタイム4分。
「追い付こう、延長に持ち込めば勝てるよ」
ボールをキープする柏、奪えない浦和。
「もう時間ないぞ、早く!」
放り込む、跳ね返される。
それじゃ決まらないのは分かってる、
分かっているけれど。
「早く、早く!」

無常の笛が鳴る。
試合終了、浦和0-1柏。
タイトル獲得ならず。
降り続く雨、号泣する原口、蹲る槙野。
「甘いのかな、ウチは」
もっともっと強くなれ、胸を張れ。

ACL、天皇杯、ナビスコ杯が終わった。
それでもまだ、僕らには
タイトルへの挑戦権があることに、幸せを感じよう。
残り4試合。
全てが決勝戦、懸けて戦おう。


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