「誇」-URAWA REDS-
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逸る気持ち。
どうしても勝たせたい。
気持ちよく送り出したい。

僕らの思いを、選手たちに伝えたい。

エメがいた、優勝が決まった次の試合。
大山俊輔のデビュー戦。
あの時以来の日立台。
迷わずに旧アウェイ側に辿り着けるなんて、
習性の成す技なのかな。

GK西川
DF森脇・永田・槙野
MF関口・阿部・柏木・宇賀神・梅崎・原口
FW李
リザーブ山岸・坪井・濱田・直輝・関根・矢島・阪野
興梠、啓太、那須、平川は帯同せず。
誰が出場しても同じサッカーを構築することが出来るのか。
そんなことなんて気にしていられないほど、
勝利を渇望していた。

「いいねぇ」
原口がドリブル突破、見せ場を演出する。
広島戦でも感じた、新しい9番の意気込み。
「柏、ウチに付いていけてないのかな」
立て続けにFKを得る浦和。
平日夜のナビスコ杯とは思えないほど、
ゴール裏に赤者が集結している。
右サイドを破られる、西川が落ち着いてボールを捌く。
「いいよ、いい選手獲ったよね」
バックラインが慌てることがなくなっている。
永田から、柏木から縦にボールが入る。
「ウチ、強くなってるのかな」
メンバーが代わっても質が変わらない。

中央から左にフリック、ボールを押し込む。
「入った!」
「やったぜ!」
17分、浦和先制0-1。
「ウメ?ウガ?」
得点者がアナウンスされない。
「ウメだ!」
暫く立って梅崎の名前がアナウンスされる。
アウェイで先制、勝てる可能性が高まる。
「さあ、勝つぞ!」

11番、9番、18番が連動しない柏。
攻撃を自重する槙野、森脇。
「無理することないんだ、無理するなよ」
右サイド、関口が翻弄される。
「マズい、同じ形でやられ過ぎだよ」
流れが一気に柏に傾く。

ゴール前の混戦、相手選手と交錯する。
「それでなの?」
僕らの目の前でPKが宣告される。
「その基準で吹けよな!」
右に飛ぶ西川、中央に飛ぶボール。
43分、柏同点1-1。
「審判、怪しいんだよな…」
不安定なジャッジ、浦和が不利を蒙る。

前半終了、柏1-1浦和。

HT、関口out濱田in。
「鳥栖戦と同じラインにするのか」
連携に不安のあった森脇と水輝。
「大丈夫かな」
右サイドを破られることがなくなる。
「取りあえず交代は成功かな」
試合が落ち着く。
「来たか!?」
満を持して槙野が左サイドを駆ける。
「行け、行けるぞ!」
クロスが入る、水色のスパイクがシュートを狙う。
「ウメ、打て、打て!」
DFラインを破れない。
「惜しいんだけどな…」

「このままでも仕方ないのか」
不安定なジャッジが悩ましい。
「今日主審誰なの?」
時計すら見辛いスタジアム、主審の名前を確認することが出来ない。
「ファールだろ!」
ウガが後ろから倒される。
「吹けよ、吹けって!」
プレーが続行される。
「そりゃないだろ、おい!」
基準の定まらない笛にフラストレーションが溜まる。
柏CK。
西川が飛びつく、副審が走り出す。
「競り負けたのか?」
79分、柏逆転2-1。
幾つもの危険なプレーを流された挙句の失点。
「そりゃないって…」
槙野にイエローが出される。
「異議か…」
「気持ちは分かる、分かるけど勿体ないって」

梅崎が右サイドを突破、クロスが入る。
「チュンソン!」
「オフサイドか…」
ネットが揺れる、ゴールならず。
86分、宇賀神out関根in。
「勝負だ、頑張れよ」
ルーキーの突破力が、浦和に幸運を齎せてくれるかも知れない。
88分、梅崎out矢島in。
「もっと時間があれば…」

アディショナルタイム3分。
「PKだ!」
目の前で槙野が倒される。
「PKだよな?」
91分、槙野に警告、退場。
「何考えてんだよ、足掛かってただろ!」
主審より近い位置に僕はいた。
相手選手はボールに絡んでいない。
「酷いな、ちょっと」

零れ球に反応した原口のシュートが枠を越えていく。

試合終了、柏2-1浦和。



負けた。
次の試合、僕たちは頑張ることが出来ない。
スタジアムに近づくことすら許されない。
「頼む、頼んだぞ」
喉が枯れても掠れても、止めることの無いコール。
想いよ、届いてくれ。
選手たちの背中を越え、埼玉スタジアムまで。


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